便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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なお、彼女自身の部屋の評価は棚に上げるものとする。


No.146『レイミィちゃんの部屋評価会』

 私がその場に居ても空気が死ぬだろうしと部屋に籠もって書類や収支の処理をしてたら耳郎達が来て、それから各々の自室を見に行こうって話になってその一発目で緑谷を選んだんだけど……

 

 唐突に逃げるくらいだし、なんか私の予想を超えてくれるんじゃないだろうかって期待したのに、お手本みたいなオールマイトオタク部屋でがっかりしたわ、えぇ。

 

「理不尽が過ぎる……!」

 

「やべぇ、なんかパンドラの箱を開けちまった気分になってきやがった」

 

「開けたお陰で俺たちも巻き込まれてるんだが」

 

 さぁて次は誰の部屋にって常闇は何処に行ったのかしら? さっきまでは居たわよね? 耳郎、知らない?

 

 え、すぐそこに居る? ってあら本当、なんで扉の前でカッコつけて黄昏てるのよ。

 

「ふん、くだらんと思っているだけだ。あと、カッコつけているわけじゃない」

 

「くだらないなんてツレナイわね。ところで部屋は駄目かしら?」

 

「……見ても面白くない」

 

 微妙に間を開けた答え、それをされて黙って引き下がると思っているのならば笑えてしまう話よ。寧ろ興味を引くと思わないのかしら?

 

 そもそも面白いかどうかは私が決めるのよ、主観での感想なんて何の価値もないわ。そう、退くつもりはないと、そうなの……

 

「男性陣、どかして」

 

「え?」

 

「彼を退かしなさい、聴こえなかったの?」

 

 それともなに、聞けないっての? まぁ良いけどその場合は次の部屋を楽しみにしておきなさいよあんたら。

 

「い、イエス、マム」

 

「裏切るのか貴様ら!!!」

 

「ハクジョーナヤツラダ!」

 

「許せ常闇、俺達も命は惜しいんだ……」

 

 命は別に取るつもり無いんだけど? ていうか久し振りにダークシャドウを見た気がするわね、元気だった? まぁ常闇が元気だから元気なんでしょうけど。

 

 さてと砂藤たちのお陰で常闇は扉の前から引き剥がされたし部屋にお邪魔しましょうか、何を見せてくれるのかしらって、これはこれは。

 

「黒!! 怖!!」

 

「貴様ら……」

 

「そうかしら、良いと思うんだけど私はってこれは、剣?」

 

 失礼と壁に壁にかかっている小さなそれを手に持つ、見てくれは剣、だけど本物な訳が無い。ナイフの類? とかも考えたけど切島の言葉でどうやらまるで違ったということが分かった。

 

「このキーホルダー、俺中学ん時に買ってたわ」

 

「キーホルダーなのこれ、ふぅん」

 

「え、見たことない? ほら、修学旅行とかのお土産屋とかにあっただろ?」

 

 修学旅行とか行ったことないから知らないけど、お土産の類なのこれ。あ、でも男の子とかは割りと剣とか好きっていうのは理解できるわ。

 

 それじゃこっちにある等身大に近い剣とかもそうってことなの? ってあぁ、はいはい、ごめんなさい。

 

「いや、学校行事に参加して事ないって聞いたことはあったけど修学旅行もだとは思ってなかっただけ、うん」

 

「そうだっけ? まぁあれよ、便利屋が軌道に乗ってないのに何日も離れることは出来なかったって話でしかないわ。おぉ、結構しっかりした作りなのね、この剣の模型」

 

「……気になるのならばどれか一つ持っていくか? 壁掛けの物だったら大丈夫だが」

 

「へ? いや、そこまでじゃないけど?」

 

 何故か残念がられた。確かに興味は惹かれてはいるけど欲しいかっていうほどじゃないのよね、ただこういうのもあるんだって話だけよ。

 

 まぁでも楽しい部屋ではあったわ、これくらい吹っ切れてる感じは見てて飽きないし、それじゃ次はどうしようかしら?

 

「ふふっ、なら次は僕の部屋はどうだい?」

 

「青山のか、想像は付きやすいけど自主的に言ってきたなら応えましょうか」

 

 ということで青山の部屋なんだけどこれまた眩しい、彼が言うには眩いが正しいんでしょうけど、常闇の部屋とは真逆でちょっと目が痛い。

 

 てかミラーボールを態々持ってきて設置するのは力が入りすぎでしょ。あと奥の西洋鎧の置物とかあれ絶対に安くはないでしょ、そんな気がする。

 

「アハハハハ! どうかなバートリーくん!」

 

「想像通りと言えば簡単だけど、流石にここまでとは思わなかったわ」

 

「うーん、でも想定の範疇は出ないってのが感想だね。次行こっか?」

 

 無慈悲に切り捨てたわね芦戸……この娘、割りとドライな時はドライになるのかしら? その辺りどうなのと青山の部屋から出てから切島に聞けば。

 

「いや、そこまでじゃねぇとは思うんだが、まぁ想定通り過ぎたってだけじゃねぇか?」

 

「でも結構楽しくなってきたな、あと2階で見てないのは……」

 

 どうしたのよ麗日と言いたいけど、理由は一つしかないし悟りまでもなく固まった原因も分かる。視線の先にあるのは自室の扉から顔を出して怪しい顔と雰囲気を醸し出している峰田の姿。

 

 ヒーローを志す人間の姿なのかしらこれと言いたくなる、なんかもう人の形をしてるだけの欲の塊でしょあれ。

 

「入れよ……すげぇの……見せてやんよ」

 

「挑発しようっての、へぇ、ふぅん、面白いじゃないの」

 

「バートリーくん!?」

 

「レイミィちゃん絶対にあかんよあの部屋は!!!」

 

 なに焦ってるのよ飯田に麗日、どうせアイツのことだから部屋の中なんて欲の塊でしかないに決まってるわ、その程度で私が悲鳴でもなんでも上げるとでも?

 

 上等よ、その喧嘩、買ってあげるわ。便利屋として修羅場を何でも潜ってきた私を驚かせるようなのを期待してるから、覚悟しなさい。

 

「ああもう、なんだって直ぐに挑発に乗るのかな!」

 

「仕方ねぇ、俺達も付いていくぞ!」

 

「だな、てことで女子たちは待っててくれ」

 

「へへ、その澄まし顔を歪めてやるぜぇ……」

 

 かなり自信満々な彼に続くように部屋に入る。その後ろを男子組が来たけどまぁ良いわ、さて見せてもらおうじゃないの……

 

 っていうのがかれこれ数分前の話だったかしら? え、感想? はぁ正直言って期待ハズレも良いところだったわ本当に。

 

「何もかもが中途半端な見世物であそこまで強気に出てたものね。想定通りでも青山みたいに突き抜ければ良いものをブレーキかけてるし」

 

「一応言っておくがバートリーだからその反応で済んでるってだけだ」

 

「で、あれでどうやって私の澄まし顔を歪ませるつもりだったのかしら? ほら、言ってみなさいよ、峰田」

 

 なにを黙ってるのよ、実はまだ隠し玉があるとかなら見てあげるから出してもいいのよ? は? 無い? あれで全部ですって? はぁ、がっかりだわ。

 

「ぼ、僕以上にボロクソな評価だ」

 

「へ、へへ、この程度なんとも……わりぃ、やっぱつれぇわ」

 

「そりゃ辛えでしょ」

 

「ちゃんと言えたじゃねぇか」

 

「聞けてよかった。いやまぁ百パーセント自業自得でしかないんだがさ」

 

 瀬呂達はなにやってるのかしら。そもそも便利屋の仕事であれよりも酷いものを見たことあるから正直、創作物程度じゃはいはいって話で終わっちゃうだけだけど。

 

 なんだったら浮気調査の過程でしょっちゅう見ちゃえば、ねぇ? ってことだから3階に行きましょうか、尾白でいい?

 

「へ、あ、あぁ」

 

「ケロ、どうやらちょっとだけ出遅れてしまったようね」

 

「部屋の片付け終わったん、梅雨ちゃん」

 

 聞けば拘り過ぎて皆よりも遅れたらしいってことなんだけど、多分嘘だと思う。その証拠に私を見る目に後で話があるという感じのものが籠もってるし。

 

 まぁ気付かないふりをするけど、あれはなにか気持ちの整理をつけてたって感じでしか無いし、つまりはそういうことなのでしょう。

 

「んじゃ、次々と行こうか!」

 

「あのバートリー、期待される前に言うけど普通の部屋だからな」

 

「それは見てから判断するわ」

 

 常闇の時にも言ったけど結局は自分で見ないと判断はできないのよ。なんて思っててごめんなさいとなったのは部屋を見た直後だったわね。

 

 いや、本当にここまでシンプルイズベストみたいな部屋をお出しされるとは思わなかったわ、寧ろ感動すら覚えそうになる。

 

「褒めて、るんだよなそれ」

 

「褒めてるわよ。シンプルってことは使いやすいってことなんだし」

 

 掃除も楽そうなのもいいわよね。私の部屋とか少しサボるだけで被身子が激怒しながら説教してくるのよ? まぁ逆を言えばこの手の部屋は掃除をサボると目立っちゃうってところかしらね。

 

「レイミィちゃんの部屋、そんなにごチャついてるのかしら?」

 

「いんや、(変な生き物シリーズグッズ以外は)寧ろ纏まってたよ」

 

 今ちょっと耳郎の言い方に引っかかりを覚えたけど気の所為かしら。言え、それよりも次に行きましょうか、割りといい時間でもあるから手早くいかないとあなた達の明日が辛くなるし。

 

「正直言えば、俺はもう眠いんだが」

 

「爆豪なんか、くだらねぇの一言で寝ちまったからな」

 

「……そうだわ」

 

「駄目よ」

 

 押し掛けようという提案を出す前に梅雨ちゃんに止められてしまったので肩を竦めるだけにとどめておくわ。そうよね、寮生活初日から部屋が吹っ飛んだとか洒落にならない話でしかないものね。

 

 てことで次は天哉の部屋、まぁ言っちゃえば優等生の部屋って感じよね。あ、この資料とかは読んだことあるわ、中々書いてあることがためになるのよね。

 

「難しそうな本しかねぇ……」

 

「メガネクソある!!」

 

「実戦での破損を考えたら予備は可笑しくはないでしょうけど整頓して並んでると中々に笑いを誘うわね」

 

「反応に困るコメントだな!?」

 

 それにしても尾白の部屋を見てからだとゴチャついてるって印象になってしまうのは見る順番を間違えた感じがあるわね。とは言っても整頓はきちんとされてるから流石だとしか言いようがないわ。

 

 寧ろ次に見に行った上鳴でもその辺りはちゃんとやってて感心しちゃったもの。おかしいわね、私の予想だともう少しゴチャ付いてるってイメージだったんだけど。

 

「いやいや、流石に部屋の整理整頓くらいは俺だってちゃんとやるぜ?」

 

「そのようね、ちょっと見誤ってたわ。ところでこのクローゼットの中なんだけど」

 

「そこは触れないで思えると俺は嬉しいかなぁって!」

 

 つまりそういうことなのでしょうね。因みに芦戸たちの反応はチャラいという話らしい、私そこら辺はよく分からないのよね、なにをどう見てチャラい判定を下せば良いのかしら?

 

 被身子にでも今度聞いてみようかしらね。え、私はクローゼットとかに詰め込まないのかって? やったら被身子にバチクソにキレられてからはやってないわ、その時は服とかを適当に放り込んでたかしらね。

 

「そら怒る。シワとかになったら大変じゃん」

 

「後でアイロンでも掛けておけばいいかなって思ったのよ。それ以降はやってないし良いじゃない」

 

 放り込んだ理由は片付ける時間がなさ過ぎてとりあえず洗濯したやつを取り込んでから投げ込んだのよね、今考えても四徹目の思考だったわね。

 

 にしてもこう、そろそろ箸休めみたいな感じの部屋がいいわね。とは言っても近いところから見に行くんだけどということで次に来たのは口田の部屋、そこにはウサギが居た。

 

「ここってペット可だったのね」

 

「う、うん、先生に聞いたら世話をするなら大丈夫だって言われて連れてきたんだ」

 

「可愛い~」

 

「良いわね、動物は見てるだけで癒やされるもの。少し撫でても?」

 

 そうして許可を貰ってからしゃがんで彼のウサギ『(ゆわい)』に触れようとしたのだけれど、向こうは私を見るなりタンッ! と後ろ足を一度鳴らしたと思ったら飛びかかれるような体勢を取られた。

 

 これって聞くまでもなく威嚇と警戒されてるってことよね? 試しに離れてみれば結は口田の元へ逃げるように向かってから彼の足元に隠れ、私が少しでも動こうものならまた後ろ足を鳴らされる。

 

「……」

 

「あ、あ~、その、バートリー?」

 

「ほ、ほら、本能ってやつ? こう、ね?」

 

「おかしいわね、今まで野良猫にだってここまで警戒されたことないんだけど私」

 

 だからこそ迷子のペットの捜索とかもやってたわけだし、たまに猫カフェに被身子に連行された時もこんな露骨な警戒はされたことないしと淡々と口にすればするほど周りの空気が重くなっていく。

 

 えぇ、理由はわかるし口にしないほうが良いのも理解できる、出来るけどここまで警戒される心当たりがまるでないから許して……あっ

 

「なにか心当たりが?」

 

「心当たりっていうか、そもそも私の今の身体が悪いんじゃないかって思ったのよ」

 

 実質死体だし、動物から見れば気持ち悪い存在じゃないこれ? 思ったことそのまま口にしちゃうのは悪いとは思いつつ原因はもうこれしか見当たらないので許してほしい。

 

 ふっふふ、でもそう、今後はもう動物と触れ合えないのね私、そうなの……フフッ。

 

「あ、あかん、レイミィちゃんが見たことないくらいに凹んでしもうた」

 

「バートリー、動物好きだったんだな」

 

「その、ご、ごめん、バートリーさん」

 

「別に貴方は悪くないわよ口田、えぇ、悪いのは私だし結に無駄なストレス与えてしまってごめんなさいね」

 

 立ち上がりながらそう告げて私は彼の部屋を出る。とりあえず気持ちを切り替えるために次の部屋に行きましょうか、えぇ。




レイミィちゃん@今後は猫カフェにも通えない

便利屋メモ
後日、この話を聞いた便利屋面々は沈痛な面持ちになったとか。
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