便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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騎馬戦、チーム決め編


No.40『戦いとは戦う前に勝つくらいの気概が大事』

 予選通過は上位42名、その大体半分くらいの順位になったレイミィがふぅと息を吐きだして、気持ち軽めに力を緩めていると障害物競走ラストの大爆発からの吹っ飛んだ彼女を見てたのだろう、予選27位と普通科からだと考えるとかなり上位に喰い込んだ心操から

 

「バートリー、怪我とかは無いのか?」

 

「あら、心配してくれるの? 見ての通り無事よ、あれって見た目ほどには威力はないから」

 

 イエイとテンションが上ってる彼女がダブルピースするが心操からしてみれば、大した威力では無いと言われたあの地雷も自分は割と痛かったのだと言う感情になる。コレは単純に実戦慣れしてるがゆえに痛みに強いと言うだけであるのだが彼は知らないので無理もないだろう。

 

 それと無事だとは言うが彼女の顔や、ジャージから見える部分は白い肌にはっきりと分かるくらいには煤が着いていると指摘すれば

 

「ありゃ、本当だ。まぁ、良いわこういうのも祭りの醍醐味ってやつでしょ」

 

「そ、そうか……?」

 

 世間一般的な学園行事では煤は基本的に付かないと思うのだがと言えなかったのは、レイミィがあまりに楽しそうな笑みを浮かべているから。なんか、余計なことを指摘するのも野暮だろうと相手に思わせるそれは心操にも当てはまるようで雄英に来てから初めてとも言えるくらいに穏やかな笑みで彼女を見るに留める。

 

「っと、本選の種目の発表ね」

 

「本選、か。何が来るんだろうな」

 

 ミッドナイトの背後にモニターが表示されドラムロールと共に、表示された種目名は【騎馬戦】。先ほどと違い間違いなく団体戦と言える競技に周りがどうするのかとざわつくがミッドナイトがムチを撓らせ説明を始める。

 

「参加者は2~4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが……先程の結果にしたがい各自にPが振り当てられること!」

 

 ポイントの内容は下から5Pずつ増えていくようであり、つまりレイミィ自身のポイントは100P、可もなく不可もなくと言う立ち位置で、上の順位になればなるほどポイントが大きくなることを考えれば逆に吹っ飛んで正解だったのではと思うくらいである。

 

 因みに心操は80P、彼もまたポイントだけで見れば悪くない立ち位置、また騎馬戦と言う団体戦なので組み合わせで騎馬自体のポイントが変わるのであまり大きいポイントだけで固めるのは色々と危険だろうとレイミィは考えていると一位のポイントの話になるのだがそこで彼女のツボがまたも決壊することに。

 

「一位に与えられるポイントは……一千万!!!!」

 

「フッ!!?? 緑谷、その顔! その顔は卑怯でしょあんた……ふふっ、ブフッ、ククッ……」

 

「お、おい、バートリー? 大丈夫か、バートリー!!??」

 

 1000万ポイントと言われたと同時に目を見開き驚愕と虚無を混ぜ合わせたかのような表情に変わった出久を見てお腹と口を抑えて笑い、止まらなくなるレイミィに心操が慌てて駆け寄りどうすればと思っていると耳郎が慣れた感じに近づいてきて。

 

「あ~、またかぁ。ほら、息を吸って、はい吐いて~、そうそう、もう一回繰り返して~」

 

「……慣れてるな、毎回なのかもしかして」

 

「毎回ってわけじゃないけど、まぁ頻度はそれなりかな。えっと、心操だっけ、もしレイミィが近くでこうなったら今の感じにやったげて、じゃないと酸欠で倒れるから」

 

 こんなのが頻繁とか日常生活困らないのか。と心操は思うのだが、ここで重要なのはしれっと耳郎がレイミィの世話係を増やしたという点だろう。しかもヒーロー科ではなく普通科と言う部分がパイプの広げ方としては理に適っている。

 

 等とレイミィが落ち着くをなんとか取り戻そうとしている中でもミッドナイトによる騎馬戦のルール説明は続いている。曰く制限時間は15分、振り分けられたPの合計が騎馬のPとなり、その数字が刻まれているハチマキを首から上の部分に装着、終了まで取り合うということ。

 

 ハチマキを取られたとしても、騎馬が崩れようともアウトにはならずに時間いっぱいまで10~12組の騎馬が常にフィールドに健在するということ。個性ありの残虐ファイトではあるが、悪質な騎馬の崩し目的の攻撃は一発アウトで退場になるということ。

 

「それじゃ、これより15分! チーム決めの交渉タイムよ!」

 

「15分、随分と長く取るんだな。で、大丈夫なのか、バートリー」

 

「すぅ……はぁ……ごめんなさい驚かしたわね。ふぅ、にしても普通の騎馬戦とは随分と毛色が違うこと……さて、心操、私と組んでくれないかしら」

 

「え? お、俺とか?」

 

 いきなりの誘いに思わずという顔でレイミィの顔を見る心操。声的に近くに居たからとかではなく、初めからそのつもりだったというのも彼の困惑に繋がっている。

 

 嫌かと言われればそうではない、寧ろ自分と組んでもらえるのならばありがたい話ではあるのだが、それはそれとして理由を聞きたいと言えば

 

「私と貴方が組んだらそれだけで試合が終わるからだけど? 詳しい説明はチームを組み終えてからでいいかしら?」

 

「あ、あぁ、そういえばバートリーの個性は聞いてなかったな。で、残りは誰にするんだ」

 

 なんかサラッと凄いことを断言された気がするが気にしないことにして、レイミィに残りのメンバーの宛はあるのかと聞け、理想はあるとのこと。

 

 だが一人は何とかなるとしても四人目が拾えるかが運頼みなのよねと呟きながら、彼女が向かったのはチームメンバーを探しているのだろう尾白の所。

 

「チーム、決まった?」

 

「いやまだだ、もしかして」

 

「えぇ、良かったら来て頂戴、貴方が居ると助かるし」

 

「よろこんで」

 

 これは重畳と言葉にも顔にも出さずに内心でヨシッと拳を握る。個性的なクラスメイトが多いA組に居るからなのか本人も心の何処かで【普通】と題してしまっている尾白ではあるが、レイミィから見れば総合的な能力のバランスが高水準であり、居れば様々な部分での安定が図れるという破格な存在だと思っている。

 

 なので騎馬戦と言う動き回る競技では尾白が馬をやってくれるだけでも大いに助かる。こうしてまた一人メンバーが決まり、とりあえず尾白とあったこと無いだろうと、先に心操と挨拶を済ませることに。

 

「君は、確かバートリーに便利屋に誘われれた心操、だよね。俺は尾白猿夫、よろしく」

 

「あぁ、普通科1-C組の心操人使、よろしく」

 

「あと一人なんだけど、出来ればB組を拾いたいのよね」

 

 B組、彼女がそういった理由は障害物競走での順位。どういうわけか、B組の順位は全員して中間から下に固まっていることがレイミィの中で引っかかったらしい。

 

「正直に言ってA組とB組で能力の差は然程ないわ。個性を上手く使えば上位層との争いにも参加できたはず、だと言うのに一部を除いて気持ち悪いほどに中間以下に固まってるのよ」

 

「つまり、バートリーとしてはそのB組の人間から内情を知りたいってことか」

 

「えぇ、間違いなく組ぐるみでなにか企んでるのは確か。ただ問題があるとすれば」

 

「A組の人間が誘って、チームに入ってくれるやつが居るとは思えない、か」

 

 普通に考えて、入らないだろう。最終手段としてモスキートを飛ばして記憶を覗き見ると言う手段もあるが流石のこの祭りでそれはやりたくないという心がある、なのでどうにかしてB組の誰かをと考えてから、仕方がないかと彼女は呟く。

 

 考えていても事態が好転するわけじゃないしと、レイミィはこちらから誘うしか無いかと動き出すのだが約1分後、分かってはいたけどと落ち込む彼女の姿が。

 

「駄目ね、話は聞いてくれるけど、それはそれ理論で入ってくれないわ」

 

「そりゃまぁそうだろうとしか」

 

「あの選手宣誓のお陰で話を聞いてくれるだけでも印象は良くなってはいるんだろうけどね」

 

う~と困ったという感じに唸り始めるレイミィに男二人はさてどうしたものかと考え込む、話して分かったのは主導となっているのは物間と言う生徒であり、その件の人物がどうにもA組に対抗意識を強く燃やしているらしいということ。

 

 世間がA組ばかりでB組の事を全く見てないと思っているのだろうとレイミィは推測しつつも、今はそれどころじゃないと最悪はこの三人で騎馬戦するしか無いかと覚悟を決めたタイミングで

 

「あの、よろしいでしょうか?」

 

 声を掛けられ全員が振り向けば、髪が茨になっている少女の姿。レイミィはその姿を見て、彼女が誰なのかをすぐに思い出し驚きながら

 

「【塩崎 茨】よね。聖者さんが悪魔に何用かしら?」

 

「私には貴方が悪魔には見えませんよ……いえ、貴方達がB組の者をチームに迎え入れたいと聞きまして入れてもらおうと思い。来ました」

 

 まさかの言葉に少し目を見開くレイミィ、心操と尾白も驚いた様子で彼女を見れば、想定外の反応だったのだろう怯む姿に、レイミィは直ぐに気を取り直して

 

「あぁごめんなさいね。まさか自主的に来てくれる人が居るとは思わなかったのよ。でも良いの? B組全体でなにか企んでたんじゃなくて?」

 

「策はあるようですが、私としては選手宣誓であれほどの素晴らしい気持ちを打ち明けた貴方と楽しみたいと思ってしまって」

 

「やったな、バートリー。あの宣誓が響いたってよ」

 

「まぁ、俺も聞いてて気持ちの良いものだとは思ったけど。とりあえず、これで四人になったな」

 

 嘘偽りがない声でそう言われ、男二人からも改めて褒められたことにレイミィが若干だが頬を赤くしながら、態とらしい咳払いでそれを誤魔化す。

 

 どうであれ、これで彼女が想定したメンバーが集まり、ここからは個性のすり合わせと作戦会議となり、先ずはレイミィから

 

「チャッチャと個性のすり合わせを行いましょうか。私の個性は【吸血姫】、吸血鬼っぽいことは何でも出来て、弱点は吸血衝動と鏡に映らない以外は無いわ」

 

「改めて聞いても吸血鬼っぽいことっていう範疇超えてると思うんだが。俺はまぁ見ての通り【尻尾】っていう個性だ、ただ接近戦には心得があるからいざって時は任せてくれ」

 

「私は【ツル】、このように自在に操ることも出来ますし、切り離したものもコントロール可能です」

 

 切り離してもコントロール可能という部分に様々な可能性を感じつつ、実演として動かしているツルを見るに速度も中々のもの、これならば尾白だけではカバーしきれない周囲の防御も任せることも可能だろう。

 

 そして、最後に心操なのだがやはり今までのことがあるのか言い出すのに少しだけ戸惑いを見せつつも

 

「俺の個性は【洗脳】、意識して声を掛けた相手が返事をするだけで洗脳状態にすることが出来る」

 

「へぇ、だったら人質を取ってる(ヴィラン)なんかをあっさり無効化出来るじゃないか」

 

「それに立て籠もっている(ヴィラン)にも有効ですね」

 

「……」

 

 今まで、彼の個性を聞いた者達は口を揃えて(ヴィラン)っぽい個性だとか、自分を洗脳してくるなよとかそういう言葉ばかりを掛けられてきた。

 

 けれど目の前のヒーロー科の二人は即座にヒーロー活動で役に立つと世辞ではない声で告げられたことに心操は思わず泣きそうになるのを堪えていると

 

「ね、ヒーロー科って思考までヒーローなのよ。だからそこらの一般人と同じにしちゃ勿体ないわ」

 

「そう、だな。ところで、俺とバートリーが組んだら試合が終わるって言うのはどういうことなんだ?」

 

 確か誘われた時にそんな事を言われたなと思い出して聞いてみれば、あぁとレイミィもそろそろ話しておくかと周りに聞こえないように声を落とし、ついでにそれが作戦の一つだからと内容を話してみれば反応はそれぞれ違った。

 

「無法って言葉知ってるかバートリー? いや、何でもありってミッドナイト先生は言ってたけどこれ、ヤバい組み合わせだな」

 

 例えば尾白は上記のようにあまりのえげつなさに軽く引いていた。確かにルール違反しているわけでもないので問題はないがやられたほうが正直気の毒になる、それくらいに酷い初見殺しだった。

 

「あの宣誓をした生徒がこの作戦を行ったとなれば、反発が強く出そうですが……それは大丈夫なのですかバートリーさん」

 

 例えば塩崎は上記のようにレイミィへの心配をしていた。それくらいには再三になるがえげつない作戦なのだ、もっともレイミィもそれは理解しているのでやるのは一チームだけだとは告げている。

 

「で、その一チームが物間ってやつのところなのは何でなんだ? いや、作戦事態に不満はない、寧ろ俺の個性が活かせるなら活かして欲しい」

 

「話を聞く限りだと彼って煽り魔らしいから、一々それを聞くのも面倒だなって。じゃ、それで作戦は決まりね、速攻で物間に喧嘩売って、あとは流れで暴れるってことで」

 

 作戦と言うには開幕以外はゴリ押しではと思う部分もなくはないが三人はまぁ良いかとレイミィの言葉に頷き、残り時間をB組の個性の把握や性格を行うが、その理由が心操にある。

 

「あぁそうだ、心操。貴方の個性の使い方、実戦で教えるつもりだけど煽り一辺倒は駄目だから」

 

「と、言うと?」

 

「良い? 返答で発動できるなら相手のことを知り、人間関係を把握し、その上で無言は不都合になる言葉を投げかけることを心掛けると良いわ。今回は塩崎が話してくれた情報にプラスして私が騎馬戦の最中に集めて投げるから、自分で吟味してみなさい」

 

「わ、分かった、やってみる」

 

 心操人使、後にヒーローとして活躍し、便利屋にとっても最高のビジネスパートナーの一人となる彼の初陣が始まろうとしていた。




騎馬戦の場面だけで次の1ページどうやって書こうかと既に頭を抱えてる系作者。

便利屋メモ
レイミィが心操に話し掛ける度に被身子があれってそういうことなんですかね!と騒いで、圧紘がそうだねぇと適当に流していたとか何とか
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