本章の敵と意外な敵も出てくる。
〜玄鳥視点.
宇宙人どもは規律正しく展開し、手には無骨な中距離ライフル。光学式のスコープから放たれる赤いレーザーが俺たちの周囲を切り裂く。撃たれるたびに砂浜の砂が焼け、焦げ臭い煙が立ち上った。
「クソッ、数が多い…!」
弾丸を剣で弾きながら接近しようとするが、敵の射線が重なり、まともに近づけない。
「燕!数じゃ不利だ、これを使え!」
伏龍が腰から奇妙な銃を取り出し、燕に放り投げる。
「感謝するわ。……って、これ銃?どこから持ってきたのよ?」
「さっき作ったばかりだ!」
「さっき!?こんな戦場で!?」
伏龍は肩をすくめ、余裕の笑みを浮かべた。
「神の目に応じて弾丸が変わる。燕、お前は炎だったな? なら灼熱弾だ。」
燕は迷いなく銃を構え、引き金を引いた。
轟音と共に赤熱した散弾が弧を描き、宇宙人のアーマーを直撃する。金属が融解し、火花と煙を撒き散らしながら装甲が崩れ落ち、黒い肌を持つ異形の頭部が露わになった。
「敵はエイリアンだったのか!?」俺は思わず声を荒げた。
奴らは人型に近いが、頭部は昆虫じみた複眼と触手を持ち、胸には光る器官が脈打っている。
「まるでSFだな!」十夜が草の刃を放ち、異形の頭部を次々と貫いていく。
しかし敵は倒れてもすぐに仲間が補充され、波状攻撃を止める気配がない。
轟音が響き、突然、何処からか放たれた弾丸が炎の矢のように飛来し、エイリアンの頭部を正確に撃ち抜いた。黒い体液を撒き散らしながら、奴らは砂浜に崩れ落ちる。
「……!?」
俺たちは一瞬、敵の増援かと身構え、反射的に銃口を向ける。だが、弾丸の飛来した方向に立っていたのは、見覚えのある男だった。
「ふっふっふっ……久しぶりですねぇ……」
海風に靡くマントの下から見えたその顔に、俺は思わず息を呑んだ。
「風……!?」
そこに立っていたのは、かつて死闘の果てに沈んだはずの男――フレアブロス。俺たちが野垂れ死んだと思っていた、あの男が今、悠然と立っていた。
「生きて……いや、まさか……」
「ふん。わざわざ死ぬほど、私は弱くはありませんよ。」
風は唇の端を吊り上げ、俺たちの驚愕を嘲笑う。
その背後では、まだエイリアンが押し寄せていた。伏龍が苛立たしげに剣を振るいながら吐き捨てる。
「邪魔をするな! こっちはエイリアン退治で忙しいんでな!」
「どうでもいいでしょう?屈辱を与えてくれた貴様らに……天罰を下してやるためならば!」
フレアブロスはゆっくりと銃――プロスチームガンを構え、その銃身に炎と水、二つの邪眼の力を宿らせる。撃鉄が引かれ、重い音が戦場に響き渡った。
「――重装」
瞬間、蒸気と炎が吹き荒れ、デュアブロス」に変身した。
「来るぞッ!」
重装アーマーを纏ったフレアブロス――いや、デュアブロスが轟音と共に突撃してくる。砂浜が揺れ、彼の動きに合わせて空気が悲鳴を上げた。
「チッ……」俺は思わず舌打ちする。
「任せろ!」
玲瓏と刻晴が同時に前に出た。二人は影のような速さで剣を振るい、デュアブロスを押し返そうとする。
だが、銃口から放たれる弾丸は容赦なく飛び交い、重装甲を持つデュアブロスは一歩も退かない。攻撃を受け続けてもなお、奴の動きは鈍らず、鋼鉄の獣のように突き進んできた。
「馬鹿な……!? 私の方が強いはずだ……! ただのゴミ同然の存在に、私が負けるわけが……!」
フレアブロスの目が憤怒に歪む。
「ゴミ、だと?」伏龍が剣を肩に担ぎ、低い声で返した。
「こっちはな、必死に努力して強くなったんだ。努力もしてなさそうな奴に負けるほど、俺たちは甘くねぇ!」
「クソ共めッ!!」
デュアブロスが怒号を上げながら、崩れ落ちた砂浜から立ち上がろうとした、その瞬間だった。
『――おっと、そこまでだ。
不意に響いた声が、戦場の喧騒を切り裂いた。重々しい低音と機械的なエフェクトが混ざり合い、まるで金属が軋むような響きが砂浜全体を包み込む。
『それ以上は――無駄だと思うぜ?』
ゲートの向こうから、一つの物体が弧を描いて飛来した。地面に着弾した瞬間、白い煙が爆ぜ、轟音と共に視界を覆い尽くす。
砂埃の中から、影が一歩、また一歩と現れた。煙が潮風に流され、姿が露わになったとき、そこに立っていたのは――人のようで人でない、漆黒の装甲に身を包んだ怪人だった。
「…………よし。これなら聞こえるな。」
ヘルメットの横に装着された小型スピーカーに手をやり、音量を調整する仕草。その瞬間、声は明瞭に響き渡った。
「――よお、テイワットの諸君。」
抑揚を欠いた声色なのに、どこか冷徹な自信と嘲笑が滲んでいる。
「俺の名はイグニス。サイバースペースから来た――『ストレンジャー』の副リーダーだ。」
その言葉に、場の空気が一変した。
「サイバースペース……」誰かが呟く。
「嘘だと思ってたがあったのか。」ファングの声には、驚愕と同時に長年の予感が現実となった重みがあった。
イグニスは彼らの反応を一瞥し、静かに首を傾げた。その仕草はまるで、獲物の価値を測る捕食者のようで――不気味な余裕があった。
本章の多分ラスボス。
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