【本編完結】仄かな焔は璃月を舞う   作:サツキタロオ

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第二部も遂に終わり。


第23幕:心火を燃やせ!ドラグカリバーZ

 

〜玄鳥視点.

「重装!」

俺は邪眼の結晶を風属性モードに切り替え、アーマーを纏ってボーマンに突撃した。

『無駄だ。』

ボーマンの機関砲が咆哮するように火を噴く。だが、アーマーが全てを受け止めた。俺は怯まず、ストライクバスターを構え、即座に連射を開始する。

「はあっ!」

『無駄だ。』

ボーマンはまるで紙屑をはたき落とすかのように軽く弾き、無傷のままそこに立っていた。

『小僧の分際で我に抗うとは…愚かだな。貴様は強い。我の配下として迎えてやってもいい。』

「誰がテメェなんかに!」

咄嗟に雷属性モードへと切り替え、俺は後退して間合いを取り直す。

「援護するぞ!」

「まったく、手のかかる奴だな…!」

伏龍と玲瓏が肩を叩いて合流し、それぞれ武器を構える。三人で連携し、一斉に攻撃を仕掛けた。

 

しかし――

ボーマンのハンドアックスが唸り、伏龍の矢を弾き返した。

「ぐっ……!」

伏龍が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「伏龍!」

「…くそ、弓でガードしなきゃ即死だった……」

彼は体勢を立て直しながら、へし折れた弓を見つめる。

「……すまねぇ、俺はもう戦えねぇ。あとは任せる。」

無念を滲ませながら、伏龍は戦線を離脱した。

『小賢しい。我の前から逃れるとは……』

「変身解除した相手に追い打ちかけるお前が言うな!」

『支配とは弱者を管理し、秩序をもたらす行為だ。我こそがその器を持つ者……世界の意志がそれを望んでいる。』

「何言ってんだ?」

ファングはキョトンとした。

『争いが絶えぬこの世界にこそ、絶対的支配者が必要なのだ。我がその“調律者”であると、何故わからぬ。』

「自分の都合で世界を支配するなっての!!」

その時、燕が剣を抜いて叫ぶ。

「だったら、私は――お前を斬るだけ!!」

燕がボーマンに切りかかる。だが──

 

『愚か。』

瞬時に蹴り飛ばされ、地面に転がる燕。さらにボーマンの腕が変形し、拘束用の機構が彼女を絡め取った。

「ぐっ……!」

『ふふ……悪くはない。即興の調教には耐えられぬだろうが、数年かけて仕上げれば……我の理想に沿った“被造物”となろう。』

 

その言葉を聞いた瞬間、俺の中の何かが切れた。

「……お前……今、何て言った?」

『ほう?聞こえなかったか?』

「……今の言葉、俺は怒ったぞォッ!!」

怒りが体中を駆け巡る。俺はボーマンの顔面に思い切り頭突きを叩き込み、そのまま燕を奪還、即座にバックステップで距離を取った。

 

『ぐっ……貴様ァ……ッ!!』

 

ボーマンが唸り、無数の弾丸を飛ばしてくる。だが、今の俺は止まらない。

「燕、大丈夫か!?」

俺は駆け寄って燕を抱き起こした。顔は赤く、息もやや上がっている。

「う、うん…ちょっとびっくりしただけ…」

(なんか、顔赤いけど……発熱?)

彼女は視線を逸らしながらも、かすかに頷いた。

「燕は下がってろ。あとは俺がやる。」

そう言って背を向けようとした時──

「………」

「燕?」

「──あっ!う、うん、わかった!任せるわね!」

どこか挙動不審な声を残し、彼女は走るようにして戦場を後にした。

(なんかしたか、俺……?)

一瞬だけそんなことを考えたが、目の前の敵が思考を遮る。

『貴様ァァ!よけいな真似を!』

ボーマンの声が、怒気に満ちた振動で響いた。

「王だの支配者だの、よく言えたもんだな!そんなもんのために仲間を傷つけて、壊して……俺は絶対に許さない!」

雷が、風が、俺の中で共鳴する。

心火を燃やして……お前を倒す!」

 

その瞬間―

天から、轟音と共に何かが降ってきた。

「『!?』」

俺たち全員が、上空を仰いだ。

次の瞬間、大地を突き刺す閃光。

 

《ドラグカリバー!!Z!!》

 

「うるさっ……」

そう吐き捨てながらも、俺は無意識にその短剣を引き抜いていた。手に馴染む重量感。熱く、重く、それでいて安心する不思議な感触。

俺はボーマンに剣を向け、低く構えた。

『ほう……面白い。ならばここで、貴様の命に終止符を打ってやろう。』

ボーマンの装甲が赤く輝き、エネルギーが凝縮していく。

「それは……こっちのセリフだぜッ!」

俺の足元に雷と風が渦を巻いた。

 

「行くぞ、ボーマン!!」

 

………………

 

〜三人称視点.

 

「はッ!」

玄鳥が叫び、ドラグカリバーZを空へ振り上げると、刃が空間を裂き、蒼い次元の裂け目が出現した。

『なにっ!?』

ボーマンが困惑する間もなく、玄鳥は裂け目に身を滑らせた。

ボーマンが辺りを探る。

 

次の瞬間、背後から斬撃。ドラグカリバーZとストライクバスター、双剣の連撃がバルバロスを切り裂く。

『グゥ…!?』

「まだまだァ!!」

次元を自在に飛び移りながら、玄鳥の斬撃が八方から叩き込まれる。ボーマンの反応が一歩遅れた隙に、サブアームを吸い込み、内部から破壊。

『ちょこざいな!!』

怒りに燃える玄鳥が距離を取り、追撃を構える。

 

その時──

「──僕たちも援護する!!」

ファングとマルクが駆けつけ、同時に空間を切り裂き、次元移動で合流する。

『貴様らまでッ!!』

「黙れ!」

三人が連携し、次元を利用した立体交差の連撃を叩き込む。空中から、背後から、左右から――

バルバロスの両腕が同時に吹き飛ぶ。

『馬鹿なァァッ!!このような結末……認められん、認められんぞォォッ!!』

残骸が火花を散らす中、三人がそれぞれ構えを取った。

「──これで、終わりにする。」

マルクが剣を逆手に構え、氷を纏わせて結晶化。

ファングは雷撃を脚部にチャージし、戦場を割る咆哮を上げる。

玄鳥はドラグカリバーZに最後のエネルギーを注ぎ込み、風と雷の力を融合させる。

「行くぞ!!」

「喰らえ!!」

マルクの氷刃の連撃がバルバロスを削り、ファングの蹴りが動きを止め、玄鳥が叫ぶ。

「トドメだァァァァァ!!」

渾身のドラグカリバーZが天を裂く風雷の斬撃と共にバルバロスを両断した

 

『我が…このような…

 

このような存在にィィィィィィィィィ!!!!!』

 

 

そう言い残して、ボーマンは爆発四散した。

 

 

………………………………

 

〜玄鳥視点.

「「──つばめぇぇぇぇ!!」」

パンドラタワーの麓まで辿り着いた途端、胡桃と藍硯が同時に叫びながら俺に飛びついてきた。

「うわっ……って、うわっ!?」

気がつけば、二人の腕が全力で俺の胴に絡みついている。涙の跡が目立つ頬を見れば、言わなくても分かった。

「……ほんとに、無事でよかった。」

その後ろから、蛍も静かに歩み寄り、そっと抱きしめてくる。目元が赤い。あの蛍が、泣いていた。

「……」

ふと、背中に別のぬくもりが触れた。振り返ると、少し不貞腐れた顔の燕が、何も言わず、俺の後ろに回って抱きついていた。

「ちょっ……みんな、離れてくれって……!」

 

「やーだ♪」「やだ〜!」「…もうちょっと……」「…♪」

 

四者四様に、遠慮ゼロで応える。

 

「……………」

逃げようにも逃げられず、腕も動かせず、俺はその場に立ち尽くすしかなかった。

 

──だけど。

 

ほんの少しずつ、胸の奥の緊張が溶けていくのが分かった。

肩から力が抜けて、呼吸が楽になった。

ああ、俺……生きて帰ってきたんだな。

空を見上げると、塔の影に覆われていた空は、今はもう赤く染まり、夕陽が沈みかけていた。

戦いは終わった。

 

俺たちの「日常」が、やっと戻ってきたんだ──そんな気がした。

 





第二部 完!

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