2年Z組銀時先生!~変人生徒でクロスオーバーだ コンチキショー~   作:雄大

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投稿遅くなり申し訳ございません。
今回はギャグが少なめですのでご了承ください。


第8話 マンションにはいろんな連中がいる

「椎名いなくね?」

朝のHR、出欠の確認を取っていた銀時はタバコを加えながらすっとんきょうな声を上げた。

実際教室中を見渡してもどこにもいない。

椎名の席は座ってもらえる主人が来ず、哀愁を漂わせている。

 

「今さらですか先生。椎名なら、この前のテスト以来学校に来てないですよ」

 

小鷹は呆れたように言った。

すると銀時はそうだっけかなと首を傾けしばらくすると、ぽんっと手を打ち、

 

「ああ! テスト編以降全く出てなかったのは、作者の技量の無さじゃなくて本当にいなかったか」

 

「いや、そういうメタ発言は止めてくださいよ! あと作者の技量については触れないでください!」

 

思わず立ち上がって叫ぶ小鷹の後ろで八幡がよそよそしく挙手し、

 

「あの、俺はちゃんと登校してるのに出番少ない気が……」

 

と言いかけだが拳を突き上げ勢いよく立ち上がった明久に遮られた。

 

「だったら僕の出番も少ないと思います!」

 

「お前は充分出てるだろーが。特に前回とか」

 

朝という力の出ない時間帯ということもあってか冷めたツッコミを入れると銀時は面倒くさそうにため息をついた。

 

「たく、しゃあねーなー。椎名からはなんの連絡もねーしこりゃあ、あいつの家にでも行って様子見に行くか」

 

珍しく教師らしいこと言うんだなと感心した小鷹だったが直ぐにそんな自分に後悔する。

 

「よし、じゃあ俺は椎名の家に行くからお前ら一時間目自習なー……今日の新台なんだっけかな」

 

「って、あんたパチンコ行く気だろ! 椎名の家なら放課後にしろぉ!」

 

 

 

クロス高校の一日の授業が終了し学年主任である竹原に事情を説明した銀時は、常時パチンコに行きかける衝動を抑え椎名の住む十五階建てマンション、サンヴェール甲陽園に来ていた。

 

「あいつケッコー良いとこ住んでんな」

 

マンションを仰ぎ見、銀時は呟いた。

実際は平均的な価格で住める極普通のマンションだが、貧乏生活を営んでいる銀時にとっては高級そのものだ。

まじまじと値踏みするかのように見ながら玄関へと入ろうとする。

すると、

 

「見つけたわよあなた!」

 

とゆったりとしたそれでいて高い声が聞こえた。

銀時はいきなり、なんだと振り替える。

そこには誰もいなかった、と思ったら下を見るといた。

キラキラ輝く目をうるうると涙で滲ませ両手を重ねる少女。

見たところ幼稚園児だと思われる。

 

「あー、お嬢ちゃん。なんか用?」

 

後ろに小さく纏めた髪を揺らしながら少女は意気揚々と答えた。

 

「夢葉ねぇ、今、おままごとしてるの! 設定は浮気という関係の縺れから生じる三角関係!」

 

「ガキの癖にずいぶんヘビーじゃねーか」

 

銀時が呆れていると突然背中に衝撃が走った。

 

「ゴヒャア!?」

 

痛みを覚えしゃがみこみ背中を抑える銀時。

後ろを振り返ると真っ赤に染め上がったツインテールをした少々が拳を構え銀時を睨んでいた。

 

「貴様! 痛いけな少女に手を出そうとは何事か! 貴様の様なやからは妾が成敗してくれる!」

 

「何の話だよ! こらガキ、いきなり大人を殴り飛ばすもんじゃねーぞ!」

 

「延珠お姉ちゃん、違うよ。その人は夢葉のダンナ様」

 

「ダダダダンナ様だとぉ!? この天然パーマめ、ロリコンか! 妾は愛しの殿方に目もくれてもらえていないというのに!」

 

「違う! ただのままごと、ガキの遊びだ!」

 

「そんな! 夢葉との事は遊びだったのね」

 

夢葉という少女はオヨヨと声を鳴らしながら地面に座り込む。

それを見た延珠という少女は銀時に指を突きつけ、

 

「おのれ、諸悪の根元め! こんな痛いけな少女をもてあそびおって! 絶対許さん!」

 

「あ、あんな所にメタモルフォーゼする美少女連中が!」

 

「なに!?」

 

「どこ~」

 

延珠と夢葉は銀時の言葉に酷く反応し、銀時から視線を離した。

しかしメタモルフォーゼする美少女など勿論うそ。

銀時は一瞬のスキを突くとマンションへと入っていった。

 

少しボケた感じのある管理人のおじさんに部屋の番号をきき出した銀時は椎名の住む707号室へと向かった。

階段を使うのはあまりにも億劫なので勿論エレベーターを使う。

エレベーターに乗り込み椎名のいる七階まで上昇していく。

その間、銀時は椎名について考えていた。

何で連絡も寄越さず学校休んでんだ? 別に不良って訳じゃねーし…… ん? そういや俺、あいつの事よく知らねーんだよな…… 無口だし、普段から誰とも話せねーし。あ、でも結城がよく面倒見てたか。

改めて自分の生徒について何も知らないことを痛感し頭をかきながらうーんと唸っているとエレベーターの扉が開いた。

しばらく何となく立ち止まっていたが、ふうっと息をはくと足を動かした。

707号室へと向かい進むと片手に一冊の本を持ちクロス高校の女子制服を着た少女が歩いていた。

一瞬椎名かと思ったがその容姿は違っていた。

小柄で青みのかかった髪でボブカットをさらに短くしたような少女で長い髪の椎名とは反対そのものだ。

だが少し似ている所はあった。

表情の固さだ。

実際一人で歩いているわけだからニコニコしているのもおかしいが、少女の表情はまるで機械のように固く眼鏡の下の瞳と眉は微動だにしない。

その点においていつも無口な椎名と似ていることに姉妹か親戚かなんかと銀時は思った。

クロス高校の生徒でもあるようだし、椎名の事も知っているかもしれない。

聞いてみようかと近づき足を止めたが、その前に少女が銀時の方を見て無機質な表情のまま先程まで動かなかったまぶたを繰り返し何度も瞬きしていることに固まる。

「な、なんだ? 俺は別に怪しいもんじゃねーぞ」

 

まさか痴漢とでも勘違いされたかと少し焦ったがどうやらそういう訳ではないらしく、少女は瞬きを止めそのまま銀時の横を通りすぎっていった。

「ん?」

 

その時、銀時は少女が何かを落とした事に気づいた。

ヒラリと木葉の様に宙を舞いながら地面へと滑るように一枚の栞が着地した。

どうやら本に挟んでいた栞が取れたらしい。

「おーい、落としたぞ」

 

栞を広い少女を呼ぶ。

既にエレベーターの前に立ち止まりボタンを押していた少女は銀時の呼び掛けに気づくと一寸狂わない動きで顔を向けた。

まるで妖怪の様な反応の仕方に少しビビるも、栞を渡しに少女に近づく。

 

「これ、お前のだろ?」

 

言いながら栞を渡した。

栞を受け取ると少女は、それをまじまじと見始める。

そうしている内にエレベーターが到着し扉が開いた。

 

「あーと、行かなくていいのか?」

 

エレベーターを指差し銀時はきくが、少女の発した答えは全く関係のないものだった。

 

「お礼は?」

 

「へ?」

 

澄んだ綺麗な声だったがそれ以上に機械的なものだ。

たった一言ではあるが感情など全くないような坦々とした喋り方をするということがわかった。

だが今はそれよりも少女の言うお礼の意味がわからず銀時は、そちらの方に考えが向く。

しばらくするも少女はもう一度言った。

 

「お礼は何をあげればいい」

 

「あ、そういうこと。だったら別にいらねーよ。栞拾っただけだし」

 

「そう……」

 

少女はそれだけ呟いた。

なんだか微妙に寂しそうにも見える。

 

「あー、じゃあついでにききたいんだけどよぉ。707号室の住人の事でなんか知ってるか?」

 

「その住人の隣の部屋に私は住んでいる。だけど特には知らない。けど最近部屋から女性が大声で泣きながら出ていったのは知っている」

 

「泣きながらぁ?」

 

まさか椎名か、と銀時は思ったが、すぐにそれはないと首を横にふる。

彼女は決して大声を出すような人間ではない。

恐らくは別の人間だろう。

 

「まあ、行ってみりゃいいか。じゃあ教えてくれてありがとな」

 

銀時はお礼を言うと707号室へと足を進めた。

その銀時の後ろ姿を少女はじっと食い入るように見つめていた。

 

「坂田銀時……」

 

まだ教えていないはずの名前を呟きながら。

 

 

「ここが椎名の部屋か…… ん? 開いてる……?」

 

扉の前に立つと少しだけ開いている事に銀時は気づいた。

「たく、開けっ放しにしやがって、怪しい男でも入ったらどうする……」

 

ドアノブを握り扉を全開にしようとすると銀時は視線を感じた。

706号室の扉から、今まさに出かけようとしていた男性に刺すような視線で見られていたのだ。

 

「な、なんだよ……」

 

「……」

 

銀時は気づく。

開けっ放しになった少女が住む部屋に無断で入ろうとする男。

不審な男は自分だという事に。

 

「いや、怪しいもんじゃねからーな!」

 

「充分うやない!」(充分怪しいわ!)

 

男はそう叫ぶと扉をバタンと閉め、その場から逃げるように走って行った。

「う、うやない?」

 

男が発したのは富山の方言である。

が、そんな事知るよしもない銀時は首を傾げながら今度こそ扉を開いた。

するとそこからパンパンに膨れ上がったゴミ袋がドサドサと落ちてきた。

思わず唖然とし中を見ると、部屋へと続く廊下の道は全て袋やゴミで埋まっていた。

「おいおい、これ本当に人住んでんの? テラフォーマーとかいんじゃねーの。ジョ! とか言って襲ってくるよ」

 

などと愚痴りながらリビングへと入った。

リビングも廊下同様ゴミが散乱としていた。

その中をジャングルの奥地を進むように恐る恐る銀時は歩いていく。

さっきは冗談で言ったが、これでは本当にゴキブリが出てきそうだ。

 

「椎名ー、いないのか!」

名前を呼ぶが返事がない。

出かけているのかと思い諦めて帰ろうとした時だった。

グニ。

 

「グニ?」

 

足元におかしな感触を感じ、下を見る。

そこは周り以上にゴミで溢れかえり山の様になっていた。

銀時はそこに足を突っ込んでしまったのである。

しかし問題はそれよりもこの感触。

「おいおい、まさか……」

 

足を抜き急いでゴミをどかす。

その中にはパンツやブラまで混ざっていたが、最早構っている暇はない。

冷や汗をかきながら全てのゴミを払いのけた、そこには、

 

「し、椎名ぁぁぁぁ!?」

 

目を閉じ下着姿で静かに眠る可憐な美少女、椎名ましろがいた。

 




今回は色んなキャラが出ていました。
もし、わからない場合は遠慮なく聞いてください。
感想、ご意見お待ちしております。
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