TSネコ少女おじさんは百合の間に挟まらない(叶わぬ願い)   作:TSの聖地(性地)ハーメルン巡礼者N

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第2章 ◯◯◯と◯◯◯の挺身百合の間に挟まれて◯◯◯するまでの話
2-1 『青空集会』と『行商一行の来訪』の間に挟まる話


 

 

 ――ふぁぁ、んぁ~ねっむぅ

 

『ふにゃぁ~、今日もいい天気でございますにゃぁ~』

 

『働く下民を尻目に、いつものようにだらだらするニャ~。さいこーニャ~ン』

 

 ゴブリンの襲撃を乗り越え、俺がこの村に居着くようになってから20日ちょっとが経過した。

 あれからの村は平和そのものでなぁ。いや、もちろん良いことなんだけどさ。

 俺の場合は転生後からゴブリンを殲滅するまでの間、戦闘、戦闘、トラブル、戦闘って感じだったじゃん?

 だからさ、この世界はどんだけバイオレンスなんだと警戒してたんだけどね。良い意味で裏切られたわけですよ。平和が一番、セイ・ピース!

 

「では皆さん、ただいま報告にあったように今年は蛇が多いようです。幸い、無毒な種なので噛まれても問題ありません。ですが、子どもは危険なので大人の人を呼んでからお肉にするようにしてくださいね」

 

「「「はーい!」」」

 

 やっぱりバイオレンスな世界じゃないか……(日本人並感)

 スネークイーター、いいセンスだ!

 

 さて、俺の視線の先。村の中央にある井戸、それを囲うように開けた空間――通称 “井戸の広場” にて、村民なら誰でも自由意志で参加できる青空集会が行われている。

 村長代理であるレオーネ嬢を司会進行役に、大小様々な報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が投げかけられているわけだ。

 まあ、ほとんどが『誰と誰が付き合い出した』だの『最近、水が美味いような気がする』だの『どこぞの大きな黒猫が所構わず寝るせいで子どもが真似してしまう』だの。ちゃちなモンばっか「おいコラそこの大きな黒猫」だけどな。ハハッ。

 

「ふむ、ではこれが最後ですね。わたしから、“恵望地” の探索状況について共有いたします。……残念ながら、今のところは発見に至っておりません」

 

 お、ここ最近の村一番の関心事じゃ~ん。

 “恵望地” ってのはレオーネ嬢の造語でな。勝手に翻訳される俺の脳内だと漢字だからわかりやすいと思う。読んで字の如く、恵みを望む地ってことだ。

 で、この恵望地がどこのことを指してるのかなんだが、なんのことはない。俺の転生場所付近のことなんだよね。

 

 前からさ、村付近の森は実りが悪いって話を聞いてはいたんだ。でもね、俺には実感がなかったんだよ。なぜなら、転生場所付近では食料や水に困らなかったから。

 ただね、ここで暮らし始めてからようやく実感するに至ったんだよね。確かに村から数時間圏内は恵みが少なかった。それに、思い返せば転生場所から離れるにしたがって収穫が悪くなってたような気がするんだよね。

 

 だからまあ、その話をラーナたんとクーニュさんにして。その2人からレオーネ嬢に話が行き。

 そこからなんか? やたらと慌てたレオーネ嬢が男手を募り、彼らの空き時間に恵望地の探索を行ってもらっているんだとさ。

 ん~、そんなに食糧事情が厳しいのかねぇ? 確かに潤沢そうには見えないけど、そこまで切羽詰まってるようにも見えないんだけどにゃ~。

 

 あー、そんなことより昼寝してぇ。ぷぇぇ~。

 

「……クロコさん? あの、聞いてますか?」

 

「ちょっとクロコ! なにか思い出したことはないかって」

 

 ないですぅ~。だって、超適当に歩いてきただけだし。オマケにゴブリン避けるためにウロウロしたり、ラーナたんの救援のために走ったりしてるしね。

 

「っていうかアンタはいい加減そこから降りてきなさいよ! ほら、子分たち連れて!」

 

「村長さんのお家(おうち)の屋根にクロちゃんが寝転んだと思ったら~、もういつの間にか猫ちゃんたちがいっぱいだもんね~。うふふ~、このままじゃあもう猫のお家になっちゃうわ~」

 

 そうそう、そういえばラーナたんとクーニュさんなんだけどさ。俺の呼び方が変わったんだよね。

 クーニュさんは “クロコちゃん” から “クロちゃん” に。ラーナたんは “クロコ” って呼び捨てするのは変わらないけど、二人称が “アナタ” から “アンタ” になった。

 

 これが何を意味しているかわかるかい?

 答えはね――順調に俺へのヘイトが溜まってきてるってことだ。

 “アンタ” なんてめっちゃ当たりが強い言い方だし、“クロちゃん” に至ってはアレだぜ。数々のド畜生エピソードがある、顔だけヤ◯ザ芸人と同じ名前よ。いやはや、嫌われたもんだねぇ。わわわわ~。

 ま、2人のハードルになると決めた以上は致し方なし。百合のためのコラテラルダメージってやつだ。

 

「ま、まあまあラーナさん。我が家のことはともかく、クロコさんは本当に大丈夫なのですか? 毎日あんなに寝ているのに、とても気だるそうですが……」

 

「……本人は問題ないって言ってるわ」

 

 無問題(モウマンタイ)、モーマンタイー。

 食欲は十分あるし、猫は16時間くらい寝るらしいじゃん。俺は猫の獣人なんだし、案外この状態が普通なのかもしれないよ~?

 

「レオーネちゃんの方はどう? ソイツの状態についていろいろ調べてくれてるんでしょう?」

 

「…………」

 

「レオーネちゃん?」

 

「……1つだけ。可能性は低いのですが、1つだけ心当たりがあります」

 

「ほんと!? ちょっとでも可能性があるなら試しに「いえ……」――どったの?」

 

「申し訳ございません。当たっているにせよハズレているにせよ、試行には少々リスクがありまして……。ですが、そうですね。クロコさん」

 

 んぁ~い、なんか用か~い?

 

「もし体調が悪化したり、意識がふわふわしだしたら教えてください。打てる手を打ってみますので」

 

『了解いたしましたでございますにゃ~ん』

 

『ふわふわ~のもふもふニャ~。子分ども~、オイラの枕にニャるのニャ~ン』

 

 あれまぁ、天使ちゃんと悪魔ちゃんが猫たちを枕にして完全に()の体勢に入ってる。いいなぁ、俺もやろっかな。

 ああ、そうだ。もう1つ俺の周り、というかこの村での変化があったんだった。なんか知らんがね、どこからともなく猫がやってくるようになったんだよな。

 

 もともと、この村には猫はいなかったそうだ。1年くらい前にどこかの家で飼っていたのが病死して以降、猫の姿は無かったんだと。

 それが、俺が滞在するようになって5日目くらいだったか? 気がついたら1匹の黒猫が一緒に昼寝してたんだよな。

 それからはまあ、色も猫種もさまざまな猫たちがあれよあれよという間に増え続け……今だと俺が把握してるだけでも10匹近くになってるね。もしかしたら10匹以上いるのかもしれん。

 で、この猫たちなんだが、最初は当然村の人たちに警戒されてたんだよな。得体がしれんのは事実だし?

 だが、全然これっぽっちも鳴かないし、人の所有物で爪を研いだりもしない。トイレも隠れてしているらしく、まったく迷惑をかけなかった。

 となると残されるのは可愛さとか癒しなわけで。意外と付き合いも悪くないので、(おんな)子どもを中心にシンパを増やして今では俺とともに村のマスコットよ。にゃう~♪

 

 このままいけば猫の王国にでもなっちゃうかもしれんなぁ。そうなったら俺は神か象徴にでもなって、一生働かずにだらだらしてやるぜ。ガハハ。

 

「ッ!? …………」

 

「はいはい、なーに言ってるんだか。――ん? どったのレオーネちゃん?」

 

「い、いえ……コホン。それでは皆さん、これにて報告集会を終わりといたします」

 

「あ、レオーネちゃん~。たしか、そろそろ行商の時期だったハズだけど~?」

 

「え、あっ! し、失礼しました。最後に1つだけ。普段の周期通りであれば “カスヤネン” 氏が近々行商に来られるハズです」

 

「「ゲェッ!?」」

 

「……ですので、準備のある人はお早めにどうぞ。今度こそ以上になります」

 

 おや、珍しい。レオーネ嬢がミスるなんてな。

 直前になんか考え込んでたし、そっちに気を取られてたのかもしれんね。

 

 あとは、ラーナたんとレオーネの兄・ロトム(百合挟まり斡旋野郎)が同時に潰れかけのカエルみたいな声だしてたな。んで、互いにすっげー嫌そうにしてるのほんと草。

 まあ、俺も斡旋野郎の方はどうでもいいんだが。ラーナたんはどったん? 見るからに沈んでるんですけど。

 その……なんだっけか。え~っと、クズ、ゲス、ゴミ、カス? あとは……Vやねん! だったっけ? ソイツになんかあんのかな。

 

「ふぅ、お3方もお疲れ様でした……とと。やはり、ラーナさんはお嫌そうですね」

 

「……むすぅー」

 

「あらあらもう~」

 

 むすぅー、って実際に口に出す人いたんだ。子どもらの前だとママ化するのに、百合パートナーと親友の前だとかわいいなぁ。あら^~、ギャップ萌え~。

 

『キシッ、(ニャ)夏休み(ニャつやすみ)の宿題やってニャいガキみてえニャ顔してんのニャ~? おこられるのがこわいんでちゅかニャ~♡ キシシッ♡ ニャ~んて――』

 

「「「…………」」」

 

『……あ、あれ? キ、キシ……シ……?』

 

『これは……やっちゃいましたねぇ、悪魔ちゃん。ふふふふ……くひっ♪』

 

 悪魔ちゃんの適当極まりない煽りが的を射ちまったのか、空気が重くなっていく。

 そのせいで設定上は根が善良かつ小心者ってことになってる悪魔ちゃんは狼狽し、悪魔ちゃん(と俺)に対してカルマ値が極悪になる天使ちゃんが嘲笑っている。これは後で腹パン確定やろなぁ。

 

 まあ、それは置いといて、だ。

 どしたん? 話聞こか? 何歳? どこ住み? てかLINEやってる?

 

「別に……アンタには関係ないことだから。放っておいて」

 

「も、もう~、ラーナちゃんそんな言い方は……」

 

「では、わたしから差し支えない範囲で。カスヤネン氏はクロコさんと同様、針子としてのラーナさんの雇用主に当たる御方です」

 

 あ~はい、なるほどね。俺より先にラーナたんに目をつけてた先達か。お目が高いね。

 ほほう、それはさぞかし良くできた人格者なんやろなぁ。名前に反して。

 

「いえ、その、なんと言いますか……商人としての彼は非常に礼儀正しいのですが、雇用主としては少々厳しい方でして……」

 

「はんっ、あの人に褒められたことなんて1回もないわよ。なんだかんだと難癖つけてさ……報酬が満額で出たことだって、たったの2回しかないわ」

 

「ラーナちゃん……」

 

 ……………………はあ?

 

 ――おーけー、猫たちよ。悪いがちょぉーっとどいてくれな?

 

「……ま、アタシの裁縫の腕がまだまだなのは自覚してるもの。縫い方も古臭いらしいし、体調のせいでノルマを果たせなかったことがあるのも事実だ、し……」

 

 よしよし、いい子たちだ。じゃ、ちょっくら行ってくるね~。

 

「この前なんて、こんなボロボロの手だから下手なん「――オイヨイヨ――にャ」――っ、ク、クロコ!?」

 

 屋根の上からひとっ飛びし、俯いていたラーナたんの真ん前に飛び降りる。

 そして、そのままノータイムで彼女の両手を取り――

 

「ちょ、なんのつもり――って、ひゃわわわわわわ!? や、やわらかっ、もちもちぃ……っ!?」

 

 俺のもちぷにほっぺに容赦なく押し付ける!

 オラ! 今なら触り放題だぞ! 遠慮なく掻き乱し、揉みしだいてみろォ!

 

「またアンタは唐突に、ってヒィィ!? うそでしょなにこのぷにぷにな吸いつき……! あ、あ、あ、まって……これダメぇ! 戻れなく……もどれなくなっちゃうからぁぁ!?」

 

「あらあらまあまあ~……私たちはいったい何を見せつけられているのかしら~?」

 

「ッ! ッ! ッ! ッ! ッ!」(高速メガネクイッ×∞)

 

 

 

 

 

~(数分後)~

 

 

 

 

 

「も、もうむりぃ……かんにんしてぇ。わかったから……アタシが悪かったからっ……もう手と裁縫のことで自分を卑下したりしないから許してぇ……!」

 

 うんうん、わかればいいんだよぉ♡

 高級ブランド身につけてる人が『こんなん大したもんじゃないってwww』とかほざいてたら反感を買うのと同じだからね♡ 気をつけて♡

 

 いや~、とっさに考えついた “もちもちほっぺの刑” だったけど効果抜群で良かったぜ。尻尾を使って抵抗を封じてまで徹底的にもにゅらせた甲斐があったわ。

 

「あれを刑罰と呼んでいいのかしら~?」

 

「正直、うらやましいだけでしたね」

 

 ラーナたんは俺のほっぺで幸せ、俺もラーナたんの手の努力痕を感じられて幸せ。winwinってやつだ。

 ああでも1つ気づいたんだけど、ラーナたんの手の荒れが少し改善してたな。栄養状態と生活の質が向上してるからね、ちかたないね。

 う~ん、個人的にはちょびっとだけ残念な気持ちが湧いてきちゃうのだけど。ま、彼女の健康に勝るものでもない。善きかな善きかな~。

 

 ……ただ、それはそれとして、だ。

 今度来るっていう行商人は注意しとかないといけないかもな。

 

 ふぁぁ~、それにしても眠い。オニダルぅ~のネコダルぅ~。

 

 

 

 

 

 

 

~(場面転換)~

 

 

 

 

 

 

 

「カスヤネン、こっちの出発準備は整ったぜ」

 

「おや、わかりました。こちらはもう少しかかりますので、しばしお待ちを」

 

「了解した。この村を出たらあとはクーニュの村だけ……ようやくだ」

 

「私とロトムさんの方はまだ、やっと結実といった程度ですが。貴方の方は……ふふ、待ちに待った()()()()というわけですな」

 

「ああ、本当に楽しみだ……! 待っていろよ、クーニュ」

 

 

 

 

 

 

 

~(場面転換)~

 

 

 

 

 

 

 

「ヤバイ、このままじゃマジでヤバイぜオイ……! クソッ、俺はどうすればいいんだオイィ……」

 

 

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