闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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史上最強じゃないペリッパー

 

「くそ〜……どうなってんだ!?ジョーイさん!お願いします!」

 

「あらあら、大変ね。でも、大丈夫よ」

 

カナズミシティがもうすぐだと言うところでポケモンセンターで一休みをしていると急患が運び込まれた。

ジョーイさんは手馴れた様子でラッキーに担架を運んできてもらいトレーナーのポケモンを預かった。

 

「今の人、ポケモンバトルに負けたかも」

 

「負けたんだろうな……まぁ、トレーナーとして修行してればああいう時もあるぞ」

 

ポケモンバトルに負けて急患だとポケモンを運び込む、この世界じゃ極々普通の光景だった。

ハルカは見るのははじめてだったりするわけで大丈夫かなと心配をしてるのだがポケモントレーナーやってたらああいう時もある。

いちいち気にしていたらキリがねえしと思っているとポケモンセンターでお馴染みのテンテケテケテンと音が鳴りラッキーがモンスターボールを運んできてくれた。

 

「カナズミシティまでもう少しだ……」

 

「うん…………勝てるかな?」

 

「萎縮してんのか?」

 

「だって、皆、パパみたいに強いんでしょ?」

 

ポケモン達を受け取ったのでさっさとカナズミシティに行くかとなるのだがハルカは自信が無い。

初心者にありがちな負けを引きずってスランプに陥るアレに近い感じだ……ハルカはちゃんと強くなっているのだが1回センリさんに負けたという事実があるからなんとも言えねえ。

 

「じゃあ、思いきってバトルを挑みに行きましょう!」

 

「……え?」

 

「さっき運ばれた急患のポケモンなんだけど、非公認のジムのポケモンに負けたみたいなの。とんでもなく強いみたいだからそこで今の自分がどれだけなのかを確かめてみましょう!」

 

「とんでもなく強いって……うん……ここで逃げたらパパとの約束を守れないわ!行ってみるわ!!」

 

セレナが面白い情報を手に入れたと、さっきの急患のポケモンをボコった奴について教えてくれる。

とんでもなく強いと言われて思わず引いてしまうハルカだがここで引いては意味が無いのだとバトルをすることを決意した。

決意したのならばさっさと行くかとセレナの案内のもとバトルフィールドがある場所に向かった。

 

「すみませーん!」

 

「元気ですか!!」

 

「……なんか、アノキさんに似てるわね」

 

「元気があれば勝利は可能!君達は挑戦者か!!」

 

ここに滅茶苦茶強いポケモントレーナーが居るのだと言うので来てみればアントニオ猪木に似ている男が出てきた。

アノキに似ていることをセレナは言うのだがそこは気にしちゃいけねえことだと挑戦者かどうか聞いてくるのでハルカが挑戦に来たと言う。

 

「君の使用するポケモンは何体でもいい!シングルバトルだ!」

 

「随分な自信ね……やっぱり、最強を名乗るだけの事はあるのかしら」

 

「見せてやろう!コレこそが最強のポケモン、ペリッパーだ!」

 

「……え、ペリッパー?」

 

ハルカがポケモンバトルを挑むのでベンチに腰掛けて試合を見物する。

最強を名乗るだけの事はあってか自信満々のアノキ、じゃなかったアントニー。出したポケモンはペリッパーだった。

最強を名乗るだけの事はあるなと思わせるようなポケモンが出てくるかと思えば真逆、強いと言うイメージが無いポケモンが出てきたのでセレナはキョトンとする。

 

「サトシ……ペリッパーって強いの?」

 

「あ〜…………特性が『あめふらし』のペリッパーは恐ろしく強いぞ。ただ『あめふらし』じゃないペリッパーは微妙だ」

 

ポケモン図鑑を取り出してペリッパーのデータを確認するセレナ。

なにか特別な技を覚えてるとかそんなんじゃないのでセレナがペリッパーが強いかどうかを聞いてくるので『あめふらし』個体は強いとだけ言っておく……『ぼうふう』を確定で当てれるの強いし『とんぼがえり』で後続の『あめ』状態で得意なバトルが出来るポケモンに繋げることが出来るしペリッパーでなんかの大会優勝したりした構築は見た覚えはある……ただし

 

「あのペリッパー『あめふらし』個体じゃねえな」

 

『あめふらし』個体じゃない……コレがかなり重要な部分だ。

なにせ同タイプでギャラドスがいるし『あめふらし』もニョロトノが居る……だから『あめふらし』個体じゃないとペリッパーは使い物にならねえ。フィールドをペリッパーは飛んでいるが『あめ』状態になってない。

 

「ペリッパーは『みず』と『ひこう』タイプのポケモン………………………………キノココ、お願い!」

 

「キノォ!」

 

ハルカもポケモン図鑑を取り出してペリッパーのデータを確認する。

相性で有利を取れる『でんき』タイプのポケモンや『でんき』タイプの技を覚えているポケモンが居ないので次のジムに備えて集中的に鍛えたいのかキノココを選出する。

 

「いくわよ、先ずは『タネマシンガン』」

 

「キノォ!」

 

「ペリッパー、避けろ!」

 

そんなこんなでバトルが開幕、ハルカは覚えさせたばかりの『タネマシンガン』を使わせる。

キノココは『タネマシンガン』を連発するのでペリッパーは空を飛んで回避をするのだが…………オレとセレナは考える。

 

「う〜ん……シロガネ大会やセキエイ大会の出場者の方が強い気もするのだけど」

 

「アレだろ、地元じゃ負け知らずだから最強とか言ってるんだろ」

 

伊達に長い間オレと一緒に居たのでセレナの審美眼はそれなりに確かなものだ。

シロガネ大会やセキエイ大会に出ていたトレーナーの方が強かった、ハルカのキノココを相手にしている感じ地元じゃ負け知らずだから最強と名乗っているのだと2人で納得をしている……が、次の手でその考えは払拭される。

 

「ペリッパー、『かえんほうしゃ』だ!」

 

「……え!?」

 

「クククッ…………随分とくだらない真似をするんだな……」

 

『かえんほうしゃ』をペリッパーは放った。

同じタイプのギャラドスが『かえんほうしゃ』を撃てるので違和感が無い……なんて言えば嘘になる。

突然の予想外の『かえんほうしゃ』を受けたキノココは一撃で戦闘不能になった。

 

「キノココ!?」

 

「さぁ、2体目はなにかな?なんでも掛かってきなさい!」

 

「戻って……次はこの子よ!ヨマワル!」

 

「ヨマ!!」

 

キノココがあっさりと負けたことを受け入れるがハルカはなんの疑問も抱かない。

ペリッパーを図鑑で確認した筈なのに『かえんほうしゃ』を撃ってきた、セレナが横でペリッパーは『かえんほうしゃ』を覚えるのかどうかの確認を行っているが当然引っかからない。

 

「ヨマワル『おにび』よ!」

 

「ペリッパー『かえんほうしゃ』だ!」

 

「あのペリッパー……特別な個体なの?」

 

本来は覚えない技を極稀に覚えているという一例がある。

オレのリザードンの『でんこうせっか』やサトシくんのピカチュウが遺伝じゃないと覚えれない『ボルテッカー』とか。

セレナが特別な個体なのか気にしつつもバトルは続く……カラクリは読めているが、イカサマをイカサマだと言って現行犯で逮捕するのは面白くねえ。

 

「ヨマワル『ナイトヘッド』よ!」

 

「ペリッパー『つるのムチ』だ」

 

「こ、今度は『つるのムチ』……どうなってるの!?」

 

目から『ナイトヘッド』を放つヨマワル。

ペリッパーはそれを回避すれば口から『つるのムチ』を出すのでどうなっているのかセレナが困惑をしている。

ヨマワルは『つるのムチ』に掴まれ……叩きつけられて戦闘不能になった。

 

「戻って……だったらこの子よ!ラルトス、頼んだわ!」

 

「ラル……」

 

「ハーッハッハッハ!なにで挑んでもこのペリッパーに勝つことは出来ないぞ!」

 

「この世に最強はあっても無敵や無敗なポケモンなんて居ないわ!ラルトス『ねんりき』よ!」

 

「ペルっ!?」

 

「まだまだ!ペリッパー『かみなり』だ!」

 

『ねんりき』を使ってペリッパーの動きを封じた……筈なのだがペリッパーは口から『かみなり』を吐いた。

『ねんりき』を使うことに集中しているラルトスに命中しラルトスは戦闘不能になる……それを見ればションボリとハルカは落ち込む。

ペリッパーを相手に手も足も出ない……自信が落ち込んでいくのは当然だ……だが……もう答えは見えている。

 

「ハルカ、アチャモを使うんだ」

 

「でも……ペリッパーは『みず』タイプのポケモンだから」

 

「クククッ…………あのペリッパーにはアチャモが一番の有効打だ」

 

「で、でも」

 

「いいから騙されたと思ってアチャモでバトルしてみろよ」

 

「う、うん……いけ、アチャモ!」

 

「チャモ!」

 

ペリッパーを相手に落ち込んでいるハルカ。

アチャモでも勝つことが出来ないと思い込んでいるみたいだが、逆だ……アチャモだからこそ勝つことが出来る。

アチャモがボールから出ればやれやれと言った感じのアントニーだが……ヤバいのはハルカじゃなくてアントニーの方だ。

 

「アチャモ『ひのこ』よ!」

 

「ペリッパー、避けるんだ!」

 

「やっぱり空を飛べる分、機動力が……………でも…………なにかしら?」

 

「違和感を感じるんだろう…………まぁ、結論だけ言ってあの男はイカサマしている」

 

「……やっぱり?」

 

「ああ……やっぱりって事は疑問視してたか」

 

「うん……『つるのムチ』と『かみなり』と『かえんほうしゃ』の3つを覚えるポケモンなんて居ないはずよ……なにか裏があるんじゃないかって……でも、今のところは裏が見えないのよね……」

 

本来は覚えない技を使っていることにセレナも疑問を抱いていた。

イカサマをしているのだと言えばやっぱりかとなっているのでセレナがイカサマを指摘しようと立ち上がろうとするのだが静止する。

 

「このままじゃハルカが」

 

「なぁ、に、見てれば分かるさ」

 

イカサマをしているペリッパーを相手にするのは危険だしハルカのメンタルに関わってくる問題だ。

今直ぐにポケモンバトルをやめさせないとハルカの自信とかに関わってくる問題だが逆……ピンチなのはアントニーだ。

 

「ペリッパー『つるのムチ』だ!」

 

「アチャモ『ひのこ』で防いで!」

 

「だったら『かみなり』だ!」

 

「『ニトロチャージ』で避けて!」

 

アチャモは『ほのお』タイプのポケモンなので当然『かえんほうしゃ』は除外、『つるのムチ』で攻めようとすれば『ひのこ』で燃やされる。ならば『かみなり』だと口から『かみなり』を放つのだが『ニトロチャージ』を使って回避する。

ハルカもこの頃になれば妙な違和感を感じる……セレナも違和感を感じ取った。

 

「なんで『みず』タイプの技で攻めないの?」

 

アチャモに対してこうかばつぐんな『みず』タイプの技をペリッパーは一向に撃ってこようとしない。

ペリッパーに進化しているのならば『みずでっぽう』の1つでも覚えている筈だが撃ってくる気配は無い。

 

「……そういえば……3つとも全部口から出てたわね。ハルカ!どうにかしてペリッパーの口に攻撃するのよ!」

 

「ペリッパー『つばさでうつ』だ!」

 

「チャンスかも!アチャモ『ニトロチャージ』で口に突撃よ!」

 

「チャアモ!!」

 

ペリッパーが一向に『みず』タイプの技で攻撃をしようとせずにいると『つばさでうつ』を使ってきた。

最初は余裕を見せていたアントニーだったが段々と自信が無くなってきているみたいで焦りを見せ始めている。

『つばさでうつ』で攻めてきたのがその証拠だろうと素早さが増しているアチャモはペリッパーの口に激突すれば……口の中がモゴモゴと動いた。

 

「もしかして」

 

「お前の読み通りだ……だが、言うな……もう既に術中に嵌まっている」

 

口がモゴモゴと動いているのを見てセレナが口の中で何かしているのだと見抜く。

イカサマを指摘しても今の段階だとモンスターボールに戻されて逃される可能性がある……だから言わないでおく。

セレナはでもと言おうとするがもう既に術中に嵌まっている。

 

「っく……ペリッパー『みずでっぽう』だ!」

 

「クククッ……ショボい考えだ」

 

「ブビィ!?」

 

「リリリ!?」

 

「ツボォ!?」

 

どうしてもアチャモが倒すことが出来ない……『あめふらし』のペリッパーじゃなくてもアチャモぐらいなら倒すことは可能だ。

だが、その手を何故か使わない……あまりにも滑稽な姿で徐々に追い詰められていったアントニーは遂にペリッパーに『みずでっぽう』を指示すれば口の中からブビィ、コイル、マダツボミ、後は未開封の数個のモンスターボールが出てきた。

 

「し、しまった!?」

 

「バカかお前?」

 

「覚えない技を覚えてるからおかしいって思ってたら……口の中にポケモンを隠してたのね!!こんなの反則かも!!」

 

アントニーがやっていたイカサマは至ってシンプルだ。

ペリッパーのデカい口の中に小柄なポケモンを入れてペリッパーの代わりに攻撃する……だから、自ら液体を飛ばす『みずでっぽう』が使えなかった。それを使えば最後、口の中に入れてあるモンスターボールやポケモン達を出してしまう。

 

「いや、違う。これはその……」

 

「クククッ…………コイツは公式戦じゃねえからなに言っても意味はねえよ。卑怯者、最低と野次を投げるぐらいしか出来ねえ……ハルカ、そんなアホな事をしている奴等にトドメをさせ」

 

「アチャモ『ひのこ』よ!」

 

「チャアアア、モッ!!」

 

「え!?」

 

「クククッ……『ひのこ』が『かえんほうしゃ』にパワーアップしたな……儲け物だな」

 

ズルをしていたのかと『ひのこ』で全てのポケモンを蹴散らそうとするのだがここに来てアチャモが『ひのこ』じゃなく『かえんほうしゃ』を覚えた。ブビィ、コイル、マダツボミ、ペリッパーの4体だけでなくアントニーまで焼かれてしまい真っ黒焦げになった。

 

「最強って聞いてたけどこんなのが最強って最低かも!!サトシやセレナの方がもっと強いわ!」

 

「も、申し訳ありませんでした!!」

 

「謝って済む問題じゃねえだろ……熱くもなければ三流ですらない、いけ、ラティアス」

 

「キューン」

 

「……ラ、ラティアス!?」

 

「『ミストボール』でモンスターボールを破壊してやれ」

 

バトルが終わったのでハルカはアントニーを批難する。

最低のバトルだったので謝ってくるのだが謝ったって仕方がねえことだとラティアスを出して未開封のモンスターボールを破壊した。

中からポケモンが出てくるのだがアントニーは落ち込んでいる。

 

「どうせお前みたいなタイプはもっと強いポケモンをゲットしなきゃならないって思ってんだろ……そんな考えをしてる上にイカサマをしてるんだ。とっととポケモン業界から足を洗っとけ…………今回はなぁなぁで済ませてやるが、コレが公式戦だったらお前はポケモン取扱免許を剥奪されていたぞ」

 

「そ、そんな……ペリッパーなんかでどうすればいいんだ……」

 

「それを考えるのがお前の仕事だろう……行くぞ」

 

オレはペリッパーをどうすればいいのかなどのアドバイスは1つも送らない。

不正されたとはいえハルカのポケモン達は傷ついていたのでポケモンセンターに戻ってポケモンを回復させる。

 

「……私、ちゃんと強くなってるのね……」

 

「ああ……1歩ずつだが前に進めている」

 

史上最強と言っていたが中身が最低のペリッパーを撃退した。

イカサマをして負けてしまったのだが、最後は純粋な力で勝つことが出来たのだとハルカに自信がついた。

序盤の方でイカサマをしているのは分かっていたがハルカの自信に繋げる踏み台になってくれたからその点だけは感謝だな。

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