闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「あ、雷雲……一雨来るのかしら?」
チョウジジムを制覇し最後のジムがあるフスベジムを目指す……道中にセレナが雷雲を見かける。
雨雲でなく雷雲、雨雲ならばなんとなくの気配で分かることだがゴロゴロと音が鳴っている雷雲だ。なんか不吉な感じがするなとセレナは少しだけ警戒をしていれば…………雷が落ちた。
「あ、危ないわね……」
「…………」
「どうしたの?」
「なんか……………スゲえ速度で動いてねえか?」
「…………スゴい速度で動いてるわね」
雷雲から雷が落ちたのでセレナがビクッとする。
オレの手を握って気持ちを落ち着かせているがオレはそれよりも雷雲が尋常じゃねえ速度で動いていることが気になる。
雲とかゆっくり動いているように見えるが実際のところは物凄い速度で動いてると理科の授業で習った事はある。だが、今日は雲はあれども曇天ではない。雷雲がまるでそこにいかなければならないのだと言わんばかりに動いている。
「あ、今度は電撃が放たれたわ!」
雷雲が移動したところに視線を向ければ電撃が飛び交う。
自然から発生する電撃じゃねえ。ポケモンが放っている電撃だ……だが、今まで見てきた『でんき』タイプのポケモンの『でんき』タイプの技と比較してもパワーが桁違いだ。
「クククッ…………面白えのが見れるな……」
「え、もしかして……行くの?」
「ああ……行くしかねえだろう」
雨雲は何処にも無いのにも関わらずピンポイントで雷雲が浮いている。
確実になにかが待ち構えているのだと笑みを浮かび上げる。
「ギュルァアアアアアア!!」
「アレは……サンダー!?」
オレの予感は的中していた。雷雲があるところに向かえばサンダーが電撃を放出していた。
こんなところでサンダーに出会うだなんて中々に幸運だなと思っていると……エレキブルが腕をブンブンを振り回していた。
アレはエレキブルが『でんき』タイプの攻撃を受けた際にする『でんきエンジン』を稼働する動きだ。
「エレキブル、まだ行けるか!」
「レブウ!」
「シゲルじゃねえか……………ああ、そういうことか………」
「ギュルァアアアアアア!!」
サンダーが電撃を放ち暴れ回る。周りに被害が及ばないようにエレキブルが電撃を受け止めては『でんきエンジン』を稼働させる。
サンダーは……逃げる素振りは見せていないがシゲルを見ようとしていない。代わりにエレキブルに『かみなり』を落とすがエレキブルには『でんきエンジン』があるので効果は0……ゲームでの話ならばだ。
この世界じゃ頑張れば『じめん』タイプのポケモンに『でんき』タイプの技でダメージを与える事が出来る。エレキブルの『でんきエンジン』も『1000まんボルト』を吸収しきれずにダメージになった。ヘルガーの『もらいび』もメガリザードンXの『ブラストバーン』に耐えれずに戦闘不能になった。要するに許容範囲を越えればダメージになる。
「っく……戻れ、エレキブル、サンダー」
「………………え!?」
サンダーがとにかく暴れ回っておりそこかしこに『かみなり』や『ほうでん』を放つ。
エレキブルが『でんきエンジン』で素早さを上げる……が、エレキブルがそろそろ『でんきエンジン』の方が限界を迎えるのだとエレキブルが限界だと言えば……シゲルはエレキブルとサンダーをボールに戻した。
「よぉ、随分と苦労してるみてえじゃねえか」
「サトシ!?………………見られていたのか……………やれやれジョウトリーグまで隠しておこうと思っていたんだがね」
シゲルがボールにサンダーとエレキブルを戻してホッとした。
ここでやっとシゲルにゆとりが生まれたのだと声をかければ案の定だがオレの存在に気付いていなかった。
さっきまでの光景を見られていたのかとシゲルは少しだけだが落ち込むが大して気にしてない。
「それがお前のとっておきか」
「ああ、そうだ……サトシゲッコウガ、メガリザードンY、スイクンに対抗するにはメガカメックスだけじゃ足りない。だから僕は死に物狂いでサンダーをゲットしたのさ」
サトシゲッコウガやメガリザードンYに加えてスイクンまで加わった。
鬼に金棒どころじゃねえとシゲルは認識している……サトシゲッコウガとメガリザードンYならばメガカメックスと戦略で勝てると思っていたがオレならばさらなる理外の一手に出ると予想した。その理外の一手を潰すためには理不尽な力が必要だ。
「確かにサトシゲッコウガ、メガリザードンY、スイクンの3体は『でんき』タイプに弱え……だが並大抵の『でんき』タイプの技じゃ無理だ。Zワザは1回しか使えねえから頑張っても1体しか倒せねえ。なによりもメガカメックスと言う手を残している。ルール上何れかは1回だけ、Zワザを使えばメガシンカが出来なくなる……」
「まさか……シゲルがサンダーをゲットするだなんて」
「サトシゲッコウガ、メガリザードンY、そして君がポケモンリーグ・セキエイ大会優勝……ハッキリと言えば僕は焦っているよ。どうすれば君に勝てるのか、君と戦う事すら出来なかったのに君と戦うイメージをした。そのせいか君に負ける悪夢を何度も見た……君を倒す為には一手足りない。圧倒的なまでの一手が……僕のポケモン達をさらなる高みに連れて行ってくれるポケモンを僕は探した。そして遂にサンダーを見つけたんだ……ポケモンを捕獲することに特化したチームでゲットした」
シゲルはハイパーボールを片手にサンダーをどうやってゲットしたのかを語る。
最後の一手、新しい高みに至るには今持っているポケモン達だけじゃ難しい。そう考えてシゲルはサンダーをゲットした。
前にエンジュシティで再会した時にオーキド博士に送ったハイパーボールに入っていたのはサンダー、オーキド博士の事だからサンダーに興味を抱いてやらかしたパターンだろう。
「サトシを倒す為の準備は万端って事ね……ますます負けられなくなったわね」
「クククッ……今の段階じゃどう頑張ってもオレに勝つことは不可能だよ。賭けても良い、今の段階じゃオレには勝てねえ」
「サトシ、それはちょっと慢心しすぎじゃないの?メガカメックスにサンダーは強力なポケモンでしょ?」
「いや……………君の言う通りだ……このままだと僕は君に勝つことが出来ない」
サンダーという強敵が現れれば負けられなくなったとセレナは脅威を感じる。
だがオレからすれば脅威は全くと言って感じねえ……今の段階ならば尚更だ。セレナはオレが慢心していると思っているがシゲルは見抜かれていたのかと素直に勝てないことを認めた。
「どういうこと?サトシゲッコウガ、メガリザードンY、スイクンに対抗してメガカメックスとサンダーを用意したんでしょ?数の上だとサトシの方が有利だけどタイプの相性と戦術でどうにか出来るって」
「勝てない理由はシンプルな理由だ………………サンダーが言うことを聞いてくれねえ、だろ?」
「……君はなんでもお見通しだね……その通りだよ」
さっきサンダーが暴れまわっていた。そこかしこに電撃をバラまいていた。
伝説のポケモンは気性の荒い……プライドが高かったりする。並大抵のポケモンならばゲットしたらすんなりと言うことを聞いてくれる。だが、サンダーは並大抵のポケモンじゃねえ。ゲットしたからはいそうですかで言うことを聞いてくれる他のポケモンとは違う。偉そうに威張るだけの実力をサンダーは持っている。
「サンダーをゲットしたがサンダーをゲットすることに特化したパーティでゲットした。サトシがゲッコウガで純粋な強さでスイクンを撃退したんじゃない、ゲットすることだけを優先させた……だからサンダーは僕に対して心を開いてくれていない……言うことを聞いてくれないんだ」
「じゃあ、さっきはなにを」
「純粋な実力でサンダーを倒す、そうすればきっとサンダーは僕のことを認める見直してくれる……メガカメックスで挑んだが流石は伝説のポケモン、1発は耐えたが連発の『かみなり』を浴びてメガカメックスは破れた。色々とポケモンはいるがサンダーに対抗する事が出来そうなのはエレキブルだけ……だが、エレキブルの特性の『でんきエンジン』の許容範囲以上の電撃をサンダーは平然と放ってくる。『でんき』タイプの技を受け続けてサンダーのスタミナを減らす作戦なんだがとてもサンダーのスタミナが減っているとは思えないんだ」
「難儀なもんだな……言っとくがアドバイスはねえぞ……スイクンがなにを思っているか知らねえがスイクンはオレの言うことを聞いてくれている……そのやり方は一番手っ取り早いが一番厄介な事だ」
ポケモンバトルでサンダーを撃退する……そうすればサンダーはシゲルを見直すしシゲルに心を開くだろう。
言うことを聞かないポケモンに対してポケモンバトルを挑んで心を開かせる、というか自分はそいつに相応しいトレーナーだと教える事が出来る……一番手っ取り早いやり方だが純粋にそいつを倒せなきゃ話にならねえ。
「とりあえずエレキブルを回復させなくちゃならねえ……サンダーを時間を掛けて疲労させるか?」
「いや、純粋な力で勝ってみせる!……エレキブルを回復させるならば最適な場所があるよ」
「最適な場所?……この辺にポケモンセンターはあったかしら?」
「ついてきてくれ」
エレキブルを回復させてもう1回サンダーに挑戦すると気張るシゲル。
先ずはエレキブルを回復させなきゃならねえがエレキブルを回復させる場所がねえと思っているとシゲルは湖に連れてきてくれた。
なんだこの湖はと思っているとシゲルはハイパーボールとモンスターボールを取り出す。
「いけ、サンダー、エレキブル」
「ギュルァアアアアアア!!」
「レブゥ」
サンダーとエレキブルをボールから出した。
その2体を回復させるってどういうことかと思っていると2体は湖に浸かった。
「この湖は『でんき』タイプのポケモンを回復させる力があるんだ」
「……デンリュウとかマルマインも浸かってるわね……」
浸かっているポケモンは他に居るのだとセレナが見回せば『でんき』タイプのポケモン達が水浴びをしている。
気持ち良さそうにしておりビリビリと電撃を放っている。
「レブ!!」
「ギュルァアアアアアア!!」
「よし……エレキブルは回復した。次こそはサンダーを倒してみせる!」
体力が回復したのだとエレキブルとサンダーが湖から出てきた。
エレキブルは溜め込んでいた電気を放出した。サンダーは放出した電気を蓄える事が出来たのだとビリビリと電撃を放出する。
「サンダー、今度こそ君を倒す!!いくぞ、エレキブル!」
「レブゥ!!」
「ギュルァアアアアアア!!」
「……クククッ……随分と不器用だな……」
「…………え?」
再び戦うサンダーとエレキブル。
エレキブルはサンダーの電撃を真っ向から受け止めようとしている。サンダーはそれに対抗して『かみなり』を落としている。
サンダーは……まだ完全には心は開いていない……だが、シゲルのポケモンになったという自覚はある。仮にサンダーが居れば無双することが出来るがそれはシゲルの為にならない。それを分かっているからサンダーが暴れている。
「シゲルのサンダーは殆ど心を開いている、シゲルに自身への挑戦権を与えてる……ただ、はいそうですかで言うことを聞けばシゲルが堕落するのだと思っている……伝説のポケモンは毒に近い薬だ。使い続ければ依存しちまう。トレーナーとしての腕が腐る」
「そうなの?」
「サンダーは空を飛ぶことが出来るポケモンだ……逃げようと思えば何時でも逃げることが可能だ。それなのにシゲルのエレキブルと何度も何度も戦っている。シゲルを認めてシゲルを鍛えるために一役買っている……シゲル自身は何処まで気付いているか分からねえがエレキブルの奴、セキエイ大会に出てた頃よりも遥かに強くなってやがる……他のポケモンで挑めば他のポケモンはサンダーとバトルを繰り広げていりゃ嫌でもレベルが上がる…………………だが、それだけだ」
「それだけって……それで充分なんじゃ」
「おいおい、大事なことを忘れてんぞ……何処で待ち構えてるかは分からねえがオレとぶつかるんだぞ?」
「あ!」
「シゲルと決勝戦でぶつかる、そんな気がする……決勝戦でぶつかるのならば持てる力全てをぶつける。ゲッコウガ、リザードン、スイクンが確定だ……それに対して向こうはサンダーとカメックスが確定だ。数の上ではこちらが有利に見えるがゲッコウガとスイクンが『みず』ポケモン被りでリザードンも加えて3体とも『でんき』タイプに弱い……『でんき』タイプのポケモンをもう1体……この様子だとエレキブルが3体目に出てくる。3体とも『でんき』タイプに弱いがサンダー1体だけで倒せると思うほどシゲルはバカじゃねえ……だからこのままだとシゲルは負ける」
「勝てるじゃなくて負けるの……サトシの方が不利な気がするけど」
「サンダーはエレキブルを鍛え上げてくれている……エレキブルは脅威と言える実力になるだろう。カメックスはシゲルの最初のポケモンでレベルが物凄く高い。その上でメガカメックスが待ち構えている……それだと1手足りない。サンダー自身が強くなっていないから」
「……………………確かに………………サンダーが……………」
サンダーに鍛えてもらっているのであってサンダーを鍛えているわけじゃねえ。
対するオレはスイクンで底上げをしつつもスイクンを鍛えている。サンダーがいざ言うことを聞いてもサンダーらしいバトルが出来ずに『10まんボルト』や『ドリルくちばし』なんかで攻めてきたのならオレは確実と言って勝つことが出来るのだと断言出来る。
「……コレで最後の発破をかけてやるか……」
「シゲルにサンダーが認めてるって教えるの?」
「いや、違う……いけ、スイクン」
このままだと確実に勝つことが出来る。それは面白くねえ。
ヘビーボールからスイクンを出せばスイクンは何事だとなるのだが直ぐにスイクンの視界にサンダーが入った。
「クォオオオオオオン!!」
何時も以上に高い遠吠えを上げるスイクン。何事だとエレキブルとサンダーはこちらに向かって視線を向ける。
エレキブルは固まっている。スイクンはエレキブルを目に留めていない。サンダーだけをただジッと見つめている
「…………」
「…………」
「ここじゃやらねえ……やるのはジョウトリーグでだ……」
睨み合いをするスイクンとサンダー。
なにか言葉を交わすのかと思っていたのだが特に言葉を交わさない……が、それだけでも会話になっている。
スイクンはサンダーが捕まったトレーナーがいるのだと見ている。サンダーはスイクンが選んだトレーナーがいるのだと見ている。
2体とも冷静なポケモンだから手を出さないがバチバチに何時やりあってもおかしくねえ。だからオレはここでバトルはしねえと断言しておけばスイクンはサンダーに背中を向けた。
「クォオン」
「ああ、すまねえな」
オレのもとに向かってくるスイクン。
もう大丈夫だとボールに戻してくれとスイクンは言うのでヘビーボールを出せばスイクンは開閉スイッチを押してボールに戻った。
それを見たサンダーは驚いている。スイクンがオレの言うことをしっかりと聞いているのだと……オレの力量がどれくらいなのか見てやろうという思いならばオレは躊躇いなくサンダーをぶん殴るが……サンダーはシゲルの前に降り立った
「ギュルア……」
「……分かるか……僕が挑むのは彼だ……倒すには1手足りない。どうしても君の力が必要なんだ」
「…………」
「力を……合わせよう……サトシの力は強大だ」
オレが脅威的なトレーナーだとサンダーは分かった。
シゲルはサンダーの力を借りるのでなく力を合わせると言えばサンダーは頷いた。
「さて……フスベジム目指すか」
「サトシ……礼は言わないぞ」
「要らねえよ、そんなもん……それでも恩義を感じるってなら決勝戦まで勝ち進んでこい……お前は1回壁に阻まれたんだからよ」
サンダーとシゲルは心を通わせた。ただ力任せに暴れ回るサンダーじゃなくなった。
シゲルの事だろう、既にジョウトリーグに出場するのに必要な8個のバッジをゲットしている……サンダーに頼らなくてだ。
その時点で充分に強いが……シゲルはセキエイ大会の準決勝で負けている。相手がジョーイさんだからというのはただの言い訳だ。だからオレの居るところまで駆け上がれと激励をすればオレ達はフスベジムを目指した。