仮面ライダースカイ   作:ひかぼし

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初めまして。ひかぼしと申します。
未熟ものですがよろしくお願いします。


第1話 「変異<ミューテーション>、始まる」

 

★★★

 

「行ってきます」

ドアノブに手をかけた青年、蒼井穹太は、振り向かずに別れを告げる。

「行ってらっしゃい」

それに応えた女性は、青年の姿が見えなくなるまで見送った。

朝陽が昇る青空が広がっていた。爽やかな風を全身に浴びながら、穹太はロードワークに勤しむ。

「ふっ、ふっ、ふっ……」

毎日十キロ以上の距離を走っている穹太はの息は上がっていない。軽く体をほぐした後はペースを上げていく。

十キロメートルを走り終えてしばらく休むと、今度はストレッチを始める。

「やっぱり空は綺麗だな」

空を眺めていると突然耳鳴りが脳内に響いた

「うっ……なんだ!?」

穹太は辺りを見渡すと明らかにいつもと違うことに気づく。

「な、なんだよ……」

目に映る景色全てが白黒になっており、空は墨汁をこぼしたように真っ黒で星々が消えて無くなっている。

「嘘……だろ……?」

穹太は世界が一瞬にして消えてしまった事に絶望し膝を地面についた。

「なんで……どうして……」

穹太は頭を抱えてうずくまる。すると、目の前に突然黒いモヤが現れた。

「な、なんだ!?」

そのモヤは徐々に大きくなり人の形へと姿を変えた。

そして現れたのは、純白のウエディングドレスを身にまとった女性だった。

「相変わらず、『正義感』は目に見えるものなんだね」

「貴女は……?」

「長くも短くも話すつもりもないよ」

そう言って彼女は微笑を浮かべる。

「……どうして?」

「……さぁね」

彼女は、どこか怪しげな表情をしていた。

「……さぁ、そろそろ時間だ。準備はいいかい?」

突然彼女は穹太の胸に右手を当てる。

「……えぇ!」

彼女の右手から謎の光が放たれると、一瞬にして穹太の体の中に吸収されていく。

そして穹太の意識も光に包まれながらホワイトアウトしていく。

 

★★★

 

青い電灯が怪しげに光る研究所。

部屋の中央には、円筒形のガラス製の容器が鎮座している。

液体で満たされたその容器の中には、人の形をした生き物がいた。

いや……それは、生きているとは言い難いかもしれない。

なぜならその生き物の四肢は切り取られていて、胴体には何本ものチューブや電極が突き刺されているからだ。

目は閉じており、意識があるのかどうかは定かではない。

そして目の前には一人の男がいて、恍惚とした表情で容器を見つめている。

「くく……あと少しだ。あと少しでぇぇぇぇぇ……ははははは」

突然狂気じみた笑いをする。

「ああ……早く目覚めてくれぇ」

容器をコンコンと指で叩く。

すると容器の中の生き物がゆっくりと目を開ける。

「やあ、お目覚めかね」

男は優しく語りかける。

「……あなたは……誰?」

ガラス越しでも分かる美しい顔を持つ少女は男に問う。

「私か?私は君の父親だよ」

「お父さん……?」

「そうさ、だから安心していい」

男は少女に優しい笑みを見せる。しかし少女は怯えた表情を見せる。

「流石、私の娘よ。君の生命エネルギーは素晴らしい!」

男は容器とプラグで繋がっている装置に手を当てる。

「初仕事だよ。」

男が装置のボタンを押すと、容器の中に緑色のガスが流れ始める。

「うっ……なに、これ」

少女は苦しむ様子を見せる。

「さあ目覚めなさい!私の研究成果よ!」

男は笑いを堪えきれないといった様子で叫ぶ。

その叫び声に応えるかのように少女の身体が変化を始める。

手足が徐々に生えていき、肌の色も白くなっていく。

そして頭から2本角が生える。

「うあ……ああ……」

少女は苦しみ、痛みを訴えていたが、もう少女は少女ではない。

「いいかい?君は今日から、悪しき人々に審判を下す、女神だ。」

「女神……私が……」

「そう、君は女神だ。」

「……私は……女神……悪しき人々に審判を……下す……女神様……」

少女はそう言うと、光に包まれた。

「さあ、行くんだ。」

そして光が消えると、容器は空になっていた。

「私は……女神様……悪しき人に罰を下す……女神様……」

そして女神は、空へ飛び立った。

彼女が飛び立ったことを確認した男の顔は満面の笑みに包まれる。

「大切な情報なら全て転送済みだ。これであの悪しき仮面ライダーとやらともおさらばたな!」

そして幼子のようにはしゃぎ出す。

「遂にポリューパペットのメンバーが2人になったぞ!!もう私はボッチではない!!!!!」

 

★★★

 

昼下がりの街、人々は様々な会話をしながら、それぞれの行く先へと足を向けていた。

しかしそこにあの女神が降臨してしまった。

「今からあなた達に審判を下します。」

人々は戸惑いを隠せなかった。

「あなた達は今まで悪いことをしてきたでしょう?」

女神は、刺股状の武器を召喚する。

「今からその罪を償いなさい。」

その武器で足元を強く叩く。

「判決を言い渡します。」

女神の足元から波紋が広がる。

「死刑!」

女神の宣告に人々は恐怖した。

そして女神の足元からクワガタを模した人型の怪物が這い出してきた。

人々は恐怖し、逃げ惑うが怪物は次々と現れ人々を襲い始めた。

「助けて!」

「死にたくない!」

人々は助けを求めながら逃げ惑うが、怪物の圧倒的な数の前になす術もなく殺されていく。

「あ……ああ……」

一人の女性が恐怖のあまり腰を抜かしてしまった。

そこにクワガタの怪物が現れた。

「い……いや……来ないで……」

女性は命乞いをするがクワガタの怪物は意に介さず、ハサミで女性の首を跳ね飛ばした。

「いやああああああああ!!!」

その光景を目の当たりにした人々は恐怖し、悲鳴をあげながら逃げ惑う。

しかしクワガタの怪物はそれを許さない。

次々と人々を襲い始める。

「た……助けてくれ!」

「死にたくない!!」

「ごめんなさい!」

人々は泣き叫び許しを乞うが聞き入れられるはずもない。

そして一人また一人と殺されていく。

そんな地獄絵図の中、1人の青年が自転車を漕いでやって来た。

その青年は穹太だ。

「なんだ……これは……」

穹太は目の前の惨状を見て驚きを隠せなかった。

「どう?これが私の力よ」

女神が得意げに言う。

「あなた、名前は?」

「お前みたいな悪魔に……名乗ってられるか!」

「そう、威勢のいい子ね」

女神がそう言うと、周りにいた怪物達が穹太に襲いかかる。

「うわああ!」

穹太は自転車ごと吹き飛ばされる。

穹太は死を悟ったが、そこに、黄色い鎧をまとった戦士が現れる。

「遂に現れたか、ポリューパペット!」

「なぜその名前を、」

女神は突然の状況に動揺していた。

「まさかとは思うが、貴様、仮面ライダーだな?」

「いかにも」

戦士は穹太に手を差し伸べるが、

「あの怪物達は一体なんなんだ?何でこんな酷い事をするんだ?」

穹太はまくし立てるように尋ねる。

「彼らはポリューパペットという悪意の塊だ。奴等はポリューパペットの創設者、カミオの醜い心から生まれた存在だ」

「そんな、じゃあどうすればいいんだよ!」

「今の君にできることは……はっ!……まさか君も浄化の力を持っているのか!?」

戦士は驚いた様子で穹太に言う。

「浄化の.......力?」

「ああ、浄化の力を持つ者だけがポリューパペットを浄化する力を持っている」

戦士はそう答え、穹太の両肩を掴む。

「何なんだ、その力って?」

「ポリューパペットに対抗できる唯一の力だ。その力があれば奴らを……」

その時、突然砂煙が舞い、中からサソリのような怪物が現れる。

「ちっ……もう来てしまったか!」

「な……なんだよこいつら!?」

穹太が問いかけると、戦士はあたかも知っていたのかの様に言う。

「あの女神が召喚したんだな。」

「女神……?あいつか!」

穹太が大声を出すと、戦士はポリューパペットの方へと走り出す。

「今のお前にできることは俺の戦い方を見て学ぶことだな」

そう言うと戦士は、2体の怪物を相手に戦い出した。

「これが浄化の力……」

穹太は目の前で戦う戦士を見ながら、そう呟いた。そして、先程の戦士が言っていた言葉を思い出す。

(俺の力があの怪物達に有効なのか……)

穹太は戦士が戦っているのをただ見ている事しか出来なかった。

「はぁっ!」

戦士は多彩な技で怪物たちを翻弄する。

「お前はこれで片付けよう」

ベルトに装填されている鍵を回し、右腕に槍のような武器が装着される。

 

《ホーネットスティング!》

 

クワガタの怪物の腹部を目掛けて右腕を突き出した。

その瞬間、怪物は砂埃と共に爆散する。

そして戦士は、サソリの怪物の方を向き、ベルトに装填されている鍵を回す。

「これで終わりだ!」

 

《ホーネットシュート!》

 

戦士の右足にエネルギーが溜まり、サソリの怪物に向かって飛び蹴りを放つ。

「はぁぁぁぁ!」

その攻撃はサソリの怪物に命中した。

しかし、その攻撃で仕留めることはできず、戦士は砂煙と共に着地する。

そして、爆散したはずのサソリの怪物が砂煙から現れ、そのまま逃げ去ってしまった。

戦士はベルトから鍵を抜く。

そしてベルトは蜂のようなメカに変形し、戦士の肩の上にとまる。

穹太は戦士に質問をする。

「あなたは……」

「俺は仮面ライダーだ。そして……君も仮面ライダーになれ」

「……はい?」

戦士は微笑み、走り去っていく。

「仮面ライダーって……なんだよ」

ポケットからスマホが鳴り響く。

「なんでこんな時に電話が……」

穹太は渋々電話に応答する。

「穹太!どこに行ってるの!?早く帰ってきなさいよ!!」

電話の相手は、あの時穹太を見送った女性だった。

「早く帰るから!」

「あと5分で帰りなさいよ?」

「そんな早く帰れる訳……」

「あんたは昔から自転車漕ぐのが早いんだから!それに穹太は昔から……」

「わかった!わかったから!」

電話を切ると、慌てた表情で自転車に跨る。

「なんて日なんだよ今日は……」

 

続く




次回もお楽しみに
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