闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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トレーナーズスクール カナズミジム

 

「いい眺めね……」

 

「そうか」

 

「サトシは見ないの?」

 

「気分が乗らねえ」

 

カナズミシティに辿り着いた。

カナズミジムに向かう前にカナズミタワーと言う街を一望できる塔を登った。セレナとハルカは高いところから見れる景色がいいと言うがオレは特にコレと言って心が動かされない。絶景なところを色々と巡ったから今更街を一望することが出来る場所に来たとしてもなんもテンションが上がらねえよ。

 

「もう、ムードが台無しかも」

 

「クククッ……今からなにしに行くのか忘れたわけじゃねえだろ?観光気分はここまでにしておきな」

 

「……うん……」

 

いい感じのムードを台無しにしているとハルカは呆れるのだが、今からなにしに行くのか……観光気分なのは間違いだ。

ハルカになにをしに来たのか意識を改めさせるとそうだったと気持ちを引き締め直した。

 

「ニョロ」

 

「アレは……ニョロモね……なんでこんな所に居るのかしら?」

 

「誰かのポケモンじゃねえのか?」

 

気を引き締め直してカナズミタワーを降りるかと思っているとニョロモを見かけた。

水辺に生息しているポケモンがここに生息しているのは珍しくなんでこんな所にとハルカが疑問を抱くので誰かのポケモンじゃないのかと考察する。ハルカが手を差し伸べるとすんなりとニョロモは受け入れる。

 

「あ!見つけた!」

 

「え……もしかしてこのニョロモ貴方達のニョロモ?ダメじゃない、自分のポケモンはしっかりとめんどうを見ないと」

 

「申し訳ありません、急に居なくなって……ニョロモ、怪我は無い?」

 

「ニョロ」

 

「よかった、トレーナーが見つかって……コレでカナズミジムに行くことが出来るわね」

 

「あら、カナズミジムに御用なのですか?」

 

「え?」

 

「クククッ……ジムリーダーの情報ぐらい事前に手に入れとけよ……あんたがジムリーダーだな」

 

引率のお姉さんがカナズミジム、ジムリーダーのツツジ。

まさかこんなところで会うことになるのは予想外で笑みを浮かべているとツツジが頷いた。

 

「はい、私がカナズミジム、ジムリーダーのツツジです……チャレンジャーですね……」

 

「はい!私とサトシがツツジさんに挑戦します!」

 

「では、ついてきてください……私はジムリーダーであると同時にトレーナーズスクールの講師を務めているのです」

 

「トレーナーズスクール?」

 

「ポケモントレーナーを育成する専門学校の事だ……ハルカはそういうのには通わなかったのか?」

 

「うん……普通に学校に通ってただけかも」

 

学校があるだけまだいいな。オレなんて通信教育だぞ。

ハルカはトレーナーズスクールと言われてもピンと来ていないのでツツジがよろしければとトレーナーズスクールを案内する。

バクフーンとオーダイルが攻撃し合っているバトル特化のコース、最近できたコーディネーターコース、基礎となる初心者コースがあるらしく初心者コースはポケモン取扱免許が無い10歳未満の子どもばかりでその子ども達にポケモンバトルを教えている。

 

『おぉ、サトシではないか』

 

「オーキド博士……なにやってるんですか?」

 

『なに、トレーナーズスクールの初心者コースの子達にレクチャーをな……ここに来ているという事は今からジム戦かの?』

 

「ええ……ハルカ」

 

「ええ……最初はグー!ジャンケンポン!!」

 

「……クククッ……今回は貰ったぜ」

 

『朗報を待っておるぞ』

 

初心者コース子供達にレクチャーしているオーキド博士。

メディア露出が多いが本業は出来ているのかと疑問を抱きながらもハルカとジャンケンをした。今回はオレが勝った。

よっしゃと小さくガッツポーズをした後にオーキド博士は期待していると言えば通話を切った……今、講義中じゃなかったっけ?

 

「これよりカナズミジム、ジム戦を行います!使用ポケモンは2体のシングルバトル!交代はチャレンジャーのみ可能です!」

 

「ゆけ、イシツブテ!」

 

「ラッシャイ」

 

「来たか。頼んだぞキモリ」

 

「キャモキャーモ!」

 

先ずは1体目だとイシツブテに対してキモリを出した。

それを見て成る程と笑みを浮かべるツツジ、セオリー通りにやって来たのだと考えているんだろう。

 

「結局、まだ未完成よね?」

 

「ええ……でも、サトシならきっとやってくれる筈よ!」

 

「キモリ『タネマシンガン』だ!」

 

「キャモ!」

 

「やはりセオリー通りで来ましたか。ですが対策は充分です!イシツブテ『ころがる』攻撃!」

 

「ラッシャイ!」

 

試合が開始するとキモリが『タネマシンガン』を吐いた。

セオリー通りで挑んできたのかと『タネマシンガン』を『ころがる』で弾く。

回転系の技は攻撃を防ぐ攻防一体の技だからかやっぱり強えが……予想通りの展開と言える。

 

「キモリ『くさむすび』だ」

 

「キャモ!」

 

「ラッシャ!?」

 

『ころがる』で攻撃してくるイシツブテはどんどん回転数を増していく。

『タネマシンガン』を今ぶつけても全くと言って効果が無いのは目に見えているのだと使う技を変える。

高速で転がっているイシツブテを地面から生えた草が絡みつきイシツブテの回転を強制的に止めた。突如として動きを止められた事に困惑をするイシツブテ

 

「キモリ『タネマシンガン』だ」

 

「キャモ!!」

 

ププププと連続で『タネマシンガン』を撃ってくるキモリ。

イシツブテは苦しそうな顔を浮かべているのだがまだ戦闘不能にはならない。伊達にジムリーダーのポケモンじゃねえなと思いながらも『タネマシンガン』で攻め続ける。

 

「イシツブテ『あなをほる』よ!」

 

「…………フィールドの岩の上に乗るんだ」

 

「キャモ」

 

「っ!」

 

「クククッ……コレぐらいは想定内なんだよ」

 

『タネマシンガン』を受けて大ダメージをくらったイシツブテ。

弾くことが出来ないと分かれば『あなをほる』で地面に潜った……次は穴から飛び出るのが『あなをほる』なのでキモリには岩のフィールドにある岩場に足を乗せてもらう。

 

「ツツジさん、どうして攻めてこないのかしら?」

 

「キモリが岩の上に乗ってるからよ……地面から一気に飛び出て相手に激突して突き飛ばすのが『あなをほる』よ。けれど、キモリは硬い岩の上に居るわ。その硬い岩の上は砕けるけども1手砕くのに使って遅れちゃうからキモリならば回避することが出来るのよ」

 

「成る程……キモリに攻撃したくても出来ないのね」

 

キモリが岩の上に乗ればどうして攻撃してこないのかを疑問に抱くハルカ。

セレナが説明をすれば成る程と納得がいくのだが……コレで終わりなのがジムリーダーじゃねえ。

 

「イシツブテ、頭上に『がんせきふうじ』よ!」

 

「キモリ、ジャンプして回避しろ!」

 

四方から岩が出現してキモリを挟もうとしてくる。

キモリは颯爽とジャンプしてそれを回避しては飛んできた岩の上に乗っている……ここで勝負を仕掛けるか。

 

「キモリ、地面に向かって『はたく』思いっきりやれ!」

 

「キャアモ!」

 

「ラッシャ!?」

 

「イシツブテ!?」

 

イシツブテがどの辺に潜んでいるのはツツジの言ってることから察した。

キモリの尻尾の『はたく』で地面を叩けば地面が割れてイシツブテが引きずり出された。

『マグニチュード』や『じしん』を使わずに『あなをほる』状態のポケモンを引き出す方法は知らなかったみたいで驚いているが手を緩めない。

 

「キモリ『タネマシンガン』だ」

 

「キャモ!」

 

空中に浮かんでいるイシツブテに向かって『タネマシンガン』を叩き込む。

幾ら物理攻撃に強いとは言え何度も何度も『タネマシンガン』をくらっては限界を迎えるのだとイシツブテは地面に倒れた。

 

「イシツブテ、戦闘不能!キモリの勝ち!」

 

「戻れ……まさか、キモリにあんな使い方があるだなんて、学ばせていただいたわ……次は私の番、いけ、ノズパス!」

 

「ノズ」

 

ツツジの2体目のポケモンはノズパス、さっきのイシツブテとは異なり『じめん』タイプを持ち合わせていないポケモンだ。

ここはどうするかと考える間もなくキモリはまだまだやれると枝を口に咥えているのでこのままキモリで続行だと試合を続行する。

 

「キモリ『こうそくいどう』だ」

 

「キャモ!」

 

「素早さで撹乱ですか……ですが、無駄ですよ!ノズパス『ロックオン』」

 

「…………キモリ『エナジーボール』だ!」

 

「キャモ!?……」

 

「出来るか出来ないかじゃねえよ……今ここでやらなきゃ意味がねえんだ」

 

ノズパスが『ロックオン』を使ってきたという事は次に来る技は大体の予想がつく。

その前にこっちもなにかしておかなきゃならねえと『エナジーボール』を撃つように言うのだがキモリはまだエナジーボールを完成させていないと驚いている。

 

「『タネマシンガン』の撃ち方はマスターしているだろ……『タネマシンガン』を撃たずにエネルギーのみを溜め込め!」

 

「キモ……キャアアアアモォ!!」

 

「嘘!?ここに来て成功したの!?」

 

「ポケモンの技について知り尽くしているのは見事です……ですが、『エナジーボール』で勝てるほどに甘くはありません!ノズパス『でんじほう』」

 

今ここでやるしかねえんだと『エナジーボール』を使わせる。

今まで何度か成功しているから出来ると思っていたのでキモリも出来た……が、コイツは偶然に出来た『エナジーボール』だ。

それについて見事だとツツジは褒めてくれるが『でんじほう』をぶつけられて相殺される……が、それでいい。

 

「キモリ『タネマシンガン』だ!」

 

「キャモ!」

 

『エナジーボール』は早々に撃てない。『タネマシンガン』を主体にして高速で移動しながら攻撃をする。

ここに来て『こうそくいどう』が生きていると『タネマシンガン』連射で的確にダメージを与えていくのだが決定打に欠ける。

キモリが使える技で有効打になるのは『タネマシンガン』だけだ。『エナジーボール』は確率として20%ぐらい……賭けてみるか

 

「キモリ、『こうそくいどう』で撹乱しろ」

 

「お忘れになったのですか?『ロックオン』」

 

「今だキモリ『エナジーボール』だ!!」

 

『こうそくいどう』で動いて撹乱をするキモリに対して『ロックオン』で狙いを定めてくるノズパス

その時が一番大きな隙を生むのだと『エナジーボール』を指示すれば……キモリは再び『エナジーボール』を放ちノズパスを戦闘不能にした。

 

「そんな……この感じからしてあの『エナジーボール』はまだ未完成……まさかここで完成を?」

 

「クククッ……ちげえよ。流石にまだそこまでだ……『エナジーボール』が完成しているかと聞かれればNOだ……だが使えないと言う訳じゃない。成功率はほんの2割だ」

 

「2割……そんな確率なのに『エナジーボール』を指示したのですか!?」

 

「そんな確率だからだよ。あんたのノズパスには『ロックオン』があり『でんじほう』もある。今のキモリが『でんじほう』を避ける以外でどうにかするには『エナジーボール』しか無いんだ。それと同時にノズパスに対して決定打を与えるのにも『タネマシンガン』じゃ限界がある。『エナジーボール』じゃないとダメだ……だったら最初から『エナジーボール』一択だろ?」

 

「貴方にはまだもう1体ポケモンを使用出来た筈です!キモリでノズパスに確かなダメージを残して2体目のポケモンに後を任せれば」

 

「クククッ……なに言ってんだ。確かにそれもありだ……だが、キモリはまだ戦うって言ったんだ。オレはキモリの意志を尊重してやった……キモリがノズパスに勝つには『エナジーボール』を当てる。それ以外に道は無い……だったらなんの迷いも要らねえんだ。『エナジーボール』を撃てなければ負ける……たった2割の成功率、当てるのに失敗すれば『でんじほう』が確定で当たる。そうなれば『まひ』状態になってキモリが使い物にならなくなる……そうなればキモリが負けて2体目のポケモンを出さなきゃならない。成功するかしないかなんて関係ねえよ『エナジーボール』が使えないなら負ける、ただそれだけだ」

 

「っ……」

 

「一か八かの博打、こっちにとってリターンは多いがハイリスクでもある……だが、その狂気の沙汰程面白いものはない」

 

『エナジーボール』に固執しなくてもなんて色々と意見があるが、キモリがノズパスに勝つには『エナジーボール』を当てるしかなかった。『くさむすび』でチャチなダメージを稼ぐなんて面白くもねえ。『エナジーボール』一択……確実に成功する保証は無いどころか失敗する可能性も大きい。キモリも『エナジーボール』を撃てたと思っているが違和感を感じている。まだ『エナジーボール』を完成したと言えるぐらいの威力に至っていないと心の何処かで気付いているんだろう。

 

「一か八かの賭けは戦っていれば何時かはぶち当たる……そういう時に確率だなんだ信じてたってしょうがねえ。そういう時こそ予想外の出来事が起きる……安牌に頼らない鬼策こそがポケモンバトルの醍醐味だ」

 

こういうのがあるからオレはバトルをやめられねえんだ。

ツツジは教科書には載っていないセオリーを無視した、いや、キモリで挑んでいるからセオリーを無視したは少し違うか。

こういう時はこうすればいいとマニュアルとは異なる答えを見せたので言葉を失っている。

 

「クククッ……ポケモンバトルはこういうもんだ……ハルカ、今度はお前の番だ」

 

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