今回は4000文字くらいなので前回よりは短めですね
待ちに待ったI・アイランドへの招待状が届いたが、どうやらちょうど雄英高校の夏休みと被る形でI・アイランドではI・エキスポが行われるそうだ。
招待状の招待日はI・エキスポの日に合わせてI・アイランドに向かえるようになっていたが、雄英高校の夏休みは8月からである為、あと2週間で5月も終わる今からは2ヶ月と2週間先のことになる。
届いた招待状によると同行者を1名連れていっても問題ないようだった。
俺と交遊がある相手でI・アイランドに連れていって喜びそうなのは、間違いなく発目だろうな。
そう考えて発目にI・アイランドに行く気があるかを聞いてみると「行きます!」と食い気味に答えた発目。
一緒にI・アイランドに行く同行者が発目に決まったところで、体育祭後も心操と尾白との鍛練を行っていると、現れたのはヒーロー科1年A組の担任教師。
「相澤先生、どうして此処に」
驚いた様子を見せる尾白に、外見には無頓着なのか無精髭を生やしたままにしている相澤先生が口を開く。
「心操に用があったんだが、お前達の鍛練も見てみたいとは思っていた。個性無しの緑谷より身体能力で劣っていた筈の心操が、実戦的な技と鍛えられた身体を得られたのは、サポート科の金造との鍛練のお陰だと聞いてたんでな」
尾白の疑問に答えた相澤先生は俺に顔を向けると「金造、お前、体育祭のトーナメントだと、あまり対戦相手に怪我をさせないように手加減してただろ」と言ってきた。
「まあ、銃弾並みの速度で金属を飛ばしたりも出来るんで、四肢を金属片で撃ち抜いたりもやろうと思えば可能でしたが、体育祭でそこまでやる必要はねぇでしょう」
「上位のプロヒーローと比べても遜色がない実力を持つお前に、本気を出させるほどの強さは、他の1年の生徒達には無かったということか」
「俺には他人を不必要に痛め付ける趣味はねぇんで、捕縛して終わりならそれでいいと思いまして、トーナメントは基本的に身動き封じて場外送りで終わらせましたが、それに何か問題でも?」
「ワイヤーロープや手錠での捕縛には問題はないが、最後の決勝戦で見せた砂鉄の波だけは非合理に見えた」
「あれは最後なんで多少は派手な大技使って、見映えにも気を使ってみただけですが」
「見映えに気を使って雄英体育祭に優勝できるほどの余裕があったということか、やはり実力的には頭一つ抜けてるな」
「で、相澤先生は俺とばかり話してていいんですか?心操に用があったんでしょう」
「そうだな。捕縛布の扱い方や戦闘技術を心操に教えて鍛えるつもりだったが、お前達の鍛練を見て気が変わった。おれだけで心操を鍛えるよりも金造や尾白と協力して鍛えた方が、良い結果になりそうだ」
笑みを浮かべてそんなことを言い出した相澤先生。
その日から、鍛練の場に相澤先生も加わって心操に捕縛布の扱い方を教えていった。
炭素繊維と特殊合金の鋼線で出来た布で、硬くしなやかだが扱いにくい捕縛布を扱うには苦労していた心操。
そこで捕縛布よりは軽く扱いやすい布が必要かと考えて、サポート科の俺が作成していく新たな布。
素材を吟味した結果、強度は高いが軽い繊維と、前前世の加工しやすいミスリルを鋼線状にしたものを組み合わせていくと、心操が使う新たな布が完成。
布を使った捕縛、環境を利用した移動、攻撃などにも使える頑丈なその布には、心操の名字から1文字取って操縛布と名付けた。
特殊な布を用いて相手を捕縛や制圧するという相澤先生の戦い方も学んでいった心操は、体術と操縛布を組み合わせた戦闘にも少しずつ慣れてきていたのは間違いない。
尾による攻撃を組み合わせた格闘技を磨いていた尾白を相手に、操縛布も用いれば善戦出来るようになった心操は、鍛え始めた頃と比べると、見違えるように強くなっていた。
相澤先生と心操に尾白の3人対俺1人という戦いも繰り広げたり、サポート科としてサポートアイテムを開発したりしながら過ごしていると、濃密な2週間はあっという間に過ぎていく。
6月となり、ヒーロー科は職場体験などがあるそうで、体育祭で活躍した生徒などは職場体験先のプロヒーローから指名されることもあるみたいだ。
ヒーロー科の尾白によると今年は体育祭でベスト4に残った生徒に指名が集中したそうだが、準優勝した轟の指名数が1年A組では1番だったようである。
ちなみにサポート科の先生であるパワーローダー先生が言うにはプロヒーロー達は、サポート科の俺のことも指名したかったようで「サポート科は職場体験やってないのか?」という雄英高校への問い合わせが、様々なプロヒーロー達から殺到して大変だったらしい。
6月に行われるヒーロー科の職場体験は1週間になるが、プロヒーローの職場を体験するのは、ヒーロー科の生徒達にとっては貴重な経験だろう。
尾白は指名があったシシドというヒーローのところに職場体験に向かうようで、職場体験がある1週間の間は、鍛練の場に尾白が来ることはない。
ヒーロー科の職場体験中があった1週間の間に、ヒーロー殺しと呼ばれる存在が捕まったりもして世間を騒がせたりもしたが、無事に帰ってきた尾白。
日々の鍛練やサポート科としての活動を行っていると月日は過ぎ去り、6月から7月となって、期末試験の時が迫ってきた。
放課後に工房でサポートアイテムの開発を行う時以外は、勉強の予習復習を忘れることなく行い、しっかりと筆記試験にも備えておく。
ついにやって来たサポート科の期末試験当日。
通常の筆記試験は問題なく終了し、サポート科としての実技を含めた期末試験も無事に終わらせた俺は、何の憂いもなく夏休みを迎えることが出来た。
しばらく風呂に入ってなかった発目にはちゃんと風呂に入ってもらって、清潔な状態になった私服の発目と一緒に飛行機に乗り込んだ俺は、I・アイランドへと向かう。
1万人以上の科学者が居るという人工島、I・アイランドには様々な最新技術が溢れていて、見るもの全てが新鮮だ。
気になるものには直ぐに突撃していこうとする発目にずっと付き添っていると、時間が幾らあっても足りない。
「今から自由行動な。俺はヒーローアイテムが展示されてる場所に行くぞ」と伝えた俺に「私も行きます!」と着いてきた発目と一緒に様々なヒーローアイテムの展示が行われている場所へと移動。
様々なヒーローアイテムや、最新技術をこの目で見てみたが、デヴィット・シールド博士が特許を持っている技術が多い。
オールマイトの友人でもあるというデヴィット・シールド博士は、やはり優れた科学者なのだろうな。
夜になりI・エキスポのレセプションが開かれる会場であるタワーに招かれていた俺は、スーツを着用して身嗜みを整えてから会場に向かおうとしたが、ドレスを着なれていない発目を待っている間に、かなり遅れてしまった。
ようやく現れた発目を連れて、レセプション会場に向かおうとすると、I・アイランドの警備システムが作動して閉じられたタワーの入り口の扉。
何かが起こっているのは間違いないが、強引に入り口をこじ開けてタワーの内部に入るのは問題がありそうだ。
「発目はホテルに戻っておいた方が良さそうだぞ」
「そうしますね、気を付けてください金造さん」
去っていく発目を見送ってからスーツの袖をまくり、剥き出しになった腕から生成した金属板。
それに飛び乗った俺は、金属板を操って、タワーの最上階である屋上にまで向かってみたが、屋上にはヘリコプターが停まっていた。
明らかにI・アイランドの人間ではないヘリコプターの操縦士が、此方に拳銃を向けてきたので、引き金を引かれる前に拳銃の金属を操って、拳銃を丸ごと破裂させておく。
破裂した拳銃を握っていたヘリコプターの操縦士の手はズタズタになっていたが、あの程度では死にはしない。
ついでに俺の剥き出しの腕から生成したワイヤーロープで、操縦士を身動き出来ない状態にしておき、ヘリコプター自体も破壊して、完全に操縦出来ない状態にしておいた。
「どうなってる!?」
壊れたヘリコプターに困惑した様子を見せるのは、屋上に現れた鉄仮面をした男。
鉄仮面の男は肩にデヴィット・シールド博士を担いで、片手にアタッシュケースを持っており、大荷物で素早くは動けていない。
とりあえず負傷しているように見えるデヴィット・シールド博士を助けておくかと考えた俺は、鉄仮面の男との間合いを詰めて、男の腹部に蹴りを叩き込んで吹き飛ばす。
それと同時に両腕に鉄の枷を付けられていたデヴィット博士の鉄枷を操って引き寄せ、男から博士を奪い取るとデヴィット博士の容態を確認したが、どうやら博士は肩を拳銃で撃たれているようだ。
博士の体内に残っている弾丸を操って抜き取り、小声で「【ベホマ】」と唱えて博士の外傷を完治させておくと、傷が消えて出血も無くなった博士は「きみはいったい」と驚いていたな。
博士を安全な場所に避難させようかと考えていると「デヴィット・シールドは置いていってもらおうか」という声が聞こえた。
「保険で貰っておいた3つ目の個性、損傷回復が役立つとはな」
そう言いながら腹部を擦って立ち上がった鉄仮面の男は、奇妙な装置を頭に装着しており、個性を暴走させ始める。
この世界風に言うならヴィランである男は、金属操作の個性持ちだったようで、タワー屋上の金属が操作されて蠢き始めていた。
だが、まあ、俺を相手に金属操作で勝とうと思うのは間違いだ。
「とろくせぇことしてんじゃねぇ!」
そう言い放った俺は男の金属操作を上回る金属操作能力で、全ての金属の動きを停止させていく。
「馬鹿な!オレは個性増幅装置を使っているんだぞ!オレを上回る金属操作だと!有り得ない!」
自分の個性では全く金属を動かせなくなって動揺を隠せていないヴィランの男。
そんなヴィランを相手に、俺は拳を掲げてみせながら口を開く。
「男なら、こっちで来いよ。てめぇの拳は飾りか?」
金属操作に頼らずに、素手で来いと挑発する俺に対して逆上した男は「なぶり殺してやる!」と言いながら身体を赤く発光させ始めた。
「筋力増強の個性も持つオレに素手なら勝てるかと思ったか!?」
ヴィランの男は複数の個性を持っていることを自慢気にして、殴りかかってきたが、ヴィラン相手に容赦をしてやる必要はない。
「ああ、勝てるぜ」
拳の1打で、ヴィランの拳を打ち砕き、2打で、ヴィランの胸骨を微塵に砕き、3打で、ヴィランの意識を遥か彼方に追いやると、手早く戦いを終わらせた。
ついでにヴィランの頭に装着されていた装置も外してデヴィット博士に渡しておくと、ようやく現れた緑谷とオールマイト。
緑谷とオールマイトの2人にデヴィット博士を任せて立ち去った俺は、翌日にオールマイトから呼び出され、オールマイトからの奢りでバーベキューを1年A組の面々と一緒に食べることになったが、結構良い肉を食べられたのは悪くない思い出だ。
原作とは違って爆豪と切島がI・アイランドに来ていなかったので、緑谷くん達の移動が遅くなってしまったようです
ちなみに心操くんのミスリル入り操縛布は、原作の操縛布よりも頑丈だったりしますね