便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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No.193『あっちこっち文化祭Session3』

 風船釣り屋台から同階層にある小休憩スペースに移動した面々、なお道中で焼きそばやお好み焼きなどがあったので買っているものとする。

 

 とりあえず腰を落ち着けたことだしとまずレイミィは壊理についてを話すことに。因みに風船釣りで獲得した3つのウチ壊理の分を除いた2つを洸汰に押し付けた模様。

 

「なぁ姉ちゃん、これ2つもいらねぇんだが」

 

「いいじゃない、私からのプレゼントよ。それよりも改めて紹介するわ、事情があって便利屋で保護してる壊理よ」

 

「うん、話は聞いてるよ。私はマンダレイでこの子が洸汰よ」

 

「えっと、はじめまして」

 

「あ、あぁ、えと、はじめまして」

 

 思えばこの二人ってほぼ同年代じゃないかしらと互いに挨拶をした壊理と洸汰を見てふとそんな事を思うレイミィ、流石に彼女の周りには同年代と言える存在は居ないのでこれを気に仲良くしてもらえると嬉しいわねとか思ったりもする。

 

 もっとも互いに住んでる場所が遠いので気軽に交流するというのは難しいのだが。そこは今の文明社会、テレビ通話やスマホによる電話やらがあるのでさして問題にもならないとレイミィは考えつつ

 

「にしても洸汰、アンタが雄英に来るなんてね。ここなんてヒーローの巣窟よ?」

 

「別に……ただマンダレイが行くって言うから付いてきただけだし、それにヒーローのことも少しは認めてるし」

 

「ふぅん、緑谷と爆豪のことかしら」

 

 彼の心境の変化、それの原因と考えれば林間学校時のあの場面。二人の小さなヒーローの活躍が少年のヒーローへの憎悪を確かに和らげたのだ。

 

 無論、全てをというわけではないがそれでもこうして雄英高校の文化祭に来ようと思うくらいには軟化したというのは良いことだとレイミィは思うが実際にはもう一つほど理由があった。

 

「あれそうだっけ洸汰、確かバートリーちゃんが心配だからって言ってなかった?」

 

「ば、それは、ちがっ、つか言うなって言ったじゃん!」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

 どうやらそういうことらしい、らしいのだがレイミィとしては非常に反応に困る理由なので今ちょっとどう返事しようかと思考を巡らせていたりする。

 

 いや、言えないでしょ、一回死んでるしその後もまぁまぁ重傷負ってたりするし現在進行系で寿命がヤバいってなんてと。

 

「お姉ちゃん、どうしたの? なんだか困ってるみたいだけど」

 

「へ? いや、そうね、まさか洸汰に心配だと思われてるなんてと驚いただけよ」

 

「あれ、でも前に会った時に言わなかったっけ?」

 

「リップサービスかと思ったのよ」

 

「前も喋ったのか!?」

 

「マンダレイさん、あまり人の秘密を喋るのは駄目だって火伊那さんが言ってたよ?」

 

 ド正論な壊理の言葉にはマンダレイは本気で謝罪の言葉と表情を、そして割りと人の秘密で飯食ってるレイミィが遠い目をしながら確かにそうねと思わず呟く。

 

 と言うか火伊那がそんな道徳的なことを教えてるとは思わなかったと同時に思うが彼女に言わせれば〝嬢ちゃんを見て壊理が勘違いしたまま育つのはマズイだろう〟と。

 

 そもそも学校に通っていない都合、人付き合いなども欠如してるともレベルで経験値がないが故に直近の人間から学ぼうとする、そうなれば一番見るのはレイミィであり、それが上記の火伊那の言葉に繋がる。

 

「……なるほどね」

 

「あと、血染さんも同じ事言ってたよ」

 

 と言う話を壊理から聞かされたレイミィは納得しつつも人に黙ってやる必要あったかしらねと大人二人に若干の不満を漏らす。

 

 言っておくが私だってその辺りの道徳を教えることぐらいは出来るぞと。だが今日までの彼女を見れば分かるだろう、確かに教えられるとしてもレイミィの場合はこうなるのだから。

 

「良いかしら壊理、二人が言うことは確かに正しいわ。でもね、時と場合と相手によっては許される、と言うよ必要となる場面があるのよ」

 

「そうなの?」

 

「待って、ちょっと待って」

 

「ん? 何かしらマンダレイ」

 

 あれ、この反応を見るに間違ったことを言ってるつもりないなこれ? マンダレイは少女の反応に軽い頭痛を覚えるし、彼女に道徳を任せなかった大人たちの判断を英断だと思わざるを得ない。

 

 因みにレイミィが言った時と場合と相手の内約は〝時〟とは秘密を口にすることで相手が不利になるタイミング、〝場合〟とは自身が優位に立ちたいもしくは交渉の主導権を握りたい時、〝相手〟とは(ヴィラン)或いは犯罪者或いは組織の長及び幹部クラスとなっている。

 

 聞けばほぼ全員が幼く無知な少女に教えるなそんなこととレイミィが大バッシングを受けること間違いない内容なのだが彼女は必要だろうと教える、最悪すぎるよこの娘とマンダレイは頭痛が酷くなったような感じがしたとか。

 

「えっと、ほら、今は文化祭だしさ、その話は後で時間取って詳しくのほうが良いんじゃないかなって」

 

「それもそうね、こんな所で片手間に話す内容じゃないのは確かだわ」

 

 よし、時間は稼いだから後は頼んだよ便利屋の大人たちとマンダレイ。だがこの時の彼女は無意識が故に気付かなかった、今の願いをまさか自身の〝個性〟【テレパス】で本当に便利屋の大人たちに微かに送っていたということを。

 

「ん?」

 

「あ?」

 

「……今なにか」

 

「あれ、圧紘もか?」

 

「いや、俺も今なんか聴こえたな」

 

「え、トガには何も聴こえませんでしたけど?」

 

 つまり大人だけが聴こえたし、幻聴の類でもないということだろうか、だが周りの大人にそのような反応はないと見れば血染はこれが便利屋の自分たちだけに聴こえた、より正確に言えば

 

「……【テレパス】」

 

「それってマンダレイの〝個性〟だっけか、けどなんだってそいつからテレパスが来るんだよ」

 

「所でなんて聴こえたんです?」

 

「ん? なんだっけ、時間は稼いだから後は頼んだよ便利屋の大人たち的な感じだっけ」

 

「まんまそれだわ」

 

 どうやら他の面々も同じ内容だったとのことで、続いて疑問になるのは内容の意味。時間は稼いだからなんだというのだとなるのが自然であり、考えてみるがすぐには浮かばない。

 

 考え、それからふとマンダレイが来たとなれば誰と会うだろうかとなりそこでレイミィが思い浮かぶ、浮かんでから

 

「バートリー関連と考えるべきか」

 

「そういやマンダレイってやつが来るならあいつ、あの子供も来てるんじゃねぇか?」

 

「洸汰くんですか? でもそれとレイミィちゃんが関係します? そりゃちょっと情緒と性癖を壊しちゃったかもしれませんけど」

 

「待ってくれ、秘書さんから出された単語が俺には衝撃的なんだが何やってんだあの所長」

 

 あれは酷い事件でしたと誰もが口を挟むぐしかない、まぁ話すだけの時間が持ったないというのと面倒だというのがあるというよりもそれがおおよその話なのだが。

 

 とは言えそれが今のテレパスの内容と繋がるわけもなく、ならば洸汰が関係するわけじゃない、では?

 

「なぁ確か今って壊理はお嬢と居るんだよな。だとすりゃあの娘に余計なことを教えそうになったとかはどうだ?」

 

「意外と言うんだな仁、だがそれはあり得るかもしれん」

 

「あぁ、時間を稼いだってそういう……」

 

 内容までは分からない、だが間違いなくレイミィに任せたら確実に要らない知識まで吹き込むと危惧し任せなかったことを言おうとしたのだろう。

 

 判断が下されるまでに時間は要らなかった、同時に血染は軽い頭痛を覚えたがこうなってしまっては仕方がないと割り切りそれから

 

「とりあえず、夜にでも話を聞いてみるか」

 

「だな、まぁほぼ確実に要らんことだろうなぁ」

 

「でも本人は必要な知識だって言うんですね分かります」

 

「言うだろうね、所長って自分の経験で語っちゃう所あるから」

 

「お嬢が外れ値だってことを自覚してほしいとは思う」

 

「散々な言われようだなぁ」

 

 なお、そんな事を言っている燈矢だが顔は笑っている、彼からするとお嬢と慕ってる仁にすら割りと辛辣な感想に分からなくはないというのが本音なのだ。

 

 という事で場面をレイミィに戻すのだが便利屋の面々にそんな風な事を思われたからだろうか、唐突に

 

「ヘックチュン!」

 

「大丈夫、バートリーちゃん」

 

「風邪?」

 

「違うわよ、多分誰かが私の噂でもしてるんじゃないかしらって……」

 

「射的の弾なら見当外れな場所に飛んでったぞ、姉ちゃん」

 

 ちっ、絶妙に嫌がらせみたいなタイミングでくしゃみしちゃったわねと言うように彼女らは射的に挑戦中、戦績としては可もなく不可も無くと言った具合か。

 

 少なくても先程の風船釣りよりは遥かにマシな戦績ではあるのだがそれはそれとして彼女が言いたいのは

 

「絶対に重りしてるでしょあれ」

 

「してないよー」

 

「してないんだったら十発当ててろくすっぽ動かない理由を聞かせてもらいたいわねぇ?」

 

「不思議だねぇ」

 

 上等だテメェとムキになりかけるレイミィをドウドウとマンダレイが落ち着かせ、それを見た壊理は笑い、洸汰は何やってんだかと呆れる。

 

 そんな平和な祭りの一幕、それすらも宣伝写真として利用した結果だろうか、気付けば閑散としていたこのフロアもごった返す程ではないがまぁまぁ人が集まってきていたのを見てレイミィは一言。

 

「なんだか体よく客寄せパンダにさせられたみたいね」

 

「いやぁ、悪いね。ほら、このぬいぐるみ上げるから許して欲しいなって」

 

「良いわ、それで手を打ってあげる」

 

「いいんだ、てか即答なんだ……」

 

 差し出されたぬいぐるみは所謂変な生き物シリーズ、どうやらレイミィも持ってない種類だったので喜んで受け取るのを見てマンダレイが若干困惑気味に呟く。

 

 因みに洸汰も困惑してる、壊理は言うまでもなく喜んでいる。寧ろ渡した側の筈の女子生徒の方も喜ばれて困惑している、じゃあなぜ渡したっていう話になるが曰くその場のノリだとか。

 

 周りが困惑している様子を慣れた感じにスルーしながら何気なく時計を見れば、文化祭も終盤と言った時間、そこでふと便利屋の出し物は何時だったかを記憶から探ってみれば

 

「壊理、そろそろ体育館に戻りましょうか。アイツラの出し物の時間だわ」

 

「アイツラ? あ、便利屋が曲芸大会するってポスター張ってあったけどそれのこと?」

 

「なんか、本当に何でも出来るんだな便利屋って」

 

 そりゃまぁ便利屋ですしと呟き折角だから二人もどうだとマンダレイと洸汰を誘えば、見に行くことに。なら移動しましょうかと動き出したその時、彼女のスマホにメッセージの着信を告げる振動が。

 

 一体誰がと画面を見れば、そこに表示されていたのは《ちょっとお時間よろしいですか、お嬢様》と言う内容、それを見てフフッと笑ってから壊理に申し訳ない感じに告げる。

 

「ごめん、マンダレイと洸汰の二人と先に向かっててくれるかしら?」

 

「大丈夫、だけど、どうしたの?」

 

「お姉ちゃんはちょっと色男からの呼び出しで話をしに行ってくるのよ。じゃあ、マンダレイよろしく頼むわ、洸汰も壊理をよろしくね」

 

「おう、任せろ」

 

「構わないよ、でも色男ってもう行っちゃった」

 

 告げるだけ告げてレイミィは歩き出し、学園の小休憩スペースと言った感じの場所のベンチに座り件の人物を待てばさして間を置かずにその人物は姿を表した。




ちな、先週は単純に筆が進まなかったという話です……
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