便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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燈矢のあれこれ解決編

後書きに再来週あたりについての報告があります。


No.129『ちょっとここで息抜きを』

「俺を? つか随分とデカく出てきたな、そんな簡単な問題じゃないだろこれ?」

 

 私の誘いを聞いた燈矢の第一声がこれだった。とはいえショックとかは感じないわ、私だって同じこと言われたら笑いながらそう言うでしょうし、圧紘なんかは当初は全く信頼してなかったらしいもの。

 

 けれど、貴方が荼毘と名乗っててくれたお陰でその辺りは楽勝なのよ、もし本名だったらちょっと面倒だったかもしれないけど、名乗ったことないんでしょ?。

 

「そりゃ本名は色々と面倒だし、エンデヴァーにすぐに存在がバレちまうからな。ずっと荼毘を使ってたな」

 

「……まさか」

 

 おっと、焦凍は気付いたようね。ま、私がやる悪巧みなんて毎度のように聞かされてるでしょうし、今回使う手段も半ば常套手段化してて、知らないわけじゃないから当然と言えば当然だと思うけど。

 

 勿体ぶることでもないし、時間もあまりないことだからと指を鳴らせば私の背後から音もなく現れたのは仁、とは言ってもコピーなんだけど。

 

「呼んだか、お嬢? ってあぁそういうことか」

 

「お前は……確か便利屋の人間だよな?」

 

「紹介するわって言っても知ってるかもだけど。彼は仁、ウチの課長で大体の問題を解決できる〝個性〟を持ってるわ」

 

「解決ってか、ゴリ押しってか。まぁいいか、計測するから少しの間動かないでくれよ」

 

 そう告げると目に装着しているモノクル型の計測器で計測してからメジャーで細かいところを調べ始める。そう言えば計測器も改良型が出来たとか言ってたわね、どちらにせよ今回の件が終わったらサポート科には顔を出すからその時に受け取ればいいわよね。

 

 計測はそこまで掛からずに完了、直ぐにお願いと言えば仁は慣れた手つきで〝個性〟を発動、彼の手から生み出されるもう一人の燈矢、いえ、この彼はこっちで呼ぶべきよねと魅了を発動させた瞳で向こうの目を見ながら告げる。

 

「こんばんは【荼毘】、早速だけど事情は分かってるわよね?」

 

「あぁ、こっからは俺が【荼毘】として動いて最後は自爆すりゃ良いんだろ?」

 

「……気持ちわりぃ光景だな」

 

 気持ちは分からなくもないわよ燈矢、私達なんかはもう慣れちゃってるけど。もう一人の自分がこうして生み出されて誰かの言いなりになってるってあまり良い気分じゃないものね。

 

 まぁ私達の場合はもう数出すだけ出してってのを日常的にやってるせいでその辺の感覚は麻痺してるんだけど。

 

「つまり俺もいずれは慣れなくちゃいけないってことか……それよりもコピーを使ってどうやって前科とかを問題なくするんだよ」

 

「簡単な話よ、コピーの彼がヒーローたち相手に暴れまわって最期は〝個性〟の暴走で焼失。これで(ヴィラン)としての荼毘は居なくなり貴方は今後は轟燈矢として生きるって話」

 

「いやいや、通るのかよそれ」

 

「通すのよこれを」

 

 ニッコリと笑みを浮かべながら伝えれば、まるで敵にしちゃいけないやつを見たかのような表情で私を見てくる。なにか言いたいのなら素直に言ってくれても良いのだけれど?

 

 大丈夫よ、別に怒ったりはしないし、と言うかどう思われてるかなんて大体予測できてるし。

 

「なぁ焦凍、もしかしてこの所長ってのは裏で国を牛耳ってる(ヴィラン)だったりしねぇか?」

 

「いや、そんな話は出てないから大丈夫だと思う。公安のヒーローとも仲が良いらしいし」

 

「それ絶対に仲が良いとかじゃなくて、握られちゃいけないのを握られてるから下手に出てるとかだろ」

 

「……」

 

 いや、分かるけど、と言うか何も間違ってないと言えば間違ってないから強く反論もできないけど、あまりにあんまりじゃないかしら?

 

 これでも貴方の諸々をどうにかしようとしてあげてるんだけど? 恩知らずだ何だって糾弾しても許されるでしょこれ。

 

「でもよお嬢、ジェントルたちの時も同じことして同じこと言われてるし普通の反応だと思うぞ」

 

「あ? え、なに似たようなこと何度もしてるってか?」

 

「何度もじゃないわよ、両手の指で足りる程度だわ、まだ」

 

「バートリー……あまり過ぎると俺もどうかと思うからな」

 

 なんとでも言うが良いわ、その一員に貴方もなるんだし。さてこれで荼毘としての話は解決として次は身体のことよね、実際のところどんな状態なのよ。

 

 見た感じだとこのままじゃ長くはない感じがするのは確かなんだけど。

 

「正直に言うと分かんねぇ。俺を治療した殻木って奴が言うには本来なら動き出してから一月しか保たないはずなのにってことらしいし」

 

「え、燈矢兄、だ、大丈夫なのかそれって」

 

「あまり良い状況じゃないってのは確かなようね。とりあえず再生治療を施した殻木からは情報と技術を全部流してもらって信頼できる病院で治療を続けてもらうって方針にするしかないか」

 

「あ? なんで殻木がお前たちに協力してるんだよ」

 

 心底驚いたという感じに声とセリフだけど、そう言えば殻木の状態は徹底して隠蔽してたから知らなくて当然かとザックリと説明をする。

 

 したら今度は距離を取られた、所謂ドン引きと言うやつだ。いい加減、私の泣きが入るんだけどいいかしらこれ。

 

「いや、ドン引きするなって方が無理だろ。さっきの俺のコピーにもだけど、なに、お前そういうのを平然とやっちゃう系なの?」

 

「やる相手はきちんと選んでるわよ。今回は殻木っていう救いようがない外道だけど技術は確かだったから魅了で引き込んで良いように使ってるだけだし」

 

「バートリー、俺に今後ヒーローとしてお前を捕まえるような事態になったら嫌だからな」

 

 割と本気の表情の焦凍の言葉に口元を引くつかせ、眉間に皺が寄って頭痛を感じたかのような幻覚すら覚えた。何かしらね、これ、彼の中じゃ私はそのうち凶悪な(ヴィラン)にでもなるような懸念でもあるのかしらね?

 

 失礼しちゃうわ、そんなヘマするわけないじゃないの。そもそもさっきも言ったけど、魅了を使っての下僕化は余程な(ヴィラン)とかじゃないとやらないし。

 

「それなら良いんだが」

 

「ま、ヒーローからすれば(ヴィラン)だろうと非人道的な事はどうだって話だろ?」

 

「確かにお嬢がやってることは人権ってのはガン無視だからな。マスコミなんかが知ったら非難轟々だわ」

 

 マスコミねぇ。確かにあいつらに知られた日には絶対に面倒なことがなるから困りものね。一応、気を付けているにいるけど絶対じゃないし、この作戦後は世間への露出も増えるからSNSにも警戒しなくちゃいけないのよね。

 

 そう考えると、その前に殻木を引き込めたのは丁度良かったかもしれない。お陰で燈矢の治療にも道標は出来てるわけだから、あぁそうだ。

 

「多分、治療となったら入院だったり通院だったりに暫くはなると思うけどその間も給料は全額支給だから安心して頂戴」

 

「治療費とかはどうすんだよ、まさか天引きか?」

 

「そこはエンデヴァーに全額払わせるに決まってるじゃない。あいつが悪いんだし」

 

「そりゃいい、なら出来る限りの最高のものを頼んで良いのか?」

 

「遠慮なんか要らないわ、ガッツリと治療をして完治させるわよ」

 

 なるほどエンデヴァーに関することだとこうして貴方とは意気投合できそうね。あいつなら燈矢に関することで渋ることなんて絶対にしないでしょうし、とは言っても轟家の家計が火の車になるレベルはするつもり無いけど。

 

「簡単にそうはなるとは思えないけどな。No.2なら困らないくらいに稼いでるだろうし」

 

「羨ましい限りよ。っとまぁこんな感じだけど、何か質問とかある?」

 

「特には。あぁ、いや、この後の俺の動きはどうすれば良い?」

 

「とりあえず、このコピーの仁と共にイレイザーヘッド達の所へと合流してもらうわ」

 

「了解っと。つかいきなりプロヒーローの前に出てきて大丈夫なんだろうな」

 

 貴方の心配は分かるけど、私だって何も考えてないわけじゃないけど、既に私が付けている通信機を介してイレイザーヘッド達の所にいるコピーに話は通してあるから問題ないわ。

 

 通信機越しに圧紘の苦笑とイレイザーヘッドが何か頭痛に苦しんでいるような声が聴こえるけどきっと気の所為だと思う。

 

「相澤先生……」

 

「クククッ、プロヒーローもこいつ相手には手玉に取られるってことか、こりゃ退屈せずに済みそうだ」

 

「毎日が騒がしいのはその通りだな。んじゃ、早速、動き始めるんだがお嬢はどうすんだ?」

 

 どうするも何もこうやって燈矢のコピーこと荼毘を手に入ったし敵連合はどうやら私を生きて連れ去るっていう目的があるらしいじゃない、だからそれを利用させてもらうわ。

 

 確認だけど、その私を生きて連れてこいっていうのは死柄木が言ってきたことなのかしら?

 

「あいつがって言うよりは、もっと上からの指令って感じだったな。つってもリーダーは乗る気じゃない感じだったけど」

 

「乗る気じゃない? ふぅん、そう。まぁどうでもいいわ、焦凍、悪いけど一つ芝居を打ってもらえないかしら?」

 

「芝居? あまり得意じゃないんだが」

 

 平気よ、そこまで難しいことを要求はしないから。と私は今後の自分の動きと焦凍たちにして欲しい芝居の内容を伝えていく、これが成功すれば一気に懐に潜り込むことが出来るかもしれない。

 

 もっと言えば、AFOの喉元に刃を突きつけることだって可能かもしれないと。まぁ本来でも似たような計画だったんだけど、これなら更に確実に詰めることが出来る。

 

「なんつーか、お嬢の計画はいつも敵を徹底的に嘲笑うかのような事するよな」

 

「性格ワリィって言うレベルじゃねぇだろこれ。はぁ、ここで俺は降りて正解だったなこりゃ」

 

「俺もバートリーが(ヴィラン)じゃなくてよかったって本気で思ってるよ、燈矢兄」

 

 揃いも揃ってなんで一々私は喧嘩を売られるような言葉を浴びせられなくちゃいけないのかしらねぇ!? はぁ、まぁいいわ、一々怒ってても疲れるだけだし。

 

 問題と言うか懸念点を上げるとすれば赤霧にバレないかってところよね。もしバレたら計画が崩れちゃうんだけど、燈矢、貴方から見て赤霧の様子はどうだったかしら?

 

「どうって言われてもな。顔見世の時にしか接触してねぇんだよ、その時も一言も話さなかったし」

 

「つまり私達の情報とかは何一つ喋らなかったってこと?」

 

「そうだな、便利屋についてとお前を生け捕りにってだけ。各々の〝個性〟とかはまるで聞かされてないな」

 

 まるで捨て駒、私がこう動くことは赤霧にだって分かることなのにどうして……? 或いは私がそう動くことを向こうも望んでいるってこと?

 

 駄目ね、今此処で考えてても時間を無駄にするだけだわ。だったらうごくしかない、か、よし。

 

「それじゃ各員行動開始、焦凍、頼んだわよ」

 

「分かったがバートリーも気をつけろよ」

 

「んじゃ行くぞ三人共、燈矢は特に逸れないでくれよ?」

 

「子供じゃねぇんだから大丈夫だっての。じゃあ、所長さん、死んで俺を無職にしないでくれよ?」

 

 それぞれからの言葉を背にして、現在も戦闘が続いている血染達のところ、事が上手く運んでくれればいいけどと思いつつ私は、コピー荼毘と共に行動を開始した。

 

__________________________________________

 

 時間はレイミィと分かれてから少しして、ヒーロー科の生徒たちが避難している宿泊施設。

 

 その更に前に洸汰を連れて戻ってきた出久と勝己が相澤に淡々と説教をされ、丁度開放されたというタイミングで焦凍達も到着したのだがその中にある燈矢を見て、まず圧紘が

 

「君が所長がスカウトした轟燈矢だね。俺は部長の迫圧紘、話は聞いてるよ、いやぁ苦労してたんだね」

 

「とりあえず、バートリーを信頼して何も言わないが。怪しい動き一つでもしたら容赦しないからそのつもりで」

 

「しないっての。とりあえず、一息付いていいか?」

 

 断りを入れてから適当な場所に座り込む燈矢、その姿に生徒たちは興味を示しながらも響香がレイミィの姿が見えないなと気付き、焦凍に聞けば

 

「あいつは……」

 

「え、何かあったの?」

 

「お嬢はアイツラの所に攫われた」

 

 攫われた、その一言に騒然となるヒーロー科の面々。彼女の実力を知ってるからこそまさかそんなとなるのだが、そこで先ずすぐに反応を示しそうな出久が静かだなとお茶子が気付く。

 

 その出久は何か考え込むような仕草を見せてから、まさかと呟く。その様子に何か分かったのかと聞けば

 

「いや、ここまで襲撃を想定してたバートリーさんが攫われたっていうのは違和感しかないっていうか」

 

「あのコウモリ女、それが目的だったんじゃねぇか?」

 

「目的? いや、そうか敵連合の本拠地が知りたい、だからこそ敢えてということか」

 

 お嬢、一瞬で全部見破られたんだがどうすりゃ良いかな。仁の夜空へと向けた一言に答えるものは誰も居ない、何だったら燈矢が駄目じゃねぇかとケラケラ笑っているだけである。

 

 そんな事になっているとはまるで思っていない、もしくは思っていてもだからどうしたと開き直りそうなレイミィは……

 

「はじめまして、と言うのはおかしいかもしれないけど許して頂戴、【オールフォーワン】」

 

「気にしなくてもいいよ、当時の君が僕を覚えているとは思えないからね、レイミィ・バートリー」

 

 吸血姫と悪の帝王。AFOは表情がわからないがそれでも互いに不敵な笑みを浮かべているというのがよく分かる笑い声を響かせながらテーブルを挟み対峙していた。




やっと、AFO戦が始まるんやなって……(始まるとは言ってない)

前書きにも書きましたが再来週と言うか2月の終わり辺りにパソコンの買い換え作業があり更新が一週間止まると思われますのでご了承ください。

流石にもう四年前のパソコンでモンハンワイルズはいやぁキツイっす
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