PS4壊れた。
悲C。
〜三人称視点.
「……そろそろ動き出すとしよう。」
パンドラタワー最上層、漆黒の空間にて。
ボーマンはゆっくりと玉座を離れ、その瞳に冷たい支配の光を宿らせた。
その様子を見た風と雷は、互いに視線を交わし、静かに頷く。
「人間どもは、我が統べる──すべてはこの手に。」
「ボーマン様の仰せの通りに……」「仰せの通りに。」
二人は無言で跪き、プロスチームガンへと邪眼を装填する。
その動作すらも、儀式のように無駄がなく、冷徹だった。
‥………………
その頃、パンドラタワー外縁・海岸沿い。
風に混じる潮の匂いと、微かに鉄錆の臭いが漂う。
「……あの中、なんだな。ラール?」
玄鳥の問いに、ラールは真剣な顔で頷いた。
「はい、親分。あの裂け目から……ダトマスが何体も現れました。」
彼が指さす先、パンドラタワーの壁の一部が不自然に開き、大量のダトマスが無音のまま行進していた。
「……ビンゴ!」
玄鳥はすぐに判断し、仲間に手で合図を送る。
一行は崖を降り、壁際の奇襲ルートに突入。
迫り来るダトマスを蹴散らしつつ、タワー内へと駆け込む。
⸻
塔の内部は異様な静寂に満ちていた。
冷たい金属の壁が延々と続き、照明の代わりに邪眼由来の光が天井を脈打っていた。
階段を駆け上がろうとしたその瞬間──
「……おっと、行かせませんよ。」
背後に、聞き慣れた声が響いた。
そこに立っていたのは、フレアブロスとアクアブロス。
そしてその背後には、数十体のダトマス兵がライフルを構えて並んでいた。
「気づかねぇと思ったか?ハッ、間抜けがよ。ここがどこか、わかってんのか?」
アクアブロスが侮蔑の笑みを浮かべる。
「……囲まれたな。正面突破も、難しいか……」
玄鳥が構えを取るが、その横で、ラールがふいに一歩前へ出た。
「……親分。」
ラールは静かに邪眼を取り出し、装着。
その瞬間、彼の体は光と共に重装アーマーを纏い、重々しい音を立てて歩を進めた。
「……ラール?」
ラールは、ファングの手を取り、ドッグタグを握らせた。
「今のうちに行ってください。」
その言葉に、ファングは瞬時に察した。
彼の目に、言葉にならない想いが灯る。
「ラール……お前……」
「今まで……ありがとうございました…!」
無言でタグを受け取ったファングは、一瞬だけ目を伏せ──
「……行くぞ。」
振り返らず、階段を駆け上がる。
玄鳥、十夜、マルク、燕──仲間たちも続く。
誰一人として、ラールを振り返らなかった。
「…ふっ…一人で立ち向かうつもりですか?」
「ああそうさ。信じてるからな!」
そう言って、ラールはフレアブロスたちに立ち向かって行った。
‥………………
階段を駆け上がっていた玄鳥たち。
だが、その疾走は突如として阻まれた。
「うおっ!?」
突如として両側の壁がせり出し、通路が狭まり始める。
伏龍は咄嗟に飛び退き、狭間に挟まれそうになった仲間を引っ張り出す。
「罠か!? どこまで仕組まれてやがる!」
次の瞬間、今度は床が崩れ、燕が虚空に足を取られる。
「──っ、燕!!」
玄鳥がすかさず手を伸ばし、間一髪で腕を掴む。
燕を引き上げると、彼女は荒い息を吐きながら頷いた。
辺りを見回すと、全方位、無機質で黒光りするコンクリートの壁に囲まれた空間。
どの道も見分けがつかず、まるで巨大な動的迷宮のようだった。
「こりゃあ……思った以上に厄介だな。」
伏龍が天井を見上げながら吐き捨てる。
「玲瓏の言った通りかもな。タワー内部、構造が複雑に“動的に”変化してやがる。」
十夜がマップ端末を起動するが、電波は途切れ、構造表示も歪んでいる。
「GPSもダメか。こりゃ感覚と勘で進むしかねぇな……!」
緊張の中、全員が周囲を警戒しつつ、慎重に歩を進める──
──その時だった。
「……っ!? なんだ、この音は──!」
背後から、乾いたエンジン音と金属の唸りが響く。
振り返ると、数台のバイクに乗った戦闘型ダトマス兵が現れ、
前傾姿勢でライフルを構えて急接近してきた。
さらに、その奥からは──
複数のダトマスが合体し、砲塔を備えた重装甲兵器型の巨大ダトマスが姿を現す。
「チッ……そう簡単に通してくれるわけがねぇか!」
ファングが低く唸ると、通路が再び変形。
突然、床が傾き、巨大な滑り台のように下方向へと変化していく。
「おいおい、今度は地形も乗り物前提かよ!」
滑りながらバランスを取りつつ、伏龍が怒鳴る。
──が、そこで一瞬の機転が走った。
「向こうがバイクなんて、ズリぃだろ……ならよ──」
足元のバイクにまたがったダトマスを、
膝蹴りで吹き飛ばし、そのまま強奪した。
「俺たちも使ってやるよ!」
エンジンを起動させた伏龍が滑り台を爆走する。
「……うらやましいわね!」
燕も反応し、別のダトマスに踵落としで衝撃を与え、バイクを奪取。
颯爽と滑走しながら玄鳥たちに並走した。
玄鳥はルミナフォンのアプリをタップし、バイクを召喚。
音もなく滑るように地面に着地し、全力で滑り坂を駆け上がる。
マルク、ファング、十夜たちもバイクを強奪あるいは自前で対応し、各々の手段で滑走を開始した。
「このまま……最上階まで突っ切るぞ!!」
‥………………
「ここが最深部か?」
玄鳥たちはバイクを降り、周囲を警戒する。空間全体が静まり返り、まるで息を潜める獣のような重圧が漂っていた。
しかし──
地鳴りと共に、足元の床が変形を始めた。無数のキューブ型ブロックがせり上がり、空間を構成し直してゆく。そしてその中心に──
「……!」
フレアブロスとアクアブロスが姿を現す。
「やはり来ましたね。迷路を抜けるとは、褒めてあげましょう。」
「ふっふっふ……言ったでしょう?我々はこの塔の構造を知り尽くしていると。」
挑発的な笑みを浮かべる二人。その瞬間、ファングの目が鋭くなる。
「……ラールは、どうした。」
その問いに、フレアブロスは冷酷な笑みを浮かべ、手にした物を放り投げた。
──それは、ラールの鎧の破片だった。
金属音を立てて、ファングの足元に転がる。
「哀れなものだぜ。命を投げ出してまで時間稼ぎ? ──滑稽だなぁ!?」
アクアブロスが鼻で笑い、フレアブロスが続ける。
「お前たちが余計なことをしなければ、あのスクラップも“死なず”に済んだでしょうに。」
「…………っ!」
その瞬間、ファングの背後から雷元素が爆ぜる。火花が散り、床が焦げ付く。
彼は、震える手で三人分のドッグタグを握り締めた。
強く、深く、祈るように──そして、その想いを燃やすように。
「……先に行ってくれ。」
「──え……だが、それじゃあ……」
玄鳥が振り返るも、ファングは顔を上げてはっきりと告げた。
「ここは俺にやらせてくれ。」
その瞳には、強い光が宿っていた。迷いは、ない。
「……分かった。」
玄鳥は黙って頷き、ファングの肩を力強く叩く。
「……頼む。」
その一言だけを残し、玄鳥たちは最深部へと走り出していった。
「へっ……雑魚の始末くらい、任せとけよ。」
ファングがアクアブロスを睨みつける。
「──兄貴、例の作戦は任せた。こいつはここで終わらせる。」
「……ふん。」
フレアブロスは嘲笑を残し、邪眼をアクアブロスに手渡して変身を解除。
風の姿へと戻り、そのまま最深部への通路へと姿を消す。
「“重装”──」
アクアブロスが低く呟き、光と雷の力が収束。
邪眼が起動し、炎と水の鎧が交わりデュアブロスに変身した。
「……さて、お前には地獄を見せてやるよ。」
ファングは、静かに目を閉じた。
ラール…ニーラー…ピーラー。
守るために命を懸けた者たちの魂が、今この手にある。
「……絶対に許さねぇ!!!」
ファングの咆哮が塔内に響き渡る。雷が荒れ狂い、拳に宿る。
彼は、駆け出した。
魂を燃やし、全力で、正面から……デュアブロスに挑んだ。
ついに第二部も終盤。
次の連載
-
続編
-
リメイク