もし伊織くんが葦名一心を召喚したら   作:NEST中毒者

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今回、SEKIROの設定解釈においてACID BAKERY様の考察記事を部分的に参考にさせていただいています。


剛力の極み、技巧の極み

 

「■■■■■■■■■■――――!!!!!」

 

 凄まじい咆哮を上げて二人の前に躍り出るのは、凄まじい巨体を備えた緑髪の偉丈夫。

 

「それでは……わっちは失礼いたしんすよ」

 

 その背後にいる高尾太夫と名乗った女性は、彼が戦闘態勢を取ったのを見送ると、ゆるりと踵を返す。

 

「■■■■■■■■■■■――――!!!!!」

 

 そして去り行くその背を守るように、偉丈夫はさらに咆哮した。

 劈く叫びと共に際立つのは、尋常ならざる圧力。

 

 その気配は、彼が紛れもなく人を超えた英霊の一騎であることを証明しているようだった。

 

「ほう、壮観よの……さて、どうする伊織」

 

「……俺が大夫を追おう。ここを任せて構わないか、セイバー」

 

「無論よ!」

 

 短く言葉を交わした二人は、素早く二手に分かれた。

 

 セイバーは偉丈夫に向き合うように立ち、伊織は立ち去った高尾太夫の後を追わんと駆け出す。

 

 だが――

 

「■■■■■■■■!!!」

 

 目の前に立つ大男は、それを見過ごさなかった。

 

 彼は目の前に立つセイバーではなく、高尾太夫を追ってその場を去ろうとする伊織目掛けてその拳を振りかぶったのだ。

 

「…………ッ!」

 

 伊織目掛けて迫りくる、巌の如き拳。

 その威力は、英霊ならぬ人間を一撃で挽肉に変えるに十分すぎるものだ。

 

(地の型で、耐えきれるか――――?)

 

 伊織も咄嗟に、防御に優れる一刀の型で凌ごうと試みる。

 だが、その堅牢を以てしても耐えきれるかは――――

 

「余所見とは、嘗められたものよのぉ!!」

 

 ――けれど。

 

 セイバーもまた、それを見過ごさなかった。

 

「■■■■!?」

 

 偉丈夫の巨体が、突如宙を舞う。

 

 起こったことは――言葉にしてみれば単純だ。一瞬のうちに伊織の前へと割り込んだセイバーが、偉丈夫の腕を取り投げ飛ばしたのである。

 

 だが、投げ飛ばされた偉丈夫の巨体を見れば、それがどれほどの難行かは想像に難くないだろう。

 その上、セイバーは投げる途中で力の向きを変え、伊織から距離を離すように投げているのだ。

 

「今じゃ! 行けい伊織!」

 

「ああ……恩に着る!」

 

 すかさず、伊織は再び高尾太夫を追うべく駆け出す。

 今度は、妨害は無かった。

 

「■■■■■■■■■■――――!!!!!」

 

 一方、したたかに地面へと叩きつけられた偉丈夫は、しかしそれをまるで意に介していないように起き上がる。

 

 彼は猛り荒ぶる戦闘本能のまま、目の前に立ち塞がる老人を最優先に排除すべき敵と定め、その剛力の矛先を向けた。

 

「……来るか!!」

 

 それに対するセイバーもまた、抜き放った刀の切先をその偉丈夫へと向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

「いたぞ! 狼藉者だ!」

 

「皆の者、出会え出会えぃ!」

 

「見つかったか……ならば、ここは押し通る!」

 

 セイバーと緑髪の偉丈夫の戦いが幕を開けた頃、一方の伊織は高尾太夫の足取りを追って吉原を駆けまわっていた。

 

「この野郎……ぐあっ!」

 

「……囲め、囲め!」

 

 振るわれる峰打ちにより、次々と倒れていく男たち。 

 高尾太夫を追う過程で吉原の用心棒たちと戦闘になってしまった伊織は、防御に優れる一刀の「地の型」と、手数に優れる二刀の「水の型」、それぞれの剣技を巧みに使いこなして男たちを無力化していた。

 

「クソッ……! こいつ……腕が立ちやがる!」

 

 無数に群がる男たちが、伊織の剣によって次々と倒れていく。

 その剣技は、極めて強力であると言って間違いは無いだろう。

 

 ――少なくとも、人間としては。

 

(英霊と思しきあの男の相手はセイバーに任せ、俺は高尾太夫を追う……それが、あの場で出来る最善手だったはずだ)

 

 向かってきた男を倒して駆けだす伊織の脳裏を、いくつかの思考が通り過ぎていく。

 

(盈月の儀……それによる犠牲を減らすためにも、可能な限り多くのマスターと接触し、その行動指針を確かめておくべきだろう……それが、江戸を護ることに繋がる。そうするべきだ)

 

 

(本当に、そうか?)

 

 ――もし、あの場に留まって。

 もし、あの二人の戦いに加わったならば。

 

 きっと――あの二人への()()を、大きく深めることができたろうに。

 

 なぜそうしなかった? 一体――――

 

「…………ッ!」

 

 その思考は、背後からの襲撃者によって中断された。

 

「ええいっ!」

 

「……くっ!」

 

 突如急襲を仕掛けてきた謎の敵は、巻き上がった砂埃に紛れて剣を繰り出す。

 それが振るわれると同時に発せられる声――その()()()()に、伊織は聞き覚えが無い。

 

 ――だが。

 

『伊織――おまえは、生まれる時代を、間違えたのだ』

 

 

「この……剣は……!」

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■――!!!!」

 

 

「カカッ、やりおるわ……!!」

 

 鋭い音を上げて、拳と刃がぶつかり合う。

 荒ぶる偉丈夫の拳をセイバーの刀がいなし、セイバーの斬撃を偉丈夫が耐える。二人の間では、そんな応酬が繰り広げられていた。

 

「これほどの剛力とはな……! 見上げたものよ……!!」

 

 その一打それぞれが、巨大な獣を殴殺して余りある。そんな怪力乱神の様に、さしものセイバーも驚嘆を漏らす。

 

 ――セイバーの故郷である葦名に住むものは、みな精強であった。

 その要因は、彼の地に流れる水にある。

 

 源より流れ出ずる、清らかな水。それを口にして育った者は、大きく強く育つ。人獣を問わず。

 故に葦名の民――その中でも特に秀でた者たちや、あるいは幼少期より果実などを介して多量の水を摂取させられた太郎兵などは、当時の平均を大きく上回る体格と膂力を得たものだ。

 

 

 されど――彼ほどの剛力を持つものは、セイバーの知る中には存在しなかった。

 それほどの膂力。そして、応酬の合間に幾度か刻みつけた、決して浅くはない傷――それが、あっという間に再生していく治癒能力。そのような規格外の能力を、彼の偉丈夫は有しているのだ。

 

 そんな事実を前に――セイバーは、ただ笑った。

 

「血が、滾ってきたわ――――!!」

 

「■■■■■■■■――――!!」

 

 翻って、怪力乱神を振るう偉丈夫の視点である。

 彼は理性が無いなりに、ある事実を認識していた。

 

 それは――目の前に立つ、単純な膂力では遥かに下であるはずの老人が、自身の攻撃を全ていなしているということだ。

 目の前の老人――セイバーも、その老骨に見合わぬ膂力を有していることは事実。けれど、神に与えられし彼の剛力には、まるで及ばない。

 

 ならば、攻撃をいなされる理由はどこにあるのか――それは、技量の差だった。

 理性を失い暴れ狂っている偉丈夫も、決して力だけの愚鈍ではない。

 それでも――徒手の達人である筈の彼を遥かに凌ぐだけの技量を、セイバーは有していたのだ。

 

 そう。セイバーは決して、偉丈夫の拳を正面から受けているわけではない。

 襲い来る衝撃を巧みに受け流し、弾いているのだ――――さながら川を流れる水のように。

 

 さらには、そうして生み出した隙を衝いた的確な斬撃を差し込んですらいる。

 その反撃の様は、葦名においては滝を上下する鯉に例えられるものだった。

 

 

 これらこそ――――葦名流における剣戟の心得。即ち、流水、登り鯉、下り鯉の三つである。

 

 

 ――――さて。これらの事実から分かるように、両者は現在千日手の状態にあった。

 

 敵の攻撃をいなすことは出来るものの、敵の圧倒的な耐久力と再生力によって決定打を与えられていないセイバー。

 持ち前の耐久力と再生力によって決定打を避けているものの、自身の攻撃はいなされ続けている緑髪の偉丈夫。

 

 故に――――両者とも、状況をひっくり返す札に手を掛けるのは必然であろう。

 

 

「■■■■■■■■――――!!!!!!!!」

 

 一際大きな咆哮を上げ、全力で拳を振り上げる緑髪の偉丈夫。

 その総身は赤く染まり、熱量からか煙を立ち昇らせる。

 

「……ゆくぞ」

 

 対するセイバーは、その手に持つ刀を鞘に納める。

 偉丈夫の荒々しき姿とは真逆の、静かなる所作。

 

 静と動、技と力――まるで対照的な二人であるが、互いにその構えが必殺のそれであるという一点は共通していた。

 

「■■■■■■――――」

 

「秘伝――――」

 

 やがて二人は、示し合わさずとも同時に動き出した。

 

 互いに繰り出すは必殺の奥義。

 なれば、その勝敗を分けるのは――

 

 

「――待ってくれ、セイバー!」

 

「待っておくれ!」

 

 ――だが、その勝敗が決することは無かった。

 寸前で駆け付けた伊織と高尾太夫の声によって、奥義の応酬は制止されたのだ。

 

「■■■■…………」

 

「話が付いた、と云ったところか……良い所だったのじゃが」

 

 高尾太夫の声に素直に従った緑髪の偉丈夫に対し、セイバーはやや名残惜しそうに戦闘を中断する。

 そして、声のした方向を見やった。

 

 そこには、伊織、高尾太夫……そして、見慣れぬ女性が一人。

 

「おっ、あの人が伊織くんの召喚したサーヴァント……あっ」

 

 伊織と同じように二刀を佩いたその女性は、セイバーを見るなり目を丸くして頓狂な声を上げるのだった。

 

 

 




SEKIROキャラの鯖化妄想を垂れ流すだけのコーナー

※妄想です
※独自解釈祭りです
※多分本編とは関係ないです




クラス:アサシン

真名:薄井右近左衛門

属性:混沌・悪・人

筋力:B 耐久:B 敏捷:A+ 魔力:C 幸運:D 宝具:B

クラススキル

気配遮断:A+

サーヴァントとしての気配を断つ能力。ただし攻撃態勢に移るとランクが低下する。

固有スキル

反骨の相:B

一つの場所に留まらず、また一つの主君を抱かぬ気性。自らは王の器ではなく、自らの王を見つける事ができない流浪の星。

心眼(真):B

修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す「戦闘論理」。逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

忍術:A++

忍者たちが使用する諜報技術、戦闘術、窃盗術、拷問術などの総称。流派によって内容が異なる。
アサシンは各流派の頭領に匹敵する忍術の技量を持つが、伝説の忍者として名を残すことは終ぞ叶わなかった。

仕切り直し:B

戦闘からの離脱あるいは状況をリセットする能力。
体術、忍具、果ては土下座や命乞いまで、形勢が不利とあらばあらゆる手を使って状況を仕切り直してみせる老獪さをアサシンは持っている。

毒薬調合:C

魔力を帯びた毒薬を調合できる。
アサシンは通常の毒物に加え、治癒を阻害する効果の煙薬を扱うことが可能。

宝具

薄井の幻霧梟

ランク:C
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人

アサシンに縁深い薄井の地に住まう猛禽、幻影の梟を喚び出す幻術宝具。

一瞬の間に自身の姿を霧のように掻き消す。これはサーヴァントの基本能力である霊体化とは似て非なる状態であり、姿を消している間の探知や干渉は困難である。そして、使用者であるアサシン自身は任意の位置に移動したのち、好きなタイミングで姿を現すことができる。

劇的な効果ではないが、回避、隠形、追撃、奇襲と様々な用途に使える万能宝具である。


ぬしの緋炎梟

ランク:B
種別:対軍宝具
レンジ:1~40
最大捕捉:50人

アサシンに縁深い薄井の地に伝わる「霧がらす」の伝承――その正体たる「ぬし」の力を解放する宝具。
薄井の地に伝わる「霧がらす」の伝承の如くにその翼は炎を纏い、敵を焼き払う。
また、「ぬし」とは土地神を意味し、その炎は神性を宿す神の炎でもある。

一心様の属性は

  • 混沌・善
  • 中立・善
  • 秩序・善
  • 混沌・中庸
  • 中立・中庸
  • 秩序・中庸
  • 混沌・悪
  • 中立・悪
  • 秩序・悪
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