2年Z組銀時先生!~変人生徒でクロスオーバーだ コンチキショー~   作:雄大

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長らくお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。
ただ今年が終える前に投稿できてよかったです。
今回でましろの話が終わるのでどうぞ。


第9話 グラサンかけてもたいしてモテない

銀時は人生最大の謎に直面していた。

部屋中に散らばるゴミを隅に寄せ即席で座る場所を確保した銀時の目の前には下着姿で正座をする椎名ましろがいた。

銀時はましろの姿を改めて確認する。

パンツと何故か逆さまにつけられたブラジャーだけに身を包み傷一つない白い肌が露となってしまっていた。

妖精を思わせる彼女の容姿にこの格好はあまりにも過激だ。しかし普通の女性ならば赤面間違いなしの格好にあるにも関わらずましろは表情を全く変えずそれどころか睡魔にやられているのか首を上下に揺らしている。

彼女の表情の変化の少なさには雪平を思い出すが、それ以上かもしれない。

銀時は面倒くさそうに頭をかいた。

 

「椎名、オメーよぉ、なんか羽織るぐらいしろよな。お前、あれだよ。怪しい男でも入ったらどうすんの? 今回は俺みたいな英国紳士顔負けの聖人だったから良かったものよー」

 

「そうね」

 

銀時は笑いながら言ったのだがましろは相変わらず表情を変えない。

「あれ、ツッコミとかなし? あれ、なんか恥ずかしいんですけど。なんかスゲー顔赤くなりそうだよ。これ、なにこの気持ち」

 

片手で顔を覆いながら銀時は嘆いくが、やはりましろは意にも介さずにいる。

普段相手にしている明久や小鷹といった生徒たちと全く違う反応に銀時は少し寂しさを覚えるが直ぐに疑問に思っていたことを口にした。

 

「椎名、お前よぉ何でそんな格好で寝てたんだ? しかもこんなゴミだらけのキタネー部屋でよぉ」

 

「眠いから」

 

「うん。お前は動物か? なんつー原始的な答え出してんの。てか結局その格好はなんなんだよ」

 

銀時は心底呆れながらも理由を聞いた。

するとましろは、首を前に揺らしうーんと唸りしばらく間をおくと口を再び開いた。

 

「着れないから」

その言葉に銀時はガクッと一気に体の力を無くしたのを感じた。

着れないとはいったいどういうことなのだろうか。

服がないのか。それともその言葉の通り服を自分一人で着用することができないというのだろうか。

だとしたら一女子高校生として大問題である。というか今までどうやって生きてきたのだろうと銀時は思った。

 

「そういやお前は親はどうしたんだ? 服も着れないんじゃ一人暮らしなんて無理だろ」

 

「…… 両親は外国よ。生活は特別に雇ったお世話係の人に任せてもらってる」

 

「お世話係だぁ? お前そんなボンボンだったのか」

 

「私は応援道具じゃないわ」

 

「それはポンポンだろうが。ベタなボケかましてんじゃねーよ」

 

銀時はツッコミながらも床に無造作に置かれたワイシャツを手に取りましろへと向けた。

無論銀時はましろに着用させる目的で差し向けたのだが当の本人は全く意味を理解していないのか瞬きを繰り返し首をきょとんと傾けた。

「いや、着ろってことだよ。んなこともわかんねーか、お前は」

 

「一人じゃ着れないわ」

 

「お前本気で言ってんの? たく、しかたねーな」

 

銀時は立ち上がりましろの方に行き同じく立たせる。

こんくらい出来ねーでよく生きてたなと言いながらもましろの腕にワイシャツの袖を通し着せていく。

普通だったら両者共に赤面すべきシーンではあるがましろは純真無垢、銀時にいたってはましろは所詮生徒と割りきり、たいして反応もしない。

はっきりいって何の面白みもないのである。

ボタンを閉じながら銀時は一番疑問に思っていたことをきいた。

 

「そういやお前なんで学校来ねーんだ? 別に風邪引いているわけでもなさそうだし」

 

「賞の〆切が近かったから」

 

「〆切ぃ?」

 

ましろは部屋の片隅に置かれた机へと指差す。

机上を見るとサイズB4程の原稿用紙にGペン、インクといわゆる漫画を書くためのセットが散らばっていた。

「まさかお前漫画家目指してんのか?」

 

銀時が言うとましろは小さくコクリと頷いた。

すると先程よりも少し小さな声をだした。

「さすがに休んだのは悪かったと思う……」

 

「…… あー、別にわびることねーよ。少しくらい休んだってたいして問題はねーだろ。けどな……」

 

銀時は少し間をおき、

 

「連絡くらいはしろ。あのバカ共全員心配してたからな。お前一人でもいなくなったらあいつら直ぐ騒ぐからよ」

 

「…… わかったわ。ごめんなさい」

 

ましろは素直に頭を下げた。

しかし気のせいか銀時はましろが少しだけ嬉しそうにしているように見えた。

普段ましろは他の生徒たちと会話をあまりしない。

とはいえ、ましろは同級生たちを嫌いなわけではないということだろう。

心配されたということに嬉しさを感じたのだ。

「まあ、お前は無事だってことは確認できたし俺は帰るか『邪魔するぞ!』」

 

突然玄関の方からドアを蹴り飛ばしたような音と共に男の声が聞こえた。

銀時が何がおきたと確認しに行くよりも早くずかずかと足音をたてながら仏頂面の男性が入ってくる。

顎髭とサングラスの目立つ男だった。

 

「おいおい、いきなりなんなんですかあんた? 不法侵入ってやつだよこれ」

 

初対面のそれもこんな怪しげな男相手にやくざのような顔で睨みをきかせる銀時。

しかしそんな銀時にましろは、

 

「先生も勝手に入ってきたわ」

 

と、きつい一言を浴びせた。

 

「何言ってんだよ。あれは不幸中の幸いってやつだ」

 

「いや、使い方おかしいだろ! 言葉の意味も全く違うしよ!」

 

さっきまでシリアスを始める気満々だった男はいきなりのボケに思わずツッコンでしまった。

「言葉っていうのは日々進化していくものなんだよ、って志村も言ってた」

 

「志村、そんな格好いいこと言ってねーよ! つーかただの劣化だろ、それ! いや、それよりも!」

 

男はましろへと指を突きつけ声を張り上げる。

 

「椎名ましろ! あんたには自分の国に戻ってもらうぞ」

男の言葉にましろの表情は一瞬ではあるが強張った。

そこに銀時がわって入る。

 

「あんた、いきなりやってきって戻ってもらうってのはどういうことだ? あとオッサン、あんたは何者だ」

 

「オッサンいうな! …… 俺は長谷川泰三、そこのお嬢さんの親御さんに、まあ、使えてる使用人みたいなもんだ」

 

「その使用人がいきなりなんの用だよ」

 

銀時は片眉を上げてきくが長谷川は特に気にもせず説明を始める。

 

「約束があったんだ」

 

「約束?」

 

「ああ、お嬢さんは自分一人じゃなにもできねえ。だから世話係の人間を最低でも三人まで特別に派遣させた。だがもしそんな世話係でも手におえなくなった時は……」

 

長谷川が少し溜めてから言おうとすると先に銀時が、

 

「しっぺ?」

 

「いや、ちげーよ! そんな軽い罰なわけねーだろ! 強制帰国だよ、帰るんだよ!」

帰る。その言葉にましろは表情を暗くした。

そんな彼女の数少ない表情の変化を銀時はわかっていた。

しかし長谷川は気づかずそのまま話を続ける。

 

「一昨日のことだ。三人目の世話係から連絡があった。『もう無理です』てな。だから約束通り連れ帰る」

 

あ、そういうことか。と銀時は思い出す。

栞を拾ってあけだ少女が言っていた泣きながら部屋を出ていった女性とはその世話係のことだと。

「とにかくそういうわけだ。お嬢さんには悪いがな……」

 

長谷川はそう言うとましろの腕に手を伸ばした。

しかしその腕はましろに届くことはなかった。

 

「て、てめぇ……」

 

長谷川の腕は銀時の手で力強く掴まれていた。

「いったい何のつもりだ。というかあんた誰なんだ?」

 

「俺は教師だよ。悪いが連れていかせるわけにはいかねーな」

 

「な、なにぃ?」

 

さっきまでの死んだ魚のような目から一転、鋭い目つき睨む銀時に長谷川は冷や汗を流した。

「た、たとえあんたが教師でもこれは決定事項なんだ。ダンナ様が許すわけがねえ」

 

「たとえそうでも俺を通さずに勝手に帰国なんて許しやしねーよ。俺はただの教師じゃねぇ、こいつの担任だ。だから担任として俺はこいつの行く未来の手助けをする」

 

「お前……」

 

長谷川はしばらくの間真剣な顔にで銀時を見据えた。

ましろま何度も瞬きを繰り返しながら銀時を見つめている。

すると銀時がニヤッと笑いながら、

 

「それでも帰したいっつーなら保護者呼んできな。俺がみっちり三者面談してやんよ」

 

その言葉に長谷川は、ふっと小さく笑った。

 

「そうかい。じゃあ仕方がねーな。お嬢さん」

 

長谷川は視線をましろへと移した。

 

「なに?」

 

「今日のところは帰らせてもらうぜ。あんたのことを心配してくれるやつがすぐそばにいるってことがわかっただけで儲けんもんだろ。ダンナ様には適当に言っとくよ」

 

それだけ言うと長谷川は背を向け部屋を出ていった。

部屋には最初の時と同じく二人だけとなった。

そんな中ましろが声を出す。

 

「先生…… 」

 

「なんだ?」

 

「ありがとう」

 

この時、一瞬ではあるが銀時は初めてましろの盛大な笑みを見た。

邪気一つとないそんな笑みだった。

 

「そりゃどういたしまして…… とそういやお前これからどうすんの?」

 

「どうするって?」

 

「いや、だってよぉ、お前を世話する奴いねーんだろ? それでどうやって生活するんだよ」

 

銀時に現実を突きつけられたましろは目をつぶり、うーんと唸った。

しばらくして目を開くと

 

「……じゃあ準備するわ」

 

「え、なんの」

 

「引っ越しの準備よ」

 

「あ? そんないきなりか。つーか引っ越したからってなんの解決にもなんねーだろ」

 

銀時の疑問は最もである。

だがその疑問はすぐに晴れることとなった。

 

「大丈夫よ。引っ越し先は先生の家だから」

 

「あー、そうかー、ってなんだぁそりゃあぁぁぁ!!」

 

「担任としてこいつの行く未来の手助けをする…… って言っていたわよね」

 

「お前、結構きついね! お前あれだよ! 他人に同じセリフ言われるのってかなり厳しいよ! 昔調子に乗って書いた中二ノートと同じくらいきついよ! 自殺もんだよ!」

 

「先生、そっちのパンツ取って」

 

「いや、話しを聞けよぉぉぉ!!!」

 

坂田銀時、独身。

家族が増えました。

 

 

★

 

「……というわけでお嬢さんはまだ帰らせる必要はないと」

 

長谷川は携帯電話越しに雇い主へとましろのことを話していた。

電話相手は勿論ましろの父親。

 

「そうかわかった。じゃあいいや、長谷川君クビ」

 

「え、あ、うん? ってえええええええ!?」

 

突拍子もなくクビと言われ長谷川は奇声を上げた。

「ちょっ、どういうことすか! お嬢さんを連れ帰らなかったから?」

 

「あー、それもだけど。やっぱ一番は……」

 

「い、一番は……?」

 

「グラサンだよね」

 

という言葉を最後に電話はきられた。

長谷川はしばらくフリーズし、耳にぷー、ぷーと音が流れこんでくる。

するとすーっと息を吸い込み、

 

「グラサンかよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

と喉が枯れるほどに今世紀最大の声を上げたそうた。




知っているでしょうが皆様に朗報を。
銀魂放送再開決定だぁぁぁぁ!!!
これでこれからも頑張れそうです。
これかもよろしくお願いいたします。
では。感想など待っています。
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