ネフェル引きました。美しい…
………………………
「ここが――璃月か。」
空は街の景色を眺めながら、静かに呟いた。
「蛍が……居るんだな。」
その声には、懐かしさと何か別の感情が混ざっていた。
やがて彼は踵を返し、人混みの中へと姿を消していく。
遠くの屋根の上、その様子を狙撃銃で見つめる影があった。
甘雨だ。彼女は端末を起動して通信を繋ぐ。
「やっぱり居ました。――旅人のお兄さんです。」
『そうか。だが、何の目的で璃月に?』
「……分かりません。もう少し、観察してみます。」
短く答え、甘雨は再びスコープを覗いた。
彼女の瞳に映る空の姿は、どこか――“別の誰か”のようにも見えた。
――数日前。
「えっ、蛍のお兄ちゃんが?」
「うん……。」
蛍は机を囲む玄鳥たちに、空と再会したことを話していた。
「様子が変だったってことか。」
玄鳥が腕を組み、真剣な表情を見せる。
「そう。何か……他の存在が一緒にいるような、そんな感じで。」
「おいおい、それってまさか――やべぇ妖怪に取り憑かれてんじゃねぇの!?」
「伏龍さん!不謹慎です!」
甘雨が慌てて突っ込むが、場の空気はどこか重かった。
蛍は俯いたまま、小さく拳を握る。
「……でも、やっぱりお兄ちゃんに何かあったと思うの。だから――次に会ったら、力づくでも聞いてみるつもり。」
玄鳥は少しの沈黙の後、柔らかく笑って言った。
「分かった。協力するよ。」「ありがとう!」
蛍の顔がぱっと明るくなり、思わず玄鳥に抱きつく。
玄鳥は照れくさそうに笑いながら、その頭を軽く撫でた。
…………………
空が再び空間を開き、その中へ姿を消そうとした――その瞬間。
「――逃がすかよッ!」
裂けるような叫びと共に、空間の裂け目から三つの影が飛び出した。
十夜、マルク、そしてファング。三人の動きはまるで打ち合わせたかのように見事だった。
「!? 何者だお前たちは!」
空が振り返る。
「見つけたぜ、旅人のバカ兄貴!」
十夜が剣を構え、容赦なく斬りかかる。
しかし、空は冷ややかな表情のまま、漆黒の光で剣を受け止めた。
「チッ、やっぱり防いできやがったか!」
「妹の頼みでな!」ファングが拳を構え、跳び上がる。「アンタと話をしに来たんだよ、バカ兄貴ッ!」
轟音と共に拳が振り下ろされる。
だが空は軽く後方へ跳び、手のひらからアビスの闇を放った。
「お前たちと話すことなど――無いッ!」
放たれた闇の奔流が地面をえぐる。
だが三人はそれぞれの動きで難なく回避した。
「ふん、派手なだけで大したことないな。」
マルクが静かに居合の構えを取る。その刃に青い雷光が走った。
「僕は君に興味は無い。ただ――友が、君と“もう一度”会いたがっているだけだ。」
一閃。
マルクが地を蹴ると同時に、十夜とファングも動く。三方向からの同時攻撃。
「教えてもらうぞ――お前が“今”、何をしているのかを!」
衝撃が走り、空と三人の衝突で周囲の岩壁が震えた。
空の瞳が一瞬だけ、かすかに光を帯びる――まるで“別の何か”がそこに潜んでいるかのように。
「お兄ちゃん!」
「蛍……!」
「お兄ちゃんにその気が無くても――こっちには“用”があるから!」
叫ぶと同時に、蛍は大型ブラスターを引き金ごと押し込む。
轟音と共に放たれた弾丸が空へ直撃した。
衝突の瞬間、液体が弾けるような鈍い音が響く。
「……これは……セメント液……!」
動こうとするが、空の身体の一部が瞬く間に硬化していく。
「玄鳥!」
「任せろッ!」
玄鳥が蛍の頭上を跳び越え、一直線に空へ迫る。
刃を抜き放ち、風を裂くような速度で繰り出す燕返し。
「――はああっ!!」
閃光のような斬撃が走り、空の防御を貫いた。
爆風が巻き起こり、空の身体が後方へ吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんっ!」
蛍が駆け寄るが、空は意識を失い、地に崩れ落ちた。
その直後――。
空の身体から、黒い靄がゆっくりと滲み出す。
まるで世界そのものを蝕むかのような、冷たい悪意。
『……まさか、この私の正体に気付いていたというのか?』
声は空から発せられていたが、それは空本人のものではなかった。
禍々しい闇が形を成し、やがて一人の少年の姿となる。
玄鳥と同じほどの背丈。
しかしその瞳は底知れぬ金色の光を宿していた。
「……誰だ、お前は。」
『我が名は――ルクス。』
闇の少年が、静かに杖を掲げる。
杖の先には龍の装飾が絡みつき、まるで神話の遺物のように輝いていた。
『この世界を支配する者――それが私だ。』
「支配だと!? お前、空の兄さんに取り憑いて何をしようとしてる!」
ファングが怒鳴る。
『どうするもこうするも……私は“力”を求めているのだ。そのためには、この器――“アビス”の力が必要なのだよ。』
言葉と同時に、杖の先端から雷撃が奔った。
大地を割るほどの閃光が炸裂し、周囲が一瞬で白く染まる。
「――ぐっ!?」
玄鳥たちは爆風に飲み込まれ、地面に叩きつけられる。
「くっ……なんて強い元素力なんだ……」
玲瓏が歯を食いしばりながら立ち上がる。
ルクスはただ静かに笑った。
『この世界に満ちる光と闇――どちらが真に“秩序”をもたらすか、見せてやろうではないか。』
コテコテの敵役だぁ…
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