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鍛治師としてのロン・ベルクではなく、剣士としてのロン・ベルクから「錆び落としに付き合ってくれないか」と頼まれることになり、手合わせをすることになった。
剣士としての俺ではなく、戦士としての俺と戦いたいと言ってきたロン・ベルクは、俺が素手の戦いに慣れていることも気付いていたようだ。
メタルキングの素材を用いて、俺とロン・ベルクが合作して完成させた星皇剣。
双剣を構えたロン・ベルク と対峙する俺は、完全不壊の剣を片手に地を蹴り、真正面から剣を振り下ろす。
全力という訳ではないが、それなりに力を込めて振り下ろした俺の剣は、束ねたドラゴンの首だろうと容易く斬り落とす威力があった。
その一撃を、片手で持つ1本の剣で、完全に衝撃と威力を散らして受け止めたロン・ベルク。
技量で威力を殺された此方の一撃に驚く間もなく、空いている片手で振るわれるロン・ベルクのもう1本の剣。
瞬時に引き抜いた予備武器のドラゴスライムのナイフを空いていた片手に持った俺は、ロン・ベルクが振るう剣をナイフで受け止めていく。
一閃、二閃、三閃と、銀色の剣が閃く度に繰り出される斬撃。
一撃ごとに鋭さと威力が増していくロン・ベルクの剣は、剣士として錆びついていた腕が、かつての技量と勘を少しずつ取り戻していく過程であるのは間違いない。
放たれた斬撃の数々は、ロン・ベルクの剣の腕前の高さを表しているが、まだまだ全力という訳ではなさそうだ。
苛烈さを増していくロン・ベルクの剣を避ける為、1跳びで間合いを離す此方へと踏み込み、双剣を振るうロン・ベルクという剣士。
剣士としての腕前なら今生の父であるバランよりも格段に上なロン・ベルクは、この世界最強の剣士かもしれない。
アバン流刀殺法と槍殺法を使えるようになった俺でも、剣の技量ではロン・ベルクに劣っているだろう。
だがそれでも勝負となっているのは、俺の肉体の性能がロン・ベルクを遥かに上回っているからだった。
剣の動きを見て反応することが可能な動体視力と反射神経、桁外れに高い身体能力に、とてつもない力。
完全不壊の武器でなければ壊してしまう程の力は変わらず、俺に宿っている。
剣とナイフを用いた変則的な二刀流で、ロン・ベルクの双剣を弾いていき、壊れることがない武器へと力を集約し、一撃を放つ。
手加減を緩めて、凄まじい速度と力で振り抜かれた剣は、大気を切り裂き、剣先に真空の刃を生じさせ、本来の剣の間合い以上を斬る斬撃となる。
闘気を一切用いていない、純粋な身体能力と剣だけを用いた飛ぶ斬撃。
前世で言えば残光、この世界風に言えば、飛ぶ海波斬といった一撃を、双剣を用いて散らしたロン・ベルクは驚いたように目を見開いていた。
「闘気を用いず斬撃を飛ばすとはな。ふむ、こうか?」
試すように振るわれたロン・ベルクの双剣から繰り出される飛ぶ斬撃を剣で両断して散らす。
驚きながらも即座に飛ぶ斬撃を真似することが可能なロン・ベルクは、剣の天才でもあるらしい。
しばらくロン・ベルクに付き合って手合わせを続けてみたが、剣士としての技量と勘をそれなりに取り戻すことができたようだ。
「実戦で完全に錆び落としがしたい」と言っていたロン・ベルクを連れて、占い師のメルルによって教えられたハドラー親衛騎団とやらが暴れているという場所までルーラで向かう。
オリハルコン製の身体を持つハドラー親衛騎団達を相手に双剣を構えたまま、嬉々として突撃していったロン・ベルク。
強度が高いオリハルコン製の肉体を、容易く双剣で微塵に斬り裂いていったロン・ベルクは「試し斬りにはちょうどいい」と言いながらハドラー親衛騎団を素早く全滅させた。
「ダイ達が来るとは思っていたが、まさか貴様によって親衛騎団が全滅させられるとはな。鍛治師としてだけではなく剣士としても一流か、ロン・ベルク」
立体映像のように映し出されたハドラーは、そう言うと「死の大地にて、待つ。アバンの使徒達にそう伝えておけ」と続ける。
それから、アバンの使徒であるダイ達にハドラーからの伝言を伝えると死の大地へと向かうと決めたダイ達。
オリハルコンを斬れて満足していたロン・ベルクは「気が向いたら大魔王も斬りに行く」と言っていたが、即座に死の大地に向かうつもりはないようだ。
俺はハドラーとダイ達の戦いがどうなるかが気になったので、死の大地へと向かってみることにした。
モンスター達を引き連れたハドラーとダイ達が対峙する場面に間に合ったが、これから戦いが始まるところだったらしい。
以前と同じくハドラーとダイの一騎討ちとなり、始まった戦いを見ていたが、ダイの剣がハドラーの腹部を浅く斬り裂いた時、ハドラーの腹部に埋め込まれていた物体が見えた。
それが黒の核晶だと気付いた俺は、ダイとハドラーが戦っている最中だろうが、戦いに割り込み、ハドラーの腹部に手を突っ込んで一気に黒の核晶を引きずり出す。
炎熱で爆発するなら氷結呪文で遠隔起爆も封じられるのではないかと考えて唱えた「【ヒャダルコ】」により凍結した黒の核晶を遥か上空に放り投げて、熱線のような「【ベギラマ】」を放ち、誰も居ない場所で爆発させた。
「俺の体内に、何故、あんなものが」
爆弾が身体に仕込まれていたことへの驚きに動きを止めていたハドラーへと俺は口を開く。
「あれは黒の核晶だが、ハドラーにあんなものを仕込めるのは大魔王しかいないだろう。超魔生物にお前を改造したザムザは、腹部に仕込まれていた物を知っていたかもしれないが」
「黒の核晶だとッ!死の大地で勇者達を迎え撃つようにオレに大魔王バーンが命じたのは、オレごとダイ達を黒の核晶で亡き者にする為かッ!?」
「その可能性は非常に高いな。それで、提案があるんだが、黒の核晶を埋め込まれていたハドラーの腹部に空いた穴を、俺なら治すことが出来る。大魔王に一矢報いる気はあるか?」
「捨て駒にされたオレが大魔王に従い続ける理由は無いが、オレはアバンの使徒達にとってはアバンを奪った仇だ。そんなオレがお前達の仲間になるなど」
「じゃあダイ達の仲間にはならないで、俺の仲間になりゃいいさ。大魔王と戦う間だけでいいからよ」
「正気かソルッ!?アバン流殺法を使うお前にとってもオレはアバンを奪った仇である筈だッ!」
「アバン先生だったら、心強い味方になってくれそうな相手が居るなら迷わず勧誘するだろうさ」
「オレは元魔王だぞ」
「今は違うんだろ?ならいいじゃねぇか、一緒に大魔王と戦おうぜ」
渋っていたハドラーへとそう言って笑顔で差し出した俺の手を、ハドラーは「お前もまたアバンの教え子か、押しが強いところはアバンに似ている」と言いながら苦笑して握った。
俺の全治魔法でハドラーの身体を完全に治した後、魔宮の入り口である門が海底にあると教えてくれたハドラーと共に魔宮の門を砕き、バーンパレスとやらに侵入。
入り口から進んだ先で、待ち構えていたのはミストバーンと角を生やした魔族の老人。
あの老人が大魔王バーンで間違いないようだ。
「ふむ、余だけでは手が余るか。ミストバーンよ。あの姿を晒すことを許可しよう」
ダイ達とハドラーに俺を見て言った大魔王バーンは、ミストバーンに許可を出す。
「許可していただきありがとうございますバーン様」
バーンの許可を得て、身に付けていた頭部すらも隠す衣を脱ぎ、その顔を晒したミストバーンの姿は、老人であるバーンが若返ったかのような姿だった。
前衛をミストバーン、後衛をバーンとする陣形となった大魔王とその側近。
イオナズン級の威力があるイオラの爆裂球を連続で放つ大魔王に、魔法を反射する装備を持つヒュンケルとクロコダインが前に出る。
ヒュンケルは鎧で、クロコダインは大盾で放たれたイオラを反射して跳ね返し、大魔王へと近付こうとしたが、反射された魔法が当たっても無傷なミストバーンにより殴り飛ばされて吹き飛ばされてしまった。
「良い防具を装備しておるな。ミストバーンにも破壊出来ぬとは」
俺が用意した完全不壊の防具までは知らなかったのか、ヒュンケルとクロコダインの鎧と盾が砕けていないことに驚きながらも感心した様子を見せていた大魔王には余裕がある。
「その防具の作成者は、お前で、竜の騎士の子でもあるか。惜しいな」
此方を見て、そんなことを言った大魔王はミストバーンの動きを手で制して止め「ソルよ、余の部下とならぬか」と聞いてきた。
「部下の身体に爆弾仕込むような上司の部下になりたいとは思えねぇな。それに俺の主は、ただ1柱の女神と決まっているんでお断りだ」
「その女神は、お前が仕えるに値する神であるのか?」
「仕えるというほど堅苦しい付き合いじゃねぇが、最愛の女神であるのは確かだな。まあ、あんたよりかは支えがいがある相手だよ。俺を部下に勧誘するのは諦めな」
大魔王からの問いに迷わず断言した俺は、部下に誘ってくる大魔王に断りの言葉を叩きつけておく。
「そうか、ならばお前を生かしておく必要は無い。動いて良いぞミストバーン」
側近に動く許可を出した大魔王により、動き出したミストバーン。
「大魔王様の慈悲に唾を吐いた貴様は万死に値するぞソルッ!」
怒りに満ちた言葉を発して拳を繰り出すミストバーンへと「万回死ぬのは御免だな」と言いながら額に竜の紋章を出現させ、放たれたミストバーンの拳を竜闘気を纏う俺の拳で迎撃。
威力は互角といったところだが、ミストバーンは全くダメージを受けておらず、疲れる様子もない。
触れてみると異様に冷たいミストバーンの身体は、まるで凍っているかのように感じた。
拳の威力が互角なことに動揺しているミストバーンを殴り飛ばし、追撃の拳を叩き込む瞬間、試しにスキル【完全破壊】も発動。
ミストバーンにかかっていた何らかの魔法すらも【完全破壊】は破壊出来たようで、俺に顔面を殴られたミストバーンの顔から血が流れる。
「馬鹿なッ!バーン様の凍れる時の秘法が破られるなどッ!?」
完全に動揺しているミストバーンへと「下がれ、ミストバーン」と命じた大魔王。
「はっ、バーン様」
動揺していても命令に素直に従い、下がったミストバーンに「お前に長く預けていたものを返してもらう時が来たようだ」と言い出した大魔王へ「お返しいたしますバーン様」と言ったミストバーン。
どうやらミストバーンに預けていたのは大魔王の若さと力を宿した肉体であり、魔力と叡知を宿した本体が若い肉体に凍れる時の秘法をかけて保存し、大魔王は長い時を生きていたようである。
その肉体が1つとなり、真の姿を現した大魔王バーンは指を鳴らした。
大魔王の合図と共に現れたのは超魔生物と化した豪魔軍師ガルヴァスであったが、額にはミストバーンと同じく黒い霧状の物体が生えており、ガルヴァスは身体を完全にミストバーンに乗っ取られているようだ。
「ソル以外はお前に任せるぞミスト」
「はっ、畏まりました」
大魔王に命じられ、ダイ達とハドラーへと襲いかかったミストガルヴァス。
「さて、永劫に近い筈だった余の寿命を削った分は楽しませてもらいたいものだな、ソル」
「楽しめるかどうかはあんた次第だな。行くぜ、大魔王バーン!」
「来い、ソル!」
互いに間合いを詰めて繰り出した拳が打ち合わされ、周囲に広がる凄まじい衝撃波。
全力でブン殴ってもぶっ壊れない相手と出会ったのは初めてだったのか、驚いていた大魔王へと「どっちが先にぶっ壊れるか、試してみるか」と言いながら拳を放つ。
「フハハハッ!やるではないかソル!お返しだ!」
上機嫌な大魔王と行う殴り合い、続く殴打の応酬、ダイ達とハドラーは強力な暗黒闘気を持つミストガルヴァスとの戦いで手一杯であり、援軍は期待できない。
拳を打つ、打撃を繰り出す、殴打を放ち、握った拳を叩き込む、止まることのない拳撃。
殴れば相手を殴り返すというその均衡を崩したのは、大魔王からだった。
手を手刀の形に変えて、闘気を集約し大魔王が繰り出す一撃。
「カラミティエンド!」
大層な名が付いた大魔王の手刀だけあって、この世界のオリハルコンだろうが容易く両断可能な一撃であったが、白刃取りをするかのように両手で手刀を挟んで止めた俺は、下から掬い上げるような蹴りを大魔王の顎へと叩き込んだ。
顎への一撃でフラついた大魔王へと、容赦なく追撃を叩き込み、打ち込んだ拳の連打。
滅多打ちとなった大魔王へとトドメの一撃を繰り出そうとしたところで、大魔王の姿が突如として消えた。
「リリルーラだ。大魔王は一旦退いて態勢を建て直すつもりだぞ。追え、ソル!此方は任せろ!」
力強い言葉でそう言ったハドラーにダイ達を任せた俺は、バーンパレスを進んでいく。
道中で遭遇した大量のモンスターを倒していると「手伝いがいるか?」と此方に聞きながらロン・ベルクが現れた。
「大魔王を斬る気分になったのか?ロン」
「まあな、完成した星皇剣で、大魔王をぶった斬ってやりたくなってきたところだ」
会話を交わしながらモンスターを倒して先へと進むと、巨大な柱のようなものに埋まっているバーンの姿を発見した俺達。
目蓋を閉じていたバーンが目蓋を開き、穏やかな様子で語り始める。
「ソルよ、竜の子よ。お前は強い。余を素手で追い詰めるほどにな。今のお前に勝つには、魔獣と化さねばならぬ」
ひび割れる柱から覗いた巨大な目、新たな存在となる大魔王。
「たとえ二度と元に戻れずとも、勝利。その二文字を得る為ならばッ!」
砕け散る柱の中から現れたのは巨大な怪物と化した大魔王であり、巨体に似合わず俊敏な怪物が振るう腕を受けた身体が、容易く吹き飛ばされてしまう。
「ソルッ!」
「めちゃくちゃ痛いが死んじゃいねぇよロン」
此方を心配するロン・ベルクに、埋まっていた瓦礫から脱出して立ち上がり、生きていることを伝えた俺は、久しぶりに身体から流れる血に、今の大魔王が強敵であると理解していた。
「さてと、随分と姿が変わった大魔王を、まだぶった斬る気はあるか?」
【ベホマ】で折れた骨と切れた皮膚に潰れた肉の治療を行いながら、問いかけた俺に「斬りがいのありそうな相手は逃さん」と不敵な笑みを浮かべて答えたロン・ベルク。
背負っていたメタルキングの剣を鞘から引き抜き構えた俺は「勇者って訳じゃないが大魔王退治といこうか」と言うと剣に竜闘気を集中し「【ギガデイン】」と唱えた呪文。
剣に降り注いだ強力な雷撃呪文を竜闘気と共に剣に纏わせて、剣を逆手に構えた俺は魔獣と化した大魔王へと突撃。
莫大な闘気を纏う巨大な魔獣の腕と、拮抗したギガデインの魔法剣。
威力は互角、だが相手は腕を振るっただけで、此方は魔法剣という技を使っている。
連続で攻撃が可能な相手は容赦なく再び腕を振り下ろした。
「星皇十字剣!」
俺と大魔王の間へと割り込んだロン・ベルクが双剣で奥義を放ち、魔獣と化した大魔王の腕を十字に分割。
ギガデインを使った魔法剣よりも威力があるロン・ベルクの星皇十字剣は、とんでもない技だ。
脆い武器で使えば反動で腕まで砕ける威力を持つ星皇十字剣を放とうと、砕けることはないロン・ベルクの両腕。
しかし大魔王は十字に分割された片腕を容易く再生させていく。
腕を斬った程度では大魔王は倒せないらしい。
ロン・ベルクと共に大魔王と戦っていた俺が大魔王の手に捕まった時、俺を助ける為に現れた援軍には、ミストガルヴァスを倒したダイ達とハドラーだけではなく、父バランも含まれていたようだ。
「竜の騎士として人の為に戦えなくとも、父親として我が子の為に戦うことはできる」
そう言い切った父は「剣を掲げろダイ」と言うと唱えたギガデインをダイの剣に落とす。
そして再びギガデインを唱えた父は自身の剣にも雷撃呪文を纏わせた。
「合わせろダイ、ソルを助けるぞ!」
「分かったよ父さん!」
バランとダイが鏡合わせのように同じ構えを取り、上段に構えたギガデインの魔法剣を大魔王の腕へと振り下ろす。
「「ギガクロスブレイク!」」
斜め十字に交差したギガデインの魔法剣により両断された大魔王の片腕。
斬り落とされて力が緩んだ腕から脱け出した俺は「助かったよ父さん、ダイ」と2人に感謝し、再び剣を構えると大魔王へと立ち向かっていく。
全員で大魔王へと攻撃を与えていくと、腹部の巨大な目を守る仕草を見せた大魔王。
恐らくはそこが弱点であると見抜いたのは俺だけではなく、仲間達も気付いていた。
ボロボロの身体を動かし、剣を構えた俺はスキル【英雄錬鉄】を発動して蓄力を開始。
鳴り響く鎚が鉄を打つ音。
大魔王の攻撃を防いでいく仲間達に防御を任せて、蓄力に集中する。
高まる全力の竜闘気が集束し、銀の剣が輝きを帯びた。
鉄を打つように、己を燃やすように、限界を超えた蓄力を行う。
腹部の巨大な目に岩のような蓋を出した大魔王へと「星皇十字連剣!」星皇十字剣を連発したロン・ベルクが斬り裂いた蓋。
左右に飛び退いた仲間達が開けたのは、大魔王へと続く道。
地を蹴り、疾走し、真正面から駆け抜けた俺は逆手に構えていた剣を全力で振り上げる。
「アバン!ストラッシュ!」
光輝く銀剣を振り上げ、繰り出したのは、大地を斬り、海を斬り、空を斬り、全てを斬る、勇者の必殺剣。
蓄力された全力の竜闘気が集約された一撃により股下から斬り裂かれていった巨大な大魔王の身体は、腹部の目と頭部のバーンすらも斬り裂かれて真っ二つに両断された。
魔獣と化した大魔王を倒したことを見届けた俺は、限界を超えた蓄力を使ったことにより、意識を失う。
俺が目覚めた時には家族全員が揃っていたが、どうやらバーンパレスには黒の核晶が複数存在していたそうで、今は凍結させて直ぐに起爆しないようにしてから、遥か上空で1つずつ爆破して処理する作業を行っているらしい。
大魔王が残した物の後始末が完全に終わり、平和を取り戻した世界。
しかし大魔王を倒して平和になったとしても、人間以外には優しくはない人もいる。
幼いながらもそれを悟っているダイはデルムリン島に戻って静かに暮らす気だったようだ。
ダイを1人にすることはない家族は、デルムリン島に移住する気満々であり、勿論俺も着いていくつもりだった。
その後、デルムリン島で過ごしていた俺達に会いに来たポップにマァムとヒュンケルの3人。
そんな3人の背後から現れた男性が居たが、それは死んだと言われていたアバンその人。
「いやあ、破邪の洞窟で修行している間に大魔王が倒されてしまうとは、失敗しましたね。お恥ずかしい」
なんてことを言っていたアバンに涙を流しながら飛び付いたダイ。
偽者ではなく本物のアバンが生きていた理由は、身代わりアイテムがメガンテを唱えたアバンの代わりに砕け散ったからだったそうだ。
魔界に行ったハドラーに報告しないといけないことが増えたが、アバンの弟子達からアバンを奪ったことを気にしていたハドラーの気持ちが、これで楽になるだろうな。
とりあえずハドラーへの報告は後でもいいから、今はダイを泣き止ませるのが先だ。
そう決めた俺は、中々泣き止まないダイに困り始めたアバンに手助けして、ダイを泣き止ませる。
どうやら器用なアバンでも泣いているダイを泣き止ませるのは得意ではないらしい。
まあ、勇者にだって苦手なものは有るんだろう。