【本編完結】仄かな焔は璃月を舞う   作:サツキタロオ

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超次元サッカーやってて更新遅れてました。


第49幕:せめぎ合う意思

全員が武器を構え、二体の強化個体――レプリフェイザーとレプリプライガへと散開した。

戦場の空気が一瞬にして張り詰める。

 

フリーナ、ファング、伏龍、刻晴の四人が正面から立ち向かった。

巨大なフェイザーの翼が風を裂き、刃のような気流が地面を切り刻む。

「あいつには電撃が効くはずだ。フリーナ、ファング、刻晴――連携だ!」

伏龍が叫ぶ。

「任せて!」

フリーナが杖を振り抜くと、水の刃が幾重にも重なって飛び出し、レプリフェイザーの翼膜を削る。

 

同時に、刻晴が姿を消すような速度で踏み込む。

「せいッ…!」

雷を纏った斬撃がフェイザーの足元へ走り、ファングの雷爪がその隙を裂いた。

電撃が絡みつき、レプリフェイザーの身体が一瞬痙攣する。

 

「よし……効いて――」

「ない!?」

伏龍が目を見張る。

 

確かに感電は発生している。

だがレプリフェイザーは苦痛の声すら上げず、ただ冷徹に翼を広げ、暴風を叩きつけてきた。

「前とは比べ物にならない耐久だ……!」

刻晴が足を踏ん張りながら呟く。

 

 

一方、十夜、ニィロウ、藍硯、水元素の蛍の四人は、咆哮を轟かせるレプリプライガに挑んでいた。

「ニィロウ、藍硯、蛍。俺が前で受ける。援護頼む!」

十夜が草の刃を飛ばしつつ突撃する。

だが、草の刃はプライガの装甲に弾かれ、軽い火花を散らしただけだった。

 

「……硬すぎる!」

十夜が歯噛みする。

藍硯と蛍が後方から攻撃を重ねるが、プライガは一切怯まず尾を振り抜いた。

「くっ――!?」

二人は壁まで吹き飛ばされ、砂煙を上げて転がった。

 

「以前より……明らかに強い……!」

倒れながらも蛍が呟く。

 

蛍はすぐにカードをスラッシュし、炎元素の輝きを纏う。

火球が連続して撃ち出され、炎がプライガを包む――が。

 

「効かない……!?」

炎すら無効化するように、プライガの身体は微動だにしなかった。

 

二体の怪物は、同時に咆哮を上げた。

そして――空気が歪んだかと思うと、どちらも影のように掻き消える。

 

「逃げたか……?」

十夜が周囲を確認する。

「待って!あっちに向かってる!」

藍硯が指差す。

その先はナト・クライ方面――ファデュイの拠点があるはずの区域だ。

 

「……確かにあそこだね。元凶がいるのも、きっと。」

フリーナが表情を引き締める。

 

玄鳥は武器を構え直し、全員を見回した。

「追うぞ。ここで取り逃がしたらもっと厄介になる。」

風が巻き起こり、龍気と元素の足跡が空へ伸びる。

仲間たちは頷き、玄鳥の背を追ってナト・クライへ飛び立った。

 

 

………………………

 

その頃――

レプリプライガとレプリフェイザーは迷いなく同じ方向へ歩を進めていた。

辿り着いた先には、彼らの創造主であるドットーレが静かに佇んでいる。

 

「ほう……やはり来たか。」

月光に照らされたその顔は、満足げな狂気で歪んでいた。

「月神の力……そしてサイバースペースから抽出したサンプル。この二つを融合させた結果――レプリプライガとフェイザーは遂に究極へ到達した。もはや、この世界は私の掌中にあると言っても過言ではないだろう。」

 

その独白に、薄い笑みが混じる。

だが――その支配者めいた余裕は、すぐに打ち砕かれた。

「……それも今日で終わりにする!」

 

突如として、鋭い声が戦場を裂いた。

 

ドットーレが振り返ると、そこには無数のライトが闇を貫いていた。

稼働音を響かせながら迫る新型機動兵器《デュミナス》、そして重装戦車部隊。

完全包囲の陣形が、瞬く間にドットーレたちを取り囲む。

 

その中心に立つのは――

サンドローネ、コロンビーナ、そしてファデュイ特務隊の隊長であるツカサ。

 

ツカサがメガホンを構え、声を張り上げる。

『ファデュイ執行官第二位・ドットーレ!貴様を、“道化”の命令により――排除する!』

 

凛と響く声は、戦車砲の轟音よりも重く戦場を支配した。

 

「ほぅ……道化も、私を切り捨てるつもりか。面白い……実に面白いぞ。」

 

ドットーレは唇の端だけで笑う。

その異様な余裕が、却って不気味さを強調した。

「行け。プライガ、フェイザー。」

 

その一言で、二体は獣のような咆哮を上げ、一斉に特務隊へと突撃する。

 

「来るぞ!撃ち方始め!」

ツカサの号令とともに、デュミナスと戦車が一斉に火を噴いた。

砲撃、徹甲弾、榴弾、収束レーザーが雨のように降り注ぎ、二体の巨体を容赦なく削っていく。

 

爆炎の中でレプリプライガがよろめき、フェイザーの翼膜が破れ焦げ落ちた。

「よし……デュミナスの性能は確かね。」

ツカサは腕を組み、満足げに頷く。

「当然でしょ?私の傑作なんだから。」

サンドローネの声音には、創造者としての自負が滲んでいた。

 

「わぁ……すごい。派手で、とっても綺麗。」

コロンビーナは小さく拍手しながら微笑んだ。

まるで花火を眺めるかのように、戦場の光景を楽しんでいる。

 

だが――その呑気さとは裏腹に、戦況は確実に動き始めていた。

「撃ち方やめ!」

 

短く鋭いツカサの号令が響き、戦場を覆っていた爆煙がゆっくりと薄れていった。

 

視界が開けると――

レプリプライガとレプリフェイザーは、全身を砕かれたかのように地面に横たわっていた。

かつての脅威はもうなく、青白い火花だけが虚しく散っている。

 

「……終わったな。」

ツカサが静かに呟き、デュミナスの銃口がゆっくりと降ろされた。

 

………………………

 

その光景を、玄鳥たちは空から見下ろしていた。

 

「凄い……」

燕が息を呑む。

「あのレプリプライガを……一瞬で……」

胡桃も驚愕を隠せず、思わず声を漏らす。

 

だが、その緩みを切り裂くように――

玄鳥の背筋に殺気が走った。

「……ッ!」

玄鳥が右を見ると、漆黒の影が突撃してくる。

 

「玄鳥!」

「危ない!」

翼を裂くような轟音と共に、ネオブラックドラゴンの拳撃が迫った。

 

「ここで決着をつけよう、玄鳥!」

「私とお前……どちらが強いのか!」

 

「こんな時に……っ!」

玄鳥は咄嗟に腕で受け、衝撃と共に蹴り返す。

互いの体勢が崩れ、そのまま二人は地面へ真っ逆さまに落ちていく。

 

「みんな、ここは任せろ!!」

玄鳥は叫び、ネオブラックドラゴンの胸部へ拳を叩き込み、そのまま地面に叩きつけた。

地表が大きく陥没し、砂煙が爆ぜる。

 

玄鳥もその背後へ降り立ち、拳を構え直す。

 

「……行くぞ。あいつに任せよう。」

マルクは冷静に判断し、全員を引き連れてドットーレの方角へ飛んでいく。

 

残された戦場には――

玄鳥とネオブラックドラゴン、二つの影だけ。

「ネオブラックドラゴン!」

「フッ、決着だ……光栄に思え!玄鳥!」

 

挑発を吐き捨て、ネオブラックドラゴンが翼を広げ雷のように突進する。

玄鳥も炎の翼を広げ、正面から拳をぶつけた。

衝撃波が奔り、周囲の岩が粉々に砕け散る。

 

「ぐっ……まだまだだ!!」

玄鳥は歯を食いしばり、倒れかけた勢いを逆に利用して回し蹴りを放つ。

赤い残光が弧を描き、ネオブラックドラゴンの頬を斬った。

 

「ほう……良い拳だ!」

「こっちも本気を出させてもらう!」

二人は再び翼を広げ、空へと跳び上がった。

 

………………………

 

その頃――ドットーレは怒りに震えていた。

 

「ええい……私の最高傑作を……よくも、よくもォ!」

抑えきれない憤怒を露わに叫ぶ。その背後で、倒れていたはずのレプリフェイザーが、軋む金属音を響かせながら立ち上がった。

表面は焼け焦げ、装甲は砕け、火花を散らしながらよろめいている。

 

「……ふっ……ふふふ……レプリフェイザー。喰らえ。」

 

フェイザーの中央コアが妖しく光り、指示を受けた機体がゆっくりと振り向く。

 

「何をする気だ……?」

ツカサは眉をひそめる。

 

その直後――

レプリフェイザーが、隣で倒れていたレプリプライガへと飛びついた。

 

「……ま、まさか……!」

「と、共食い……?」

胡桃、燕、ファデュイ特務隊の兵達までが声を失う。

 

金属が裂け、骨のようなフレームが砕け、プライガの部品が次々とフェイザーへ吸収されていく。

その凄惨な光景は、もはや“合体”ではなく“捕食”だった。

 

やがて喰い尽くしたレプリフェイザーの体表に、プライガの装甲が融合し始める。

白かった外装が黄緑色へと変色し、全身のパーツが不気味な生体機械のように脈動する。

 

咆哮一つ。

空気が震え、大気に電流が走った。

 

「あーはっはっはっはっ!素晴らしいッ!さあ、その力を存分に発揮してみせろぉ!!」

 

歓喜の絶叫を上げた次の瞬間――

ドットーレの体が黒い渦に呑まれ、レプリフェイザーへと吸い込まれていった。

 

『さあ……! この力を得た今……もはやファデュイなど必要は無い!』

 

レプリフェイザーとレプリプライガを統合した怪物――

《ファライガー》の内部から、ドットーレの声が響く。

 

「え!?なんで……なんでドットーレの声があれからするんだい!?」

フリーナが目を見開き叫ぶ。

「……最強の体を得た今、自分の体すら“不要”という事か。」

玲瓏が声を低くし、武器を構えた。

 

次の瞬間――

ファライガーが大気を吸い込み始めた。

周囲の砂塵が舞い上がり、空が歪み、地面がきしむ。

「……あれ、危ないよ。」

コロンビーナが淡々と指差した。

「総員退避!! 物陰に身を隠せ!!」

ツカサが怒鳴り、ファデュイも仲間たちも一斉に散って遮蔽物へ飛び込む。

 

白光が走った。

 

大地を焼き、大気を引き裂くような一条のビームが放たれ――

狙いはツカサ達ではなく、遥か後方。

 

クーヴァキ実験設計局。

 

次の瞬間、世界が白く染まった。

 

――轟音。

 ――爆風。

  ――巨大な火柱。

 

建造物も研究施設も、蓄積された機密も成果も何もかも。

一瞬で蒸発し、跡形もなく消えた。

 

「……馬鹿な……!」

「なんて破壊力だ……あれ、本当にドットーレなのか!?」

「……とっても危険……うん。あれは……危ないね。」

コロンビーナが珍しく表情を険しくする。

 

ファライガーはゆっくりと頭部をこちらへ向けた。

一つの赤いコアが妖しく光っていた…………。





vsファライガー

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