不穏だそうです。
………………
「よーし、着いたぞ!」
翌日、玄鳥たちは船に乗って無事に璃月港へと辿り着いた。
「ふぅ〜……長旅だったな。伏龍が海に落っこちたときは、さすがに肝が冷えたぜ」
「そんなことより……とにかく早くみんなに謝らないと。胡桃たちには迷惑かけっぱなしだったし…」
船が岸に着くやいなや、玄鳥は荷物もそこそこに往生堂へと駆け出した。
〜玄鳥視点.
「…………」
「………」
帰って早々、俺は正座をさせられていた。
4人からの視線が痛い。心の奥まで突き刺さるような沈黙。
「……でも、無事だったから……ハグ1分で許してあげる」
「胡桃堂主ぉ〜!」
結局、俺は胡桃→藍硯→燕→蛍の順で、それぞれ1分間のハグをこなす羽目になった。
まあ……みんな嬉しそうだったから、文句は言わないでおこう。
「ねえ、玄鳥。稲妻ってどんなところだった?」
「んー、璃月とは雰囲気が全然違ったな。建物とか、文化も…それに……」
胡桃の問いかけに、俺は稲妻での出来事をかいつまんで話してやった。
「へぇ〜、十夜さんと宵宮さんって人と仲良くなったんだ」
「どんな人なんだろ〜。会ってみたいな」
と、タイミングを見計らったかのようにドアが開き、十夜と宵宮が現れた。
「よ。ここが往生堂か?」
「あっ、来たな二人とも」
「お前が玄鳥の言ってた胡桃か。俺は十夜、こっちは宵宮。ま、気軽によろしくな」
「よろしゅうな〜」
二人の自己紹介に、胡桃たちも笑顔で挨拶を返した。
「そういえば蛍、お前も稲妻に行ってたんだよな。進捗はどうだった?」
「うん……稲妻の後、スメールとフォンテーヌの問題も解決したんだけど……お兄ちゃんは、まだ……見つかってないの」
蛍の表情が曇る。それを見た俺は、軽く肩を叩いた。
「大丈夫だって。きっと見つかる。蛍がそんな顔してたら、兄貴に笑われるかもよ?」
「…玄鳥……うん。ありがと。ちょっと元気出た」
蛍が少し微笑んだ。よかった。女の子の泣き顔なんて、似合わねぇからな。
「そういえば、俺も玄鳥の話、もっと聞きたいな。胡桃だったよな、詳しく教えてくれ」
「うん!もちろん!……あっ、玄鳥。お醤油とお塩、切らしちゃってて。買ってきてくれない?」
そう言って、胡桃が小銭と買い物袋を手渡してきた。
……そんなに聞かれたくない話をするのかな。
「宵宮、お前は?一緒に聞く?」
「うちはええよ。それより璃月を見て回りたいな〜」
「じゃあ、一緒に行こうか。買い物のついでに、案内するよ」
というわけで、十夜が往生堂で皆と話す間、俺と宵宮は璃月の街をぶらつくことにした。
…………
「なあ、宵宮。十夜ってどんな奴なんだ?」
「十夜?うーん、ちょっと抜けてるとこあるけど……ウチにとっては、大事な人、かな」
「へぇ〜……もしかして、付き合ってる?」
その一言で、宵宮の顔が一気に真っ赤になった。
「つつつ、付き合ってへんわっ!あいつ、すーぐ突っ走るし!それに……そ、それとこれは別やし!それに…(以下略)」
「………」
なんか色々言ってたけど、赤くなったまま十夜のことを延々と語ってたあたり……
まあ、要するに、好きなんだろうなってことだけは分かった。
………………………………
〜玲瓏視点.
………
稲妻から戻って、俺はいつも通り、全力で仕事をサボっていた。
……だが、嫌な予感がする。
「玲瓏」
「ん?」
いつもの木陰でのんびりしていると、刻晴が書類を片手にやって来た。
「また仕事かよ」
「当然よ。この書類、スメールに届けて欲しいの」
「スメール?」
受け取った書類をざっと目を通す。よく分からんが、重要そうなのは確かだ。
「俺と伏龍だけで行っていいか?」
「ダメ。私と甘雨も同行するわ。あんたたちだけだと絶対にサボるでしょ?」
……くっ、見抜かれていたか。ズバイルシアターの踊り子のステージ、楽しみにしてたのに……
「……分かったよ。サクッと終わらせてくる。今日出るぞ」
そう言って木の上から飛び降りた、まさにその瞬間だった。
ゴオオォォォォォォン!!!!!
「!?」
突如響く地響きと振動。俺たちは即座に群玉閣の外へと飛び出した。
…………
「あの方角……スメールよ…!」
「………最悪だ…。」
どうやら、嫌な予感が的中したらしい。
次はスメールかな?
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