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持ち帰ったフグ鯨は家族3人に喜ばれ、母や俺が調理したフグ鯨料理の数々が食卓に並んだ。
それからしばらくして、フグ鯨料理のお礼として父が俺にプレゼントしてくれたのは、古代の食宝リーガルマンモスの特殊な部位であるジュエルミート。
全ての部位の肉の味を兼ね備えたジュエルミートは、普通に市場に出回る食材ではなく、人間界ではIGOのビオトープに生息しているリーガルマンモスからしか取れない食材。
美食四天王3人が協力してリーガルマンモスから手に入れたジュエルミートの1部を、父はIGOのマンサム所長から譲ってもらったそうだ。
様々な肉の部位と味を兼ね備えているジュエルミートは、食べる部位によって食感と味が違う面白い食材ではあった。
しっかりとした歯ごたえがある肩肉に近い赤身の肉のような味わいがあるジュエルミートの部位は、加工されることを望んでおり、食材の声は「ジャーキーになりたい」と言っている。
食材の声が望むままに用意するのは、ジュエルミートをジャーキーにする為の調味料。
寿司塩、黒糖砂漠の黒糖から精製した白砂糖、醤油バッタの熟成醤油、酒豪諸島の酒乱島にある清酒の池から汲んできた清酒、酢の王様と言われる王酢、ガーリップの絞り汁、おろし生姜に唐辛子とホワイトペッパー、適量のそれらをジュエルミートに揉みこんで味付けをしっかりと行う。
5ミリの厚さにそぎ切りしたジュエルミートを竹串に刺して燻製器に入れ、まずは温熱乾燥。
燻製器の電熱器だけを作動させて約50度の温度で1時間程、温熱で乾燥させてから特製ブレンドのウッドチップを入れて、今度は約60度で6時間燻煙。
燻煙をした後は、風通しのいい日陰で3日ほど風乾しておけば、ジュエルミートジャーキーが完成だ。
少し手間をかけて完成させたジュエルミートジャーキーをツマミに、酒乱島に生息しているエメラルドドラゴンの背から湧き出るエメラルドワインを飲んでみると、俺のグルメ細胞が進化する。
ジュエルミート単品ではなく、少し手間をかけて作成したジュエルミートジャーキーとエメラルドワインの組み合わせが、俺の適合食材だったらしい。
俺を呼ぶ食材の声を聴きながら、人間界を飛び回っていると、到着した北ウール大陸。
総面積1億2000万平方キロメートルである北ウール大陸は、人間界でも3番目に広大な面積をほこる大陸であり、赤道から南緯20~30度に位置し、熱帯のジャングルから巨大な砂漠まで存在する雄大な土地だ。
北ウール大陸にあるウージャングルまでは、北西に約80キロメートルという場所に降り立った俺が歩き出そうとしたところで、近付いてきているマッハヘリからは覚えがある匂いがした。
着陸したマッハヘリから降りてきたのは美食四天王のトリコと、見知らぬ白い狼。
「あんたは千利だったな。どうして此処に?」
何故此処に居るのかを聞いてきたトリコに「俺を呼ぶ食材の声が聴こえてな」と答えておくと「そういや小松も食材の声が聴こえるとか言ってたな」と納得したトリコ。
「そっちは連れが増えてるみたいだが、はじめましての挨拶をした方がいいかな」
「ん、ああ、こいつはバトルウルフのテリー、テリークロスだ。テリーって呼んでやってくれ」
そう言いながらテリーの頭を撫でてやっていたトリコに、気を許していたテリーという狼。
仲が良さそうなトリコとテリーは、ウージャングルにあるBBコーンを手に入れようと北ウール大陸にまでやって来たらしい。
人間界の食事では口に合わないテリーの為に、BBコーンを手に入れようとするトリコは、テリーを大切にしているのだろう。
俺の目的地もウージャングルではあるので、トリコとテリーの旅に同行することを決めた俺は、腹を空かせることが多いトリコに道中で手に入れた食材で料理を振る舞った。
テリーにはジュエルミートジャーキーを食べさせたりしてみたが「オレも食べたい!」と言ってきたトリコにも一応提供。
ジュエルミートジャーキーを食べたトリコは「飾り気のない肉本来の旨味が様々な調味料で引き立てられて、噛みしめる度に燻製に使われたウッドチップの香りと調理されたジュエルミートの味が味覚を刺激する。メチャクチャ美味えなジュエルミートジャーキー!」と大興奮していたが、食べるのが速い。
「おかわり!」
「いや、トリコとテリーにあげたやつで全部だからもう無いぞ」
「マジで!?」
ジュエルミートジャーキーが無いという俺の言葉に凄まじく落ち込んでいたトリコは、おかわりできなかったことに悲しんでいたな。
そんなこともあったが到着したウージャングルで「旅をする仲間でも、今回は助け合いは無しだ」とテリーに言い聞かせていたトリコは、もっとテリーに自分を出してほしいと考えていたようだ。
ヘルプラントとも言われる食獣植物の棲む森を進んでいた最中に空から降ってきた怪鳥の糞を、俺が食欲のエネルギーで作り出した先割れスプーンで防ぎながら進んでいると、伸ばされた植物の根からトリコを庇ったテリーに怒っていたトリコ。
現れたゴブリンプラントの相手を、助け合いは無しという約束を破ったテリーにトリコは任せたようで、テリーの勝利で終わった戦いを見届けたトリコと俺は、テリーを加えた全員でウージャングルの森の木々を登り、天辺にまで到着。
ウージャングルの森の天辺に存在した立派なトウモロコシであるBBコーンは、1粒を強力な火力で炒って爆発させれば、たちまち100人前のポップコーンに変身する穀物。
そんなBBコーンは森の全ての栄養を吸って成長しており、怪鳥でも簡単にはもぎ取れない強度の茎を持っていた。
「オレのナイフでも切れねェの!?」
トリコの手刀でも簡単には切れないBBコーンの茎は、やはり強度が高い。
「じゃあ俺の包丁で切ろうか」
いつも持ち運んでいる包丁を取り出した俺は、刃を振るいBBコーンの茎をスッパリと切断。
容易く包丁で茎を切った俺に「やっぱりあんたは只者じゃないな」と真剣な顔をしていたトリコ。
それから幾つかのBBコーンを土産として集め、タワーのような超巨大BBコーンからもトウモロコシの粒を手に入れた俺とトリコ達。
1粒がバスケットボールよりも大きい巨大なBBコーンのトウモロコシの粒は、ポップコーンにすれば100人前以上のポップコーンになりそうだ。
BBコーンを収穫してからトリコ達と別れた俺は自宅へと戻り、用意した金属板の温度を操りながらBBコーンを少しずつ温めていき、焦がすことなくポップコーンへと変えた。
巨大BBコーンの大きな粒から生み出された大量のポップコーンは、まるでわたあめのように大きく、揚げたてのコロッケのように香ばしい香りを放つ。
地面に落ちないように大量に具現化させた先割れスプーンで掬い上げているBBコーンのポップコーン。
そんなBBコーンのポップコーンの匂いに釣られたのか、やって来た千優とダンは大量のポップコーンに驚いている。
「兄さんこれは?」
「BBコーンのポップコーンだ。一緒に食べようぜ」
千優とダンと一緒に食べたBBコーンのポップコーンは、サクサクと噛むと風味が増して深い味わいとなり喉越しもなめらかであり、普通のポップコーンとは違って、喉にひっかかるような感じは全くなかった。
一口食べればやめられなくて止まらなくなるBBコーンのポップコーンは、かなりの食欲増進効果もあるらしい。
全員で食べているとあっという間に無くなったポップコーン。
「おかわりいるか?」
俺のその言葉に、勢いよく頷いていた千優とダン。
どうやら千優とダンもBBコーンのポップコーンを気に入ったようだ。
まあ、満足するまでBBコーンのポップコーンを食わせてやるとしよう。
トリコ達に着いていってBBコーンを調理した場合、グリンパーチが早めに死んでいましたが、その場合は後日に現れた三虎に本作主人公は連れ去られていました