〜三人称視点.
「ちょ、ちょっと!」
焦る様子の胡桃はあたふたしながら玄鳥と藍硯を離す。
「い…い…いきなり何するのさ!」
「?…玄鳥。この子は?」
「胡桃だよ。前に言ってなかったか?」
「あー!往生堂の胡堂主だね!初めまして!珍玉の谷「工芸品組合」の藍硯だよ!」
藍硯は胡桃に握手して挨拶した。胡桃は少し困惑した顔でコクリと頷いた。
「珍玉の谷?」
「珍玉の谷は奥蔵山の北西に行けば辿り着くわ。自然が綺麗ないい場所なの。」
蛍は珍玉の谷と聞いて少し首を傾げる。それを見た燕は補足してくれた。
「えーっと…二人はどういう関係なの?」
胡桃が少し怒ったような顔をして二人に問いかける。
「4年前ぐらいかな。俺が空腹で倒れてた時に、藍硯達に介抱して貰ったんだ。」
「それから仲良くなって、久しぶりに再開したの!にしても玄鳥大きくなったね。」
「そうかな?藍硯も見ないうちに綺麗になったんじゃないか?」
「も〜玄鳥、お世辞は良いって!」
「お世辞じゃないよー。」
玄鳥と藍硯の会話を見て、胡桃はムカムカとする。
それを見てニヤニヤする燕に、よく分からない顔をする蛍。
「あらあら、恋のライバル出現!ってやつかしら。」
「?…よく分かんない。」
暫くして、玄鳥は藍硯に何があったのか聞く事にした。
「何があったんだ?ヒルチャール達に襲われるなんて。」
「実は、森を歩いてたらキラッと光るものを見つけてさ。何かなと思って見に行ったらキラキラと光ってる剣が二本刺さってたの。」
「それで剣を持ち帰ろうと思って抜いたら、ヒルチャールが襲ってきた……って感じかな。」
「………その剣、見せて貰ってもいいか?」
「う、うん。」
藍硯は剣を2本取り出す。それは、燕の探している封剣そのものだった。
「その剣は私が落としたものなの。貰ってもいいかしら?」
「そうなの?じゃあお返しするね。」
藍硯は燕に剣を手渡した。
「これで残る封剣は3本って訳か!」
「…?どういう事?」
藍硯に経緯を話す玄鳥。
藍硯は困惑しながらも理解して頷いた。
「そういう事なら!私も協力するよ!」
「え、いいの?」
「うん!困ってる人を助けるのは常識だし、それに…」
「それに?」
「玄鳥も…困ってそうだし…」
「?」
少し照れる藍硯。玄鳥は何が何やらいう顔をしていた。
胡桃はジト目で玄鳥のほっぺをつねった。それに釣られて藍硯も玄鳥のほっぺにツンツンする。
「いでででででで…やめてー。」
「玄鳥のほっぺもちもち〜」
数分後、玄鳥は離してもいい、二人から距離を置いていた。
「あーあ、拗ねちゃった。」
「二人とも引っ張りすぎだぞ…」
パイモンと蛍が胡桃達にツッコミを入れた。
玄鳥は大きな溜息を吐いて落ち込んでいると、遠くから気配がした。
「……」
玄鳥は気になって少し奥を見つめる。
すると………
『キシャァァァァ!!』
「!?」
奥から大きな金色のカマキリのモンスターが襲いかかってきた。
「な、なんだこいつ!?」
玄鳥達は武器を構えて立ち向かう。
「藍硯、やれるか。」
「う、うん。何処かまで力になれるか分かんないけど、頑張るよ!」
藍硯はチャクラムを投擲して攻撃するが、カマキリは余裕で弾く。
蛍は風元素をカマキリにぶつける。燕と胡桃は炎気を纏った攻撃を仕掛けるが、カマキリの前では弾かれてしまった。
「くそっ、こんな狭い場所じゃ無理だ!広い場所に出よう!」
玄鳥はバイクを召喚し、蛍と燕を乗せて走らせる。
胡桃も藍硯を乗せて玄鳥の後について行った。
暫く走り続け、南天門に辿り着いた。
「奴は?」
玄鳥が振り返ってみると、カマキリは走って追いかけてた。
「やっぱ追ってきたな!」
玄鳥は振り返って剣を持ち、カマキリに襲いかかる。
しかし、カマキリは糸を使って玄鳥の足を拘束する。
「うわっ!」
そのまま糸を振り回して、壁に叩きつけた。
「玄鳥!」
壁から落ちて地面に叩きつけられる玄鳥。心配そうに近づく四人。
「玄鳥!玄鳥しっかりして!」
藍硯が玄鳥の肩を叩くが、玄鳥は少しふらつきながら立ち上がる。
しかし、カマキリはお構い無しに迫ってくる。
鋭利な鎌で玄鳥達を切り裂こうとする。
……しかし、鎌は玄鳥達を切り裂かず、何者かの攻撃で怯んだ。
「…?」
胡桃達が辺りを見回す。すると、遠くの崖に一人の男が立っているのが見えた。
「うっ…あれは?」
その男の右手には刀が握られており、刀身には雷撃が纏っていた。
(あの雷撃で攻撃したのか?)
玄鳥がそう考えていると、男は持っていた剣をこちらに投げてきた。
剣は地面に突き刺さり、玄鳥の至近距離に落ちてきた。
「…封剣…」
それを見た男はすぐさまその場を立ち去った。
玄鳥は立ち上がり、封剣を片手に持って走り出した。
「おらぁっ!」
雷撃と共に鎌に傷をつけ、連撃を繰り出す玄鳥。
「…よし!トドメだ!」
雷を纏わせて、カマキリを真っ二つに切り裂いた。
『キシャアア!!!』
カマキリは咆哮と共に爆散した。
「よし!」
玄鳥はホッと息を吐いたと同時に、その場に倒れてしまう。
心配そうに胡桃達は彼に近寄る。
燕は玄鳥の額に触れる。
「……大丈夫そうね。でも、一旦璃月に戻らないとかも。」
「え…そんなに悪い状態なの?」
胡桃が少し不安そうにする。
「そうじゃないわ。過労で疲れてるだけよ。」
「そっか……よかった…」
「とりあえず、往生堂に連れて帰りましょう。私たちも。」
燕と蛍が玄鳥を抱えてそのまま璃月港まで歩いて行った。
……………………………
〜玄鳥視点.
「………ん…」
俺は目を開けると、そこは自室の一室だった。
「…あれ…どうしてここに…」
「目が覚めた?寝坊助さん?」
藍硯が俺の鼻をつついた。
「…どうなったんだ…あれから。」
「玄鳥が倒れちゃったから、私たちが運んだの。」
「…そっか…ありがと。」
ベッドから起き上がって、上着を着る。
「そういえば、燕たちは?」
「今、蛍と一緒に出掛けてるって。胡堂主はお昼寝するって。」
「そっか。」
そのまま部屋を出て、キッチンに向かって棚から具材を取り出す。
「腹減ってない?何か作るよ。」
「いいの?じゃあお任せで!」
「うん。」
そのまま料理を作り始める俺。
暫くして、3人分のオムライスを作った。
「あれ、もう一つは?」
「胡桃起きたらお腹空いてるだろうし、念の為にね。」
「玄鳥は胡堂主の事詳しいんだね。」
藍硯はオムライスを食べたら、そう言ってきた。
「まあ、幼馴染だからな。」と言って誤魔化した。
すると、胡桃が欠伸をしながら降りてきた。
「ん〜いい匂い。オムライス?」
「おはよ。オムライス作ったから食べていいよ。」
「わぁ〜!ありがとう!」
胡桃はそう笑顔で答えた。笑顔でオムライスを美味しそうに食べる姿を見て、可愛いと感じた。
この三人で食卓を囲むのは初めてだな。俺はそう思いながらオムライスを食べた。
…うん、いつもより美味しかった。
まだメインキャラが少ないですが徐々に増えてきます。
金色のカマキリ…どこかで見た事あるような…
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