便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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言っても敵視点だと中々のクソゲーっぷりではある。


No.126『強襲と迎撃』

 プッシーキャッツ主催で行われたA組B組による対抗戦肝試し、これにはヴラドが始めは襲撃が分かっているならばプログラムを変えるべきではと進言。

 

 だが相澤とレイミィがだからこそプログラム通りに事を進めると伝え生徒には何も伝えずに肝試しを開始、その過程で補修組が相澤に連行されてしまったがこれはコラテラルダメージとかそういうのの類なので仕方がないことである。

 

 そして肝試しが始まって数分後、前回の最後の場面から話は始まる。彼女たち便利屋が貼ったのは【サーチ】のラグドールと【テレパス】のマンダレイを仁の〝個性〟で増やせるだけ増やし肝試しルート周辺に大量に配備。

 

 更に仁自身も増やしておき(ヴィラン)が出てきたと同時にこちらから襲撃できるようにしてあったという単純な話であり、だが向こうも奇襲を狙っていたからこそ彼女たちの策は狙い通りに刺さることになった。

 

「イレイザーヘッド、ヴラド、手筈通りに。便利屋各員、状況報告」

 

《こちら仁、ガスマスクをしてる(ヴィラン)をコピーが抑えた。今は気絶させて簀巻きにして置いてる》

 

《こちら被身子、(ヴィラン)の小隊ですかね? それを確認しました。ただ死柄木組は発見できてません》

 

「二人はそのままワープでノコノコとやってきた(ヴィラン)を無力化させて、圧紘はイレイザーヘッドと合流、血染と火伊那は死柄木達を見つけ出して」

 

 矢継ぎ早に指示を出しながら自身も行動を開始、彼女の今の段階での目的である今回の襲撃に混ざっているであろう荼毘もとい轟燈矢と接触する為に……

 

 一方、何も知らされていない生徒たちはと言うと肝試しの最中ではあったが急に騒がしくなった森にそれぞれが何かに気付き始めていた。明らかに肝試しの雰囲気ではないと、そして一度は明確な悪意に襲われたことがあったA組は勘付いた。

 

「なぁおい、オイラ嫌な予感がするんだが」

 

「この感じ……まさか、そんな」

 

 峰田の言葉に飯田がそんなわけ無いと否定の言葉を口にしようとした刹那、彼らの、否、この合宿に参加している全ての人間へ森に潜伏していたコピーのマンダレイによる【テレパス】が届く、その内容は聴き間違いだと思いたくなる内容を。

 

《こちらマンダレイ、(ヴィラン)集団の襲撃を確認! 現在は便利屋及びそのコピー集団にて対処中、生徒たちは周辺のコピーの指示に従い宿泊施設まで避難を!》

 

「おいおいおい、なんでだよ、万全を期した筈じゃなかったのかよ!!」

 

「皆落ち着いて! 虎、ピクシーボブ、警戒! ラグドールにも既にテレパスが言ってて向こうも大丈夫みたい!」

 

「思ったよりも(ヴィラン)の動きが鈍い、便利屋の策が嵌まったみたい」

 

「向こうも流石に数で押しつぶすような待ち構え方をされるとは思ってなかったということだろうな」

 

 完璧に秘匿していたはずのこの場所への(ヴィラン)の襲撃が発生したというのにプッシーキャッツの三人に焦りの様子はなく寧ろ想定通りだという反応とピクシーボブの言葉で出久が気付く。

 

 気付くと言うよりもたしかにそれなら普通にあり得るという話ではあるのだが。

 

「便利屋……? まさか、バートリーさんはこの状況を予測していた!?」

 

「何だって!? いや、だが確かに彼女ならばありえなくはないが……」

 

「したってどうして俺等に何も言わないかなぁ!?」

 

「多分、アイツのことだから無用な混乱を引き起こさないようにっていうのと急な襲撃の空気を覚えてほしいとかそんな感じだと思うぞ」

 

 言う、バートリーなら絶対に。峰田の叫びへの尾白の返答に全員がそう思った、寧ろなんで教えなくちゃいけないのよとか宣う、絶対にとすら。

 

 A組においてのレイミィという少女がどのような評価をされているのかよく分かる光景に若干場の空気が緩みかけるが緊急事態であることには違いなく、直ぐにマンダレイが飯田に全員を避難させるようにと指示。

 

 プロヒーローがそう指示するのならば大人しく指示に従おうと移動を始めようとするが出久だけはマンダレイが焦っていることに気付いていた。そしてその理由も彼には見当が付いている、ならば彼が動かない理由がなかった。

 

「……飯田くん、先に行ってて」

 

「緑谷くん!? 何を言ってる!?」

 

「緑谷!?」

 

 周りから見れば飯田の言葉が全てだろう、少なくとも単独で行動するべき場面ではない。マンダレイも当然、飯田と同じであり良いから直ぐに行ってと言おうとした口は次の言葉で閉じることになった。

 

「マンダレイ!! 僕、知ってます!!」

 

「っ!? いや、だったら場所を教え」

 

 此処で彼女は判断に迷いが生じた。出久が言った〝知ってます〟というのはこの場に居ない洸汰の事だというのは間違いない、彼がよく一人になるのは分かっていたが何処に居るのかまでは知らない。

 

 けれど生じた迷いを無理やり殺し、場所を聞き出そうとした時、彼女たちの前から地鳴りと振動、明らかに複数の足音と誰かの抵抗するような叫びとともに現れたのは

 

「脳無!?」

 

「ぐぬぬぬ!!! これだからパワーバカは嫌いなんですよ!!!」

 

「バートリー!?」

 

 一体の脳みそを曝け出した生物兵器の脳無とその一体に掴まれ投げ飛ばされる形で現れたレイミィの姿に飯田と尾白が驚く。彼女はこの場じゃなくて他に居ると聞いていたはずだと言うのにと。

 

 が、その疑問はすぐに解消された。起き上がった彼女だったのだが身体が溶け始めたと思えば被身子の姿に、そこで今のは彼女が〝個性〟で変身していた姿だと納得するが、割と呑気だと思ってしまったのだろう被身子が飯田達の姿を見るなり

 

「何やってるんですか、早く逃げてください!!!」

 

「っ!? す、直ぐに、皆! 早くこの場から離れよう!」

 

「だなって緑谷!?」

 

「ごめん、すぐに戻るから!!!」

 

 言うだけ言ってから出久はフルカウル25%を発動させて、洸汰が居るであろう彼の【ひみつきち】へと駆け出してしまい、それを見ていたマンダレイ達は止めようとするも脳無が攻撃を開始したことにより対処を余儀なくされ出来ない。

 

 被身子も同じであり、どうして唐突にそんな行動をと聞き出せば一人になってしまっている洸汰を保護しに行ったのかもしれないと言われれば彼女にしては珍しい渋い顔をしてから耳元の通信機に手を当てて

 

「こちら被身子、緑谷くんが洸汰くんを保護しに一人で行動しちゃいました! 私とプッシーキャッツは脳無と交戦しててすぐには追いかけられません!」

 

《なんだと!? ちっ、正義感だけで動くのは本当に師匠譲りなやつだ》

 

《洸汰ってことはあのひみつきちね。仕方がない、私がって爆豪!?》

 

 被身子の通信機から聞こえたのはレイミィの驚く声と爆音、間違いなく勝己のものだと彼女も気付くがどうしてとなり聞いてしまえば苛立った声で返事はすぐに来た。

 

《爆豪が緑谷を追いかけたわ、つかなんで分かるのよ。ああもう、便利屋各員、脳無は速攻で〝壊して〟場の安全を作り出すわよ》

 

「了解ですっと! ま、飯田くん達はこの場にはもう居ないんで始めからそのつもりでしたけどね!」

 

 殴りかかってくる脳無を最小限の動きで回避、そこから自分の腰よりも遥かに太い腕にヘビのように絡みつきながら伝って移動し慣れた手つきで露出している弱点でもある脳へスタンナイフを突き刺し全開で放電。

 

 辺りを何かが焦げるような音と脳無の叫び声が包み、そこでやっとプッシーキャッツは、その動きはあまりに殺しに慣れているようなものであり、これが便利屋としての彼らなのだと認識を改める。

 

 自分たちヒーローはたとえ脳無だろうと生け捕りが基本だが彼らは違うのだと。

 

「うげぇ、流石に脳みそ直接は気持ち悪い感触ですね……」

 

「情けも容赦もないね、君たち」

 

「そりゃ、敵ですし。それにレイミィちゃんも言ってましたけど、コイツラは兵器ですよ? 壊さないと止まらないなら壊すだけです」

 

 みんな、同じだから今頃は他の場所でやってると思いますよと笑う被身子に価値観の違いをはっきりと感じているが便利屋にとってはこの程度のことでという感情しか無い。

 

 例えば圧紘はレイミィからその指示が降り、相手を生け捕りにしなくてもいいとなった場合、彼が一番早く処理できるようになると全員が口を揃えて言うほどの手腕に変貌する。

 

「全くさ、俺ってもしかして敵連合から舐められてるのかな? 数だけ集めただけで勝てるとか思われるのはちょっとプライドが傷つくかなぁ」

 

「……」

 

 ズシンと崩れ落ちる数体の脳無、その全てに外傷らしい外傷はないのだが頭部には本来あるべき部分だけが綺麗にくり抜かれたかのように存在せず、彼の手の中には脳無の数と同じ圧縮した玉が握られている。つまりは脳みそだけをピンポイントに圧縮して〝壊した〟のである。

 

 脳無に襲撃されたと思ったら森から飛び出てきた圧紘が一瞬で無力化した。そうとした表現できないという表情をしている拳藤だったが直ぐに救われたということを理解してから

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いいよいいよ、それが俺達の仕事だからねっとあまり見ないほうが良いよ? とりあえずコピー達と宿泊施設まで避難してて、途中で誰かを見つけたら彼らに言ってくれれば大丈夫だからね」

 

 言うだけ言って彼はまた通信機からの報告を聞きながら行動を開始する。元々は相澤と合流するために動いていたのだがとつい寄り道をしてしまったと苦笑を浮かべながら。

 

 また場面を変えれば、ラグドールを守るようにコピーを展開する仁の姿もある。彼の場合は脳無を壊すには少し手間がかかるというのもあり護衛を作り出して数で攻めるという形を取っている。

 

「とりあえずお前のコピーも森の中に複数配置してるから囮になってる内に合流しちまおう。お嬢の言う通り、どうにも狙われてるっぽいからな」

 

「そうだね、その方が良いかも。ふぅ、ありがと貴方が居なかったら危なかったかも」

 

「礼ならお嬢に頼むっと! ナイスショット、火伊那!」

 

《油断すんなよ、お相手さん共は何が何でもラグドールを連れ去りたいらしいからな》

 

 スコープで周囲を警戒しつつ火伊那は死柄木達の居場所を探る。長年の経験と勘が告げている、確かにこの場に居ると同時に表立って動いていないことにも疑問を感じていた。

 

 黒霧は始めの奇襲だけ、赤霧に至っては気配すら感じない。後者に関しては気配を消してというのも考えられなくないのだがそうだとしたらラグドールと仁は既にやられている筈なのでそれはないと思っている。

 

 どういうことだと思うなというのが難しいだろう。現在、脳無を処理しつつ森の中を駆け回っている血染も同じことを思っている、まるでこれでは彼らを捨て駒にしているようだと。

 

(死柄木達からすれば切り捨てても痛くないってことか?)

 

《どうにも意図が見えねぇな。早いとこ見つけて首根っこを押さえた方が良いな、嫌な感じが強い》

 

「それは同意だ。だが何処に……いや、居たぞ」

 

 森の外れとも言える場所の拓けた空間、そこに赤霧、黒霧、青山夫妻保護作戦の最後に現れた大男と脳無が一体、そして死柄木の姿を目視、だがその様子は襲撃が失敗仕掛けているというのに何一つ慌てる様子もなく、寧ろあくびをするくらいには余裕な様子に血染は怪訝な表情を浮かべる。

 

 報告を聞いた火伊那も同じだったが直ぐに、だったら取り押さえて聞き出すだけだと通信機のチャンネルを変え、近くで待機しているはずの二人に通信を入れる。

 

《こちらホークアイ、ステインがターゲットを確認》

 

「スリーカウントで行くぞ。スリー、ツー、ワン、ゴー!!」

 

「赤霧、上空。マグネ、目の前、脳無、背後を対処」

 

 カウントと同時に死柄木達の前へと刀を構え飛び出し、一直線に死柄木へと向かう。それに合わせるかのように彼らの背後から白い影が、上空からも飛翔する物体が現れる。

 

 これに大男は驚愕する素振りを見せるのだが死柄木はこれでも慌てること無く淡々とした様子で静かに指示を出せば各々が即座に動き、そして

 

「なるほどね、こりゃお嬢様も勝てないわけだ……!」

 

「チッ、俺達の動きも読まれてたってわけか」

 

「あの嬢ちゃんに呼ばれてきてみたがこりゃ楽しめそうなやつじゃねぇか!」

 

 血染の刀はマグネと呼ばれた男の巨大な磁石に、上空から奇襲を仕掛けた【ホークス】の風切太刀は赤霧のレイミィと同じように【吸血姫】の力で作られた大剣に、最後に背後から飛び出した白い影こと【ミルコ】の踵落としはパワータイプの脳無の剛腕に阻まれる。

 

 完璧な奇襲に対してこれまた完璧に対処してきた死柄木達に三人の表情に緊張が走る。一筋縄では決して行かないがだからといって逃がすわけには行かない戦いが此処に始まろうとしていた。

 

「てめぇは何時だってそうだ、自分の命をなんとも思っちゃいねぇ」

 

「かっちゃん……?」

 

「一人で何でもしようとしやがって……あぁそうだよな、俺がそうなるようなことをしちまったんだもんな……!!」

 

それと同時刻、洸汰が居る【ひみつきち】では彼を襲おうとしていた(ヴィラン)であり洸汰の両親を殺めた【マスキュラー】を前に二人の少年が対峙していた。




大人数大規模戦闘とか描写しきれるわけ無いだろいい加減にしろ!!!(逆ギレ)

便利屋メモ
ミルコとは便利屋を始めてから知り合った仲。初対面は敵と間違わられての戦闘だったとか。
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