ラビラビタンタン好きなんですけど分かる人いますか。
「そんなことがあったんだ……」
フリーナは全ての話をじっと黙って聞いていた。小さく頷いた彼女の表情には、沈痛な色が浮かんでいた。
「アイツらは……強いな。少なくとも、今の俺たちの力じゃ太刀打ちできそうにない……」
伏龍の言葉に、十夜も深く頷く。二人とも疲弊した表情のまま肩を落とし、打開策の見えない現状に言葉を失っていた。
「このままじゃダメだ……。何か、強化アイテムでも見つけないと……」
沈黙を破ったのは、マルクだった。
「……そんなに悩むことか?」
伏龍が顔を上げる。マルクはいつものように飄々とした調子で言葉を続けた。
「難しいんだよ。こういうの、考えるのはな……」
「ふむ……だったら僕たちも力を貸そうか。世界がピンチなんだろ?」
「俺たちと一緒に戦ってくれるのか!」
玄鳥が顔を輝かせて立ち上がる。その反応に、マルクはポケットに手を突っ込みながらニヤリと笑った
おどけたように左右の上着を交互に開け閉めしながら近づくマルク。何かの演出めいた動作で、やがて彼は伏龍たちの目前に立つと、勢いよく上着をバーンと開けた。
そこに書かれていた文字は──「NO!」
沈黙。
「……あ、こっちだった」
マルクは即座に上着の裏地を裏返して、今度は「YES!」と書かれた面を見せた。
「こんな時にふざけてんじゃねぇよ……」
ファングが呆れ気味に突っ込む。
「うるさいぞ、ポテト。」
「──ああっ!? 誰がポテトだコラ!」
ファングとマルクはそのまま口論しながら外に出ていった。
その隙に伏龍はバッグを探り、何かを思い出したように顔を上げる。
「……あ、そうだ。おい、お前。邪眼、持ってるか?」
ラールに向けて問いかけると、ラールは無言で懐から邪眼を取り出して見せた。
「十夜、量産された邪眼って持ってるか?」
「……ああ、ちょっと待ってろ」
十夜は手早く小箱を取り出し、中から複数の邪眼を取り出した。
「十夜、こんなん持ってたんか……」
宵宮が目を見開いて驚く。十夜は少しだけ気まずそうに頷いた。
「量が多くてさばくのが面倒でな。ずっと眠らせてたんだよ。」
「で、これ……どうすんだ?」
十夜が尋ねると、伏龍は邪眼を手に取ってじっと見つめながら言った。
「……こいつを、改造して“強化アイテム”にするのさ。」
静かだが、確信に満ちた声だった。
………………………………
「そいつを、強化アイテムにするのか?」
十夜が眉をひそめて尋ねると、伏龍は頷きながら邪眼を見つめた。
「ああ。旅人の話によれば、ファデュイの執行官がこれを使って“魔王武装”って奴になったらしい。」
「……けど、それって凄まじいエネルギーを使うんだろ? 並の人間が使えば、負担で身体がもたない。」
「そこでだ」伏龍は邪眼を手に取り、光にかざすようにして続けた。
「“常にフルパワーで稼働する”けど、“使用者への負担を最小限に抑える”──そういう設計にする。安定して安全に使えるようにな。」
「おいおい……今からやるつもりか?」
驚いたように十夜が言うと、伏龍は口角を上げて答えた。
「こういうのはな、思い立ったが吉日ってやつだろ? 任せとけ。すぐに作り出してやるぜ。」
そう言うなり、伏龍はフリーナの方に振り返った。
「フリーナ、ちょっと部屋借りるぜ。作業に集中したい。」
「いいよ。何かあったら呼んでね。」
フリーナが微笑みながら頷くと、伏龍は部屋の奥へとこもっていった。
その様子を見ていた玄鳥は、ひそかに甘雨の元へと歩み寄り、小声で尋ねる。
「……任せて平気か? あんな集中しちゃって」
甘雨は肩をすくめて、小さく笑った。
「伏龍さんは、昔からああいう人なんです。熱中すると、周りが見えなくなるくらい夢中になる。でも……ああいう時が、いちばん楽しそうなんですよ」
どこか誇らしげな笑みだった。
その少し後、ファングとマルクが並んで部屋に入ってきた。二人の顔には──明らかに殴り合ったような痕が残っていた。
「……なんかあったのか?」
十夜が思わず訊ねる。
「まあ……ちょっとした喧嘩さ」
ファングがそっけなく言うと、マルクは腕を肩に回して豪快に笑った。
「なあに、これでポテトとの友情の証ってわけだ」
「誰がポテトだ……!」
ファングは苦々しい表情をしながらも、それ以上言い返すことはなかった。
それぞれが少しずつ心の距離を縮めながら、静かに次の戦いへの準備が進んでいた。
‥………………
「(˘ω˘)スヤァ……」
静かな寝息を立てていた玄鳥は、突然の爆発音に飛び起きた。
「!?!?なんだなんだ!?」
ソファから転げ落ちるように降りると、爆発音のした部屋の扉が勢いよく開き、黒煙の中から黒焦げになった伏龍と玲瓏が姿を現した。
「──玄鳥! 完成したぞ! 強化アイテムが!」
「おおっ! 見せてくれ!」
目を輝かせて駆け寄る玄鳥に、伏龍は得意げに邪眼を手渡した。
紫と緑の二色の結晶が陰陽玉のように組み合わさり、光の加減によって妖しく輝いている。それ以外は見た目に大きな変化はなかったが、内側に秘められたエネルギーの密度は、触れただけで伝わってくるほどだった。
「すげぇ……!」
「だろ? コイツなら、あのデュアブロスにだって勝てるかもしれねぇ。」
伏龍は自信満々に胸を張った。
「──ああ、ちなみにテストは?」
「まだだ。今からやろうと思ってた」
そこへ、タイミングを計ったかのように玄関が開き、マルクたちが入ってきた。少し息を切らしている。
「アイツらがいたぞ。新フォンテーヌ科学院のあたりだ。」
「げっ……テストもしてねぇのにかよ。……ったく、しょうがねぇ。」
伏龍は少し悩む素振りを見せたが、すぐに決断した。そして、改めて玄鳥の目を真剣に見据える。
「──玄鳥。ぶっつけ本番になるが、頼む!」
「俺が?」
「お前が、今の俺たちの中で最も安定して戦える。なにより──信頼してるしな。」「うんうん。」
玄鳥は短く息を呑んだあと、小さく笑った。
「……分かった。任せてくれ。行くぞ!」
力強く頷くと、玄鳥はマルク、ファングを伴ってすぐさま出発した。
──残された伏龍と玲瓏は、その場に倒れ込むように座り込んだ。
「頑張れよ〜……」
伏龍がかろうじて手を振りながら、二人揃って過労と寝不足に耐え切れずに意識を手放した。
‥………………
「居たぞ!」
玄鳥が叫んだ。しばらく走り続けた先、目の前の大通りを塞ぐように、フレアブロスとアクアブロス、そしてその後ろにぞろぞろと続くダトマスの兵が現れた。
「おっと。また邪魔しに来たのか? ……まったく、よほど暇人なんだなぁ?」
アクアブロスが嘲るように鼻で笑う。隣のフレアブロスも、冷えた笑みを浮かべた。
「まあいいでしょう。今度こそ──捻り潰して差し上げます。」
二人は同時に武器を構え、こちらを睨みつけた。
玄鳥はゆっくりと前に出た。手の中には伏龍たちが作り上げた強化邪眼が握られている。紫と緑の結晶が淡く回転しながら輝き続けていた。
「……使わせてもらうぜ、伏龍、玲瓏。お前らが命削って作ったこの力で──勝ってみせる!」
そう言い放つと、邪眼の回転速度が上がり、結晶は雷元素に染まっていった。
確認するように一度だけ深く息を吐き、玄鳥は神の目の下部に邪眼を取り付ける。
「──重装!」
その瞬間、爆発的に雷元素が解放され、玄鳥の全身を稲妻の光が包み込む。眩い光の中で、エネルギーの奔流が彼の体を新たな装甲へと変えていった。雷光を纏った金属のアーマーが身体を覆い、両腕には増幅装置のような強化パーツが装着される。
バチバチと弾ける雷鳴の中、アーマー姿の玄鳥が静かに拳を握りしめた。
「……おお……」「すげぇ……」
マルクとファングが思わず目を見開き、呆然と声を漏らした。
玄鳥はゆっくりと顔を上げ、ブロスたちを真っすぐに見据える。
「──どうだ! これが……新しい力だ!」
雷光を背景に、今まさに一人の戦士が覚醒した。
「どうせ、見掛け倒しでしょう!」
フレアブロスが鼻で嗤うと、炎を纏った拳で玄鳥に突進した。だが……
ドンッ!
「──ッ!?」
フレアブロスの拳は空を切り、次の瞬間、玄鳥はその背後に移動していた。雷光の残滓が彼の移動速度の異常さを物語っている。
「はああっ!!」
強烈な回し蹴りがフレアブロスの背中を直撃し、よろめいた彼の巨体が大きく跳ね上がる。
「ぐっ……なにぃ!?」
玄鳥は静かに構え直し、アーマーの関節部から火花が散る。確実に──パワーもスピードも、以前の彼とは段違いだった。
「よし……!」
「くっ…クソ兄貴……何苦戦してんだよ!」
アクアブロスが援護に入ろうと駆け出す──が、その前にマルクとファングが立ち塞がった。
「お前の相手は──俺たちだ」
「覚悟してもらおうか!?」
スチールブレードを構えるアクアブロスが苛立ちを露わに叫ぶ。
「ふざけんなッ!!」
勢いよく振り下ろされる刃。しかし、マルクはすぐさま反応し、素手で受け止めた。金属が火花を散らし、戦場の空気が張り詰めていく。
「──ストライクバスター!」
玄鳥の叫びと共に、雷光が収束して巨大な斬撃武器が召喚される。
エネルギーを纏った剣身が唸りを上げ、猛然とフレアブロスに襲い掛かった。連続する斬撃。雷が絡みつくように爆ぜ、重厚な火炎アーマーすら貫通せん勢いだ。
「ぐぅっ……さすがに厳しいですね……雷ッ!!」
「アイヨッ!」
アクアブロスが邪眼を素早く投げ渡す。フレアブロスはそれを片手で受け取り、即座に自らの武器に装填した。
「──重装」
カチリと装置が作動し、再び巨大な炎と水のエネルギーが渦巻く。ブロスチームガンの蒸気が一気に噴き出し、全身の装甲が変化していく。
瞬く間に、デュアブロスの重厚な姿が形成された。
「これで終わりにしてあげますよ!」
轟音と共に、デュアブロスが突撃してきた。まさに暴風の如き猛攻。拳、キック、連続打撃──攻撃の隙間すら存在しない。
「くっ……!」
玄鳥も必死に防御しつつ回避するが、防御が追いつかない。
「ふっ! 速度に全振りして、防御がおざなりなようですねッ!!」
隙を突かれたその瞬間、至近距離でブロスチームガンが発射される。チャージされた弾丸が雷光を伴い、玄鳥のアーマーを直撃する。
「ぐあっ!!」
衝撃に弾き飛ばされ、玄鳥は地面を転げながら倒れ込んだ。
「さあさあ、ここまでです。」
デュアブロスが不敵に笑い、ゆっくりとブロスチームガンを構え直す。重々しい蒸気の音が響く中、玄鳥は傷ついた身体を支えながらゆっくりと立ち上がろうとする。
だが──
遠くから紅蓮の光球が音を立てて飛来し、デュアブロスの顔面に直撃。
爆煙が上がり、バランスを崩したデュアブロスの巨体が後方に吹き飛ばされる。
「なにィッ!?」「誰だ!?」
玄鳥とデュアブロスが同時に振り返ると、そこに駆けつけてきた燕の姿があった。
燕はその勢いのまま跳躍し、鋭い蹴りをもう一撃、デュアブロスの胸部アーマーに叩き込む。
「燕……!助かった……!」
燕は短く頷き、駆け寄ってきた玄鳥に告げる。
「玄鳥、その邪眼にはもう一つの形態があるらしいわ。」
「……え?」
「伏龍が言ってた。邪眼の結晶を逆回転させれば──もう一つの力に切り替わる……らしいわ。」
「いや知らない。」
「……とにかく、試してみて!」
燕は強い瞳で玄鳥の目を見つめた。
玄鳥は一瞬だけ逡巡するが、すぐに大きく頷く。
「──ああ! とにかくやってみる!
玄鳥は即座に邪眼を手に取り、結晶部を操作する。
通常は時計回りに回転していた二色の結晶を逆方向へと回転した。
強化フォーム登場。前作よりちょっと遅いですが。
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