もし伊織くんが葦名一心を召喚したら   作:NEST中毒者

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DLC3弾をまだやり切れてないため、内容を反映できていません。
もし何か矛盾があったら後で直します。

あと変若水というワードが出てきてニヤッとしました。


既視感

 

 交錯する、槍と刀。

 ランサーは二本の黒槍を、対するセイバーはただ一つの刀を振るい、戦っていた。

 

「カカッ、まこと英霊とは……飽きさせぬものよな――――!」

 

 長槍の間合いと、二槍の手数。

 それらを巧みに操り、セイバーを寄らせぬように攻撃を加えていくランサー。

 

 対して、その攻撃を巧みに防ぎ弾いていくセイバー。

 そこに浮かぶ感情は、これまで他の英霊に見せたのと同様――歓喜と好奇心だ。

 

「葦名七本槍もかくやの槍捌き――それも二槍とはなぁ!」

 

「…………!」

 

 一方のランサーは、どこまでも寡黙に槍を振るう。

 彼女はその表情に陰鬱な雰囲気だけを貼り付けて、ただ敵に対峙していた。

 

 セイバーとは対照的――そして。

 

()()()――――もしや……」

 

 セイバーが何より関心を抱いたのは、ランサーが槍撃と共に操る炎だ。

 

 戦場における死や嘆き――――そして()()。それらを押し固めたかのような炎。

 それは、セイバーが生前において目にした()()()を思い起こさせるのだ。

 

「あの炎に、よく似ておる、が――――お主、修羅という性質でもあるまい」

 

「……どういう、意味でしょう」

 

「まあ、こちらの話じゃ。気にするな!」

 

 だが、そんなことを問うている暇もない。

 なにより――――言葉で問い質すより、刃を交えた方がよく解ると云うものだろう。

 

 故に、セイバーはランサーを一点に見据え、刃を振るう。

 

「…………ッ!」

 

 だが、ランサーは違った。

 彼女は剣戟の合間に、一見して見当はずれの方向に炎を放つ。

 

「……くっ!」

 

 その先に居たのは、伊織だ。

 ランサーとセイバーが戦う傍らで、地右衛門と刃を交えていた伊織。

 彼は、今まさに地右衛門の隙を衝き距離を詰めるところだったが――ランサーの炎にそれを阻まれ、飛び退く。

 

「……チッ! 余計なことを……!」

 

 助け舟を出された地右衛門だったが、その反応は芳しくない。

 苦々し気に毒づく彼は、自身が庇われたことを良く思っていないようだった。

 

「――天晴れな忠臣ぶりよ」

 

 一方で、主を助けたランサーに惜しみない賞賛を送るセイバー。

 

 だがその反面――容赦もしない。

 セイバーは、ランサーが地右衛門を助けるために晒した隙を衝き、一気に距離を詰める。

 

「…………!」

 

 咄嗟に反応するランサー。

 彼女は迫るセイバーを迎え討つべく、二槍を同時に閃かせた。

 

 その軌道は――――右槍は弧を描く薙ぎ、左槍は足許を狙う突き。

 

 別々の軌道で同時に襲い来るそれらは、一刀しか持たないセイバーでは躱す他ない。

 そして、躱したのならばその分、距離を詰めるのが遅れる。

 槍の間合いを保つべく放たれた、攻撃的防御の一手であった。

 

 だが――――

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 彼は、右槍の薙ぎを刀で弾くと同時に――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ――――見切り。

 

 こちらを突かんとする刃を捉え、踏みつける技。

 誤れば即座に死地へ至るであろう、狂気の沙汰じみたこの技は――――セイバー本来のものではなく、彼に縁深いある忍びの技だ。

 

 だが、あらゆる流派を呑みこみ、強さを求めんとするセイバーである。

 彼は生前の時点で一度、この技を試したことがあった。

 

 その相手とは――――国盗り戦の敵将、田村主膳。

 抜きんでた体躯を持つ猛将であった彼が振るう十文字槍を、セイバーは踏みつけ隙を作らんとしたのだ。

 

 だが、あの折は不完全な見切りに終わり、大した隙を作ることは叶わなかった。

 けれども――――老境に至り、研ぎ澄まされた今ならば。

 

「これは――――!」

 

「隙――――ありじゃぁ!」

 

 地に叩きつけられた槍を足場に、ランサーへ斬りかかるセイバー。

 狙うは頸。

 容赦も手心も、加えはしない。そんなものを加えれば却って失礼であろう。

 

 故にその刃は、淀みなくランサーを刈り取らんと閃き――――

 

「――――ッ!」

 

 ――だが、断たれたのはランサーの頸ではなかった。

 彼の刃が断ったのは、セイバーの背後に音も無く接近していた()()()()()

 

「……伊織、新手じゃ!」

 

 別の敵を仕留める直前という獲物が最も無防備になる瞬間を、狙い討たんと襲い来たその蛇。

 それと同じ姿、されどその大きさは人以上の大蛇らが――地中から続々と這い出し現れる。

 

「地右衛門らの仲間……? いや……!」

 

 先ほどまで地右衛門と刃を交えていた伊織も、現れた大蛇に対して応戦を始めた。

 一対一で効力を発揮する「地の型」から多勢と戦うに適した「水の型」へ切り替え、大蛇と地右衛門を同時に相手取ることを想定し動く――が、そこであることに気付く。

 

 現れた無数の大蛇。その狙いは、伊織らセイバー陣営――――だけではない。

 

「……マスター!」

 

「いちいちこっちに構うな……!」

 

 大蛇らは、セイバー陣営とランサー陣営を諸共に圧し潰さんと取り囲んでいるのだ。

 必然として、事態は三つ巴の様相を呈し始める。

 

「――カカッ」

 

 そんな混沌の中、またもセイバーの笑いが響いた。

 

「……セイバー?」

 

「怨嗟の如き炎に……大蛇とは……!」

 

 そこに伺えるのは、さらなる高揚。

 彼の言い方に倣えば、血の滾りか。

 

「まったく、遠く離れた地だと云うのに――――()()()()()()()()()()()()()()()――――!」

 

 現れた大蛇たち。これもまた、セイバーの記憶を揺さぶるものだったのだ。

 ランサーの炎と同様に、セイバーの知るものとは若干の差異があるが――――それでも、奇妙な巡り合わせを感じずには居られない。

 

「実に気になるぞ――――()()が果たして、何者なのか」

 

「……気取られたか」

 

 そう云って、セイバーが目を向けた先。

 一見して、何も無いように見えたそこから――――ゆらりと姿を現す者がいた。

 

 それは、灰衣に身を包んだ怪人。

 従えている大蛇らの如くに、蛇のような様相をした男だった。

 

「朽ちよ――――浅はかな(つわもの)ども」

 

 彼の言葉に呼応するように、地中からさらなる大蛇の群れが現れる。

 

「チッ……まとめて潰すぞ、ランサー!」

 

「……承知しました」

 

「どうやら、ここからは完全な三つ巴のようじゃな、伊織よ……!」

 

「……ああ」

 

 姿を現した三騎目により、本格的に乱戦へと移行しつつある戦場。

 

 

「――――ここにいたわね、二人とも!」

 

 そんなところに、更なる乱入者が現れた。

 その二刀で大蛇を切り裂きながら現れたその者は――――

 

「――師匠!」

 

 そう、高尾太夫のサーヴァントであるバーサーカー、宮本武蔵だ。

 

「カカ、お主も血が滾った、と云ったところか?」

 

「ま、そう云うことです! そんなわけで――――」

 

「――――ならば、この場はお主ら師弟に任せて構わぬな!」

 

 バーサーカーが動き出すより早くそう云い放ったセイバーは、間髪入れずに灰衣の男を追い、この場から引き離していく。

 

「…………」

 

 それを見送ったバーサーカーは――――やられた、と云わんばかりの顔をしていた。

 

「……ああ、残念! あの蛇の親玉は私が貰おうと思っていたのに!」

 

「……師匠が、機先を制されるとは……」

 

「なら仕方ない! ここは一つ、師弟コンビで共闘といきましょうか!」

 

「こん、び? どのような意味ですそれは……?」

 

 共に二刀を構え、地右衛門らと向き合う伊織とバーサーカー。

 

「次から次へと……だが、やることは変わらねぇ」

 

「……はい、マスター」

 

 対する地右衛門とランサーも、共に炎を纏う槍を構え直す。

 ――――ランサー陣営との戦闘は、少々変則的な形で再開する運びとなった。

 

一心様の属性は

  • 混沌・善
  • 中立・善
  • 秩序・善
  • 混沌・中庸
  • 中立・中庸
  • 秩序・中庸
  • 混沌・悪
  • 中立・悪
  • 秩序・悪
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