TSネコ少女おじさんは百合の間に挟まらない(叶わぬ願い)   作:TSの聖地(性地)ハーメルン巡礼者N

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1-15 『彼女の覚悟』と『◯◯』の間に挟まる話

 

 

(『チビジャリ! いい加減起きるニャ!』)

 

 ────んぅ?

 

(『もう朝でございますにゃ。良い子はおはようの時間でございますにゃん、クロコ』)

 

 ――あさぁ……? あさ、朝……あと10分……すぴ~。

 

 

 

 

 

(『クロコ!』)(『チビジャリ!』)

 

 

 どわぁ!? わ、わかったって。起きるからぁ……。

 

 脳内でわーニャー騒がれると流石に寝てられん。ゆっくりと意識を覚醒させると、なるほど。まぶたを閉じているのに感じる光。前髪と合わせて二重のバリアを貫通してくる以上、完全に日が登っているらしい。

 仕方ないと諦め、いざ起床……って、あれ? 両腕が動かないんですけど、2人がなんかしてるの?

 

 

(『? いえ、わたくしたちは(にゃに)もしていにゃいのでございますにゃん』)

 

(『そもそもオイラたちはまだポケットの(ニャか)ニャ。チビジャリの手にパペットが(ニャ)い時は干渉できニャいのニャン』)

 

 

 そうなん? じゃあなんで……――ッ! ま、まさか拘束されてんのか!?

 例の上位種ゴブリン2匹は()()()()()()()し他のゴブリンは殲滅したハズだけど、生き残りがいたのかもしれん。

 

 

(『だとしたら一大事ニャッ! ニャんとかしてパペットを着けて脱出ニャ!』)

 

(『いえ、それは悪手でございますにゃ。まずは状況を確認してからでも遅くはにゃいハズでございますにゃん』)

 

 

 そうだな。少なくとも今までぐーぐー寝てられた以上、すぐに動かないと危険ってわけじゃないのだろう。逆に不用意に動いて俺を拘束してるヤツを刺激するほうがマズイかもしれんね。

 おし、そうと決まればまずは寝たフリのまま状態確認だ。身体に痛みや違和感は……なし。疲れや魔力は相変わらず回復しきってはいないが、動けないほどじゃなさそう。

 拘束されている腕に感じる圧迫感は幸い足には感じない。試しにわずかに動かしてみると……よっしゃ、動くじゃん! 足は拘束されてないっぽい。

 

 となると、やはり問題は腕か。集中集中っと。

 右手は全体に圧迫感を感じるが、手首から先はフリーのようだ。一番圧迫されてるのは肩に近い二の腕付近。感触はやわらかくてぷにぷにしてる? なんとなく包まれているような未知の感覚だ。

 左手は二の腕の片側に圧迫感。それと、右手と違って手首から先を動かすことができない。いや、というかコレ……手を握られてるんじゃね!?

 うわ、マジかよ気持ちわる――くないな。むしろ、なんか()()()()

 

 思わず手をにぎにぎ。ふぉぉ……!

 かなり手が荒れてるけど、ひんやりしててクセになりそ「う、んぅ……くろ、こ……スゥ」────は?

 

 肩に近い左の二の腕付近、具体的にはちょうど圧迫感を感じるあたりから聞こえた眠たげな声。

 それは、この1日でえらく聞き覚えができた……だが、()()()()()()()()()()()()()。そういえばこの手の感触、俺の大好きな手に酷似しているような……。

 

 

(『お、おお落ち着くニャ……ま、まだあわてるようニャ時間じゃニャい……ハズ』)

 

 

 で、ですよね~。ただ、ちょっと距離を取りたいな~って。いや、別にイヤな予感がするとかじゃなくてね~?

 そんな、誰に対するものなのかもわからん言い訳をしながら右にずれようとする――が、これがいけなかった。右手を横に動かした瞬間、二の腕がぷにぷにしたナニカに沈んでゆく……! ふぉぉぉ……っ!!

 なんだこの奇跡のような感触は! あったかもちもちで「やぁ、ん……だめぇ……スヤァ」────は??

 

 今度は俺の頭のやや上から聞こえた、眠たげなのに妙に艶っぽい声。こっちも聞き覚えありますねぇ……。

 加えて、俺がわずかに位置をずらしてしまったせいだろう。耳に……! 耳に吐息がダイレクトアタック……! や、やだ……これ、やぁだぁ……っ!!(ビクンビクン)

 

 

(『クロコ……これは……この状況はもしや……!』)

 

 

 ハハ、アハハハハ。そんなバカな話があるわけないじゃん。

 百合の為なら命すら捧げる覚悟のこの俺が――

 

 百合の間に挟まって爆睡

 

 ――してたなんてそんなわけ。そんなの誰も幸せにならないもんよ。

 大丈夫、俺はゴミカスだが百合に関することだけは信頼できる。だから大丈夫、大丈夫なんだっ!

 

 俺は意を決し、そーっと目を開ける。すると、まず目に入ったのは見覚えのないボロ天井。

 普段の俺だったら嬉々として “知らない天井だ(パロディネタ)” に走るんだが、流石に今はそれどころじゃない。

 

 まずは右から、恐る恐る首を傾ける。

 すると、真っ先に目に飛び込んできたのはやはり褐色ダブルインパクト。そのたわわに実ったソレが俺の二の腕を丸呑みし、我が理性を消し飛ばそうと今も上目遣いで見つめていた。*1

 堪らず反射的に引き抜こうとするが、俺の腕に絡みつくように回されている褐色の腕がそれを阻んでいる。というか、抵抗するとより一層抱き寄せられる力が増して……アッアッアッ(白目)

 飛びそうになる理性と意識をなんとか保ち、やや上を向く。ちょうど俺の耳の位置にある熟れたような唇。美しさと艶めかしさを併せ持つ、そのご尊顔の持ち主は――

 

「ん……あらぁ……? ふぁぁ……ん~、おはよ~、クロコちゃん」

 

「────おは──にャ」(ガクブル)

 

 動揺のせいだろうか、割とすんなり出てきた挨拶を返しつつ反対側も確認する。――え? ふ、震えてなんかいないよ?(震度3)

 まず視界に入ったのは緑がかった金髪。それが日光に当たることでキラキラと輝いているよう。俺の肩付近にかかる圧迫感の正体は、どうやらラーナたんの頭であるらしい。

 となると、予想通りに俺の手を握っているのも……その事実を不承不承認め、慌てて手を離そうとする、も。ラーナたんの握る力が増し、そのうえ頭がすりすりマーキングするように……オッオッオッ(白目再び)

 込み上げてくるナニカを必死に堪えていると、ラーナたんがモゾモゾ動き出す。その様子を見守っていると、やがて顔を上げた彼女のエメラルド(宝石)よりも鮮やかな翠眼と目が合った。

 

「あふぁ……くろ、こ……? ――っ!? え、な、なんっ!? うそっ、いつからららっ、ち、ちがうのよこれはそのアレよ子どもたちと勘違いしたっていうかいや別にいつもくっついて寝てるわけじゃなくてその――」

 

「────おは──にャ」(ガクガクブルブル)

 

「だからこれはそう決して心を許したとかじゃなく――あっうん、おはよ……」

 

 なんか朝からおもしれー女になってるラーナたんに挨拶し、このまったくおもしれーくねぇ状況について考える。――は? だ、だから震えてなんかいないってば!(震度5)

 ……ああうん、考えるまでもないか。一瞬でも現実逃避すること自体が百合への冒涜ですわ。

 

 周りで雑魚寝している子どもたちを起こしつつ筋肉痛に(もだ)えるクーニュさんと、未だに顔真っ赤のおめめぐるぐる状態で己と葛藤しているラーナたん。

 俺はそんな彼女たちの姿を目に焼きつける。……お幸せに、と願いを込めて。

 

 

 

 ――さあ、逝こうか

 

 

 

 

 

 

~ ~《視点変更・ゴブリンウィッチ》~ ~

 

 

 

 

 

 

「……ヌウ、モウアサカ」

 

「ゴガーー、ブガガーー」

 

「…………ハァ」

 

 隙間だらけの天井と壁から差し込む光、それとクソ耳障りなデカブツのイビキにより浅い眠りから目覚める。完全に寝不足だ。

 それもそうだろう。人間どもに完膚なきまでに敗北した悔しさ、忌まわしきネコモドキに生殺与奪権を握られた不安……こんな状況でガーガー寝られるのは阿呆だけだ。なあ! このクソボケジャイアント!

 

「ゴベェッ!? ……なんだあ(ゴブウ)? メシ(ブゲ)?」

 

 デカブツに向けて放り投げた家畜用の水桶が頭に直撃する。なんでこやつは腕を切断、止血のために焼かれただけで放置されてんのに呑気に寝てられるんだ? まったく……。

 

 

 

 ――我らは決戦に敗北した。

 

 敗北後、気絶から強制的に叩き起こされた我ら2体。そこで待っていたのはネコモドキの魔法による隷属化であった。

 詳細は思い出したくもないので省くが、我らにはネコモドキ(術者)の意に反することをすると罰を受ける呪いが刻まれている。その罰は軽度でものたうち回るような痛み、重度だと “死ぬ” 。……改めて振り返るとなんという理不尽な楔であろうか。

 こうして逆らえなくなった我らの案内で人間どもは仮の巣穴に直行。そこに残していた間引き対象外のゴブリン(同胞)たちは殲滅されてしまった。

 

 その後、我らはネコモドキの駒となることを承諾させられ、ヒトメスたちが村人の注目を集めているうちにコッソリと指定された場所へと向かったのだ。

 その場所こそが我らの新たなる寝床――ヒトメスの家の裏にある、現在は使われていない家畜小屋であった。……偉大なる我らゴブリンの支配層が家畜とはな。へっ……。

 

 

 

 さて、振り返りはこんなところか。

 逆らいさえしなければ命は保証するとは言っていたが、はてさていったいどうなることやら――む?

 

「────」

 

「ブゲェッ!? いつの間にそこにいたぁ(ゴブブゴブゲゲェ)!?」

 

「……チッ、サッソクキタカ。ネコモドキヨ」

 

 いつから居たのか、出入り口付近の壁に寄りかかっていたネコモドキ。相変わらずの無表情が気色悪いことだ。ま、ヒト族の顔なぞ痛みや怯えなどの負の表情くらいしかもとより興味ないがな。

 

「ソレデ? ワレラニナニヨウナノダ?」

 

『 “――” でございますにゃん……』

 

「ハア? ナントイッタノダ?」

 

『だから “処刑” ニャ! 死刑の執行に来たのニャッ!!』

 

「ナ……ンダトオオオッ!?」

 

「ゴ、なに(ゴブ)!? ミーにもわかるように言えよぉ(ビーゴブゲブブゥ)……」

 

 ええい、その図体でビクビクするのはやめんか! ちょっとでも不利になるとすぐ弱気になりよってからに。

 まあ、このままビクつかれても面倒なので通訳はしてやるが。

 

えー(ブゲ)そんなのひどいよ(ブンシャカブブン)! 言うこと聞けば殺さないって約束なのにー(ブブブーブブーブブー)!」

 

 阿呆が段々と退行していくのはさておき、言ってること自体は我も同意見だ。

 勘違いでなければ我らという戦力及び労働力が手に入って喜んでいたハズなのだが。実際、めちゃくちゃ尻尾振ってただろうに!

 

『問答無用ニャー! しょ・け・い! しょ・け・い! さっさとしょ・け・い! しばくニ゙ャー!』

 

『くひっ、くひひ♪ ありとあらゆる世界で共通する、たった1つの真実である罪。そ・れ・は~?』

 

「マ、マテ!? ヤメロ! ワレハマダシニタク――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――百合の間に挟まった男には―― “死” あるのみ――にャ」(震度100)

 

 

「「ゴブギャアアアア゙ア゙ア゙!?!?」」

 

 

 いやあああ!? なに、なんなの!? なんでめっちゃ震えてるのこの子ぉぉーー!?

 

 ちょちょちょちょちょぉっ! 震え……震えてるってレベルじゃないわよ!? ヒト族どころか生物がしていい震え方じゃないじゃん!!

 

 なんだか輪郭もぐちゃぐちゃにブレて……ブレて……いや、作画崩壊してんじゃないのいやいや “作画” ってなにさ!?

 

 ちょっ、た、立ってられない……ゴブエエエ!? これ、まさか……っ、この子の振動が地面に伝わって地震になって――ってギャアアア!? 小屋が倒壊するぅぅぅ!!

 

 もうやだああ! 助けておかあちゃーーん゙────って、あ!

 

 

 プチッ

 

 

「…………」「…………」

 

 ……つ、潰れた。

 

 私たちゲフンゲフン……我らが出入り口から逃げ出した瞬間に屋根の一部が黒猫の上に落ちてきて……ぷちっと逝った……!

 つまり、これは――!

 

「ゴ、ゴブウウウ!!」

 

「ナンダカシランガ、ヨッシャアアア! テンハワレヲミステナカッタアア!」

 

 ネコモドキは隷属化の際にこう言った。我らが開放される時、それは “クロコ(自分)が能力を解除した時” か “()()()()()()()” の二択だけだ、と。

 それを聞いた時は何年、何十年とヤツらのためにこき使われるのかと絶望したものだが。

 なんと1日! 奴隷解放RTA記録更新でございますいやRTAってなんだよ!?

 

「……これはいったい~、どういうことなのかしら~?」

 

「このアホゴブリンども……! ふっざケロー! こんなことしてタダですむと思ってんじゃないでしょーねえ!」

 

 っ! ヒトメスにエルフ娘!

 フン、愚かなのはどちらだ。ほれ、デカブツ! 油断しているうちに殺ってしまえい!

 

「! 右手のカタキだ(ブゲブゴゲ)ーー!」

 

「え、きゃあっ」

 

「あ、クーねぇ!」

 

 戦闘の心得のある者の(さが)なのだろう。デカブツが害意を向けた瞬間、ヒトメスが反射的に(武器)を構えようとして倒れそうになっている。バカめ、ネコモドキ亡き今! 貴様の足が動かないのを忘れたか!

 エルフ娘も悠長に支えようとしおってからに。ヒトメスを見捨てて一目散に逃げれば助かる可能性もあったのだがな。

 

 だがもう遅い。

 ほれ、デカブツがヤツらに向けて1歩踏み出し――(いた)っ……へ?

 

「イタッ、イダダダダダッ!? ナンデッブゲギャァァ!!」

 

「ブギィィイイ!? 死ぬ(ゴゲ)ェェェ!!」

 

「えぇ……なにコイツら、マジでなにがしたかったの……?」

 

 ヒトメスを()()()()()()()()()()()()エルフ娘の当惑の視線が向けられるなか、痛みにのたうち回る我ら2体。

 いや、意味がわからんのはこちらもなんだが!? クソ、あのネコガキめ……ウソを吐いてたってことかイデデデッ!?

 

「ハァ……つきあってられないわ。今から宴らしいから余り物のご飯でも持ってきてあげようと思ってたのに。いい? 小屋を元通りにするまで食事抜きなんだから。それじゃあね」

 

「あ、ラーナちゃん待って~。うぅ、足が痛いわ~、もぅ……」

 

 おいコラ、ちょっと待てい! 小屋を壊したの我らじゃないから! 貴様らの飼い猫だからあ! 聞けえええええ!!

 

 

 

 ――こうして我らは理不尽にも2日間の断食を余儀なくされたのだった

 

 

 

 

 

《第1章 ハーフエルフ少女と褐色巨乳お姉さんの義姉妹百合の間に挟まれて圧死するまでの話》

 

~ 完 ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────」

 

 ……で、このネコモドキは何故しれっと復活してるんだ??????

 

 

*1
気のせい。おっぱいに縁が無さすぎてついに幻覚を……お労しや クロ上

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