第二部も遂に終わり。
〜玄鳥視点.
「重装!」
俺は邪眼の結晶を風属性モードに切り替え、アーマーを纏ってボーマンに突撃した。
『無駄だ。』
ボーマンの機関砲が咆哮するように火を噴く。だが、アーマーが全てを受け止めた。俺は怯まず、ストライクバスターを構え、即座に連射を開始する。
「はあっ!」
『無駄だ。』
ボーマンはまるで紙屑をはたき落とすかのように軽く弾き、無傷のままそこに立っていた。
『小僧の分際で我に抗うとは…愚かだな。貴様は強い。我の配下として迎えてやってもいい。』
「誰がテメェなんかに!」
咄嗟に雷属性モードへと切り替え、俺は後退して間合いを取り直す。
「援護するぞ!」
「まったく、手のかかる奴だな…!」
伏龍と玲瓏が肩を叩いて合流し、それぞれ武器を構える。三人で連携し、一斉に攻撃を仕掛けた。
しかし――
ボーマンのハンドアックスが唸り、伏龍の矢を弾き返した。
「ぐっ……!」
伏龍が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「伏龍!」
「…くそ、弓でガードしなきゃ即死だった……」
彼は体勢を立て直しながら、へし折れた弓を見つめる。
「……すまねぇ、俺はもう戦えねぇ。あとは任せる。」
無念を滲ませながら、伏龍は戦線を離脱した。
『小賢しい。我の前から逃れるとは……』
「変身解除した相手に追い打ちかけるお前が言うな!」
『支配とは弱者を管理し、秩序をもたらす行為だ。我こそがその器を持つ者……世界の意志がそれを望んでいる。』
「何言ってんだ?」
ファングはキョトンとした。
『争いが絶えぬこの世界にこそ、絶対的支配者が必要なのだ。我がその“調律者”であると、何故わからぬ。』
「自分の都合で世界を支配するなっての!!」
その時、燕が剣を抜いて叫ぶ。
「だったら、私は――お前を斬るだけ!!」
燕がボーマンに切りかかる。だが──
『愚か。』
瞬時に蹴り飛ばされ、地面に転がる燕。さらにボーマンの腕が変形し、拘束用の機構が彼女を絡め取った。
「ぐっ……!」
『ふふ……悪くはない。即興の調教には耐えられぬだろうが、数年かけて仕上げれば……我の理想に沿った“被造物”となろう。』
その言葉を聞いた瞬間、俺の中の何かが切れた。
「……お前……今、何て言った?」
『ほう?聞こえなかったか?』
「……今の言葉、俺は怒ったぞォッ!!」
怒りが体中を駆け巡る。俺はボーマンの顔面に思い切り頭突きを叩き込み、そのまま燕を奪還、即座にバックステップで距離を取った。
『ぐっ……貴様ァ……ッ!!』
ボーマンが唸り、無数の弾丸を飛ばしてくる。だが、今の俺は止まらない。
「燕、大丈夫か!?」
俺は駆け寄って燕を抱き起こした。顔は赤く、息もやや上がっている。
「う、うん…ちょっとびっくりしただけ…」
(なんか、顔赤いけど……発熱?)
彼女は視線を逸らしながらも、かすかに頷いた。
「燕は下がってろ。あとは俺がやる。」
そう言って背を向けようとした時──
「………」
「燕?」
「──あっ!う、うん、わかった!任せるわね!」
どこか挙動不審な声を残し、彼女は走るようにして戦場を後にした。
(なんかしたか、俺……?)
一瞬だけそんなことを考えたが、目の前の敵が思考を遮る。
『貴様ァァ!よけいな真似を!』
ボーマンの声が、怒気に満ちた振動で響いた。
「王だの支配者だの、よく言えたもんだな!そんなもんのために仲間を傷つけて、壊して……俺は絶対に許さない!」
雷が、風が、俺の中で共鳴する。
「心火を燃やして……お前を倒す!」
その瞬間―
天から、轟音と共に何かが降ってきた。
「『!?』」
俺たち全員が、上空を仰いだ。
次の瞬間、大地を突き刺す閃光。
《ドラグカリバー!!Z!!》
「うるさっ……」
そう吐き捨てながらも、俺は無意識にその短剣を引き抜いていた。手に馴染む重量感。熱く、重く、それでいて安心する不思議な感触。
俺はボーマンに剣を向け、低く構えた。
『ほう……面白い。ならばここで、貴様の命に終止符を打ってやろう。』
ボーマンの装甲が赤く輝き、エネルギーが凝縮していく。
「それは……こっちのセリフだぜッ!」
俺の足元に雷と風が渦を巻いた。
「行くぞ、ボーマン!!」
………………
〜三人称視点.
「はッ!」
玄鳥が叫び、ドラグカリバーZを空へ振り上げると、刃が空間を裂き、蒼い次元の裂け目が出現した。
『なにっ!?』
ボーマンが困惑する間もなく、玄鳥は裂け目に身を滑らせた。
ボーマンが辺りを探る。
次の瞬間、背後から斬撃。ドラグカリバーZとストライクバスター、双剣の連撃がバルバロスを切り裂く。
『グゥ…!?』
「まだまだァ!!」
次元を自在に飛び移りながら、玄鳥の斬撃が八方から叩き込まれる。ボーマンの反応が一歩遅れた隙に、サブアームを吸い込み、内部から破壊。
『ちょこざいな!!』
怒りに燃える玄鳥が距離を取り、追撃を構える。
その時──
「──僕たちも援護する!!」
ファングとマルクが駆けつけ、同時に空間を切り裂き、次元移動で合流する。
『貴様らまでッ!!』
「黙れ!」
三人が連携し、次元を利用した立体交差の連撃を叩き込む。空中から、背後から、左右から――
バルバロスの両腕が同時に吹き飛ぶ。
『馬鹿なァァッ!!このような結末……認められん、認められんぞォォッ!!』
残骸が火花を散らす中、三人がそれぞれ構えを取った。
「──これで、終わりにする。」
マルクが剣を逆手に構え、氷を纏わせて結晶化。
ファングは雷撃を脚部にチャージし、戦場を割る咆哮を上げる。
玄鳥はドラグカリバーZに最後のエネルギーを注ぎ込み、風と雷の力を融合させる。
「行くぞ!!」
「喰らえ!!」
マルクの氷刃の連撃がバルバロスを削り、ファングの蹴りが動きを止め、玄鳥が叫ぶ。
「トドメだァァァァァ!!」
渾身のドラグカリバーZが天を裂く風雷の斬撃と共にバルバロスを両断した
『我が…このような…
このような存在にィィィィィィィィィ!!!!!』
そう言い残して、ボーマンは爆発四散した。
………………………………
〜玄鳥視点.
「「──つばめぇぇぇぇ!!」」
パンドラタワーの麓まで辿り着いた途端、胡桃と藍硯が同時に叫びながら俺に飛びついてきた。
「うわっ……って、うわっ!?」
気がつけば、二人の腕が全力で俺の胴に絡みついている。涙の跡が目立つ頬を見れば、言わなくても分かった。
「……ほんとに、無事でよかった。」
その後ろから、蛍も静かに歩み寄り、そっと抱きしめてくる。目元が赤い。あの蛍が、泣いていた。
「……」
ふと、背中に別のぬくもりが触れた。振り返ると、少し不貞腐れた顔の燕が、何も言わず、俺の後ろに回って抱きついていた。
「ちょっ……みんな、離れてくれって……!」
「やーだ♪」「やだ〜!」「…もうちょっと……」「…♪」
四者四様に、遠慮ゼロで応える。
「……………」
逃げようにも逃げられず、腕も動かせず、俺はその場に立ち尽くすしかなかった。
──だけど。
ほんの少しずつ、胸の奥の緊張が溶けていくのが分かった。
肩から力が抜けて、呼吸が楽になった。
ああ、俺……生きて帰ってきたんだな。
空を見上げると、塔の影に覆われていた空は、今はもう赤く染まり、夕陽が沈みかけていた。
戦いは終わった。
俺たちの「日常」が、やっと戻ってきたんだ──そんな気がした。
第二部 完!
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