便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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第一種目から色々と大掛かりで凄いよね雄英高校

私信
誤字修正など感謝してます、自己チェックが甘いのがばれてるんやなって……


No.39『爆走!独走!激走!暴走!?障害物競走』

 第一種目【障害物競走】、計11クラス全員参加の総当たりレースであり、コースはこの特設スタジオの外周4kmを駆け抜けるという内容。

 

 だが、それ以上にレイミィが気になったのはミッドナイトが告げたもう一つのルール。

 

「我が校は自由が売り文句! ウフフ……コースさえ守れば〝何をしたって〟構わないわ!」

 

(何をしたって、ねぇ。どう考えてもスタート付近に固まるのは餌食になるわねコレ)

 

「さぁさぁ、位置につきまくりなさい!」

 

 見ればスタートゲートのほぼ先頭に焦凍が立っている姿が確認できる。ともすれば彼女の考え通り、何でもありのこのレースで彼の真後ろに立つのは不利にしかならないと判断したレイミィは集団よりも後ろに待機。

 

 奇しくも入試のときとは真反対の位置に陣取ったことに奇妙なことがあるものねと笑みを深める。

 

「あんな選手宣誓しておいて何だけど、そこは恨まないでちょうだいね、私だって種目は知らなかったし」

 

 誰にでもなく言い訳を口にしたタイミングでランプが1つ点灯。周りの空気が一気に緊迫したものに変わる、2つ目、そう言えばとレイミィが出久の方を見れば何かを決心したのかぐっと顔を上げた所、因みに彼の自己バフとも言える技は血染が求めたコンマ秒での発動に成功している。

 

 そして、3つ目のランプが光ったと同時に

 

「スタート!!!」

 

「フルカウル5%……!」

 

「(やっぱり使うわよねってこれは)悪いわね、上通るわよ」

 

「わりぃが最初のふるいを掛けさせてもらうぞ」

 

 スタートゲートが人数に対し狭いことで発生する渋滞に対し、既に抜け出し走り出している焦凍が取ったのは戦闘訓練でも見せた広範囲への凍結。事前に彼の個性を見てる、もしくは情報を集めて知っているのならばまだしも初見となればこの一撃だけで大体の生徒が足を凍らされ動けなくなってしまう。

 

「ってぇー!? なんだ! 凍った動けん!」

 

「全く、容赦ないってのっ!!??」

 

 まぁ地面に居なければ回避できるしと飛行し焦凍に追い縋ろうとしたレイミィだったが、向こうがそれを考えてない訳がなかったようで、対空の氷柱が彼女を襲う。だが避けれない密度というわけでもなく難なく回避したところで違和感に気付いた。

 

 氷柱の配置が妙に均一だと、いやこれは、とここで自分の失態に勘づき動き出そうとよりも前に氷柱から更に氷柱が発生、それは檻を形成、一本一本は細いが直ぐには壊せないと考えれば、足止めとしてはこれ以上無い程に有効だろう。

 

 何より、他の生徒への妨害と思っていた開幕の地面凍結は自分をこの罠に嵌めるための策だったとレイミィは悔しさを滲ませた笑みで前を悠々と走り去っていく焦凍に向けて

 

「やってくれたわね!!」

 

「お前を放って置くわけねぇだろ」

 

 どうであれ、ここで自分の場所取りが不味かったということにレイミィは自身の速さというものを過信しすぎたと苦い顔になる。最後方から一気にと考えていたが焦凍も、A組生徒達もレイミィがこの場で一番早いということは知っている、ならばそんな彼女を好きに動かすわけがなく、結果として見事に策に嵌められてスタートを出遅れさせられてしまった。

 

「フフッ、いいわ。そっちがその気なら鬼ごっこと行きましょう、精々距離を頑張って稼ぐといいわ」

 

《スタート早々から白熱の個性の応酬! 1-Aのバートリーが檻にとっ捕まってるぞ!!》

 

《一年の中じゃ間違いなくの最速だ。それを放置する理由がないわな》

 

 実況のプレゼント・マイク、そして解説と言っているが明らかに無理矢理連れてこられたであろう相澤の言葉に、仰る通りでと呟きながら氷格子に向けて蹴りを入れていき、三発目で音を立てて破壊に成功。それでも数秒という手痛いロスが発生してしまうが彼女の表情に焦りはない。

 

《おっと、バートリーが檻から脱走だ。ここから巻き返していこうってところかぁ!》

 

「さぁ、鬼ごっこスタートよ!!」

 

 ドンッ! と身体全体に力を込めて飛翔、その速度は殆どの生徒と観客には真紅の影とも言える姿としか認識できず、また轟音ととも言えるそれにA組の面々も反応を示す。もう殆どは第一関門の【ロボ・インフェルノ】に到達したという所ではあるが、数秒遅れたはずのレイミィの姿を視認すれば先ず焦凍が分かってたと思いつつも

 

「思ったより稼げなかったか、もう少し硬く作るべきだったか……っ!!」

 

「本気で来るとしたら距離はもう詰められる。だったら……! そうだ、轟くん、その凍ったの借りるよ!」

 

 この競技において自身がトップに立つというのも大事ではある、だがレイミィ・バートリーと言う一年で最速の吸血姫に徹底した妨害を挟まなければそれすら難しいと言うのがA組の総意、だからこそ焦凍が凍らせた入試の際に登場した巨大ロボこと0Pロボの足に向けてフルカウル5%状態の拳を握りしめ

 

「SMASH!! から、の!!」

 

《おおっと、1-Aの緑谷が凍ったロボをぶん殴ってそのままぶん投げただぁ!?》

 

《狙いは後方から飛んできてるバートリーだろうな、徹底して仮想敵となってるなありゃ》

 

「アハハハ!! ばっかじゃないの!!!」

 

 風を切る音を響かせて飛んでくる0Pロボを前にレイミィは笑いながら避けるでもなく迎え撃つように飛んでいき、勢いそのままに

 

「でもまぁ危ないし、邪魔なのよねぇ!!!!」

 

《YEAH! マジかよ、蹴り飛ばしちまったぞおい!!》

 

《後方にもまだ生徒が居る、だからこそ回避じゃなく、迎撃を選んだってところか》

 

《競争だろうと他人を想いやれるってか、流石だなぁ! だが迎撃の時間で先頭集団は更に距離を開けてってるぞ!》

 

 現状で表立っての妨害をしてくるのは先頭集団の焦凍、出久、そしてまだやってないだけで勝己もレイミィが迫ってくればやってくると考えれば、序盤のここで離されるというのは中々に痛い話ではある。

 

 そして何も表立っての妨害がその三人であるという話だけであり、隙を見せればA組の他のクラスメイトもしてくるだろうと言う空気を肌で感じることに思わず例の狂喜の笑みが浮かんでしまう。

 

「うわ、レイミィが例の顔になってる」

 

「地上波に流れてるんだよねコレ、大丈夫かなあれ」

 

「てかもうここまで来てんの!? 速いってレベルじゃないってのアイツ!!」

 

 ついさっきまで自分たちの後方に居たはずのレイミィが今は自分たちの上空をすっ飛んでいっているということに耳郎が驚きの声を上げる。もっとも全体で見ればA組は襲撃事件を乗り越えたからだろう他の科よりも、先頭に躍り出ている状況ではある。

 

 因みに大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、流せるのでセーフという話らしい。という余談は置いておき、ロボ・インフェルノのを遅れながら突破した彼女を待っていた次の関門、それは

 

《さぁさぁ、第一関門の楽勝だって言うなら次はどうだ、落ちればアウト、それが嫌なら這いずりな! 【ザ・フォール】!!》

 

「つまり、飛んでいけってことよね!」

 

「ケロ、これはレイミィちゃんが有利ね……」

 

 本来であれば、大袈裟な綱渡りという障害なのだが一部生徒、レイミィや勝己のように空中を自由に飛べるという個性ならば殆どボーナスのようなもの、ここで彼女への足止めが思ったよりも稼げなかったことの弊害が出始める。

 

「ハァイ、鬼ごっこの鬼が来てやったわよ」

 

「やっぱり、自由にさせたら本当に速いなバートリーさんは!!」

 

「(ここで余計なことをすれば爆豪と緑谷に迫られるかもしれねぇが)お前に抜かれるよりはまだリカバリーが効く!!」

 

 仕方がない。決断した焦凍は止まること無く振り返り、上空のレイミィに向け、左腕を構え、集中、彼女の飛行ルートを予測し偏差を掛けて彼女に当てない勢いで炎を撃ち出し、続けて本命の右で地面からレイミィに向けて巨大な氷柱で彼女を捉えようとするが。

 

「その程度の炎で私を止められると思わないことね!」

 

(意図的に弱めたのを見抜かれたか……!)

 

《おいマジかよ、炎に突っ込んでったとか怖くねぇのかあのバットガールはよ!》

 

《派手な見た目だが実際はそうじゃないことに気付いての行動だろ、アイツは考えもなしに突っ込むような奴じゃねぇからな》

 

 彼も妨害はするが怪我をさせたいわけではない。だからこそ牽制の炎は行動を制限させ、その上で氷柱で行動不能にさせるつもりだった。けれどレイミィは進行方向を塞いでいるその炎に敢えて突っ込んで突破、その後の氷柱を回避したのだ。

 

 しかも焦凍は上空の彼女に届かせるほどの氷柱を撃ち出した反動で一瞬だが動けない、やられたとここで初めて焦りを見せる。

 

「行かせるかよ、クソがぁ!」

 

「おっと、随分と熱いお誘いね。嫌いじゃないけど、もう少しロマンチックな時がいいわ、爆豪」

 

《Hue! 1-A爆豪、バートリーに攻撃をするがコレを躱される! てか徹底的に妨害の対象にされてんな!》

 

《レースも終盤だ、ここでアイツに抜かれたらリカバリーが出来ないと分かってるからこその動きだろ。だが、それにかまけ過ぎれば》

 

「ごめん、今のうちに行かせてもらうよ!!」

 

 レイミィ達の攻防の隙に緑色のスパークを身体に走らせた出久がトップに躍り出る。今までの彼だったら個性を使えば自爆していたというのにそれがなく、5%であれば安定して発動できるようになり、この障害物競走でも常に焦凍達の背中時には並んで競い合うことが出来ていた。

 

「俺より前に出てんじゃねぇぞクソデク!!」

 

 此処までのレース内容で彼を侮っていたというわけではない、それでも出久に抜かれたという事実に勝己は苦虫を大量に噛み潰したような表情になり、レイミィを相手取るのは止め彼に追い縋ろうと爆発を強める。

 

《ここで先頭のダンゴから緑谷が一人抜け出したがほぼ僅差で他が追う! 勝負は最終関門に持ち越された! 最後を飾るはこいつ、一面地雷原【怒りのアフガン】だ!!》

 

「地雷原……食堂……重力……うっ、頭が」

 

「お茶子ちゃんどうしたん!?」

 

 後方で麗日が頭を抱えながら走っているが先頭四人が知る由もなく、地雷原に突入、ここで出久は思考をフル回転させる。このままフルカウルで走ったとしても間違いなく三人に追いつかれる。

 

(何か、妨害と進行、どっちもとれる策を考えないと……!)

 

 手には使えるかもとロボ・インフェルノで拾った装甲板一枚、そして足元には大量の地雷、つまりは爆発、そう、爆発を使えばと出久に閃き、そのまま可能な限り地雷を踏まないようにフルカウル状態で走り出す。

 

(一か八かになるけど、このまま無策で走るよりは!)

 

「待てや、クソデク!!」

 

(後続に道を作っちまうが!)

 

「ラストスパート、楽しみましょうか!」

 

《ここで先頭が再度ダンゴ状態、いや、まだギリギリ緑谷がトップか!! 喜べマスメディア、お前ら好みの展開だぁあああ!!!》

 

 僅差とは言えまだ距離はある、焦るなと自身に言い聞かせつつ出久は地面を見て地雷が固まって埋まっている場所を探り、地雷を避けるふりをしつつそこにコース取りをしていく。

 

(かっちゃんは高度を維持してない、轟くんはあと数秒で追い付いてくる、一番の懸念はバートリーさんだ、あの人は!)

 

 視線を一瞬だけ周囲に向ける、最終関門に辿り着いた時点でゴールゲートを意識したのだろう、勝己とほぼ同じくらいの位置を飛んでいるのが分かり内心でガッツポーズを取る。

 

 これならば、ギュッと手に持っていた装甲板に着いていた千切れたコードを握りしめる、あとはタイミング、少しでもズレればその時点で自分の負けだと言い聞かせ完璧な瞬間を走りながら待つ。

 

(まだまだまだまだ)

 

「追いついたぞ、緑谷!」

 

「てめぇは俺の後ろだオラァ!!!」

 

 勝己の個性による爆音が真隣に来た、焦凍の凍結させた地面を走る音が真隣に来た、そして

 

「悪いけど、一位は私が……」

 

「今っ!!!」

 

 レイミィの羽撃く音と声が少し後方から聞こえたと同時に装甲板を振り上げそのまま力一杯に振り下ろす。その場の三人も、実況も、モニター越しで見ている観客も何をしていると言う疑問は〝カチッ、カチッ〟と言う音で晴れた。

 

「へ?」

 

「っ!?」

 

「!!!」

 

「いっけー!!!!」

 

 〝カチッ〟と言うのは地雷の信管が押された音、確かに地雷の威力は抑え気味とは言え一つでも人を少し浮かせるだけのものがあり、それが複数同時起動となれば相乗的に威力も爆風も跳ね上がっていく。

 

 彼が狙ったのはコレ、フルカウル状態で走ろうにも地雷が邪魔、そうしてる間に三人に追いつかれてしまう、だからこそ妨害と進行の同時に取れる手段として大事に持っていた装甲板の面積を活かした地雷連鎖爆破、これが刺さり、勝己と焦凍は足を止めてしまい、レイミィは飛んでいたという関係上、一番風の影響を受けやすいのが災い、それはもう見事に吹き飛ぶことになる。

 

「にゃああああ!!!??」

 

《後続妨害と同時に一気に地雷原突破、爆風の煽りでバートリーが吹っ飛んだぞ!! おいイレイザーヘッド、お前どういう教育してんだよ!!》

 

《俺は何もしてねぇよ、奴らが勝手に火ぃ付け合ってんだろ》

 

「クッソ!!!」

 

「ぐぅっ!?」

 

 これにより大爆発による妨害、そこから生まれる爆風を自身が乗った装甲板に受けることで爆風で一気に距離を稼ぎ、そのまま不安定な足場だと言うのに立ち上がり足に力を込めて跳躍で一位に、いや、スタジアムのゲートを転がるようにくぐり抜ける事に成功、それはつまり

 

《さぁさぁ、序盤から大接戦を制して今スタジアムに一番で還ってきたのは、緑谷出久だぁあああ!!!!》

 

「はぁ、はぁ……っ!!」

 

 メインモニターに映る一位に自分の名前があり、実況と大歓声で本当に一位になれたことを実感、そして観客席に居たオールマイトに笑みを浮かべる。続いて焦凍、勝己と続くのだが吹き飛んだレイミィはと言うと。

 

「よいしょ! アッハッハ、全くしてやられっぱなしじゃないのもう!!」

 

「バートリー!? 先頭に居たはずじゃ」

 

「ちょっとね!」

 

 最終関門の入口近くとかなりの距離を吹き飛んでしまい、そこからブラッドチェーンを安全な地面に突き刺してカタパルト代わりにして最高速で駆け抜け、ゴールするも順位は23位と序盤を考えると大きく落ち込んでしまう。

 

 が当の彼女のその顔はなんかもうコレ以上にないと言うほどに笑顔だったので誰もが思ったことを百がポツリと

 

「心から楽しんでますわね、レイミィさん」

 

「ケロ、宣誓通りってやつよね、それと離れなさい峰田ちゃん」

 

「ポピー!?」

 

 第一種目【障害物競走】終了。第二種目に駒を進めたのは42人、彼らを待ち受ける次の種目は……




速いがゆえに徹底マークされて、結果こうなるのがレイミィちゃんである。

便利屋メモ
レイミィが吹っ飛んだ際の悲鳴で被身子が笑いすぎて呼吸困難に陥り掛けた
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