TSネコ少女おじさんは百合の間に挟まらない(叶わぬ願い) 作:TSの聖地(性地)ハーメルン巡礼者N
※クーニュ視点
「あ……あ、あぁっ……!」
――諦めていたわ。
こんな日が訪れるなんて夢にも思っていなかった。
「クーねぇの、足が……!」
「動いてる……っ、クーニュさんが立ってますよ! ラーナさん!」
「うん……! ゔん゙っ! よがっだ……ズビ、ズビビィ」
足が動く。力が入る。
地に足をつく。感触を感じ取れる。
歩く。おぼつかない。でも、手を。棍を杖として使わずとも移動できている。
走る。無謀だった。倒れ――ない。
「――クラ◯が――ク◯ラが立った――にャ」
「◯ララって誰よぉぉ……でも、ありがとね。クロコ」
『礼ニャんていらねーのニャン。これから馬車馬のように働いてもらうのに必要だからやってるだけニャ。ほらほらぁ♡ ざこ足よちよちねーちゃんの地獄のリハビリはこれからニャン♡ キーシッシッシ♡』
「ええそうね、走った程度でふらついてるようじゃ話にならないもの~。ふふ――うふフ。さあ、続きを
『ニ゙ャッ!? こ、ころされッ!? ご、ごめニャゆるしててて――ガクッ』
「秒でわからされましたね……。ふふ、それにしても目が開いているクーニュさんは久しぶりです」
あら? 嬉し楽しすぎてちょ~っとだけ漏れちゃったかしらね~。うふふ。
――さて、気持ちを切り替えましょう。
実際、今のままでは今夜にでも襲ってくるであろうゴブリンたち……特に、上位種のゴブリンには勝てないもの。全盛期レベルとまでは言わないけど、せめて10歳の頃くらいまでは戦闘勘を戻さないと。
ラーナちゃんは私のパペット作り、クロコちゃんは魔法でのサポートと自分たちの役割をまっとうしてくれた。
ならば後は私しだい。私がみんなを守るんだ!
だからコメンね、レオーネちゃん。
(「こんなに都合の良いことがあるのでしょうか? ……いえ、忘れてください。考えすぎてしまうのはわたしの悪いクセですね」)
そんなことはない。信頼している貴女が慎重でいてくれるからこそ、私は
――そう、実は彼女のことを疑っているのはレオーネちゃんだけじゃない。
むしろ、私の方が疑いの気持ちは強いとさえ思っているのだ。
レオーネちゃんがクロコちゃんを怪しんだのはゴブリンの詳細を聞いてかららしい。でも、私はもっと前から。それこそ、彼女がラーナちゃんとともに森を出てきた瞬間から違和感を覚えていた。
というのも、2人の距離感が近かったからだ。クロコちゃんの方はともかく、ラーナちゃんのこの態度は明らかに変。数年とはいえ姉代わりをしている私だからこそ断言できる。
なるほど、ラーナちゃんからすればクロコちゃんは命の恩人。それに加え、力を合わせて戦いに勝利したことで戦友に近い気持ちも芽生えているかもしれない。“普通の人” ならあの距離感の近さも納得だ。
だが、身内以外だと精神的に分厚い壁を作ってしまうラーナちゃんは話が別。あの子に信用されるにはある程度の時間が絶対に必要なの。
だというのに、クロコちゃんはいとも簡単にその
となると私は……姉として彼女を疑わざるを得ないのよね。この世界には人を操ったり洗脳する方法がいくつか存在するのだから。というか、クロコちゃんの能力なんてまさに “ソレ” だったわけだし。
なので、ラーナちゃんから森での詳細を聞いた私はクロコちゃんの思惑を見極めようとした。もちろん感謝はすれど、ね? ソレはソレ、コレはコレです。
可能性として最も高いのは、やはりラーナちゃんの女性としての価値だろうか。売り
私はこの疑惑の真偽を確かめるべく、己の身体を囮にして反応を見ることにした。服の
そして、結果は “クロ” 。クロコちゃんは女性の身体に強い興味を持っていることがわかったの。
目が隠れているからわかりづらかったけど、胸を見せた瞬間に刺し殺さんばかりの視線を感じたわ。戦闘慣れしていると、そういうのに敏感になっちゃうものなのよ。
……ただ、その後の反応がちょっとわからないのよねぇ。
すぐに目線を逸らしたかと思えばネバつくような興味を向けられるし、『少しくらいならバレないだろ』って考えがバレバレなチラ見をしてくるしで……なんというか、童貞くさい?
不思議よね、あんなに可愛い女の子なのに。その反応だけは
ともかく、この時点で私は疑惑を深めていた……のだけれど。しつこいロトムさんを追い払ってくれた時に、よくわからなくなっちゃったのよねぇ。
クロコちゃんが彼を追い払った方法。効果的だったのは確かなんだけど、非常に悪趣味だったことも確かだ。
ゴブリンに性的に襲われかけてからさほど時間も立っておらず。加えて、直前に性的なことに強い拒否反応を示した
というか、そもそも女の子があんな低俗なことを思いつくのかしらね。発想が男性的というか、少なくとも女性は思いついてもやらないんじゃないかな、と。
私が胸を見せたときの反応といい女性へのデリカシーのなさといい、クロコちゃんって
う~ん、ほんとここまでだと怪しい点しかないのだけれど。ロトムさんへの怒りだけは間違いなく “本物” だったのよねぇ。
一瞬、本当に一瞬だけ――自分の獲物を横取りされそうだから――とも考えたわ。
でも、アレは違う。あの怒りはもっと “純粋” なナニか……それこそ、彼女の根幹を土足で踏みにじられそうになったかのような。それがなんなのかは全然わからないけどね。
おもしろい。本当におもしろい女の子だと思う。
ついつい未知を求める冒険者としての血が騒いてしまうくらいには。
………………さて、と。
ここから先はクロコちゃんの疑惑がほぼ晴れることになる作戦会議の回想になるんだけど……ね?
正直、私たち全員が盛大にピンク色の勘違いをした件に触れないといけないから気が重いのだけれど。触れなきゃダメ? ――あ、ダメ。アッハイ。
ええっと、たしかキッカケはロトムさんが口を滑らしてラーナちゃんがハーフエルフだとクロコちゃんにバラしてしまったことよね。
ハーフエルフがどういう存在かは
慌てて対称を私だけにしてもらおうとするものの、ラーナちゃんが本命だと一蹴されてしまう。さらにはラーナちゃんまでもクロコちゃんの提案を許容してしまったから打つ手はなくなった。
ハラハラと見守っていると、ついに投下された決定打。“いま” 、“ここで” 、“ヤる” 発言……ねぇ、いま思い返しても私たち悪くないと思うわ。誰だって勘違いするでしょう、コレ。
ハァ……コホン。
その後にラーナちゃんから泣きが入り、私がクロコちゃんの物理的排除を決断しかけたところで根本的な勘違いが発覚したのよねぇ。
ほんと、穴があったら入りたいくらい恥ずかしいわ。もちろん、女性としてピンクな勘違いをしていたからではなく、人間として恩人を疑っていたことがよ? ……いえ、ピンクの方も十分恥ずかしいのだけれど。
クロコちゃんが本当に買っていたのはラーナちゃんの裁縫の腕だった。それも、自分の能力の生命線を預けるに足るとまで。
ラーナちゃんも素直じゃなかったけど嬉しそうだったなぁ。それはそうよね。自分が寝る間を惜しんででも高めてきた技術が正当に評価されたのだから。
それに、これでもう
私に関してもそう。彼女が欲していたのは戦闘力だった。……クロコちゃんは言い回しが独特すぎるのよね、もうっ。
例の視線の件など少々不可解な点はあれど、
だから私は支配も可能な彼女の能力を受け入れ――結果として最上・最良の結末を
もう私は彼女を疑うことはない。
難しいことはレオーネちゃんに丸投げだ。本人もそう望んでくれているようだし。
だからクロコちゃん――いいえ、“ご主人さま” ?
不束者ではありますが、これからもラーナちゃんと私を
ふふ、な~んてね。
なお最後の冗談を万が一にでも口に出した場合、クロコは百合の間に挟まったと思い込み『夜・露・死・苦』される