彼女と僕しか知らない一日 ~妙に距離感の近い元気系ガイノイドと行く小旅行~ 作:さばてん@コピーライター
・人物紹介
『彼女』
茶色いポニーテールがチャームポイントのますきゃっと型ガイノイド。
主人公のもとに来た時は乙女らしい性格にしていたが、ひどく警戒されてしまったため
少しずつ男友達のような性格に自己矯正している。
筆談はビジネス用の性格しか間に合っていないため、無愛想もに見られる。
人間に恋されるよう命じられている。
識別番号:699922228
『僕』
本作の主人公。トランスヒューマンの勤労学生。
アダム・プロジェクトのために『彼女』を居候させている。
心ではロボットごときに恋したくないと思っているが、身体は正直。
犬種はゴールデン・レトリバーのキメラ。
・世界観解説
『前置き』
のらきゃっと二次創作というものは、少なくとも小生の知る限り
泥沼のようなSF戦争物から、人型ロボットの日常・甘い恋物語まで、様々な形と設定をとられています。
これは、大元の元ネタであるバーチャルユーチューバー・のらきゃっと氏のキャラクターが持つ、戦闘機械と少女の二面性に由来するものでしょうか。
あるいは、SFというジャンルに集まるクリエイターの癖の強さによるものかもしれません。
本作では既に、作中にて「ますきゃっと型アンドロイドの立ち位置」を示していますので、
この項は、あまり大切でない所についてお話していくものになります。
もう少しだけ、御付き合い頂けましたら幸いです。
『人型ロボットの表記ゆれの話』
このような小説を読みに来る諸君らであれば、今更ロボット・アンドロイド・ガイノイドの国語的な意味について解説するまでもないとは存じているのですが
それを省略してしまうと、ここに書く事が大幅に減ってしまいますので、敢えて説明を交えながら解説させていただきます。
『ロボット』はかの有名な先人の書くとおり、"ロボタ"<隷属する労働者>を語源としており
本作では『人間の代わりに戦争するもの』あるいは、後世における人口を嵩増しする人型機械としてのますきゃっとを意味します。
世界大戦の最中に合成強化人間として作られ、呪われた出自を持つ主人公にとっては、縁浅からぬ存在であり、多少の忌避を感じるものであったことでしょう。
『アンドロイド』の語源は諸説ありますが、自動機械が人間らしく振る舞うものとしての"男性の似姿"を意味するギリシア語は
人間に並び立つ存在である、と主張したい"本社"にとって『のらきゃっと型アンドロイド』という言葉は、格好の宣伝文句になると判断されたことでしょう。
一方、ますきゃっとが人間に並び立ち、ある点では人間を凌駕するものであるという認識は、主人公にとっては当然のものであるため、
主人公の独白において、この単語が用いられる場面は限られています。
『ガイノイド』という単語は、この由来については昨今物議を醸すものでもあるため、ここでは差し控えますが、
本作では"女性の似姿"としての意味を強調しています。
これはのらきゃっと氏の言うところの『美少女型アンドロイド』に相当し、
本作においても、主人公が"彼女"を友人や女性として意識する場面で用いる…はずだったのですが、
二人の交流に重点を置きすぎてしまったために、ひょっとすると、本作では一度も使われることは無かったかもしれません。
『人格シミュレーション』
一話目に説明のあるとおり、本作におけるますきゃっとの人格とされるものは、高度なプログラムによって"適切な反応を返す"ものでしかありません。
これは画面のこちら側の世界で、執筆時点で流行していた生成AIを強く意識したもので、
会話に必要な要素の蓄積や解析が為されなければ、当然、流暢に話すこともままなりません。
このために、人物紹介の『彼女』の項目にあるとおり
会話人格のリプログラムに多大な計算資源を割いたために、"彼女"の書き言葉は形式ばった固い口調のままになってしまった、という訳なのです。
話し言葉と書き言葉は、似ているようで違う形式のプロトコルなのですから。
『サウナ』
サウナに眼鏡を持ち込まないように、という注意書きは、温泉好きの方なら一度は目にしたことがあるかもしれません。
熱くなった金属が肌に触れると、火傷になって良くない、ということだそう。
本作では、ますきゃっとのメカ耳を金属製としているため、当然、主人公はサウナに入ろうとする"彼女"を引き止める訳です。
勿論。長時間の高温程度で、ますきゃっとが壊れるはずもないのですが…
そんな認識のズレなども、二人の可愛らしい関係と言えるのではないでしょうか。
とても長い後書きとなってしまいました。
本作の更新はここでお終いかと思うのですが、よければ、また読み返したりしてあげてください。