闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「ふ〜……………」
決勝戦を終えたので選手控室に戻った。サトシゲッコウガが相変わらず無双してくれているお陰でなんとか勝てた。
サトシゲッコウガ、メガリザードンY、スイクンの内の何れか1体でも欠けていたら負けていた。いや、カビゴン、エアームド、ゲンガーの3体も欠けていたら負けていた。サンダーとメガカメックスの種族値による暴力じゃない純粋な実力でシゲルはオレにくらいついてきた。
「サトシ!」
「セレナか」
「会って早々に抱きつくか……なんとか勝てたな」
「いや……ホントになんとかと言うかゲッコウガがな……本音を言えばメガリザードンYで決めようと思ってたんだがな」
フィールドを焼いてマグマ状態にしてそれを冷やさせる事で水蒸気を発生させる。
そうすることでカメックスに近付いて『ちきゅうなげ』でカメックスを倒そうと思っていたんだがメガカメックスだったので真ん中の部分の大砲から『みずのはどう』が撃たれた……それまでに『ソーラービーム』で一度ダメージを与えれたがシゲルのカメックスが予想以上にレベルが高くて余裕で耐えやがったから流石に危ないと感じた。
「向こうもお前に影響されてパワーアップしてるんだ……とは言えお前の成長速度の方がもっともっと速い……サトシゲッコウガならばチャンピオンのポケモンとも渡り合える……他はチャンピオンリーグ級だな」
「……となると、まだまだか……」
アランの見解が正しいのならば今のオレはチャンピオンリーグ常連ぐらいの強さだ。
地方リーグに出れば優勝は確実なレベルでチャンピオンと渡り合えるのはゲッコウガぐらいだと言われている。
未だに公式戦で一度も負けていないゲッコウガ、出し惜しみせずに使えば地方リーグならば圧倒することが出来るという事が分かったのはいいことだ。
「リザードン、スイクン、ゲッコウガは四天王以上の実力者と渡り合える。他のポケモンは一部を除いてチャンピオンリーグ出場者レベル……まだまだ頂上は遠いか」
「サトシ……今日はゆっくりと休みましょう……シゲルとの激闘はサトシが思っている以上に負担が掛かっているわ」
「……ああ、そうさせてもらう……アラン、お前の事だから手元にフーディンが居るんだろ?」
「勿論だ。出てこい、フーディン」
「ディン!」
「『テレポート』でセントラルのポケモンセンターに連れてってくれ」
アランがそう言うとフーディンは目を輝かせて『テレポート』を使う。
あっという間にセントラルのポケモンセンター前に連れてってもらったのでよかったと思いながらもポケモンセンターに入り、ポケモン達が入っているボールを取り出した。
「優勝おめでとうございます!貴方のポケモンをしっかりと回復させるわね!」
「ええ……皆、激闘を繰り広げたので疲れていますからしっかりと休ませてください」
ジョーイさんにポケモンを預ける。
分かりましたとジョーイさんはポケモン達が入ったモンスターボールを専用の籠に乗せて治療しに向かった。
「おぉ、やっぱりこっちに来ておったか」
「あ、オーキド博士……どうでした?」
「うむ!どちらも見事なまでのバトルじゃった!一進一退の攻防を繰り広げ見事の一言じゃ!」
とりあえずはとポケモンの回復を待っている間に自販機でジュースを購入しているとオーキド博士とママさんが現れる。
オーキド博士に試合はどうだったのかを聞いてみれば見事の一言で興奮をしている。見るものすら熱狂させるポケモンバトルだった。
「サトシ……V2チャンプだなんて、ホントに立派になって」
「……ここはオレにとっての通過点に過ぎない……」
「もう、意地張らないで……今日ぐらいは勝利を喜びなさいよ……」
奇跡のV2チャンプの称号を手に入れたとママさんがハンカチ片手に涙を拭っている。
父親や祖父も出来なかったことを平然と成し遂げているので立派なことだと褒めているがこの大会は地方リーグに過ぎない。
ここから地方リーグを勝ち抜いた猛者達が集うチャンピオンリーグに出場しなきゃならない。ポケモンワールドチャンピオンシップスみたいな裏技じゃなくて純粋な実力でてっぺんを目指さなきゃならねえんだ。
「そういえば……シゲルは?」
「ほっとけ……いや、放置してやれ……」
「1,2フィニッシュなのよ?」
「だからだよ」
優勝したのだと喜んでいるとそういえばシゲルが見当たらないなとセレナが気付く。
ほっとけと、いや、放置してやれと言ってやればセレナが1,2フィニッシュで優勝したことを喜ばしいことなのにどうしてとなる。
どういうことか意味が分かっていないがオーキド博士は意味が分かっている。
「シゲルは全てを賭けてお前さんに挑んだ……じゃが、悔いもあるだろう。あの時ああしてればよかったのだと……」
「セキエイ大会以来……いや、セキエイ大会よりもサトシは遥かにパワーアップしている。そんなサトシを真っ向から受けて立つで勝負し負けたんだ……………悔しいとしか言えないだろ」
シゲルはもう1人前のポケモントレーナーだ。
だから負けたことを引き摺らないようにする都合の良い頭をしていたりするだろうが、それでも今回は別だろう。
オレにだけは負けたくねえって強い意志があった。その上でシゲルは戦って戦って……最終的にはオレに負けてしまった。
負けを受け入れることが出来ない二流じゃない。半人前じゃない……ただし受け入れるのに物凄く時間がかかってしまう。アランもその事を察しており今は1人にしてやれとだけ言っておく。
「クククッ…………………優勝か……2回目だが悪くねえ気分だ」
そんなこんなで半日が過ぎた。日も沈んでいく中でジョウトリーグ・シロガネ大会の閉会式が行われる。
手元にポケモンは居ないがポケモン達は全てジョーイさんに預けている。特にスイクンとカビゴンがダメージを蓄積しているらしく決勝戦だからこそあんな戦いが出来たが普段のバトルで耐久戦をするのは止めなさいとハッキリと言われた。
「いやはや、V2チャンプとは堪らんのう」
「やる以上は勝つ……高いとかレベルが違うとかそういう事を言い訳にしない……やるかやらないかです」
トロフィーの授与でタマランゼ会長からジョウトリーグ・シロガネ大会の優勝トロフィーを受け取る。
金色のトロフィー、2位のシゲルは銀色のトロフィー、3位のシンジは銅のトロフィーを受け取った。シンジは銅のトロフィーを見ている。いや、睨みつけているのが正しいんだろう。優勝する為に大会に出たのに3位なのは屈辱的としか言えないだろう。
「一日待機か」
「おい」
「ん?」
スイクンが思いの外、重症だった。
丸一日掛かるからと言われてしまったので丸一日シロガネ大会の会場で足止めをくらわないといけない。
一日待機、シゲルに勝つにはそれぐらいの代償を支払わないといけねえのかと突如出来た暇な時間をどうするかと思っているとシンジが声をかけてきた。
「どうした?」
「……お前は次は何処の地方のリーグに挑むつもりだ?」
「んだよ、まだチャンピオンリーグ前だぞ。縁起の悪い話すんじゃねえよ」
「いいから答えろ!お前は次は何処の地方のリーグに挑むつもりだ!」
「クククッ……まぁ、順番通りに行けばホウエン地方だ……ただし……」
「ただし?」
「今のお前が仮にオレと被るタイミングでホウエン地方に行っても意味は無い……今回みたいに普通に負けちまう」
「…………」
「嘘だと思うならカントー地方のリーグに出ればいい。そこで優勝してチャンピオンリーグの出場権を勝ち取れば嫌でもオレと顔を合わせる……もっとも今のお前じゃ地方リーグ上位入賞が限度だ」
「っ……………覚えておけよ……」
「ああ……それで勝ち残れなかったら次はシンオウ地方に挑め。ホウエンを終えたら次はシンオウ地方に挑む予定だ……そこでもう一度バチバチにやってやる」
心の何処かで今の自分はオレに勝つことが出来ないのだとシンジは認めている部分がある。
だからかあっさりと引いてくる……シンジに次に会うことが出来るのはシンオウ地方だろうが……まだシンジはオレには届かないな。
「なんだ宣戦布告されてたのか」
「クククッ……オレの事をライバル視してるみてえだ……と言っても……まだ足りないが……」
「シンジか…………アイツじゃ多分何度やってもお前には勝てないな……徐々に徐々にお前との間に生まれる溝が大きくなっていってる。今回の大会だってそうだ。お前は1番のベストメンバーで挑まないどころかかなりの余裕を残しての勝利だった……」
「アイツで勝てないなら誰が居るってんだ?」
シンジはカントーのポケモンリーグに挑むと決意を新たにすればシロガネ大会の会場を去っていった。
実家にトロフィーを送る手続きをしていた……あんな感じでも3位なので見る人が見れば誇らしいものなんだろう。
アランはその様子を見ていたみたいなので宣戦布告された事を伝えるがアランはシンジじゃオレには届かないのだと言い切る。
「お前の背後に近付く事はアイツなら可能だ、だが背後から刺したり追い抜いたりは出来ない……1歩どうしても足りない。そこを埋める方法を俺は知ってるがな」
「なんだよ、結局のところお前の自慢話じゃねえか」
「いやいや、自慢じゃないってば」
アランが1番の強敵じゃねえのかと思いつつも日を跨ぐ。
ジョウトリーグ・シロガネ大会は完全に閉幕した。一気に人が帰ろうとしておりオーキド博士やママさんも帰っておりオレとシゲルは残っていた。シゲルはサンダーとカメックスのダメージが大きいみたいだ。
「それで……お前はどうすんだ?」
「……僕は……ポケモン研究家になりたいって思っている」
「ポケモン研究家か……3世の威光は翳すなよ」
「そんなバカな真似はしないさ……サンダーをゲットしてから色々と考えていたんだ。ポケモンは実に不思議な生き物だなって……気付けば色々とのめり込んでいる自分が居た」
「そうか……………じゃあ、お前との勝負はコレで終わりか?」
「いいや、終わりじゃない!僕はアランの様に戦うポケモン博士を目指す!少しの間、君との戦いはお預け……アランに弟子入り出来ないか」
「俺はポケモン博士の助手だってば」
シゲルが今後の進路について語る。
ポケモンについてもっともっと知りたいという思いがあり、ポケモン研究家を目指したいという。
それじゃあオレとの勝負は終わりなのかを聞けばアランの様に戦えるポケモン研究家を目指したいといえばアランが現れる。
「俺はカロス地方のプラターヌ博士の助手だ……今はメガシンカに必要なポケモンのゲットやメガストーン発掘に忙しい……お前はポケモンのなにを研究したいんだ?」
「え?」
「一口にポケモン研究って言っても色々とある。メガシンカ、技、ダイマックス、進化、テラスタル、タマゴ……オーキド博士の研究テーマは人とポケモンの共存……俺の研究テーマはポケモンバトル学だ。ポケモンバトルに関する知識なんかが求められるのは勿論、自分自身もポケモンバトルに強くならなきゃならない……研究者をやりながらポケモントレーナーの二刀流は結構キツいぞ」
夢と現実は違うんだとキッパリと言い切るアラン。
見えないところで苦労はしているんだな。
「僕は……ポケモンの起源について知りたい……ポケモンの伝承や民話、伝説なんかを研究してみたいな……」
「となると……………………研究者として1人前になったって思うならば最果ての孤島に向かえ」
「最果ての孤島?」
「そこにはあらゆるポケモンの起源でもあるミュウが住んでいて最果ての孤島自体があらゆるポケモンの故郷の様な土地だ……そこでならば、ミュウをゲットすることが出来たのなら最果ての孤島の土を手に入れる事が出来たのならポケモンの起源を知る研究は捗るだろう」
アランが珍しく研究者として真面目にシゲルにアドバイスを送っている。
伝承や民話を学びたいのならば人とポケモンが根付いて共存している土地、アローラ地方に向かえばいいのだとシゲルはアランにククイ博士とオーキド博士(アローラのすがた)を紹介しておく……意外としっかりとしているんだな。
「アランは最果ての孤島に行かないのか?」
「俺の研究テーマはポケモンバトル学だからな……伝承とかリージョンフォームとかは興味無い……今回の大会では面白いものが見れた。エレキブルが雨雲の天然の『かみなり』を落としてセルフで『でんきエンジン』を使ったり『ほのおのパンチ』状態を維持して『はらだいこ』を使って無理矢理『こんじょう』を発動したり……この世界のポケモンバトルは奥が深い」
研究者として1人前になれば最果ての孤島に行けばいいと普通にいいことを言ってくるアラン。
アラン自身は最果ての孤島に行かないのかと聞いてみればアランはポケモンバトル学が研究テーマなのでポケモンの起源は興味無い。
「ポケモンバトル学が研究テーマならそれは……何時かは誰かに教えるのか?」
「……まぁ、そうなるんじゃないのか……誰かを弟子に取る……ポケモンバトル学を教え込む……」
アランは誰かを弟子に取ると考えたのだがピンと来てねえみたいだ。
ポケモンバトル学が研究テーマならポケモンバトルの道を歩もうとしているトレーナーにポケモンバトル学を授けるのが普通だろう。
追究するだけじゃなくてその成果を発揮する事が出来なければ全くと言って意味の無い金食い虫の研究だからな。