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アイスヘルに旅立ってから戻ってきた小松が様々な食材を集めていると聞き、千優の畑から収穫した各種の野菜を持って、ホテルグルメを訪れてみたが、どうやらセンチュリースープというスープを作ろうと頑張っているところらしい。
そんな小松の手伝いをしておこうと考えた俺は、各種の野菜だけではなく、スープ作りに役立ちそうな食材などを手に入れては、小松に渡してみる。
特にシチューワインや、ホルモンねぎなどが喜ばれたが、小松からはお礼として「センチュリースープが完成したら是非とも味わってください千利先生!」とも言われた。
しばらくして小松から連絡が入り、センチュリースープ完成の報告が届く。
ホテルグルメにまで向かうと、そこに居たのは久しぶりに会う鉄平と、初対面の人々。
俺の知り合いであるトリコや鉄平だけではなく、グルメヤクザやグルメ騎士に美食人間国宝を含めた全員が小松の招待した客なのだろう。
センチュリースープから立ち上る美しいオーロラを目で楽しんだ後は、スープの香りを楽しみ、最後にスプーンで掬い上げたスープの味を楽しむ。
透き通るような透明でありながら、ハンバーグステーキをほうばったかのように濃厚な味があるセンチュリースープは、とても美味しいスープだ。
自然と頬が緩み笑顔になる美味なスープを飲んでいた俺以外の全員がだらしなくにやけた顔になっていて、互いの顔を見ながら笑っていたりもした。
笑顔の溢れる食事の場は、いつ見てもいいものだと思えるな。
その後、トリコのフルコースのスープに決まったセンチュリースープ。
五ツ星だったホテルグルメが六ツ星になっていたりもしたが、小松がセンチュリースープを完成させたことで星が上がったのは間違いない。
センチュリースープを飲んだことで活性化していた俺のグルメ細胞は、確実に進化していた。
それからもグルメ細胞を進化させる為に、様々な食材を組み合わせて食べて、旨味を倍増させて味わっていたせいか、発現した新たなスキル。
【食材合成】
・食材だと認識している複数のものを合成することが可能となる
食材の合成を可能とするこのスキルは、様々な新食材を生み出すことが出来るスキルなのは間違いない。
例えば、サーロイン味のキノコであるサーロインキノコと、霜降り肉のようにジューシーなジューシイタケを【食材合成】で合成すると、サーロインジューシイタケとなり、2つの美味な食材の長所が組み合わさった新たな食材となるだろう。
食材は肉なら肉、魚なら魚、野菜なら野菜と、同系統の食材の方が合成の効果は高まるみたいだ。
同系統以外でも合成は可能で、グルメ食材ではないキャベツやアーモンドを組み合わせて合成し、疑似アーモンドキャベツの作成も可能な【食材合成】のスキルは、かなり有用だった。
発現した新たなスキルである【食材合成】を用いて、今は俺だけにしか用意できない食材を使って、俺だけのフルコースを完成させてみるのもいいかもしれない。
という訳で、まずはBBコーンと骨つきコーンを合成した骨つきBBコーンをポップコーンへと変えて食べてみたが、合成されたことで食欲増進効果と美味さが倍増した骨つきBBコーンのポップコーン。
通常のBBコーンよりも遥かに美味い骨つきBBコーンを前菜に決めた俺は、他のフルコースも考えていく。
2品目のスープは、解毒したポイズンポテトとデンプンを抜いたポークポテトを合成したポイズンポークポテト、特大ゴールドにんじん、梅玉ねぎ、蟹ブタとセレ豚を合成した蟹セレブタの豚肉を使って作成した特製とん汁。
ポイズンポークポテトや特大ゴールドにんじんに、梅玉ねぎと蟹セレブタのだしが出た特製とん汁は、深みのある味わいとなり、霜降り大豆を用いて作成した味噌がだしの味と組みあわさって、とても美味なとん汁となっていた。
3品目のフルコース、魚料理はフグ鯨と黄金鯨を合成した黄金フグ鯨の刺し身。
2種類の鯨の肉が組み合わさったことで旨味が増して、通常のフグ鯨よりも遥かに美味くなった黄金フグ鯨の刺し身は、噛みしめる度に終わらない至福を幾度も感じさせる味。
4品目の肉料理は、酒乱牛と牛豚鳥を合成した酒乱牛豚鳥を使ったハンバーグ。
味に酔うとも言われる酒乱牛だけでも美味な食材だが、牛と豚に鳥が組み合わさった牛豚鳥は1度に3種類の美味な肉を味わえる食材。
その2つを合成して作り出した酒乱牛豚鳥をひき肉にして、肉にアルコールを含んでいるひき肉を用いたハンバーグは、美味さに酔う1品。
5品目、フルコースのメインはエメラルドワインとシチューワインを合成したエメラルドシチューワインを使って煮込んだジュエルミートのワイン煮となる。
エメラルドドラゴンの背から湧くエメラルドワインに、幻の品とも言われるシチューワインを合成し、宝石の肉とも言われるジュエルミートを煮込んで作成したワイン煮は、宝石の如く光輝く美しさと重厚な肉の味が原始的な味覚を刺激するものだ。
6品目のサラダは、アーモンドキャベツとチーズ白菜を合成したアーモンドチーズキャベツに、ネオトマトとミリオントマトを合成した食材であるネオミリオントマトのスライスを組み合わせたサラダ。
アーモンドのような味と食感のアーモンドキャベツと、チーズのような野菜であるチーズ白菜を合成したアーモンドチーズキャベツ。
それはアーモンドとチーズの味が組み合わさった味で、栄養満点なネオトマトと繊細だが美味な食材のミリオントマトを合成したネオミリオントマトのスライスが載ったサラダは、アーモンドチーズとトマトのジューシーな味わいが魅力なサラダだろう。
7品目のフルコース、デザートとなるのは、シャボンフルーツと虹の実を合成したレインボーシャボンフルーツのゼリー仕立てで、ビックリアップルとホワイトアップルを合成したビックリホワイトアップルも中に入れている。
シュワシュワとした甘い蜜のようなシャンパンゼリーに似た味であるシャボンフルーツと、温度によって7回も味が変わる虹の実を合成したレインボーシャボンフルーツを調理し、ゼリー仕立てにしたものは、口に入れただけで一気に4回も味が変わるデザートとなっていた。
ビックリアップルとホワイトアップルを合成したビックリホワイトアップルは、甘味と酸味が絶妙な味で、くどさは全くない。
8品目、最後のドリンクはレモモン絞りと水晶コーラを合成した水晶レモモンコーラ。
レモンの形をしているが中身はモモで、酸味を含んだ美味さを持つレモモンの果汁と、上質なシャンパンのような水晶コーラを合成した味は、上品な甘味と酸味を含んだ高級な味のコーラとなっていたことは確かだ。
用意した俺だけのフルコースを食べ終えた俺の身体に宿るグルメ細胞は壁を幾つも越えて進化を繰り返し、更なる強さを得ることができたようである。
センチュリースープという美味いスープを飲ませてくれた小松に礼がしたいと思っていた俺は、完成した俺だけのフルコースを小松にご馳走しようと、小松を呼び出したが何故かトリコが着いてきていた。
「呼んだのは小松だけだったんだが」
「すいません千利先生。トリコさんは強引に着いてきたんですよ」
「いや、千利のフルコースは、オレも食ってみたくてな」
「仕方ないな。小松用に用意してたから、量が足りなくても文句言うなよトリコ」
「やったぜ」
そんな会話があったりもしたが、俺のフルコースを食べ始めた小松とトリコの2人。
2人とも「美味い!」しか言わなくなってしまっており、完全に俺のフルコースに夢中になっている。
俺の全てのフルコースを食べ終えた小松とトリコは「ごちそうさまでした」としっかりと両手を合わせて食材への感謝を忘れていない。
「どうだった?俺のフルコースは」
「スッゴク美味しかったです千利先生。全く見たことない新種の食材を使っていたような気がしましたが」
「そうだな、どれも美味かったが食べたことない未知の食材もあったような気がしたぜ千利」
「まあ新種ってのはあってるが、自然界には存在しないんで、今は俺だけにしか用意できない俺だけのフルコースってところだぞ」
「そうなんですね」
「また食いてェな」
「準備が必要になるんで頻繁には用意できないフルコースなんでな。しばらくは食えねから諦めろトリコ」
「マジでか!?」
しばらく俺のフルコースが食べれないことを知って、凄まじく落ち込んだトリコは、結構ショックを受けているようだったな。
そこまで気に入ってもらえたなら料理人としては、悪い気はしない。
スキル【食材合成】によって新種の食材や、疑似グルメ食材も用意できるようになりました
自分だけのフルコースを決められた本作主人公は更に強くなりましたね