闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「サトシ……重くないの?」
「全く重くねえぞ?」
「ヨギ?」
ヨーギラスは野生のポケモンなのでモンスターボールには入れちゃいけねえ。
抱き抱えればややこしいしリュックの中に入ってもらっている。ヨーギラス自身はリュックの中が割と快適だと言う。
だが……セレナは大丈夫かどうかを聞いてくる。
「ヨーギラス、70kgぐらいあるんだけど……」
ヨーギラスの体重は物凄く重い。
70kgぐらいあるのだとセレナは心配してくれるが特に重さらしい重さは感じない。
伝説の超マサラ人じゃないとは言え鍛えているからな。70kgぐらいならば余裕だろう。
「グマァ!!」
「アレは……リングマ!」
重さを感じねえと思いながらも進んでいけばリングマが現れる。
セレナと一緒にポケモン図鑑を出して図鑑登録をしておくのだが直ぐにセレナはモンスターボールを取り出す。
リングマは凶暴な性格をしているポケモン、襲ってくる可能性が高いと思っていると……リングマはオレ達を無視した。
目が血走ってて充血してるってのにリングマはオレ達を全く気にすることはなく何処かを目指している。何処を目指しているんだとチラリと見れば……温泉があった。
「シロガネ山付近には天然の温泉があるって書いてあるわね……ポケモン達が沢山いるし湯治をしているのね」
「コイツは……人間が入ってもいい場所……なのか?」
セレナがタブレット端末でシロガネ山付近の情報を仕入れる。
シロガネ山やシロガネ山付近には温泉がありポケモン達が湯治したりしている……目の前にあるのは天然の温泉だろう。
人間が整備してお湯を汲み上げてない源泉掛け流しで多くのポケモン達が浸かっているって事は野生のポケモン用の温泉なのかが気になる。下手に生態系を荒らせば後で祟られるのがこの世界だからな。
「ヨギヨギヨーギ」
「ヨーギラス、貴方は『いわ』『じめん』タイプのポケモンよ。温泉に入ることは出来ないわ」
ヨーギラスが温泉に対して興味を抱いている。
温泉があるのならどんな感じかとなるがセレナがヨーギラスに温泉はダメだという。それでもヨーギラスは温泉に興味を示す。
仕方がねえなとヨーギラスをリュックからおろして温泉に向かって歩くと……ブチリとなにかが切れた音が聞こえる。
「え!え?え!?」
「やっぱ人間アウトか?」
なにかが切れた音と感触がしたと思えば警報音が鳴り響く。
やっぱり人間がアウトな温泉地域なのかと思っていると1人の眼鏡の男性が現れる。
「出たな、エンテイ!!」
「エンテイ……何処にも居ないわよ?」
「え、でも僕のトラップには引っかかった……もしかして君達が引っかかったのかい!?」
「オメー、エンテイ狙いか?……………」
眼鏡の男がエンテイが現れたなんだと叫ぶがエンテイはここにはいねえ。
自分のトラップに引っかかったのだと眼鏡の男は思っているみてえだがいねえと思っているとさっきブチリとなにかが切れた音と感触の原因、古典的なブービートラップが仕掛けられていた。
「追いかけ回すなとは言わねえがよ…………コイツは無しだろ?」
ブービートラップの紐を手に取った。エンテイがやって来たのだと分かる仕掛けだろうがこういう感じの道具を用いての捕獲は無しだ。
ポケモンを扱うものは友情ゲットかバトルゲットであり凶器や道具を用いて罠を仕掛けてのポケモンゲットは基本的には禁止だ。害獣扱いされているポケモンを駆除するときは構わねえが、この感じだとエンテイ目当てのトレーナーだ。
「これじゃあポケモンハンターと似たような事をしてるも同然だよ……ポケモントレーナーなら純粋な技能でポケモンゲットしな」
「……うぅ……」
「先ずは野生のポケモン達に謝りなさい!今のでビクッとして警戒してるわよ!」
勝手に仕掛けた罠にサイレン音とハッキリと言えば迷惑だ。
野生のポケモン達も何事なのかと温泉の力によって癒やされていたポケモン達も強い警戒心を向けていて温泉を楽しんでいない。
セレナが謝るように言えば眼鏡の男、ナオヤがすみませんでしたと謝り仕掛けていた罠を解除していく。
「にしてもよ、エンテイが来るって……分かるもんなのか?」
「僕の集めたデータからしてエンテイはこの近くに居るのだけは確かさ!だからこうしてエンテイを見つけるためのトラップを」
「……あの音だと絶対にエンテイ、逃げると思うわよ?」
エンテイがここに来ているとデータを集めた結果、ナオヤは叩き出した。
間違いかどうかは知らねえがあのサイレン音が鳴り響いているのならば確実にエンテイが逃げるだろうとセレナも呆れている。
それと同時に水着に着替えて温泉に浸かる……あ〜染みる……
「ジョウトリーグ前の湯治には最適だな……」
「ええ……今までの疲れが……あ、いけない!ウーラオス!テールナー!ギャラドス!リザードン!出てきて!」
「っと、オレもだな。ヘラクロス、エアームド、オーガポン、サンドパン、ヘルガー、出てこい」
温泉に入っててリラックスしているのも束の間、セレナは温泉にポケモンも入れようと出す。
ポケモン達も元気になってほしいのは一緒だとオレもモンスターボールからポケモン達を出す。
「ウラ!」
「テール」
「ゴォオオオウ」
「ヘラクロ!」
「ルガァ」
「ェアウ」
「ガォッ!」
リザードンとサンドパンを除くポケモン達が温泉に入る。
今までの疲れが吹き飛ぶのだと心地良さそうにしているが……羨ましそうに見ている3体のポケモン達も居る
「グォウ」
「リザードン、大丈夫よ!尻尾の炎さえつけな、きゃああああ!?」
「あ……まさか、コイツ、ガス含みの温泉か!?」
リザードンは顔を覗かせて大丈夫なのかの確認をしている。
オレのヘルガー以外にも野生のヘルガーが温泉に浸かってるから『ほのお』タイプのポケモンならば問題はねえ。ただしリザードンには命の灯火とも言える尻尾の炎がある。下手にお湯につければとリザードンは警戒しているが尻尾の炎さえ警戒していれば大丈夫とリザードンを近付ければ温泉が燃えた。シロガネ山の温泉は湯治にはピッタリだが独特の炭酸が含まれてるかなんかで火をつければ燃える系の温泉だったみたいでセレナは熱湯を浴びるのだがまぁ、ギャグ補正で熱かったの一言で終わった。
「サァン!」
「あ……砂風呂もあるのね」
「ヨーギラス、サンドパンのところに行ってこい。あそこならばお前でも入れる風呂がある」
地熱により温められている砂があった。
温泉に入ることが出来ねえとサンドパンは分かっているから砂風呂はねえのかと探してくれており砂風呂を見つけた。
「ヨギ……」
「大丈夫だ……ホントにダメだと思うなら潔く泣け」
オレとスイクン以外はまだ苦手なヨーギラス。
問題はねえと恐る恐るサンドパンに近付けばサンドパンはヨーギラスが入る穴を掘ってくれた。
入るんだと視線で訴えればヨーギラスは砂風呂に入りサンドパンはヨーギラスに砂をかけて自身も砂風呂に入った。
アレならば出来るのだとセレナのリザードンは砂を巻き上げて砂風呂に入った。
「ふぅ……全部撤去できたよ」
「そうか……お前もどうだ?思いの外疲れが取れるぞ」
ナオヤが仕掛けていた罠を全て撤去した。
一息ついているので温泉に入らないのかを聞いてみるのだが温泉には入らないのだという。
「僕はこれからエンテイを待ち構える!その為には温泉になんて浸かってられないよ」
「エンテイをか……エンテイを見つけるまではいいがどうすんだ?過去にエンテイの目撃情報は色々な地方であったがよ、彼奴等即座に逃げるぞ」
「ふっ、それに関しては問題無い!僕にはこいつがいる!」
「ムウマ!」
「………………………サトシ………………」
「………………ったく………………ん?」
ナオヤはエンテイ対策はバッチリだとムウマを出した。
ムウマを見たら大凡の見当はつくのだとセレナはオレからアドバイスを送るように言ってくる。
仕方がねえなと思いながらもアドバイスを送るかと思っていると唯一開けていないスイクンが入っているヘビーボールが勝手に開いた。
「クォオオオオオオン!!!」
「っ、な!?スイクン……スイクンだって!?」
「クククッ……………どうやらお前の読みは正しいみたいだな」
自発的にヘビーボールからスイクンが出てきた。
実に珍しい事だがなんで出てきたのかは大体の予想はつく、直ぐ近くにエンテイがいる……なにを思ってかは知らないがスイクンは出てきた。
「君はスイクンをゲットしていたのか!?」
「スイクンゲットの話はなんの参考にもならねえよ」
スイクンをゲットしていたのかと驚くナオヤ。
スイクンゲットの話をしたとしてもなに1つ参考にならねえのが分かるのでスイクンゲットの話はするつもりはねえ。
「スイクンをエンテイに見立ててゲットの練習をしてもいいかな?」
「したきゃしろ……スイクン、温泉前の軽い運動だ。この前と同じ感覚でいいぞ」
ナオヤはスイクンをエンテイに見立ててと提案をしてきた。
スイクンが嫌だと言うのならば断るがスイクンはジッとナオヤの事を見つめている。
オレがポケモンバトルをしても問題はねえと言えばスイクンとナオヤのムウマのバトルが始まる。
「ムウマ『くろいまなざし』だ!」
「ムーマ!」
「…………やっぱりそう来るわよね……」
開幕『くろいまなざし』……別になにもおかしくねえ事だがそれじゃあダメだとセレナは知っている。
『くろいまなざし』を受けて逃げれない、この場合だとボールに戻せない状況にスイクンは詰められるがスイクンは動じない。
「よし『スピードスター』だ!」
「ムーマ!」
「クォオン!」
「なっ……全くと言ってダメージになってない。だったら『サイケこうせん』だ!」
「ムゥ!」
「……クォオオオン!!」
ナオヤのムウマが『スピードスター』で攻撃する。『サイケこうせん』で攻撃する。
スイクンは避けることを一切せずに真正面から受け止めたと思えばダメージらしいダメージが一切入ってないという素振りを見せ……『ほえる』を使ってムウマを強制的にモンスターボールに戻した。
「まぁ……こうなるわな……」
「そ、そんな……折角『くろいまなざし』を覚えさせたのに『ほえる』で強制的に戻されるだなんて……」
「『ほえる』が効かなくて『くろいまなざし』なんかの逃亡出来なくなる技が覚えれるポケモン……居ないのよね……アリアドスに『じごくづき』を覚えさせる……ああ、でもエンテイは『ほのお』タイプのポケモンよね」
「まず大前提にエンテイと純粋に殴り合えるポケモン用意しなきゃならねえ……エンテイ捕獲パーティを編成するならば『くろいまなざし』なんかもいいがエンテイにダメージを与えることが出来るポケモンを用意しなきゃ話にならねえ。なにかの気紛れでエンテイがお前に挑戦権を与えても今のままじゃ確定で負ける」
『ほえる』があるからどうしてもとなるのでセレナはこの前上げたアリアドスを出す。
だがアリアドスは『むし』タイプのポケモンで『ほのお』タイプのエンテイの攻撃をくらえばひと溜まりもない。
シゲルはサンダーをゲットしたが実に考えている。『くろいまなざし』で逃げれなくした後にゴローニャ辺りで挑む。得意の電撃は通じねえが物理技の『ドリルくちばし』がある。『ドリルくちばし』を使えばとなるがゴローニャには大してダメージにならねえ。ゴローニャとエレキブルでダメージを与えつつも他のポケモンで状態異常にする……シゲルの奴はゲットに特化したパーティでゲットしたのであって倒してねえと言ってたからそれでゲットしたんだろう。この世界じゃポケモンは戦闘不能になるまでボコってからゲットしてもなんら問題はねえ……ただシゲルはメガカメックスでも倒せなかったと言っていたからサンダーが尋常じゃねえぐらいに強いんだろう。
「サトシ、なにかアドバイスはないの?」
「オレの場合はスイクンがオレに対して挑戦権を与えてきた、だからスイクンが逃げるってことは考えてなかった……」
「……いいなぁ」
「よくねえよ。スイクンと真正面から戦わなきゃならねえんだぞ?オレはスイクンと1回はぶつかるのを想定してゲッコウガを呼び寄せた。他のポケモンだったら先ず負けていた……負けるのを利用して『みちづれ』で倒してやろうかって考えてたがスイクンはオレとオレのゲッコウガに対して挑戦権を与えてきたんだ……お前は自分のポケモンの中でスイクン、エンテイ、ライコウの何れか3体を純粋な実力で倒せるって胸を張れるポケモンはいんのか?」
ナオヤはオレがスイクンへの挑戦権を与えられたことを羨ましそうにする。
スイクンが逃げることをしねえってのはいいことだ……だがその代わりスイクンと真っ向から戦わなければばならねえ。
『くさむすび』を覚えさせた。重量級のスイクンには『くさむすび』は大ダメージの筈だがスイクンはダメージがあるのかと思えるぐらいにピンピンしていた。
「………」
スイクン達と真正面から殴り合えるポケモンがいるかと聞けば無言になるナオヤ。
この日の為に色々と想定して育成してきたムウマが全くと言って使い物にならない感じで目当てのエンテイと戦えるポケモンに心当たりはない。
「『いたみわけ』だ」
「え?」
「そのムウマに『いたみわけ』を覚えさせろ」
「『いたみわけ』を?アレは敵を倒せる技じゃないけど」
「スイクン達伝説のポケモンは硬くて強くて体力が多いの三拍子が揃ってやがる……そいつを真正面から倒せるポケモンがいないってなら『いたみわけ』だ。アレは自分の体力と相手の体力を合計して半分に割る……ノーダメージ状態のムウマでノーダメージ状態のエンテイに対して『いたみわけ』を使え。ムウマとエンテイの間にかなりのレベル差があるならエンテイの体力を半分以上削ることが出来る」
「そんな方法が……」
「ただし……それをする上ではこれ以上ムウマを育てるな」
「なっ、どうして」
「どうしてもこうしてもレベル差や種族としての能力差のおかげでムウマとエンテイの間には大きな体力の差があるんだ。それを活かしての『いたみわけ』だ。ムウマージに進化させたりレベルを上げたりすりゃ『いたみわけ』の利点が減っちまうだろう」
今のところ浮かんでいる方法は『いたみわけ』でエンテイの体力を多く削ることだ。
それをする上で大事なのは弱いムウマだ。弱いムウマだからこそ活かせるという利点がある。ムウマを鍛え上げればそれを殺す。
「クォオオオン!!」
「っ……来るわ!」
ムウマで対抗する方法を教えればスイクンが叫んだ。
それと同時に威圧感をセレナは感じ取り……エンテイが現れた。
「ゴォウ……」
「エンテイ……やっぱり僕のデータに間違いは無かった!いけ、ムウマ!」
「ムーマ!」
威圧感と同時に圧倒的なまでの存在感を放つエンテイは1歩ずつ近付いてくる。
前に出会った劇場版のエンテイは偽者だなとハッキリと分かる……この中で唯一対等なのはスイクンだけ。次点でオーガポンだ。
それほどまでにインパクトがあるエンテイを前にしてナオヤがどう出るのかと思えば……ムウマを出した。
「ムウマ『くろいまなざし』だ!」
「ムゥ」
ムウマは目から黒色の光線を放つ。
さっきと同じ展開だがどうするかと思っているとエンテイは動いた。
「ゴォウ!!」
『かえんほうしゃ』をムウマに対して放った。こりゃやべえなと思っているとムウマに直撃し……ムウマは一撃で戦闘不能になった。
この前のフスベジム戦で分かっていたことだが……伝説のポケモンはレベルが違いすぎる……オーガポンやウーラオスもそれぐらいのポテンシャルを秘めてんだから恐ろしい。
「くそ……」
「クォオン」
「グゥオオウ」
スイクンとエンテイは頭を合わせて……念話的なのをしている。
なにを会話しているのか?もしかして今度はエンテイやライコウが挑んでくるって言うならば勘弁願うぞ。
エンテイとスイクンは対話を終える。エンテイは颯爽とこの場から去っていった。
「クククッ……………どうする?お前の予測だけは正しかったぜ?」
何処に潜んでいるのか分からねえエンテイがハッキリと現れた。
ナオヤが次にここに現れるだろうと計算し予測した……それだけは見事に的中した。
「エンテイを見つけるってやつをお前は成し遂げた。それだけでお前は多くのトレーナーから1歩リードを奪った……どうする?」
「……決まっているだろう……諦めない……僕は……必ずエンテイをゲットしてみせる!!」
ナオヤは諦めない…………だが、エンテイは遥かに遠い。それを分かっていてもエンテイに挑む。
この諦めねえ心こそが大事……
「ヨギ……」
ヨーギラスの目から見てもナオヤとエンテイの間には大きな力の差があると分かった。
普通ならば諦めるところだが諦めない……この闘志を燃やしている。それが生きるって事だとヨーギラスの心に伝わった。