TSネコ少女おじさんは百合の間に挟まらない(叶わぬ願い)   作:TSの聖地(性地)ハーメルン巡礼者N

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2-4 『セールスお断り』と『紐なしバンジー』の間に挟まる話

 

 

「うぅ……は、はいクロコねーちゃん。あ、あ~ん……っ~~~~!!!?」

 

 あ~ん♡ うん、おいちい!

 あは♡ ハネたスープが指についちゃったね♡*1 お世話してくれるお礼にお姉さんがぺろぺろしてあげるね~♡

 いや~ん♡ 真っ赤なお顔で慌てちゃってかわいい~~♡

 

 

 ぐへへ♡ ショタの性癖破壊は楽しいねぇ♡♡

 

 

 ――やあ、おはこんハロにゃお~。

 照れ顔ショタからしか得られない栄養素と旨味を夕食と一緒に摂取して、内心ホクホクしてるクロコちゃんだよ~。ぶいっ!

 

「はいクロねーちん、食後用の薬草茶。熱いから気をつけてね」

 

 お、ありがとさん。お礼にハグしてあげよう。ぎゅ~っ♡

 

「ごめんね~、レンド。全員一緒じゃなくて~」

 

「いや、ラーナ(あの娘)の事情は理解してる。それと、彼女が寂しくならないようについていった子たちもな。それより――」

 

「ん~? クロちゃんがどうかしたの~?」

 

「……ネコちゃんは病気なのか? 子どもらが甲斐甲斐しくお世話しているようだが」

 

 いいえ、ダルいのをいいことにロリショタ侍らして甘えてるだけです(キッパリ)

 

 あ、勘違いすんなよ。これは需要と供給がちゃんと一致してるから問題ないのだ。

 現にホラ――

 

「ふぅー、ふぅー。はぁーい、クロ姉ちゃ(くりょにぇーちゃ)! つぎはおにくだよー!」

 

 俺の右にいるショタも、左にいるロリも嬉しそうだろぉ?

 ――え、ロリはともかくショタは限界が近そうって? それはそう、でも逃さないよ。一緒に性癖沼に沈もうぜぇ……!(ズブズブ)

 

「う~ん、私たちも心配なんだけどね~。食欲はあるし身体も健康そのもの。なんなのかしらね~、もう~」

 

「そうか……。あーそうだ。メシと健康っつったらお前たちもマシになったようでなによりだぜ。以前とは比べものにもならねぇな」

 

「うふふ、そうね~。物々交換は元に戻り、新しい畑もより厳重に対策してる。緑色2匹(働き手)も増えたわ~。むしろ、この村に来て以降だと今が一番充実してるかもね~」

 

 ニコニコしながらのクーニュさんの言葉。

 それを聞いた護衛の兄ちゃん、改めレンドさんが微笑みを返し――いや、なんだその顔。自嘲が混じったような変な笑い方してんな。

 

「結局、俺はお前たちにほとんど何もしてやれなかったな……」

 

「そんなことないわ~。最後まで私たちに手を差し伸べてくれたのは貴方とレオーネちゃんだけだったもの~。……貴方の方にもロトムさんがちょっかい出してたのは知ってるわ。それでもこうして様子を見に来てくれたじゃない。B級の貴方にとって個人行商の護衛なんて割に合わない仕事なのに」

 

「……気づいてたのか」

 

 むむむ、この2人の関係性からすると親しい態度を取るのは理解してるんだがな。流石にモヤモヤする気持ちを抑えられん。百合厨(ゆりちゅう)だもの くろこ。

 

 

 ――そう、2人の関係性について。

 何を隠そう、このレンドさんはクーニュさんが現役冒険者だった頃のパーティメンバーの1人なのだ。

 

 食事中に過去の思い出語りのついでに教えてもらったところによると、クーニュさんはもともと5人組パーティの1人だったんだと。

 だが、とある出来事により足を負傷。事実上の引退をせざるを得なくなった。

 また、それとほぼ同時期に今の家族である皆を引き取ることになったそうな。

 あ、このあたりの詳しい事情は聞いてないぞ。だってさ、どう見てもこの辺の過去はラーナたんの地雷だからな。その本人がいない場で聞こうとするほど俺は人間性を捨ててないつもりだよ。

 

 続けようか。

 引退することを決めたクーニュさんは僻地で隠居することを決めた。で、その想いに応えたレンドさんがこの村を提案。村の人たちも受け入れを了承し、この村に住むこととなったわけだ。

 

 この時点でパーティは解散……したんだが、彼らの仲は良好だったためクーニュさん一家の生活が安定するまでは付き合ってくれたらしい。ええ話やね。

 しばらくして生活の目処が立った頃、残りのメンバーも自分たちの道を征くことになった。

 レンドさん以外の3人は引き続きパーティを組み、新たなメンバーを探しに新天地へ。

 レンドさんはクーニュさんのことが心配だったらしく、冒険者組合が存在する街の中から比較的近くにある街を拠点にすることにした。

 で、その後は現在に至るまでなんやかんやとこの村に来れる仕事を見つけては、様子を見に来てくれていたんだとさ。ナカナカヤルジャナイ。

 

 ま、要するにこの家族にとって彼は恩人の1人ってわけだ。

 だから、ラーナたんも男がこの家に滞在することを黙認してるってわけだな。流石に長時間顔を合わせられるほどではないらしいが。

 

 

 ――ほい、閑話休題。

 さて、なんか知らんが俺が脳内で関係性を纏めてる間、奇妙な沈黙が続いているのはなんなん?

 子どもたちも何かを感じ取ったのか一言も喋らず存在感を消そうとしているし、大人2人は落ちつきなく視線を彷徨わせている。

 

 いや、ほんとなにこの空気。すっげー居心地悪いしイヤな感じが毛を逆立ててるんだけど。なんならショートコントでもしてぶち壊そうか?

 

「……あのね、レンド」

 

「……ああ」

 

「今まで本当にありがとう。感謝してもしきれないと思ってる。――でも、もう大丈夫よ~」

 

 感謝を告げている間、普段の雰囲気とは微妙に違っていたクーニュさん。

 だが、感謝のために下げていた頭を戻した時には、()()()()()()がそこにいた。これには子どもたちもホッと一息といったところか。

 

 ただ、逆に焦りだしたのは対面のレンドさんだ。

 オイ、空気読もうぜ?*2

 

「ま、待ってくれクーニュ! 俺は! お前のことが――ッ!?」

 

「……それ以上はだ~め」

 

 

 ────ゾクリ

 

 

 テーブルに身を乗り出し、クーニュさんに何かを伝えようとした彼の口が塞がれる。彼女の指で。

 その瞬間、俺の全身にかつて経験したことが無いレベルの悪寒が這いずり回る。

 

「今の私はね~、と~~っても幸せなのよ~。だからね、貴方も自分だけの幸せを探してほしいわ~」

 

「…………」

 

「私はね、“女” であることより “姉” であることを選びました。……私だってレンドのことは嫌いじゃない。ううん、むしろ――」

 

 さ、寒い寒い寒いさむいさむいさむい!? さぶいぼがっ、さぶいぼが全身にぃぃ!?

 なにか……俺になにか温かいものを!

 なにか――あ、あったあああ!!

 

「あ! ねーちゃん待って!? それは――」

 

「私も好k『ブフゥゥッ!! ギニャアアア!? あっぢいのニャアアアン!?』――え!?」

 

「――ッ、――ッ、────ッッ」

 

「って、あーー!? クロねーちんってば薬草茶を冷まさないで飲んでるー! 猫舌なのに、もー!」

 

 転生からおよそ30日、前世基準だと1ヶ月が経過した。

 これだけの期間をこの身体で過ごしていれば、行動は自ずとこの身体を基準としたものに置き換わる。天使様の調整が入っているから尚更だ。

 だがしかし、とっさの時や余裕が無い時などはその限りではないわけで。例えば今みたいになあ!

 

 前世の “俺” の口内は熱さに強かった。だが……だがな、クロコちゃんの舌は当然ながら猫舌っ! 我が設定に抜かり無し!

 そんな猫舌の俺がアツアツなお茶を前世のノリで口内に一気にシュートしちまった。『超! エキサイティン!』どころじゃねぇ! 死ぬわ!?

 

 ……むり、まじむり。本格的にヤバイ――あっ

 

 

 大きな星が点いたり消えたりしている

 

 あはは! おおきい……すい星かなぁ

 

 いやちがう、ちがうなぁ

 

 すい星はもっと、 バアアア ってうごくもんな!

 

 

 

 

 

 ────キュウ

 

「クロちゃああん!? ど、どうしましょ、クロちゃんが吹き出したお茶を被ったシュヴァルくんも真っ赤なお顔で気絶しちゃったし~……た、たすけて~、ラーナちゃぁぁん!?」

 

 そんな消えゆく意識の中、俺はドアを蹴破るような勢いで開け放つラーナたん(般若)を目撃し――完全に意識を手放したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────にャ

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっと、クロちゃん大丈夫かしら~? 私もすぐ戻るから~、もう休んでてもいいのよ~?」

 

 俺もそうしたいのは山々なんだがね、クーニュさんから目を離してはならぬと何故か魂が叫んでいるのだよ。

 ふらふらしてて今にもブッ倒れそうに見えるだろうけど、あんま気にしなくていいですぞ。

 

 

 さて、現在なのだが時は日没後しばらく経った頃。場所は家の玄関を出た先にあるちょっとした広場。

 ラーナたんの気付けビンタで文字通りに叩き起こされた俺とクーニュさんで、宿泊場所に帰るレンドさんのお見送りをしているところだ。ほっぺたがハムスターみたいにパンパンだよ!(涙目)

 

「クーニュ、俺は『未練がましい男は嫌われるものでございますにゃ』――チッ」

 

「…………ふふ」

 

 俺が起こした騒動で有耶無耶(うやむや)になったかと思ってたが、やっぱそう簡単には諦めないか。

 ……ん、流石に気がついてるよ。気づいたのは、ついさっきだけどね。*3

 

 じゃあ、気づいてるんならなんで割り込んでんだって話だろうが、そこはホラ俺の親切心よ。

 クーニュさんは優しいからさ。()()()()()()()()()()()()()()()が相手でもハッキリ断れないと思うんだ。*4

 でも、こういう場合はバッサリ切ってやるのが吉ってもんよ。その方がレンドさんは新しい恋路を歩けるし、ラーナたんというクーニュさんの百合パートナーも安心だ。

 故に天使ちゃん()が代わりに断っといたわけ。クーニュさんも微笑むだけで何も言わんし、やっぱこれが正解だったんやなって!

 

 

 ――百合に挟まろうとした男――殺す――にャ?

 

 

 ――え、百合を引き裂こうとしたことへの報復はしないのか、って?

 いやぁ、流石にそれは。勝ち目なんて欠片も存在しない戦いに、玉砕覚悟で正面から挑んだ漢の傷口に塩を塗りこむようなマネはせんよ。人をなんだと思ってるんですかねぇ?

 

 

 ────ヒト? ――ただの道具――にャ

 

 

「あー、わかったわかった。チクショウ……クーニュ、あばよ!!」

 

「……ええ。さようなら、レンド」

 

 苛立たしげに、されど隠しきれない落胆と哀愁を背負いながら離れていくレンドさん。

 その姿は闇に紛れていき、やがて見えなくなった。

 

「………………」

 

『ふぁ~ぁ、今日はもうねむねむニャ~。さっさと寝床に直行ニャ――って、帰んねーのニャン?』

 

「あ、そうね~。いま行くわ……あらあら、クロちゃ~ん? お風呂はどうするつもりなのかしら~?」

 

「──────」(露骨な目逸らし(ぷいっ))

 

「んもぉぉ! お風呂は毎日入ろうって言ったのはクロちゃんでしょ~? わざわざゴブリンズ(あの人たち)に広~いお風呂場を作らせたうえ、毎日お湯張りさせて~。なのに本人が一番お風呂嫌いってどういうことなの、も~」

 

 猫は水嫌い。はい論破~。

 ……ちゃうねん。俺だって前世は別に風呂嫌いじゃなかったんよ。ちゃんと毎日入ってたし。でもね、猫の本能には勝てんねんな……。

 

 あ、ちょ、待って。また子どもたちと一緒に入らせようとするのはダメだってば。

 いい大人が風呂の前で真っ裸(まっぱ)でプルプル震えてるのを、幼女らに手を取られながら『こわくないよ~』『だいじょぶだよ~』って誘導されるのは流石にね。大人の自尊心がゴリゴリ削られるというか。

 しまいにはさぁ……風呂の中で不安に縮こまってる俺を抱きしめ、頭と背中をよしよししてくるんだぜ? ネタ抜きで裸の幼女たちにバブってオギャりそうになったよ……。あれはガチでヤベェんだって。

 

 そんなわけで、どうにかしてこの場を逃れようと画策していた俺の耳が――喧騒を捉えた。

 

『これは……村の端の方で騒ぎが起こっているのでございますにゃん!』

 

「えっ!? あらまあ、ほんとだわ~。どんどん松明の火が集まって……あの辺りはたぶん、護衛に開放してる空き家群ね~。んも~、冒険者名物の酔っ払い同士の喧嘩かしら~?」

 

 高台の(へり)に移動し、耳に意識を集中する。この程度の距離なら障害物が無ければ何が起こってるかくらいはわかるハズだ。

 まず、聞こえてくるのは雑多な音。叫び声、破砕音、足音、野次馬の声、悲鳴……オイオイ、ちょっとこれは穏やかじゃない感じですねぇ。

 詳細を知るため、雑音を聞き捨てていく。

 求めるのはただ1人の声。彼女の立場と性格上、絶対にあの場にいるのだから。

 

「おやめください! 暴力はいけません! 落ちついて!」

 

 ――捉えた。

 大丈夫、今日は1日中あの娘と一緒だったんだ。今、この瞬間の俺にとって一番馴染んでいる声だけを拾え!

 

「酒に酔い女性に手を上げ、挙げ句には同意していない未成年を連れ込もうとするなど許されません! 止めに入った自警団の方々にまで暴力を……!」

 

 ――ッ!? 2人とも通訳お願い!

 

「わかっているのですか? このことが組合に報告されれば降格は免れませ――ぅあっ!? は、放してくださ……!」

 

 これはマズイ!

 

 予想以上に状況が切迫していることを把握。即座に駆け出そうとするが――

 

「待ってクロちゃん! 私も……私も行くわ!」

 

 パペットの2人から状況を伝えられていたクーニュさんが、とんでもないことを言い出してしまったのだ。

 

『ハアア!? じ、自分がニャにを言ってるかわかってんのニャ!? ここでお前(おミャー)が介入したら……』

 

「ええ、もう全て台無しね。私たちの平穏は崩れ、そんな私たちを守ろうとしてくれる方々の気持ちも踏みにじることになるわ」

 

『へぇ、そこまでちゃんと理解しているのに “戦う” 。そう仰るのでございますにゃんね?』

 

「もちろんよ。うふふ、それにここで見捨てたら――()()()()()()でしょう?」

 

 

 ――ヒトとして? ────どうでもいい――にャ

 

 

 ────え、あ、そうだね。

 確かにここでクーラナ2人と仲の良いレオーネ嬢になにかあったら、()()()()()()()()()()()()()()()か。

 それを確実に防ぐためにも、俺の最大戦力である彼女の参戦が不可欠なのかもしれんな。

 

「じゃあ~、はい、どうぞ~」

 

 エッッッッッッ!!

 

 ちょ、(かが)むのはまだしも、なんで髪をかきあげて耳に掛けてるのさ。*5 艶めかしくて心臓に悪いでしょうが。

 いや、わかるよ? 俺と魔法契約を結ぶには額を触らせる必要がある。だから、身長差がありすぎる俺のために気を使ってくれてるってことはさぁ。

 でも、だからって――ちょおぅ!? わ、わかったから! ちんたらしてたのは悪かったからこれ以上深く屈まないで! 谷間が、谷間がァ!?

 

 くそぅ、これ絶対からかってるだろ。*6

 そういうのはラーナたんにやるべきだと思うよ。

 

 まあいい、そんじゃお待ちかね。右手をクーニュさんパペットに付け替えて――

 

「――ぱぺっと補助(あしすたんす)

 

「ッ…………あ、あら~? クロ、ちゃん……やっぱり、貴女……」

 

『んニャ? どうかしたのニャ? 牛乳(ウシヂチ)ネーチャン」

 

「うしぢっ!? も、もぅ! その呼び方はやめてって言ってるのに~。……よし、足 “は” 大丈夫みたい。さあ、クロちゃんは背中にしっかり掴まっててね~!」

 

 両足で確かめるように土を踏み、念のためかばいんぼいん(ぴょんぴょん)飛び跳ねるクーニュさん(とその一部)。なんか戸惑ってたような気もするけど問題はなさそうだ。

 先の猫舌カミー◯事件でズタボロの俺は当然のように彼女の背中に飛び移る。クーニュさんの手には双棍が握られてるから今回ばかりは自力でしがみつかなきゃならん。気合い入れないと。

 

 そして、俺がガッチリだいしゅきホールド(バック)しているのを確認したクーニュさんが、高台から一気に飛び降りる――……えっ。

 

『ギエニ゙ャアアア!? いくらオイラたちが猫っぽくてもこの高さからは無理ニャァァァァ────』

 

 こうして、ただでさえ瀕死だった俺は命綱なしバンジーとかいう狂気の沙汰を味わうことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~(場面転換・ラーナ)~

 

 

 

「クロコ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

~(場面転換・???)~

 

 

 

「クーニュ、あンのクソアマァ……! やっぱ足うごくんじゃねぇかッ!」

 

 

*1
わざと

*2
←直前にショートコントを突如おっ始めようとしてたヤツ

*3
お、鈍感系主人公回避か?

*4
やっぱり鈍感じゃないか(呆れ)

*5
髪が邪魔なんじゃと思ってるから

*6
DT特有の自意識過剰と被害妄想

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