僕とモノクロとあとちょっと。《ポケットモンスター》 作:君鳥
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「本当に行ってしまうの? 朝陽…。」
『はい、短い間でしたがお世話になりました。』
そう言って私、朝陽は頭を下げた。
『アララギ博士のおかげでイッシュ地方の知識もバッチリですし、これで安心して出発できます!』
「そ、そう?なんか照れちゃうわね…」
この方はアララギ博士。イッシュ地方のポケモンを研究している有名人。
私がこの地方を冒険するにあたって、冒険の知識を一から教えてくれた。
そして何より、旅のキッカケとなった姉、明日香のことを教えてくれたのもこの人。
「じゃあ、お姉さんについて何か情報が入ったら連絡するわね。」
『はい!本当にありがとうございましたっ!』
姉が行方不明になったのは4年前。私が10歳の時だった。
ある日突然家からいなくなり、警察に捜索願いを出したが一向に見つからない日々が続いた。
誰もが諦め、唯一諦めなかった私でさえも折れかけていた。
しかし数週間前、「姉を見かけた」という情報が大勢の人から寄せられてきたのだ。その中の一人がアララギ博士。話を聞くと、「イッシュ地方のリュウラセンの塔付近で姉によく似た人物を見かけた」というものだった。
もう話すことすらできないと思っていた姉に会えるかもしれないと考えると、いてもたってもいられなくなり、こうして遥か北方のシンオウ地方からやってきたのである。
アララギ博士が気を遣って、助手達に探させようかと言ってくれたが、それは断った。それは流石に申し訳ないし、なにより自分の足で姉を探したかったから。
まぁそんな訳で、こうやって私は今アララギ博士に再び頭を下げている。
『それじゃあ、行ってきます。』
「いつでも帰っておいでね。ケガだけはしないように。」
『大丈夫ですよ! 私一人じゃないですし。』
私は頭に乗っている(へばりついている)相棒を見た。
「うふふ、そうね。じゃあ、朝陽を頼んだわよ、隣斗。」
隣斗と呼ばれた目つきの悪いイーブイは、めんどくさそうに言った。
[しょうがねぇな…つってもお前には聞こえねぇだろうけど。]
『こら、隣斗っ!』
[だって本当だろ?]
『で、でもっ…』
その会話を見ていたアララギ博士は「どうかしたの?」と不思議そうに首をかしげている。
『いっ、いえ!なんでもないです… それじゃあ、そろそろ行きますね!』
「そう… じゃあ、ベストウィッシュ!よい旅を!」
そう言うとアララギ博士は手を振って見送ってくれた。
『また会いに来ますからー!』
[さて、行くか。]
そうして私達は、アララギ研究所をあとにした。
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