この作品あらすじだけ見たら凄く恋愛系だと思うじゃないですか。
〜ファング視点.
「ば、馬鹿なッ……押されてるだと!?」
これまで一方的に蹂躙してきたはずのデュアブロスが、防戦一方に追い込まれていた。
怒涛の連撃。俺の拳が、雷を帯びてデュアブロスの装甲を削る。銃口を向けて応戦するも、その動きはすでに見切っている。
──回避。
──カウンター。
──雷撃拳。
「当然だろ……!」
俺が叫ぶ。殴る。咆哮するような怒りが拳に乗って響いた。
「お前らとは……!」
「──覚悟の差がッ!!」
重たい右拳が、雷の奔流と共に叩き込む。
「違うんだよォォォォ!!!!」
──その一撃が、怒りの頂点だった。
雷を纏ったストレートが、デュアブロスの胸部を直撃し、金属の裂ける音と共に吹き飛ばす。
「ぐああああッ!!」
デュアブロスは壁にめり込み、音を立てて崩落していく。地鳴りが空間を揺らす。
「馬鹿な……この俺が……っ!こんな、ゴミカスに……ッ」
その呻きにも、俺は一切耳を貸すつもりはない。
「……その言葉を吐く前に、鏡でも見ておけ。」
怒気を孕んだ声と共に、足は雷をチャージした。
──足元に、雷が収束する。
俺は大地を蹴って宙に舞い、天から雷光を纏った飛翔体と化す。
デュアブロスが必死に銃口を構え、エネルギーをチャージし、すぐさま発射した。
エネルギーがぶつかり合う。だが、負けるつもりはなかった。
「…何ィ!?」
「ォォォォぶち抜けぇぇぇぇ!!!!」
雷撃と銃撃、両者の極限が衝突する。
――が、押し返されるのはデュアブロスの側だった。
雷が銃口を貫き、装甲を焼き尽くし、そのまま胸部へと到達。
「──がっ……!!!」
爆音。衝撃。閃光。
デュアブロスは遠くの壁へと吹き飛ばされ、そのまま爆発の中に呑まれた。
………
静寂が訪れる。
「……仇は、取ったぜ……」
息を整えながら、俺は握りしめてたドッグタグを見つめる。
ニーラー、ピーラー、ラール……
名も顔も、忘れない。
涙はなかった。だが、俺の握る拳には、確かな想いと誓いがある気がした。
‥………………
玄鳥たちは幾重にも続く鉄壁の階層を突破し、ついに玉座の間へと辿り着いた。
そこは無機質な機械空間にして、異様な荘厳さすら漂う広間。中心には、重厚な鉄と黄金の玉座が鎮座していた。
その上にいたのは、支配者ボーマン──
玉座から視線だけを向けたまま、機械仕掛けの冷たい声が響く。
『……来たか。我が忠実なる配下たちよ。』
「ボーマン……!」
玄鳥が前に出て名を呼ぶ。
『我が元に下るために来たのか? 笑止……やがてこの世界は全て、我が支配下に置かれる。貴様ら如きが抗ったところで、無意味。……今は下がれ。』
「いいや、ここで終わらせて差し上げますよ──支配者様!」
──パンッ!
乾いた銃声が響いた。
玄鳥たちが驚いて振り返ると、風が銃口を、ボーマンに向けていた。ブロスチームガン──その銃口から、まだ煙が上がっていた。
『な……不敬だぞ……貴様アァァア!!』
ボーマンの感情が暴走する。怒りが機械音声に滲み、玉座の空間を震わせる。
しかし、風は鼻で笑って返した。
「ふん……我々がいつまでもお前の犬だと? 笑わせないでいただきたい。支配者の器ですらない、哀れな電動人形が。」
「へっ、そういうこったよ。ボーマンさんよぉ〜……」
雷も同様に、口角を上げて銃を構える。
お互いの銃に、邪眼が装填される。
「「重装」」
静かに呟いた二人の姿が閃光に包まれる。次の瞬間、アクアブロスとフレアブロスがそこに立っていた。
『…………ふむ。最初から我に従う意志など、微塵もなかったと……。』
ボーマンはゆっくりと立ち上がった。
「来るぞ……!」
そう玄鳥が構えるのとほぼ同時、背後の巨大なガラス壁が爆発的に破壊される。
その向こうにあったのは、赤黒く濁った液体の巨大タンク。
ボーマンが手をかざすと、液体が機械の体内に吸収されていく。
彼の声が、どこか恍惚とした響きを帯びた。
『……これだ……! これこそが、我が望んだ真なる支配のエネルギーッ……!』
次の瞬間、ボーマンの手にブロスチームガンが出現する。
それを自らのコアに突き立てるように構えると、トリガーが引かれた。
『──重装』
雷鳴のような轟音。機械部品、武器、金属フレーム、破損したダトマスの残骸までもが渦となって彼の肉体に吸い込まれていく。
『──バルバロス。それが我の名、我が理想の力の体現。』
機械の神が如きその声に、空間が圧されるような重みが加わる。
「へっ……仮初の癖に生意気抜かしてんじゃねぇッ!」
アクアブロス──雷は怒りに任せて真っ先に飛び込んだ。
しかし、バルバロスは微動だにせず、両腰からハンドアックスを引き抜いた。
「──はァッ!」
アクアブロスが拳を振り上げた瞬間、ハンドアックスが放たれる。
鋭い回転とともに振り下ろされ、雷の攻撃をねじ伏せるように叩き込まれた。
「ぐおッ……!? てめぇ……っ!」
『貴様らの全戦闘データ──すでに我の中に取り込まれている。』
バルバロスの両腕が変形し、両肩から多砲身の機関砲が展開された。
『……よって、我が貴様らに敗北する理屈は存在しない。』
──ダダダダダダッ!!!
凄まじい火線が雷を包み込んだ。アーマーは砕け、変身は解除。
そのまま、バルバロスは雷に向けて右腕から巨大なパイルバンカーを射出した。
「……なっ……が……あ──ッ!!」
咄嗟に防御姿勢を取る暇もなく、雷の胸部を貫通した鋼鉄の杭。
血飛沫が散り、雷は目を見開いたまま、静かに崩れ落ちた。
「雷……!」
風が叫ぶ暇もなく、雷の邪眼とブロスチームガンが跳ねて転がる。
それをすぐに拾い上げた風は、静かにため息を吐き、静かに目を伏せ──
「……愚弟よ、せめて最期は役に立ちなさい。」
そう言いながら、風は両方を装着し、再び姿を変える。
「重装」
デュアブロスを装着し、風は静かに前へと踏み出す。
「──あなたに“王”は相応しくない。王になるのは、この私だ!」
『──愚かしい!!』
機械仕掛けの巨人は、冷酷に断ずる。
──ゴンッ!!!
ハンドアックスがデュアブロスを叩きつける。
続けて、足部が変形し、回転ドリルがうなりを上げながら胴体を抉った。
「ぐああッ……!」
吹き飛ばされた風は壁に激突し、崩れ落ちる。
変身は解除されなかったものの、アーマーは大きく損傷し、立ち上がる脚が震えている。
「…ぐっ……こ、これほどとは……」
ボロボロの姿で、風はゆらりと立ち上がり──そのまま出口方向へとよろよろと退却していった。
『逃げるか……所詮はその程度。だが、いい。逃がしてやろう。』
『次に我の前に立つ時は……世界がすでに我がものとなった後だ。』
バルバロスの瞳は、冷たく、それでいて勝利を確信したものとして燃えていた。
「…玄鳥、行くぞ。」
「ああ!」
そうして玄鳥達は武器を構えると同時に、バルバロスは静かに歩いていた。
最終決戦です。
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