2年Z組銀時先生!~変人生徒でクロスオーバーだ コンチキショー~   作:雄大

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遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。
今回、最初にZ組たちから挨拶があります。
ですが本編の方は時系列が春なのでご了承ください。
では、どうぞ!


第10話 桜の木の下を掘っても別に死体とかでない

『読者の皆様、あけましておめでとうございます!』

 

Z組一同は新年の挨拶と共に深いお辞儀をした。

「つーか新年あけてからもう6日目だぞ。挨拶遅くね?」

 

子供サイズの着物を着込んだ宴が最もな疑問をぶつける。

「しゃーねーだろ。作者の野郎の更新速度おせーし。今、SAOの二次創作に、別サイトでオリジナル小説まで書いてるらしいし」

 

頭をボリボリとかきながら袴姿の銀時が言った。

横で小鷹が呆れたようにつっこむ。

 

「さりげに宣伝しましたね…… 作者の更新速度が遅いのは事実だけどさ……」

 

「ま、それは仕方がねえな。取り敢えずさっさっと本編いくために、あれ……やっぞ」

 

銀時に誘導され生徒たちが周りに固まる。

そして、

 

『スリー・ツー・ワンピース!!!』

「今年もよろしくお願いいたします」じゃないのかよ。と小鷹は密かに思った。

 

 

 

 

桜の花が枚散る中、齢10程と思える銀髪の少年は一人桜の木の枝の上へすやすやと寝息をたてながら眠っていた。

安眠を止める者はいない。

そう油断し無造作に寝ている彼の頬に固い物体が直撃した。

「いてぇ!?」

 

痛みを覚え目を見開く。

見ると腹の上にぶつかったと思われる小さな石があった。

誰かが投げたのだろう。

犯人を探すため下を睨むとそこには桜柄の着物を着た少女が仁王立ちをして逆に睨んでいた。

少年は少女の風貌に一瞬驚く。

少女のショートカットに切り添えられた髪は桜色で少年の姿を映すその瞳は真紅に彩られた宝石の様だった。

「ちょっと、あんたそこから降りなさいよ!」

 

少女は幼い顔に似合わず芯の通った声で少年を一喝した。

しかし少年は少女から顔を反らし、

 

「けっ、知るかよ。俺は寝るぜ」

 

再び寝る姿勢をとった。

それを見た少女は頬を膨らませ大きく怒鳴った。

 

「そんなとこにいたら、いずれ落ちちゃうよーうだ!」

 

その直後、少年の耳元でバキッという音が響いた。

気づき慌てて降りようとするも時既に遅し。

枝は折れ重力の法則に従い少年は地面へと落下した。

「うぎゃぁ!」

 

少年はしばらく声にならない悲鳴をあげていたが、幸い大怪我はなく尻餅ですんだ。

その様子を見て少女は心底楽しそうにクスクスと笑う。

 

「ほーらね。桜の木にそんな失礼なことするからだよ」

 

「うるせぇ、笑うな!」

 

少年は恥ずかしそうに顔を赤らめ怒鳴った。

「悪いの君でしょ。それよりも枝折ってくれちゃってどうしてくれるの? これ私の大事( ・ ・ ・ ・ )なものなんだよ」

 

「うっ……」

 

折った事は事実。さすがに悪いと思った少年は黙ってしまう。

「ま、この世に存在する物はいつかは壊れ行くものよ。怒りはしない。その代わり私の頼み聞いてくれる?」

 

「頼み? なんだよ」

 

「それはね……」

 

その時、ビュウと強い風が少年に向かって吹いた。

風の勢いに思わず目を閉じ、数秒後開けると、

 

「あ? どこいった……」

 

そこにはヒラヒラと桜の花が枚散るだけ。

少女の姿など影もなかった。

この日ある者に連れていかれた島にたつ学園で少年、坂田銀時は不思議な出会いを果たしていた。

 

 

 

桜枚散る春。日本の四季の中でも先代の者から近代の我々まで、長い歴史の中今なお愛される季節。

そんな春も終わりを向かえようとしている今日この頃。

クロス高校では数多くある行事の一つである桜祭りを始めようとしていた。

男女生徒と教員たちが支給されたブルーシートを広げ楽し気に会話に花を咲かせている。

とはいえ、ただでさけ数が多いクロス高校の生徒たちを二学年だけとはいえ集結させるには余程広い場所でなければいけない。

訳も解らなくなり生徒同士でぶつかり合いいざこざを起こす可能性もあるからだ。

しかしその点については問題はなかった。

クロス高校の東西南北と分けられるグラウンドの一つ、北エリアにはクロス高校の二年生とその教員を全員集合させ、さらには走り回ったりと余分なスペースが出来る程に充分な広さを持っていたからだ。

そんな北エリアは昔、初代クロス高校生徒たちの提案で多数の桜の木の苗を植えられた。

その結果、現在では北エリアには日本の美の象徴の一つである多数の桜の木が立っているのだ。

桜祭とはそんな桜の木の下のもと、生徒全員で集まり教師のだしたゲームを行い食事をし、親睦を深めるものなのだ。

勿論その生徒のなかにはZ組もいる。

この中で最も巨大な桜の木の下にシートを広げ、銀時を始めとしたZ組の面々は自由気ままに動いている。

 

「たくよー、折角の花見の場だっつーのに、酒も飲めねーなんてしけてるぜ」

自販機で購入したイチゴ牛乳を飲みながら銀時はぶつくさと文句を垂れていた。

そんな銀時に相手が担任であろうとしっかりと注意をするものがいた。

 

「何を言っているんですか。ここは公共の場なんですから飲酒なんて許しませんからね」

 

生徒の一人、結城(ゆうき)明日奈(あすな)である。

栗色の長いストレートヘアーを両側に垂らした小さな顔にしばみ色の瞳が美しく、スラリとしたモデル体型が特徴的な美少女。

そんな彼女はクロス高校において数少ない常識人でもあり、成績も常に上位とこれまたZ組には珍しい生徒だ。

美少女で常識人、そして才色兼備ととんでもない三拍子が揃った彼女にはさすがの銀時も構わない。

わーりました、わーりましたよと言いながら再びイチゴ牛乳を飲み始める。

それを見てまったくと嘆息を吐き出すアスナの胸を突然華奢で綺麗な手の平が包み込んだ。

 

「うひゃぁ!?」

 

思わず小さな悲鳴を上げるアスナに背後からニヤニヤと笑う金髪ツインテールの美少女理子(りこ)が顔を出した。

 

「もう、アスナンったらー、今日は桜祭りなんだらもっと楽しく軽い気持ちでいなきゃダメだって~」

 

そう言いながら明日奈の胸を揉みまくる理子。

明日奈も抵抗しようにも理子のテクニシャンな手の動きに体の力が一気に抜けていってしまう。

ふ、ふにゃ……と力のない声を漏らし赤面になる明日奈に段々と興奮を覚える理子だったが突如、後頭部に衝撃が伝わった。

銀時が頭に拳骨を入れたのだ。

「いった! 何すんのギー君!」

 

叩かれた頭を抑えなが理子は涙目で訴える。

「バカヤロー、オメーよぉ、どうせ揉むんだったらショコラとかもっと巨乳を越えた爆乳のような女にしやがれ」

 

「いや、そういうことじゃないわよ!」

 

完全に的はずれなことを言う銀時に明日奈が怒声混じりのツッコミを入れた。

ただでさえクロス高校一騒がしいクラスが桜祭りという場の雰囲気に包まればそのテンションは一気に上がる。

寿司にわさびを大量に仕込まれた雄二に、エリオに飛びかかろうとした鍵などと最早相変わらずである。

そんな中に一人の訪問者が現れた。

「おーい! みんなー!」

 

という声がした方を、Z組全員で見ると桜の舞い散る中こちらに向かって走る少年がいた。

 

「あ? あれって……」

 

銀時が少年が誰なのかを思い出そうとした時だった。

少年が銀時たちに向かって走る途中、別クラスの生徒がポイ捨てしたバナナの皮を踏み、そのまま地面へと向かって顔面から転んでしまった。しかも何故かその先には丁度よく石があり額にぶつかった。

ぐおおおお!!! と悲鳴を上げ立ち上がると、ふざけて誰かが投げたボウリングの球(何故あるんだと問いたい)が少年の腹に直撃、その後、転がるボウリング球を睨み腹を抑えながらも銀時たちのもとへと向かおうとする。

すると今度はとどめだと言わんばかりに鳥のフンが頭に飛来した。

ビチョッという音に冷や汗をかき、手をふれる。

その先に感じたぬるぬるとした感触に少年はショックを覚えたのか完全に停止した。

これまでの彼に起こった一連の出来事はまさに不幸としか言いようがなかった。

銀時たちも唖然としている。

 

「え、ちょ、あいつ大丈夫なのあれ。なんかコークスクリューに続けてハートブレイク決め込まれたぐらいの衝撃を受けちやってるよ」

 

「てか、先生。あいつ確か…… あ、こっち来る!」

小鷹が何か言いかけたと思ったら少年は早くも再起動したのか重い足取りで銀時の前に立った。

鳥の糞を、持参していたタオルで拭き取り、露になった少年の頭はかなり目立つものだった。

ワックスでもつけているのかツンツンとしたウニのような髪型をしている。

少年は苦笑いを浮かべ頭をかき銀時に向かって挨拶をした。

 

「いやー、先生。恥ずかしながら戻って来ましたよ」

 

しかし銀時はそんな少年に眉をピクリとも動かず、

 

「お前誰」

 

「ってえええええ!? 誰って俺ですよ! まさか本当に忘れたんですか!?」

 

自身の顔に指をさし必死に訴えかけるが、銀時は少年のことなど全くと言っていいほど覚えていない。

そのことを察した少年はがっくりと肩を落とした。

見かねた小鷹が慌てて少年の名を言う。

 

「当麻ですよ、先生。上条(かみじょう)当麻(とうま)、俺たちのクラスメイトじゃないですか」

 

「あー、七年前にジャンプ借りた磯村君」

 

「いや、当麻だよ! たった今、羽瀬川に教えてもえらったばっかりじゃないですか!?」

 

「だってーよー、生徒名簿にもお前の名前書いてないのに知るわけねーだろ。なのに急に出てきて何? テコ入れか」

 

「違いますよ! ずっと前に登校中に事故にあって入院してたんです」

 

この説明により銀時はやっと思い出した。

当麻の言う通り彼は長い間入院状態にあった。

理由は述べた通り事故なのだが先ほどの悲惨なる光景のようにこういった不幸なことが彼の身には度々起こるのだ。

そのおかげで周りからは歩く不幸、不幸の避雷針などと呼ばれ親しまれているとかいないとか。

「とにかくせっかくの初登場だし、皆とも久しぶりだし改めて挨拶でも『みんなぁぁぁー、こっち向いてぇぇぇ!』」

当麻の声は天をも突き抜けるような甲高い声によって遮られた。

声の主は臨時で設立された野外ステージの上でマイク片手に手を振っている。

その姿を見た極一部の男子たちから歓喜の声が上がった。

 

「「「「「メメたぁぁぁんんん!!!」」」」」

 

本当に極極一部狂の男子から狂気とも思える程に熱烈なる視線を受ける彼女はクロス高校教員の一人、藤和(とうわ)女々(めめ)

場の空気など意にも返さない奇行が目立つ教師であり良く言えば天真爛漫、悪く言えば傍若無人。

さらに三十路をいき四十手前の女性とは思えない瑞々しく潤いをたまった肌に女子高校生の様な透き通った猫なで声。

インパクトの固まりである彼女は生徒、教師たちからは『ちょっと妖怪入ってる』『大供(大きな子供)』と言われる始末である。

とはいえ美女ではあるがゆえ、一部の熟女好きからは熱いラブコールを受けているのだ。

そんな彼女の登場に当麻との再開のことなど最早完全にかき消されてしまった。

全員が女々の方へと視線を向けてしまっている。

 

「不幸だ」

 

せっかく帰ってきたのに早速空気になってしまった当麻は背後で静かに呟いた。

「そういえば、あの人ってエリオちゃんのお母さんよね?」

 

明日奈に言われ小鷹たちも思い出す。

そういえばエリオは女々の一人娘だ。

過去に父親はいたらしいが既に別れてしまっているらしい。

あの女々が一人の娘をここまで育てられたのは驚きだとエリオを見ながら改めて一同は思った。

 

「……?」

 

そんなに見てどうしたの? と言いたげに首を傾げるエリオを余所に、彼女の母親は声高らかに開始の宣言をした。

「皆様お待たせのイベントゲームを始めちゃうっぞおぉぉぉ!!!」

 

「「「「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!」」」」

 

待っていましたと言わんばかりに今度は全ての生徒と教師たちが歓喜の声を上げる彼らの目には闘志の炎が燃えたぎっていた。

それほどまでにこれから行われるイベントゲームに彼らは期待を抱いているのだ。

なにせ毎年行われる二年生限定教師生徒混合イベントゲームは種目は違えどその優勝賞品の豪華さは一転して変わらない。

ある時は学園島全ての食事処無料券。またある時は超大型テレビと学園行事にしては中々良いのだ。

普段のイベント商品など良いとこノートとペンぐらいしか貰えない彼らが、この二学年だけに与えられたチャンスを逃すはずがなかった。

今年の優勝商品とはなんなのか。

誰もが期待に胸を膨らまし鼻息を荒くしていると女々がついに賞品の全貌を露にすることとなった。

いつの間にか女々の隣に用意されていた、二メートルはある物体が布に覆い被されていた。

女々は両手で布を掴み一気に引っ張った。

そこには、

 

「か、金だぁぁぁぁ!!!!」

グランド内の誰かが叫んだ。

その者の言う通りステージ上には現金。

何重にも重ねられた札束のピラミッドがそこにはあった。

おいおい、まじかよ…… すげぇ、億万長者になれるぜ。てか学校側かこんなことしていいの? 本物か? 金金金金!

 

あらゆる方から疑念の声と興奮の声が漏れていく。

それをふむふむと文字どおり聞き耳をたてて聞いている女々にもの申す者がいた。

 

「おいこら、藤和」

 

銀時だった。

広場の真ん中に立ち女々を見据える銀時の登場にさっきまでざわめいていた者たちも全員いったん口を閉じた。

相変わらず妙に存在感の強い人だなと小鷹は感心している。

 

「お前、それ本当に現金なのか? 子供銀行券とかいうオチじゃねーだろうな」

「えー、銀君は相変わらず疑り深いわね~。でも安心してこのお金は正真正銘本当に使えるわ! 優勝したら鉛筆でも買ってちょーだい!」

 

何故鉛筆なのかは解らないがどうやら本当らしい。

女々は嘘だけはつかないからだ。

生徒に教師たちはさらにやる気のボルテージを上げた。

 

「じゃあゲームの説明をするわよー! これから貴方たちには私の欲しいものをとってきてもらうわ! 行く先には多数の障害があるから気をつけて! あと全部で5回は往復してもらうから。それと最初は同じものが複数存在するけど進むにつれて減っていって最終的には一つだけになるから。ま、つまり優勝者は一人だけってこと!」

 

長々な説明が終わり銀時の周りに早速人が集まった。

小鷹に雪平。さらに宴と明久、ましろ、当麻といった面々。

「なんだよ、お前ら。今の話聞いてなかったのか? 優勝者は一人なんだぞ」

 

「わかってますよ。でもこれだけ人がいるんじゃ優勝は難しいそうだし、だったらチームを作って勝ったら仲良くわけようと思って」

 

小鷹の説明に銀時は素直になるほどなと言い頷いた。

それを見た宴も、

 

「よし! じゃあ全員で協力して金ゲットするぞ!」

 

『おおおおお!!!』

 

七人の思いが一つになった。そう思われたこの時だったが小鷹以外の彼らはどす黒いオーラを放っていた。

 

ーーふ、まだまだ青いガキ共だぜ。俺がそう簡単に協力するとでも? うまく利用して賞金独り占めだ……!

 

ーーふ、先生も皆も相変わらず甘いわね…… 賞金独り占めよ……!

 

ーーふっ、銀時も羽瀬川たちも全員簡単に協力という言葉に乗っかりやがったな。上手いこと利用して賞金ゲットだ……!

 

ーーふっ、僕、さっきからお腹痛いんだけどどうしたらいいののこれ……?

 

ーーふっ、お腹、すいたわ……!

 

ーーふっ、このイベントを利用して今まで出番なかったぶんを取り返してやる。俺をただの不幸人間だと思うなよ……!

 

はっきりいっててんでバラバラの思惑を腹に抱いた彼らによる賞金をかけたゲームがついに始まるーーー




次回カオスなゲームが始まります!
こうご期待!
感想お待ちしております!
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