今回も3000文字なので短めになりました
栄養が豊富な土でしか育たない野菜は多いが、千優の畑の土は栄養満点である為、様々な野菜が育つ。
アーモンドキャベツは栄養豊富な土で育つ野菜の1種だが、味と食感がアーモンドに近いキャベツであり、酒のツマミやサラダのアクセントに使われることが多いのは確かだ。
アーモンド並みの高カロリーでもあるアーモンドキャベツを大量に食べても問題ないのは、グルメ細胞を身体に宿しているもの位だろう。
千優の畑という栄養豊富な土地で育つ野菜は他にもあり、ベーコンの葉という牛肉並の高い脂肪分を含む緑黄色野菜や、バナナのような房になって生育する瓜科の植物であるバナナきゅうりなども実っていた。
塩分が高めなベーコンの葉は、そのまま食べても美味しいが、何か別の食材に巻いて食べても味にアクセントがついて美味しく食べられる野菜だ。
バナナきゅうりにベーコンの葉を巻きつけて食べれば、絶品とも言える味わいとなる。
こうして簡単な1手間を加えるだけでも、更に美味しくなる食材は多い。
バナナきゅうりの栄養価は普通のバナナよりも高く、エネルギー吸収に優れている為、瞬時に栄養補給をしたい時などに最適な食材であった。
食感はきゅうりに近く、ポリポリと食べれるバナナきゅうりは、祭りの露店などでは1房丸ごとチョコバナナきゅうりとして売られることもある大人気な食材。
幾層にもわたって地中に沈殿したカカオ豆が自然熱によって加熱されてチョコレートとなり、湧き出る天然のチョコの噴水というものがある。
そこから汲んだチョコレートを持ち帰ってバナナきゅうりをチョコレートでコーティングし、作成したチョコバナナきゅうりを千優と一緒に食べていると、物欲しそうな目で此方を見ていたダン。
そんなダンにもチョコバナナきゅうりを分け与えてみたが、肉食ではない変わり者な般若パンダのダンは、チョコレートを食べても問題ないようだった。
その日から、俺が千優の畑で収穫した野菜で何かを作っていると、即座に俺の近くで待機しているようになったダンは、畑の野菜だけではなく俺の料理のことも気に入ったらしい。
千優の畑の野菜だけではなく、俺の料理まで食べるようになったダンは更に強くなっており、捕獲レベルにすれば500まで到達しているダン。
それでもまだ成長の余地があるダンは、般若パンダの中でも、かなり特殊な個体である。
グルメ細胞には成長の限界とも言える壁があるそうだが、適合する食材を食べればグルメ細胞は進化し、限界となる壁を破って更に強くなることが可能だ。
ダンにとって適合する食材が千優の畑の野菜であり、それを俺が更に美味しく調理したもので細胞が進化していたダンは、食べる度に強くなっていた。
たまに家族やダンに自作した料理を食べてもらい、料理人としての修行を続ける日々を過ごしていた俺。
そんなある日、食林寺の師範で顔が広い父の知り合いという再生屋と会うことになった俺と千優は、与作と名乗ったその再生屋に頼まれ、グルメ界の病に汚染されて栄養が完全に枯渇した土壌の再生を手伝うことになる。
「グルメ界の病に蝕まれ、栄養が完全に消え去って死んだ土を再生させることは不可能という決まりを破る為には、千利と千優の手伝いが必要だ」
そう言ってきた与作が言うには、グルメ界の病は呪いと言われる程に強力で、人間界の薬では治らないとされているそうだ。
両親には俺が病の治療が可能であると明かしてはいたが、まさか土地を蝕むグルメ界の病の治療を頼まれるとは思ってもいなかった。
再生屋としては腕利きな与作でもグルメ界の病を治すことは難しいようで、誰かの協力が必要だと考えた与作は、父から聞いた俺と千優の能力を知り、今回の件を解決するには打ってつけだと考えたらしい。
まずは俺が病を治す全治魔法を用いて、土地を蝕むグルメ界の病を治して完全に取り除き、与作と千優が協力して土地の土壌を改善し、病に蝕まれることがないような土地へと変えていく。
与作と千優が頑張って土壌を改善して、栄養が完全に枯渇した土地を栄養豊富な土地へと変化させていく姿を見ていた俺は、この後に腹を空かせるであろう2人の為に料理を作成。
千優の田畑から収穫した極楽米を炊いて、味付けをした牛豚鳥の肉を載せた大盛り牛豚鳥丼に、十黄卵に鍋池のだしを加えただし巻き玉子、ホネナシサンマの炭火焼きなどを沢山用意してみた。
かなり腹を空かせていた与作と千優の2人は、大量に用意していた食事を、旺盛な食欲であっという間に平らげてしまう。
デザートとして用意しておいたキノコプリンやスウィーツサンゴなども直ぐに無くなり、ようやく満腹になった与作と千優の2人。
グルメ界の病である呪いが無くなった土地は、与作と千優の2人が協力したことで無事に土壌が改善できたようであり、栄養が枯渇した荒れ果てていた筈の大地は、様々な緑が生い茂る土地へと変わっていた。
そんな緑に溢れた土地を見て驚いていたのは、リーゼントの髪型をした老人と普通の髪型をしている少年で、与作が言うにはリーゼントの老人はノッキングマスター次郎と言われるノッキングの達人である美食屋だそうだ。
次郎の隣に居る少年は鉄平という名前の少年で、どうやら次郎の孫であるそうだが、次郎と鉄平の2人が驚いていたのは、完全に枯渇していた土地が緑溢れる土地に変わっていたからだった。
俺と与作に千優の3人でこの土地を再生したことを教えると、荒れ果てていたこの土地は次郎にとって思い出深い土地だったそうで、心からの感謝をしてきた次郎。
とても喜んでいた次郎の姿を見ていた鉄平という少年が、再生屋の与作へと弟子入りを志願してきたみたいだが、鉄平が美食屋ではなく再生屋を目指した理由は、枯れ果てた土地を見た祖父の悲しそうな顔を見たからだったらしい。
家族の為に頑張る相手は応援したいと思った俺は、定期的に鉄平の様子を見に、与作が居るライフという国へと訪れて、鉄平と与作に料理を振る舞った。
料理の礼ということで与作から再生屋の技術についても教わった俺は、食材を再生することも可能になる。
食材に再生調合した薬品をかけることで、様々な食材を増やせるようになったところで新たにスキルが発現。
【食材再生】
・体内のカロリーを消費して食材を再生し、食材を増やすことが可能になる
・栄養価の高い食材の再生には、相応のカロリーを消費
新たに増えた食材を再生することが可能なスキルは、薬品を用いなくてもカロリーを消費すれば、食材を再生して増やせるというかなり役立つスキルだ。
薬品が調合出来ないような環境でも、食材の再生が可能なスキルは、中々悪くない。
それから月日が経過して、料理人としての腕を更に磨いていた頃、珍しく母から頼まれて、しばらく料理学校で講師をすることになったが、誰かに料理を教えるというのもいい経験だった。
磨けば光りそうな才能の原石とも言える料理人の卵達の中でも、小松、大竹、仲梅の3人は間違いなく才能がある。
小松と大竹に仲梅の3人に食材の声を聴くという才能があるのは間違いないが、まだ経験が足りていない為か、ぼんやりとしか食材の声を聴けていない3人。
もっと正確に食材の声を聴けるようになれば確実に化ける3人には、自己主張が激しく食材の声が大きい食材を捌いてもらうようにしたが、3人は少しずつ食材の声を感じ取っていたようで、食材を捌く手順が正確になっていく。
徐々に食材の声を感じ取れるようになっていった3人は、料理学校の中でも好成績を収めていた。
とりあえず小松と大竹に仲梅が卒業するまでは、講師を続けることになりそうだから、ある程度は面倒をみておくことにしよう。
今回本作主人公と与作に千優が再生した土地は、ノッキングマスター次郎にとって思い出深い土地でありました
再生された土地を見た祖父の嬉しそうな顔を見た鉄平は、祖父に悲しそうな顔をさせないように再生屋の与作に弟子入りしたようです
ちなみに料理学校で学ぶ小松と大竹に仲梅は、講師として料理学校を訪れた本作主人公の指導で徐々に食材の声を聴けるようになってきていますね