【本編完結】仄かな焔は璃月を舞う   作:サツキタロオ

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ナド・クライのギミック難しすぎる!訳分からん。


第28幕:戦いの鐘が鳴る

 

〜三人称視点.

 

「ナタに上陸したね!」

ニィロウがぱっと両手を広げ、まるで祭りの幕開けのように声を上げた。赤茶けた大地の向こうでは噴煙が上がり、熱風が頬を撫でる。まさしく灼熱の国――ナタ。

 

だが、その壮大な景色よりもまず目に入ったのは、びしょ濡れの玄鳥たち男子組だった。

「……泳いで行くとは思いませんでした。」甘雨が呆れ半分で言う。

「普通、船を使うわよね。」刻晴が冷ややかに追い打ちをかける。

 

「うるさいぞ刻晴!軟弱な!」

玲瓏がぶるぶる震えながらも声を張り上げ、くしゃみを一発。まるで自分の無茶を正当化しようと必死だ。

どうやら男子組は「男は黙って直行だ!」と言わんばかりに船を使わず泳ぎ切ったらしい。一方の胡桃たち女子組は涼しい顔で船旅を選び、結果的に男子組はずぶ濡れで敗北。

「船を使わない方が早いに決まってる!」と出発前にドヤっていたマルクは、今や地面にぺたんと座り込み、悔しそうに地面の砂を蹴っていた。

「チェ……」

「ほらほら、そう落ち込まないでよマルク〜。」フリーナが笑いながら肩を叩くと、男子組の顔には一斉に悔しさと疲労が浮かんだ。

 

「……くそ、次は絶対負けねえ……」

砂と汗と後悔にまみれた男子組の心に、ナタの熱風がさらに追い打ちをかけるのだった。

 

………………………………

 

「パンフレットによれば、この先には“こだまの子”っていう部族が住んでるみたいだな。」十夜が案内図を見ながら言う。

 

「可愛い子ちゃん居ないかな〜。」伏龍は完全に観光モード。キョロキョロと辺りを見回していると、視界の先に陽光を美しい獣人の美人を見つけた。

「おおっと、発見!俺のロマンスレーダーが反応してるぜ!」

そう叫んだ瞬間、伏龍は一直線に突撃した。

 

「そこのお嬢さん!コーヒーでもいかがですか?」

 

女性はクスリと笑みを浮かべる。目元には少ししたたかな輝き。

「もしかしてナンパ?残念だけど……ウチにはもう意中の相手が居るんだよね〜。」

彼女は左手を軽く掲げた。薬指には銀色の指輪が光っていた。

「き、既婚者ァァ!!」

伏龍はその場にガックリと膝をつき、魂が抜けたように倒れ込んだ。

「……南無。」

玄鳥が合掌し、十夜が肩を叩く。

 

そんな彼らに女性はくすくす笑いながら自己紹介した。

「ウチはシロネン。鍛冶職人してるんだ。よろしく〜。」

マルクが首をかしげる。

「鍛冶職人が、こんな谷で?何か訳あり?」

「んー、こだまの子の里はね、武器や装飾作りが盛んでさ。ウチもその一人ってわけ。」

胡桃が興味津々で話に割り込む。

「へえ〜!でさでさ、この先に用事があるんだけど、何か知ってる?」

玄鳥はそこで例の手紙を取り出し、シロネンに手渡した。彼女は目を細めてじっと読む。

「うーん、ウチには分かんないなぁ。」

軽く首をかしげたシロネンは、ふと笑顔を見せた。

「でもウラノスなら知ってるかも。物知りだし。案内してあげるよ。」

「助かる!」玄鳥が頭を下げ、一行はシロネンの後に続いて谷の奥へと向かった。

 

近くの遺跡。その中心で、石碑や古文書に夢中になっている青年がいた。

 

「ウラノス〜、アンタにお客さんだよ〜。」

シロネンが声をかけると、青年はビクリと肩を揺らし――

 

「むむッ、とうッ!」

 

跳躍と共にくるりと回転し、石柱の上から華麗に着地する。

「俺に客とは珍しいな。」

凛々しい顔で言ったかと思えば――

「俺はウラノス!ナタの古代文明を!日夜!調査する男だ!」

「……テンション高いな。」玄鳥が小声で漏らし、ファングは顔を引きつらせた。

ウラノスはすぐに肩をすくめ、落ち着いた口調で付け足した。

「あと、シロネンの旦那でもある。」

「うわぁ、急に生活感!」ファングがツッコミを入れる。

 

だが本題に戻ると、ウラノスの瞳が鋭さを増した。

「で、俺に何の用だ?」

玄鳥が例の手紙を差し出す。ウラノスは装飾をしげしげと眺め、そして無言で分厚い書物を持ってきた。

ページをめくり続け――彼の指がある一枚で止まった。

「……あった。これだ。」

その紙には、送られてきた手紙と同じ模様と文字が刻まれていた。

「これは……“サイバースペース”製の手紙だ。」

 

一同がざわめく。

「さいばーすぺーす……?なんだそりゃ?」玲瓏が眉をひそめる。

ウラノスはゆっくりと顔を上げて続けた。

「このテイワットとは別の層に存在すると言われる世界だ。伝承によれば、その文明レベルはここより何億倍も進んでいる。」

「何億倍って……桁がおかしいだろ。」十夜が呆れたように言う。

「だが事実だ。」ウラノスは手紙を見つめたまま、重い声で言い切った。

「この世界に残された手掛かりは少ない。だからこそ、多くの者が“存在しない”と切り捨てた。だが――この手紙が本物なら話は別だ。」

一同に緊張が走った。

 

「正直、サイバースペースの情報はほとんど無い。分かっているのは……この手紙が確かにそこから来たという事実だけだ。」

ウラノスは腕を組み、低く言い切った。

「敵か味方か、それすら分からない。」

「じゃあ、なんで敵だって思うんだ?」ファングが眉をひそめる。

ウラノスは拳を握りしめ、目をギラリと光らせた。

「決まってる!こういう異文明はな――絶対、人類を見下して滅ぼしに来るって相場が決まってるんだ!!」

 

場に沈黙が走った。

「……相場って……」刻晴が額を押さえた。

「だからもし、このサイバースペースとやらの使者がナタに来るなら……かなり厄介だ。」

ウラノスは重々しく言い、大きく息を吐いた。

宵宮が手を挙げる。

「え、ちょっと待って。今のナタってそんなヤバい状況なの?」

ウラノスは宵宮に視線を向け、真剣な顔で答える。

「ナタは常にアビスの軍勢に狙われている。何百年も前から、ずっとだ。もしそこにサイバースペースの敵が加わるなら……」

 

「終わりだな。」ウラノスが重く言い放つ。

 

「終わりだね。」シロネンが小さく呟く。

 

「終わりだな。」ファングも肩をすくめる。

 

「終わりですね。」甘雨まで便乗する。

 

「ちょ、みんな絶望的過ぎ!ちょっとは落ち着きましょうよ!」燕が慌てて声を上げた。

一同の表情にわずかに緊張が走る中、ウラノスは書物を閉じた。

「……どちらにせよ、動向を探る必要があるな。相手が敵なら、ナタはすぐにでも対応策を練らなきゃならん。」

シロネンが口を開いた。

「だね。マーヴィカや他のみんなにも伝えとかなきゃ――」

 

その時だった。

 

遠くから重低音が響き、地面が微かに震えた。

「嫌な予感しかしないな……!」玄鳥が顔を上げ、駆け出した。

一同が海辺に辿り着くと、そこには――

「……なんだ、あれは……」

空から、まるで巨大な隕石のように、光り輝く何かが落ちてくる。

それは地上に衝突する寸前で停止し、ゆっくりと回転しながら展開した。

 

ゲート――それは確かに“門”と呼ぶべき存在だった。

 

まばゆい光が門の奥から溢れ出し、次の瞬間――

「おい、なんか出てくるぞ!」ファングが叫ぶ。

 

ゲートの中から、黒い影がゆっくりと姿を現した。

「で、でけぇ……!船か!?」

それは船に似ていたが、海の上ではなく空中に浮かび、音もなく滑るように進む円盤だった。

 

「気球でも飛行船でもねぇ……」十夜が目を細める。

「……群玉閣とは全く別物ですね。」甘雨の声に緊張が走った。

 

次の瞬間、巨大船のハッチが展開される。

「おいおい、なんか落ちてきたぞ!」伏龍が叫ぶ。

ハッチ内から金属の兵士たちが次々と投下されていく。彼らは無機質な光を放ちながら地面に着地し、即座に陣形を組んだ。

「何体いるんだ……あんな円盤のどこにこれだけ隠してたんだよ……」玲瓏が顔をしかめる。

ウラノスが鋭く言い放った。

「俺たち他の奴らに共有してくる!お前らは……アイツらを足止めしてくれ!」

 

そう言い残し、ウラノスたちは駆け去っていった。

玄鳥は一同を見回し、息を吸い込む。

「……しょうがないな。みんな、行くぞ!!」

それぞれが武器を構えて、兵士たちに突撃していった。





遂にナタでの戦い。どうなっちゃうんだぁ。

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