魔法科高校の比企谷君   作:izanami

9 / 12

どうぞっす


やはり俺に昼休みは与えられない

 

「よう、比企谷、おはよう!」

 

 登校から会いたくない奴にあったにあった……

 電車を降りて学校までの一本道を歩いているとそんな声をかけられた。

 

 「お、おう」

 

 「なんだその返事は、朝飯は食ってきたのか?」

 

 「いや、朝からそんなテンションでいられるあんたの方がおかしいから……」

 

 こっちはあくびをしながら西条の奴に突っ込みを入れる千葉。

 苦笑いをする柴田に2人で話しこんでる司波兄妹。

 

 こいつらはなんで朝から一緒なんだろうか?

 いくら電車が同じだからって全員そろうって……

 それってなんてご都合主義?

 

 「おはよう、比企谷」

 

 「おう、お、おはよう?」

 

 司波の挨拶を何とか返す。

 なんで人という物は親しくないものと話すときに疑問形になるんだろうか?

 俺だけか?

 

 「達也くーん、比企谷くーん」

 

 「で、司波なんか用か?」

 

 「いや、特に何もないが……」

 

「あれ、もしかして聞こえてない?」

 

 いや、だってお前が今俺のことを観察するようにじっと見てただろ?

 ボッチは視線には敏感なんだよ……

 だからと言って何見てんだよ!とか口が裂けても言えない。

 精々できるのは見えないようなところへの戦略的撤退だけだ。

 

 「……で、会長。何か用ですか?」

 

 おい、司波

 そこは無視するところだろ……

 もう本当にメンドクサイことは嫌なんだよ……

 

 「ちょっと比企谷君流石にそこまで露骨に嫌な顔されると私も傷つくかも……」

 

 「え?ああ、はい。すみません」

 

 「何その反応!?」

 

 こっちのセリフだ。

 たかがこんなことにオーバーリアクションだろ……

 

 「比企谷って……」

 「なんだかすごいわね」

 「そうですね」

 

 西条、千葉そして柴田が見事な連携を決める。

 何がすごいんだよ……

 お前らが昨日学食で俺に対してやった内輪ノリトークのが凄かったよ……

 主に俺のおいてけぼり感が

 あ、それはいつも通りだったわ

 小学校の時3人で話してると思ったらいつの間にか2人で話してたもんな~

 俺を抜いた。

 ……中学生の時?

 そんなもん会話をすること自体が稀だったわ。

 

 「なんなのよ、もう。……深雪さんに話したいことがあるのでご一緒してもいいかしら、司波君?」

 

 「あ、じゃあ俺は先行くわ」

 

 司波にだけ確認を取ったということは俺は無関係だよな?

 変なことになる前にさっさと退散しますか……

 

 「いいえ、比企谷君にも話したいことがあります!」

 

 そんな語尾を荒らげなくても……

 

 「なんか怒ってます?」

 

 「いいえ、怒ってませんよ?私が怒っているように見えるというなら何かあなたに後ろめたいことでもあるんじゃあないですか?」

 

 め、メンドくせぇ。

 会長が面倒事を運んでくるもんだと思って先に登校してしまいたかったがまさかの会長自体がめんどくさかった……

 こういういじけ方するやつには謝っても「怒ってない!」って言って怒ってくるんだよ。

 ソースは小町

 3日間話さなかった……誰とも。

 中学時代、

 俺は小町以外と話すことはほとんどなかった。

 だから必然的に小町と話さないとなると俺の口の機能はなくなるのだ。

 

 「で、要件はなんですか……?」

 

 こういう相手に対しては謝らずにそのまま流した方がいい。

 自分で怒っていない宣言をしてしまったのだから相手は怒ることができないのだ。

 

 「……もういいです。じゃあ司波さんと比企谷君は昼休みに生徒会室に来て下さい」

 

 「またか……」

 

 俺の昼休みはどうしてこんなに簡単に潰れていくのだろうか……

 

 「分かりました。兄も一緒でよろしいでしょうか?」

 

 「ええ、皆さんもどうですか?」

 

 「え、えーっと」

 

 「うーん」

 

 「折角ですけど私たちは遠慮させていただきます」

 

 柴田と西条が悩んでいる中、千葉の奴が妙にはっきりとした様子で断った。

 …………き、気まずい

 

 「そうですか……」

 

 だが、会長の顔は崩れない。

 俺の言ったことに簡単にすねたのにこういう時は落ち着き払ってるんだな……

 精神が強いのか弱いのかわからんな。

 

 「では、3人ともお願いしますね。待ってますから」

 

 そう言って彼女は小走りで校舎の方に駆けて行った。

 結局俺は今日もベストプレイス探しはできないのか……

 

 「「はぁーーーーーー」」

 

 司波と溜息が重なる。

 きっとこいつも色々と苦労をしてるんだな……

 いや、知らんけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうしたんだ?真由美」

 

 そう言って話しかけてきたのは風紀委員長の渡辺摩利、私の親友と言っても差支えないだろう。

 

 「何が?何か私変かな?」

 

 「いや、ずいぶんと楽しそうだなと……」

 

 「ああ、いま知り合いにあって話してきたのよ……そうだ!摩利も昼休み生徒会室に来て。面白い後輩を紹介するわ」

 

 「ほう、なかなか気にいってるようだな」

 

 「へ?」

 

 「なんだ、気付いていなかったのか?その喜びようはお気に入りのお菓子をもらった時とほとんど同じ反応だぞ?」

 

 気に入ってる?

 私が?誰を?

 そこまで考えた時に私は急に恥ずかしくなった。

 今日もたくさん傷つけられたし、昨日だって生徒会室に来る時露骨に嫌な顔してたし……

 もうわざとやってるんじゃないかしら?

 そんな彼を私が気に入ってる?

 

 「摩利、冗談でもそういうこと言わないで……私はMじゃないわ!」

 

 気が付いていた時にはもう私は走り出していた。

 周りに摩利以外がいなかったのがせめてもの救いだろう

 私は後で気づいた。

 司波兄妹も誘っていたのだからそっちを気に入っていると思えばよかったことに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早くも昼休み

 

 って言うかあれだろ?

 働くときに働かないのが罪って言うなら休む時に休まないのも十分罪なんじゃないか?

 俺のつきたい仕事?専業主夫だよ!

 なんてことを思ったりしても結局生徒会室のは行かなければならなくて……

 

 4階の廊下の突き当たり……そこには生徒会室と刻まれたプレートがかけられていた。

 丁度司波兄妹がインターホンを押していたので便乗するために小走りで移動。

 きっと今日は昨日、一昨日と違ってちゃんと生徒会役員もそろっているだろう、だからその中で一人で入りたくはなかった。

 できればばれない様に後ろに隠れながら、もっとできればこのまま帰りたいまでである。

 

 「比企谷、お前も丁度来たのか……」

 

 「ああ」

 

 ちなみに司波深雪の方は授業が終わった瞬間に教室を出て行った。

 森里が昼食にでも誘おうとしていたのかがっかりしていた。

 

 「いらっしゃい、遠慮しないで入ってきて」

 

 ドアが開く瞬間に司波兄妹が何かに警戒をした様子だったが何に警戒をしていたのだろうか?

 

 「生徒会のみんなを紹介するわね……特別ゲストもいるから」

 

 一体何がそんなに楽しいのだろうか

 理解に苦しむ。

 それともいいとこのお嬢様は世渡りをするために愛想良くふるまうようにでも教わっているのだろうか?

 七草家は十師族の中でも1、2を争う名門である。

 社交界にもでるためそのような処世術を一通り学んでいてもおかしくない。

 まぁそんなことを今考えたって仕方がない。

 

 「はぁーーー」

 

 溜息を吐きながら俺は3度目の生徒会室に足を踏み入れたのだった。

 ちなみに入学してからまだ3日目だったりする。





疲れた~
明日は投稿しない!
むしろ学校への登校もしたくないレベル。

てなわけでちょっと1日休憩を……
明後日には次を出すんでご容赦ください。
(ちょっと鬼斬をやりたいんで……)
 
 感想意見お待ちしています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。