歓楽街の帝王の再転生   作:色々残念

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思い付いたので更新します
今回は3300文字なんで短めですね


トリコ編その2 家族

料理人の修行を続けながら美食屋としても活動してみると、様々な食材と出会うことができた。

 

持ち帰ってきた食材などを母と調理して、家族全員で食べてみたりもしてみたが、どうやら日々の食事で千優にもグルメ細胞が宿ったようだ。

 

生まれた時からグルメ細胞を宿していた訳ではない生物が、グルメ細胞を身体に宿す方法は2つある。

 

1つめは細胞を少しずつ食べ続けていき、適合して馴染むのを待つ摂食注入。

 

摂食注入のメリットは安全だということで、デメリットは時間がかかり、適合しない場合が殆どということになるそうだ。

 

そして2つめは、細胞を直接体内に打ち込む方法である直接注入。

 

直接注入のメリットは適合までの時間が圧倒的に早いことであるが、デメリットは適合しなかった場合にグルメ細胞の力に侵されて化け物化したり、最悪の場合は死ぬことになる。

 

大切な家族である千優に、死の危険がある直接注入などを使うことはなく、グルメ細胞を宿した食材を食べてもらう摂食注入という方法を用いて、グルメ細胞を得た千優。

 

グルメ細胞に適合した者は超人と化し、寿命も遥かに延びて、老いる速度も遅くなることは確かだ。

 

これまでは両親と俺だけがグルメ細胞を宿していたので、千優だけが先に死んでしまうのではないかと家族の誰もが危惧していたが、無事に千優もグルメ細胞を宿したことで安心できた家族全員。

 

グルメ細胞に適合して超人となった者は、時折特殊な能力に目覚める者もいるそうで、千優が目覚めた特殊な能力は、自在に土を操る能力だった。

 

土壌の改善にも使えるその能力を用いれば、何の変哲もないただの土を、農作物を育てることに適した栄養満点な土へと変化させることも不可能ではない千優の能力。

 

千優は土を自在に操る能力を活かした仕事をしたいと思ったようで、農作物を育てる農家となる道を選んだみたいだ。

 

息子が選んだ道を全力で応援する父と母が、いい両親なのは間違いない。

 

栄養が枯渇して完全に枯れ果てた土地すらも、肥沃な栄養満点な土がある土地へと変化させることが可能な千優の能力は、とても優しい力のように俺には思えた。

 

農業の知識をしっかりと学んで、美味しい野菜を作りたいと考えていた千優に、目標となるような美味しい野菜を食べさせたいと思った俺は、天空にある野菜畑であるベジタブルスカイへと向かうことを決める。

 

空を【トベルーラ】で飛び、到着したのは空から垂れた巨大なスカイプラントの蔓。

 

通称「天からのいざない」とも言われるスカイプラントの蔓を登っていけば、ベジタブルスカイに到着するが、道中には怪鳥や猛獣なども多数存在しているそうだ。

 

その情報通りに、現れたエアゴリラや邪悪な豆の木は、捕獲レベル40台の猛獣であったが、問題なく倒して進む。

 

猛獣程度なら倒して進めばいいが、ベジタブルスカイへと繋がるスカイプラントの蔓は積乱雲の中を突っ切っていた為、空の立ち入り禁止区域とも言われる積乱雲の中に入る必要があるようだ。

 

積乱雲は、入道雲または雷雲と呼ばれる巨大な雲で、縦の大きさは最大で1万メートルにもなる雲。

 

見た目の美しさとは相反し、地上に落雷や集中豪雨に竜巻などをもたらす積乱雲は非常に危険な雲でもある。

 

また積乱雲の上空には強い乱気流があり、大型の航空機でも近付けば墜落の危険があるという積乱雲は、まさに雲の怪物だ。

 

不安定になった大気は一気上昇気流となり、数分もあれば完成することもある積乱雲。

 

太陽光を遮る程にぶ厚いあの積乱雲は、数千メートルほどはあるだろう。

 

そんな雲の中に入っていった俺は、降り注ぐ巨大な雹や雷を避けながら、乱気流にも動じることなく着実に上へと進んでいった。

 

低温と低酸素にも既に適応している俺は、問題なく上へと進み、積乱雲を抜けることに成功。

 

上空2万メートルの雲の上にある陸地を歩いていくと、到着した天空の野菜畑。

 

見渡す限りが野菜の絨毯というほどに、大量の野菜で埋め尽くされた場所こそがベジタブルスカイで間違いなさそうだ。

 

収穫した野菜の数々を【道具袋】のスキルで異空間に収納し、様々な野菜を手に入れた俺は、まだまだ野菜が沢山ある野菜畑から抜き取った1本の大根を試しに食べてみることにした。

 

繊維と水分がズッシリと詰まった大根の葉と皮を包丁で切り落とし、切り分けた大根を食べてみたが、さっぱりとシャキシャキとしているだけではなく、おでんのダシが染み込んだような深い旨みもある大根は、とても美味しい。

 

このとても新鮮で美味しい野菜達を持ち帰れば家族全員が喜びそうだと考えながらベジタブルスカイを探索していると、沢山の大きな葉が開いた見たこともない野菜を発見。

 

最近よく解るようになった食材の声に従って、開いていない2枚の葉を同時に開くと、迸るような瑞々しさを持つ1枚の肉厚な葉が現れた。

 

今にもパンクして弾けそうな程に身が詰まった葉は、葉脈が光って脈打っている。

 

ミネラルいっぱいの灰の雲から栄養分のみをたっぷりと吸収した葉。

 

食材の声によると、そのまま食べる場合は2人で同時に葉を食べなければ腐ってしまうらしいが、調理を施せば1人でも食べれるようになるみたいだ。

 

という訳で調理を施し、1人でも食べれるようになった葉を食べてみたが、強い食感で、軽く噛むと歯が跳ね返される程の弾力があり、ギッチリ詰まった繊維がほどける度にいろんな振動が顎に伝わり噛むのが楽しい。

 

噛むと同時に広がるスカッと爽快な旨みと、確実にクセになる程好い葉の苦味が合わさった味は、素晴らしい味わいだろう。

 

グルメ細胞は適合する食材を食べると、細胞が進化する。

 

俺にとってこの葉野菜は、適合する食材だったようで、細胞のレベルが確実に上がっていた。

 

それから大きな葉が開いた葉野菜を何個も収穫していき、スキル【道具袋】を用いて異空間に収納。

 

自宅に持ち帰った野菜の数々を家族全員に食べてもらったが、両親が言うにはベジタブルスカイで俺が見付けた葉の野菜は、オゾン草という名前であるらしい。

 

俺がベジタブルスカイから持ち帰った美味しい野菜の数々を食べた弟の千優は「これに負けない野菜を作ってみせるよ兄さん」と燃えていたな。

 

とりあえずベジタブルスカイの土壌のサンプルも千優には渡してみたが、それにかなりの栄養分が含まれていたのは間違いないそうだ。

 

大量に収穫してきたベジタブルスカイの野菜は母にも渡しておき、有効に活用してもらっておく。

 

日々の食卓に並ぶ美味な野菜達は、食卓を彩っていた。

 

時は過ぎ去っていき、弟が畑で美味い野菜を育てられるようになった頃、俺が美食屋として働いていた時に「よっち」という名前の駆け出し美食屋と出会うことになる。

 

美子という名の女性と付き合っているというよっちは、病気がちな彼女が元気になるような食材を求めていたみたいだ。

 

滋養強壮にいい食材は幾つか知っているが、それよりも俺が病気を治療して【肉体変化】のスキルで体質を改善した方が早いと思った俺は、よっちに頼んで美子に会わせてもらうと病を全治魔法で治し、美子の肉体を健康な肉体へと変化させておいた。

 

「使いきれないような大金を送られるよりも、1回でも多く、貴方と一緒に食事がしたいわ」

 

すっかり元気になって、恋人のよっちにそう言っていた美子。

 

愛する美子の言葉を受け止めたよっちは美食屋の仕事を行いながらも、美子と一緒に食事する時間を必ず作るようにしたそうだ。

 

それからしばらくして、よっちと美子は結婚することを決め、結婚式の料理を頼まれた俺。

 

食林寺の寺宝を使わせてもらった俺は、シャボンフルーツを用いたウェディングケーキを作成。

 

美子の好物であるというニワトラの卵も用いた料理も幾つか作っておき、それ以外にも様々な料理を作った俺は、目出度い結婚式を祝う料理を沢山用意した。

 

盛大に祝われたよっちと美子の結婚式。

 

夫婦となったよっちと美子は、これからも2人で食卓を囲むことになるだろう。

 

いずれは更に家族が増えて3人になる可能性があるが、その時はお祝いの品とベビー用品を贈っておくのがいいかもしれない。

 

美食屋とは手段であって目的ではないと、美子の言葉で気付いたよっちなら、食を楽しむことも忘れない筈だ。

 

愛する人と食卓を囲み、一緒に食事をするということが、幸せなことだと理解できたなら、それはきっと悪いことではないと俺は思う。




グルメ細胞を得て土を操れるようになった千優は、農家の道を選びました
ベジタブルスカイの野菜よりも美味しい野菜を作ってみせると頑張っているようです

よっちは妻が元気になったことで、一緒に食事をすることも増えて、いつも2人で食卓を囲んでいますね
きっとこれからも一緒に食事をすることでしょう
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