【本編完結】仄かな焔は璃月を舞う   作:サツキタロオ

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樹脂が…樹脂が足りない…


第44幕:雷鳴の守護者と蒼焔の剣

「刻晴、私たちで行くわよ!」

「分かったわ!」

 

燕と刻晴が並び立ち、武器を構える。

稲妻が空を裂く中、二人の視線の先には――不敵に笑うルクスの姿。

 

『面白い。ならば――相手してやろう!』

 

杖の先端に紫電が収束し、瞬間、眩い雷撃が奔った。

地面が焼け焦げ、爆風が二人を包む。

 

「くっ……やっぱり雷撃はキツいわね……!」

刻晴が歯を食いしばる。

 

その横顔には、迷いにも似た焦りの色。

(このままでは……私たちでは、あの力に届かない……!)

刻晴は決意を込めて顔を上げた。

「玲瓏!」

「えっ?」

「私に――雷を当てなさい!」

 

「……お前気が狂ったか…???」

「早く!信じて!」

玲瓏は一瞬だけ迷ったが、頷いた。

「……分かった。お前を信じるぜ!」

 

紫の雷球が刻晴へと放たれ、同時に燕が叫ぶ。

「玄鳥、私にも!」

「了解ッ!」

玄鳥が炎の球を放り投げる。

二つの元素が二人を包み込み、光が爆ぜた。

 

『何をしたかは知らんが――邪魔ならば、容赦はせん!』

ルクスが再び杖を掲げ、雷撃を放つ。

しかし――その瞬間、光の球体を突き破って二人の影が飛び出した。

 

「「――はあああっ!!!」」

轟音。閃光。ルクスの身体が後方へ吹き飛ぶ。

 

『なっ……何だと!?』

玄鳥が目を見開いた。

「あの姿…律者だ!」

光が弾ける。

そこに立つ燕と刻晴の姿は、かつてとはまるで違っていた。

衣装は輝きを帯び、その存在は、まるで“神と人との境界”に立つような神秘。

 

「いいわね、この感じ……!」

「玲瓏、行くわよ!」

「分かってるよ!」

玲瓏が剣を構え、疾風のように飛び出した。

『無駄だッ!』

 

ルクスが杖を突き出し、冷凍の閃光を放つ。

氷の奔流が空間を切り裂き、玲瓏の体を包んだ。

「ぐっ…」

玲瓏が吹き飛び、伏龍が援護に入るが――ルクスの蹴りが伏龍の腹を撃ち抜いた。

 

「くっ……!」

再び刻晴に冷凍光線が放たれる。

だが、刻晴はすでに動いていた。

 

「!」

空間に召喚された盾が、彼女の前に現れる。

ビームが直撃した瞬間、轟音と共に雷が弾け飛んだ――だが、盾はびくともしない。

 

『……ほう。私の攻撃を完全に防ぐか。』

ルクスの表情がわずかに歪む。

『中々やるではないか……人の身にしては、な。』

 

刻晴は静かに構え直す。

「人の力じゃない――“皆の絆”が、私を守ってるのよ!」

「そうよね!」

燕がアサルトライフルを構え、鋭くトリガーを引いた。

 

『チッ…!』

無数の弾丸がルクスを包み込む。だが、彼は咄嗟に結界を展開して受け止めた。

「守ったわね!」

燕が叫び、レールキャノンを持つ。

「――ハイパーレールキャノン!」

 

轟音と共に、凄まじい閃光が走る。

『しまった!』

電磁の奔流が一直線にルクスを貫き、爆発が空間を揺るがせた。

ルクスは衝撃に吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられる。だが、瞬時にテレポートして体勢を立て直した。

 

『なるほど……やるな。』

焦げた衣の端を払いつつ、ルクスが不敵に笑う。

玄鳥たちが前に出て包囲する。

 

「ルクス! ここまでだ!」

 

『ここまでだと? ふっ――まだまだこれからだ!』

雷鳴のような声とともに、ルクスは右手を掲げた。

次の瞬間、雷光が収束し、竜の意匠を刻んだ漆黒の剣が現れる。

 

玄鳥もまた剣を構え、地を蹴った。

「でぇぇぇぇいっ!!」

 

二つの刃が激突し、火花が弾ける。

金属音が嵐のように響き、互いの斬撃が交錯する。

 

『ふんっ!』

 

ルクスが豪快に剣を振り抜く。その一撃は玄鳥の防御を弾き飛ばし、彼の身体を空へと打ち上げた。

 

「ぐっ……!」

 

だが玄鳥は空中で翼を展開し、すぐさま体勢を立て直す。

炎の羽根が散り、彼は重力を切り裂くように急降下した。

 

「おおおおおっ!!!」

 

ルクス目掛けて一直線に落下し、閃光のような剣撃を叩き込んだ。

『ぐおおっ!!』

ルクスが地面を転がり、土煙を上げながら体勢を立て直す。

焦げた外套を払い、鋭く玄鳥を睨みつけた。

 

『この私を――跪かせるとはな……貴様、名は?』

 

「……玄鳥だ!」

 

一瞬の沈黙。

ルクスの唇が、愉快そうに歪んだ。

 

『玄鳥……覚えておこう。』

 

そう呟くと、彼は倒れている空を軽々と担ぎ上げる。

杖の先端に亀裂のような光が走り、空間が歪んだ。

 

「待てっ!」

玲瓏が叫ぶが、間に合わない。

 

ルクスは冷笑を浮かべたまま、空間の裂け目の中へと消えていった。

 

「……逃げられた……」

玄鳥が剣を握り締めたまま呟く。

 

「お兄ちゃん……」

蛍の声が震えていた。

 

「大丈夫?」

玄鳥がそっと尋ねると、蛍は涙を堪えながら小さく頷いた。

「うん……ありがとう。」

 

二人はただ、歪んだ空間の残滓――光の粒が消えていくのを黙って見つめていた。

 

………………………

 

数時間後。

ナド・クライのファデュイの拠点の何処かの研究施設の奥、無数のモニターが淡く光を放っていた。

「……面白い。これは実に面白い……」

 

仮面を付けた男が、先程の戦闘映像を眺めながら不敵に笑う。

彼の名は博士(ドットーレ)

ファデュイの執行官にして、狂気のマッドサイエンティスト。

 

「このデータ……今後の実験に大いに役立ちそうだな。」

冷たい声で呟くと、背後の機械から低い駆動音が響いた。

「今までのも回収しておいて正解だったな。」

 

隣の机には、ダトマスの頭部カメラが置かれている。

そこからは玄鳥たちの戦闘データが断片的に再生されていた。

 

博士はその映像を見つめ、ゆっくりと口角を上げる。

「月神のサンプルは既に手中にある……ふふ……これで私の計画は――完璧だ。」

無数の光が実験室の中で点滅し、闇の中に博士の笑い声が響いた。





博士出ます。敵です(確信)。

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