仮面ライダースカイ   作:ひかぼし

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この作品、仮面ライダーである意味あるのかな……
前回の続きです


第2話「道化師と黒い薔薇<ヘイトレッド>」

家に帰った穹太は、食器を洗いながら考える。

自分はなぜポリューパペットの浄化の力を貰ったのか。

「もし、あの人が……本物の姉ちゃんだったら……」

穹太は皿を洗う手を止めた。

その考えは穹太にとってあまりにも衝撃的だった。

今までも、何度か考えたことはあった。

でもその度に否定した。

それは「ありえない」ことだと自分に言い聞かせた。

しかしそれは本当にありえないのだろうか?

いや、違うのだ。

そもそもなぜ自分は姉の存在を否定しているのか? それは姉が死んだからだ。

だが、死んだという証拠はない。

もしかしたらどこかで生きているかもしれないのに、それなのに死んだなんて決めつけるのは良くない事だ。

「それにしても……なんだよ仮面ライダーって」

「どうかしたの?」

姉が聞いてくる。

「姉ちゃん、本当に姉ちゃんだよな……?」

「本当にってなに?私は私よ」

「いや、そうだけど。あのな、その……」

「どうしたの?」

「……ライダーに会ったんだ」

「…………は?」

案の定というべきか。姉ちゃんは何がなんだかわからないと言った表情を浮かべている。まぁその反応が普通だよな。

「……ごめん、聞き間違いかしら……もう一回言ってくれる?」

「だからライダーに会ったんだって」

「そっか……疲れてるのね穹太……今日はもう休みなさい」

そう言うと姉ちゃんは穹太の背中を押して部屋へ戻るように促す。

「ちょ、姉ちゃん!?」

「いいから。大丈夫、穹太はきっと疲れているだけよ……」

その後穹太は一晩中姉ちゃんからの尋問を受けることになったのだった……

 

〜翌日〜

 

「はぁ……」

「どうしたの?ため息なんてついて」

「いや……ちょっとな……」

あの後、なんとか姉を納得させたが、結局ライダーが何者なのかも分からずじまいだった。

それに、あのウエディングドレスの女性こそが本物の姉ちゃんなのかもしれない。もしかしたらただ似ているだけの別人という可能性もあるが……。

「まぁ今はこのへんにしときますか」

これ以上考えても仕方がないので、穹太は思考を切り替えて朝食を食べ始めた。

「ごちそうさまでした!」

朝食を食べ終わると、穹太はロードワークへ行く準備をする為に自分の部屋へと戻った。

だがその時、ふとあるものが目に入る。それは机の上に置いてある小さな箱だった。

その箱には見覚えがある。確かこれは……

「そうだ!これ姉ちゃんの結婚指輪……いや……姉ちゃんは結婚してないはず……」

穹太が疑問に思っていると

「何だ?それか?」

突然背後から声がしたので振り返るとそこにはお姉ちゃんが突っ立っていた。

「姉ちゃんいつの間に!?」

「ついさっきよ。それよりその箱……なんなの?」

「まぁ、いいじゃない。開けてみたら?」

穹太はそんなお姉ちゃんを不審に思いつつ、その箱を開けてみる。

すると中には指輪の他に一枚の紙切れが入っていた。

『穹太へ』

紙切れにはそう書かれていた。そしてその下にこう続く。

 

 

 

 

逃げて

 

 

 

 

突然の内容に状況が把握出来ず、穹太は恐る恐る振り返った。

しかしそこには姉ちゃんではなく、怪物がいた。

「な、なんだお前!?」

穹太は咄嗟に後ずさりし、距離を取る。

その怪物は、まるで道化師のような格好をしていた。

白と黒を基調とした服に、赤と青のラインが走っている。

そして顔には、白地に赤い丸が二つ描かれた仮面を被っている。

その仮面の目元から覗く瞳は、血のように赤かった。

「お初にお目にかかります。私は、浄化の力を持つ人間の処分を行っております。」

怪物は、丁寧にお辞儀した。

「じ、浄化の力を持つ人間?」

「はい。あなた様のことでもあります。」

しかし、この怪物の言っていることは正しい。

昨日貰ったばかりだからだ。

「ま、まさか……姉ちゃんも!?」

「はい。あなた様の姉上様は、非常に強力な浄化の力を持っておられます。その力を悪用されぬようにと、私共の方で処分させていただいております。」

「な、なんで……そんなこと!?」

「はい。今、この地球はポリューパペットの統治下に置くことになっております。悪しき者達に浄化の力を悪用されぬようにと、我らが管理しているのです。」

穹太は唇を噛んだ。

そんなことを言われたって納得出来るわけがない。

「そ、そんな……姉ちゃんが……」

「はい。ですので、あなた様にもご協力をお願いしたいのです。」

「協力?」

怪物は頷いた。

「あなた様の持つ浄化の力を、私たちにお譲り願いたいのです。」

「なっ……そんなの無理に決まってんだろ!」

穹太は強く拒否した。

「おや、何故でしょう?あなた様にとっても悪い話ではないと思いますが?」

「なんでだよ!俺の力をお前に渡したらどうなるか……」

「あなた様の姉上様のようになるからですか?」

怪物のその一言に、穹太は言葉を失った。

「え……どういう……」

怪物が仮面の下で笑い声を上げる。

「いえ、その反応で充分ですよ。やはりそうなのですね。」

怪物は楽しそうに笑った。

「ち、違う!俺はそんなこと!」

「しかしあなた様は姉上様のようになりたくはないのでしょう?」

「……ッ!」

本物の姉の近況なんて分からない。

それでも自身の身の為にも今の日常を手放すわけにはいかない。

「では、ご協力いただけますね?」

「い、いや……それは……」

「ご協力していただけないと、あなた様の姉上様も私も困るのですが。」

「うっ……そ、それは……」

穹太は頭を抱えて苦悩する。

「お、俺は……俺は……!」

穹太は拳を強く握りしめる。

そして、怪物を睨みつけた。

「分かった!協力する!」

「ご協力ありがとうございます。」

怪物が手を叩く。すると、どこからともなく仮面を被った人間が現れた。

その数は十を超えており、全員同じ格好をしていた。

その時だった。

「屈め!」

あの時の戦士の声が聞こえた。

穹太は咄嗟に身を屈めた。

すると、頭上を何かが高速で通り抜けていった。

「な、なんだ!?」

それは怪物の首を切断した。そして、その体は砂のように崩れ去った。

「大丈夫か?」

戦士が手を差し伸べる。

穹太はその手を取り、立ち上がった。

そして、辺りを見回すと……

「なッ!」

そこにはもう、怪物の姿はなかった。

「い、一体……何が起きたんだ……?」

穹太は呆然と呟く。

「浄化の力を狙った刺客だ。気をつけろ、奴らはどこにでも潜んでいる。」

そう言い残して、戦士は姿を消した。

穹太はしばらく放心状態になっていた……

 

★★★

 

「はぁ……はぁ……」

息を切らしながら走る少女の姿があった。

その少女は今、追われていた。

「待て!逃げるな!」

後ろから追ってくる声がある。

少女は、足が速いほうではない。むしろ遅い方だ。

それなのに、何故逃げ切れているのか? その答えは簡単だった。少女は怪物になっていたのだ。

「はぁ……はぁ……」

少女の名前は土田冷。

なぜ、冷が追われているのか?それは、冷にも浄化の力があるからだ。

冷は、ポリューパペットに実験体にされたのだ。

その実験は成功したが、代償があった。そう、自我があったのだ。

「待て!止まれ!」

追いかけてくる怪物は、冷のことを浄化するつもりだ。

「嫌!」

冷は、逃げるが体力の限界が近いのか足が縺れる。

「きゃっ!」

ドサッと倒れこむ冷。

もう終わりかと思ったとき、何かが飛んできた。それは、鳥型のメカだった。それは、冷の前に落ちると同時に翼を展開した。

「えっ?」

いきなりのことで戸惑う冷。

だが、そのメカは何一つ言葉を発しない。

メカは急に翼を羽ばたかせ空へ飛んだ。

「えっ!?何!?」

驚く冷。だが、それはすぐに収まった。なぜなら、冷を追っていた怪物が浄化されたからだ。

「ふぅ……」

と、一息つく冷だった。そして、助けてくれたメカにお礼を言おうとしたときだ。

「あの……ありがとうござい……ってあれ?」

冷は、メカの次の標的にされた。

「嫌!」

冷が叫んだ瞬間だった。メカの翼から小型ミサイルが発射されたのだ。その数、10発。

「きゃぁぁぁぁぁ!」

ミサイルが冷に向かって飛んでくる。

そして小規模ながらも大きな爆風が冷を包みこんだ。

そこにあの戦士が駆けつける。

少女の死を確認すると、辺りを見渡し

「やはりか……。よくやったぞ!ファルコ!」

戦士はメカを撫でる。

「これで、浄化は完了した。あとは……」

戦士は、冷の死体に近づいていく。

「こいつをどうするかだな」

戦士が冷の死体に触れようとしたときだ。冷の手が動いたのだ。そして、ゆっくりと目が開いたのだ。

「えっ?」

戦士は驚いたがすぐに冷静さを取り戻し冷の体を揺する。

「おい!大丈夫か!」

だが、冷の反応はない。ただ、目を開けてどこかを見ているだけだった。そして、戦士はあることに気づく。それは……

「まさかこいつ……パペットとして第2の生命活動を始めるつもりか……」

予感は的中した。

冷の体が黒い泥に包まれ、剥がれ落ちる頃にはネズミの様な怪物になっていた。

「少女を救ってやりたいが……しかたない……変身!」

戦士の掛け声に応じて遠くから蜂型のメカが飛んでくる。

そしてベルト型に変形した。

 

《トランスキー、アクセス》

 

ベルトに鍵を装填し、回す

 

《ライダーシステム、レディ》

 

《プロト、モード》

 

戦士は、仮面ライダーに変身した。

「こいつで浄化してやる!」

右腕に付いている槍型の武器で怪物に斬撃を与える。

「キシャァァァ!」

怪物は、悲鳴を上げる。だが、この程度では浄化はできない。

「これでも喰らえ!」

ベルトに付いた鍵を回すと、武器にパワーが溜まる。

《ホーネットスティング!》

そして、一気に解き放つ。

怪物に槍が接触する瞬間だった。

突然アーマーに亀裂が走り、弾け飛んでしまった。

「な……!」

槍は怪物の身体を確かに傷つけた。

しかし致命傷には至らない。

「あなたはもうおしまい……無駄な足掻きはやめなさい」

女神がやってきた。

「あなたはポリューパペットの裏切り者のくせに……」

女神は剣を召喚すると戦士に向かって投げる。

戦士は避けようとするが、その剣はベルトと共に砕けた。

「うぐっ……あぁ……!」

「うふふ……」

女神はニヤリと微笑むと、ゆっくりと近づいてくる。

そして戦士の目の前に立った。

女神の顔からは笑みが消え、その表情は冷たく感じられた。

戦士は自分の無力さを呪うことしかできなかった。

女神はゆっくりと手を伸ばし戦士の胸に手を当てる。

「……あなたは何故裏切ったの?」

「そもそも……何故お前がそれを知っている!」

「それはあなたが一番よく知っているでしょう?」

「何のことだ……っ!」

女神の手に力が入る。

戦士は苦しそうな声を上げた。

「ぐああっ!」

「教えてちょうだい?あなたは何故裏切ったの?」

「……俺は……」

戦士は口を開くが、言葉が出てこない。

「言えないのなら、私が代わりに言ってあげましょうか」

女神の声は冷たく響いた。

戦士の呼吸が止まる。

「……う……ああ……!」

戦士の身体から生命エネルギーを奪った女神は手を離す。

「残念ね、こんな醜い惑星で死ぬなんて……」

戦士の死体に黒い薔薇を添える。

そして怪物の方を向く。

「あなたはあの穹太とかいうガキを殺してきなさい」

怪物は頷くと、ビルの方へ飛んでいった。

「この惑星で長く生きられる存在はそう多くは無い。あなたも所詮、一般人だったのね。」

女神はそう呟くとどこかへ消えてしまった。

 

★★★

 

我に戻った穹太だったが、女神の指示通り目の前に怪物が現れる。

「な、なんなんだよ!」

穹太の視界いっぱいに映し出されたのは、自身と同じぐらいの身長のネズミを模した怪物で、爛々と光る赤い瞳からは狂気と怒りしか感じ取ることができない。

「うわあ!」

穹太は思わず尻餅をつく。腰が抜けてしまったのだ。

「や、やめてくれ!」

穹太の願いは届かず、怪物が一歩ずつ穹太に近づいてくる。

そして怪物が腕を振り上げたその瞬間だった。突然、鳥型のメカが現れ、その怪物に小型ミサイルを発射する。

「お、おい! いきなり撃つなよ!」

穹太の言葉など気にも止めず、鳥型のメカは次々とミサイルを発射する。

爆風で倒れ込んだ怪物を見るなり、穹太の方へ向かう。

「さぁ、私を使って仮面ライダーに。」

「……え?」

鳥型なメカはベルト状に変形し、スカイドライバーとして穹太の腰に巻き付く。

「このキーを使って変身してください。」

「こ、これを?」

「はい! さぁ!」

穹太は言われるがままに鳥型のメカに渡された鍵をバックルに差し込む。

 

《トランスキー、アクセス》

 

「その鍵を回して!」

鍵を慎重に回す。

 

《ライダーシステム、オールクリア》

 

《カメンライダー、スカイ》

 

穹太の体に青いアーマーが装着され、水色の複眼が眩い光を放つ。

「俺……仮面ライダー……なの?」

 

続く

 




せっかくの休日をこれに費やした。
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