【本編完結】仄かな焔は璃月を舞う   作:サツキタロオ

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ほのぼの回…?


第20幕:甘辛ミルフィーユ

 

〜三人称視点.

 

「今日はいい天気だね!」

「うん、晴れてよかった。お肉も新鮮だったし。」

フリーナと胡桃は談笑しながら市場通りを歩いていた。

パンドラタワーが出現してから数日が経ち、警戒態勢が続く中、洞天では女性たちが待機し、最低限の外出で物資の補給を行っていた。

玄鳥やマルク、ファングたちは外で調査任務に出ており、今日も不在だった。

「……ねぇ、フリーナ。玄鳥たち、無事だと思う?」

「……どうかな。でも、あの人……なんだかマルクに似てるんだよね。」

「えっ、どういう意味?」

「無理しやすいってこと。表では平気な顔してるけど、限界まで自分を削るタイプってコト。」

胡桃の脳裏に、倒れ込みながらも笑って「大丈夫だ」と言う玄鳥の姿が浮かぶ。

「あー……なるほど。マルクさんも、そういう人なんだね。」

「でしょ?」

フリーナは柔らかく微笑んだ。

 

そして、そんな穏やかなやり取りの直後──

 

ベチャッ……!!

 

「「……ん?」」

 

聞き慣れない、濁ったような音。

同時に手元に目をやると、粘液が凝縮して、二人の手元がくっついた。

 

「な…な…」

「なにこれー!?」

 

…………………

 

その頃、パンドラタワー…

 

「おや、この粘液弾は失敗みたいですね。」

フレアブロスが試作品の弾丸コロコロと指で回す。

「拘束用にとは思いましたが…使い道がありませんね…」

そう言って粘液弾をダトマスに預け、何処かに行ってしまった。

 

‥………………

 

「なるほど、それで帰ってきたわけやな。」

宵宮が二人から話を聞きながら二人は頷く。

「こういうのは壊せばいいのよ。簡単簡単。」

刻晴が剣を持って粘液に剣を叩き伏せる。しかし、剣の振動が二人に伝わっただけだった。

「ちょ…刻晴!」

「びっくりしたじゃん!」

 

「あ…ごめん…」

「うーん…厄介ですね。」

甘雨も粘液を叩くが壊れる様子がない。

「せや!」

宵宮が何か閃くと、ハンマーと杭を持ってきた。

「化石を掘る感じでやれば行けるはずや!」

そう言って杭を粘液に置いてハンマーで叩き続けた……が駄目。

 

「…なら、私に任せて!」

するとニィロウが懐から大きい手持ちチェーンソーを持ってきた。

「ひぇ…な、何それ…」

「伏龍さんに作ってもらったんだ。『伐採辛いから作った!』って言ってたよ!」

そう言ってニィロウがチェーンソーを粘液に置いて起動した。

 

ニィロウが軽快な足取りでチェーンソーを構えた。

「それじゃ、いくよー!」

 

ブオンッ!!ギュイイィィィィン!!!

 

突如、洞天にエンジン全開の爆音が鳴り響いた。

「ちょっ……!?ちょちょちょニィロウ!?!?」

胡桃が目を白黒させる。

「これ、粘液ごと私たちも裁断されるパターンだよね!?!?」

「ひぇええええ!?!?だ、だめえええええええええ!!」

フリーナが涙目で叫ぶが、既にチェーンソーの刃は粘液表面ギリギリまで迫っていた。

そのとき──

 

カシャッ!

 

「ん?」

ニィロウが手元を見下ろすと、チェーンソーの刃が粘液に入った瞬間、止まっていた。

「…あれ?止まっちゃった?」

「そ、相当硬いみたいね…」

「ですね……」

刻晴が剣を鞘に納めながら苦々しく呟いた。

「ほんとに、どうすればいいのさ……」

フリーナと胡桃が手をぶらぶら振りながら落ち込みかけたその時──

「……あっ!」

藍硯が、ぱあっと雷に打たれたような顔で手を打った。

「……あの感じ……嫌な予感がするな……」

宵宮が微妙な表情で後ずさる。

 

藍硯は「ちょっと待ってて!」と元気よく言って、物置に猛ダッシュ。

そして10秒後──

 

「見つけたー!!」

彼女が持ってきたのは、銀色の筒に赤い導火線がついた……明らかにダイナマイトだった。

「ちょっっ……藍硯!?それどこから持ってきたの!?」

「え?伏龍さんの部屋の“危ない箱”の中にあったよ?」

 

「伏龍さんーーーーーー!!!」

 

「……えーっと……これをこうして……」

藍硯は手馴れた手つきで粘液の中心部にダイナマイトをセッティングする。

「着火するよ〜?」

「ちょっと待って待って待って!?誰か止めて!!玄鳥は!?伏龍は!?!?」

「いません。」

甘雨が完全に諦めた顔で言い切った。

「皆さん、伏せて!」

 

刻晴が叫ぶや否や──

 

ボンッ!!!!!!!!

 

──数十秒後。

洞天の一角は真っ白な煙に包まれていた。

 

「……げほっ、げほっ……」

「……うわあ……天井が一部ない……」

 

胡桃とフリーナが顔を出すと、完全に吹き飛んだ粘液と、

ススまみれの藍硯たちががケロッと立っていた。

 

「やった!取れたよー!……げほっ…」

 

…………………

 

〜玄鳥視点.

「ただいまー……って、なにこれ。」

 

洞天に足を踏み入れた瞬間、俺は言葉を失った。

 

床も壁も真っ黒な煤まみれ。

窓は粉々、ドアも半分吹き飛んでいる。

 

「……誰か、家ごと焼いたか?」

 

思わずそんなことを言いながら進むと、胡桃とフリーナが黙々と床を雑巾で拭いていた。

 

「……」

 

「……」

 

……目が死んでた。

 

 

ちょうど後ろから入ってきたファングと十夜がニィロウと藍硯に尋ねる。

「なあ、何があったんだコレ?」

「え…えっとね…」

ニィロウが苦笑いで答えた。それを見た藍硯も苦笑いで話す。

「ねぇ、ダイナマイトって想像以上に威力高いんだね!」

 

「……ん? 今、ダイナマイトって言っ(ry

 

「たぶん誰かさんの爆弾が爆発したんとちゃうかな〜?」

宵宮が半笑いで藍硯のほうを見る。刻晴はなぜか微妙に距離を取っていた。

「……いやいや、おかしいだろ、誰が何のために……」

でも、みんな目を逸らすか、笑ってごまかすだけだった。

俺たち男組は、何かとんでもないことが起きたのを察しつつも──

「深く考えない」という選択をした。

 

ちらりと見たフリーナと胡桃は、煤まみれのまま、肩を落としてため息をついていた。

(……今度、いいデザートでも作ってやるか。)

 

そんなことを考えながら、俺は壊れたドアの蝶番を拾い上げた。

「……まずは、修理だな。」





ギャグ回です。息抜き。

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