なぁAFO……ラプラスの悪魔って知ってる?   作:YY:10-0-1-2

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No.33 怪奇と蠢きと復讐

 

 雄英高校生が職場体験に勤しんでいる2日目。

 とあるBARでは、最もドス黒い悪意がぶつかっていた。

 

 「何を成し遂げるにも、信念…想いが要る。無い者、弱い者が淘汰される。当然だ…だから死ぬ(こうなる)

 

 死柄木は、ステインに倒され、刃物を首元に置かれ、ちょっとでも動かせば頭と胴が泣き別れする寸前に立っていた。

 まさに崖っぷち。

 

 「ハッハハハ…いってええええ。強すぎんだろ。黒霧! コイツ帰せ。早くしろ!」

 「身体が動かない…! おそらくはヒーロー殺しの【個性】…」

 

 黒霧は、テーブルに片手を置き、動こうとしているが、ヒーロー殺しこと、ステインの個性に倒れていた。 

 

 「英雄(ヒーロー)が本来の意味を失い、偽物が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も、粛清対象だ……ハァ…」

 

 ズズッと刃物を動かす。

 死柄木の顔についている手に刃物が当たったところで、死柄木の様子が変わる。

 肩に刃物が刺さっているのに気にせず、斬ろうとしている刃物を手に掴む。

 

 「この掌は…ダメだ───殺すぞ

 「────!!」

 

 刃物がボロボロと崩れていく。

 

 「口数が多いなァ……信念? んな仰々しいもんないね……強いて言えばそう…オールマイトだな……あんなゴミが祀りあげられてるこの社会を滅茶苦茶にぶっ潰したいなァとは思ってるよ

 

 ゾクッと何かを気取ったステインは、死柄木の腕が動いたのを見て、バッと離れる。

 死柄木は、首元をポリポリと掻きながら立ち上がる。

 

 「せっかく前の傷が癒えてきたところだったのにさ……こちとら回復キャラがいないんだよ、責任とってくれんのかぁ?」

 「それがお前か…」

 「は?」

 

 ──お前と俺の目的は対極にあるようだ…だが

 ステインのそのあとの言葉に、死柄木は黙り込む。

 

 「『現在(いま)を壊す』この一点に於いて、俺たちは共通している…」

 「ざけんな帰れ死ね。()()()()()()()()なんだろ」

 「真意を試した。死線を前にして人は本質を表す。異質だが……想い…歪な信念の芽がお前には宿っている」

 

 ステインは、始末するのは死柄木がどう芽吹いていくのか見届けてからでも遅くないと言い、当の本人の死柄木は悪態を着く。

 

 そして、ステインは言う。

 

 

 ──保須(あそこ)にはまだ成すべきことが残っている。

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 黒い悪意が動いた翌日。つまり、職場体験3日目。

 

 

 【ワン・フォー・オール】の全身常時5%……即ち【フルカウル】を習得した緑谷は、変わらずに、師事であるグラントリノと組手をしてはボッコボコに叩きのめされていた。

 

 髪の毛がデロンデロンになっている緑谷だが、グラントリノと共に出かけることを伝えられる。

 

 目的地は、東京。

 

 「にしても渋谷ですか……まさかそんなハイカラな街にヒーローコスチュームで……」

 「ヒーロー同伴じゃなきゃ着られん服だろ? 人の目が多い場所で披露できるんだと喜びんさい!」

 

 甲府から新宿行きの新幹線に乗り込む緑谷とグラントリノ。

 

 窓の外も少し暗くなって来た頃に、保須市を通り抜けようとしていた。

 

 緑谷の手元のスマホに映るのはメッセージアプリの画面。送り相手は飯田……なのだが、確認された表示がついても一向に返信が来ていなかった。

 

 「座りスマホ! まったく、近頃の若者は……」

 

 隣で何か言っているグラントリノ。

 緑谷は、携帯から目を離し、ふと、保須の方を見る。

 

 『お客様、座席にお捕まり下さい。緊急停止──

 

 

 そんなアナウンスが流れたかと思えば、緑谷が座っている目の前が突如爆発する。

 いや、前と言うよりかは窓の方からである。

 

 車内には、傷がついているヒーローの姿が。

 そして、そのヒーローを吹っ飛ばした張本人は、顔をのぞかせる。USJ襲撃を彷彿とさせる、脳無の姿がそこにあった。

 

 まさか、と動き出すよりも早くグラントリノが飛び出す。

 グラントリノは、緑谷が止める間もなく脳無を吹き飛ばした。

 

 「グラントリノ!」

 「小僧! 座ってろ!」

 

 飛び出したグラントリノを追いかけようにも既に姿は見えず、砕かれた新幹線から火の手が上がる保須市があるばかりだった。

 

 

 

 

 一方、保須市の路地裏では、血が流れていた。

 ダラリと両手足を垂れ下げ、顔を鷲掴みにされながらも抵抗の一つも叶わないヒーロー。

 

 その顔を掴んでいるのは、包帯とボロ布が正体を隠し、全身に武器を仕込んだヴィラン……『ステイン』であった。

 

 「騒々しい……やはり手を組んだのは間違いだったか…?」

 「身体が動かねえ……! クソ野郎……! 死ね……!」

 「ヒーローを名乗るなら……死に際のセリフは選べ」

 

 いま、ステインの刀が動く。

 それよりも早く、ステインに向かう影が。ステインは動かした刀をそちらの方に向け、振り抜く。

 

 カツンと音を立ててその誰かが転がる。

 

 「スーツを着た子供……何者だ?」

 「血のように紅い巻物と、全身に携帯した刃物! お前が『ヒーロー殺しステイン』だな!?」

 

 その誰かはその瞳に強い憎しみを宿しながらその視界の先にいるヴィランへとそう言い放つ。

 

 「僕は……お前にやられたヒーローの弟だ! 最高に立派な兄さんの弟だ!! 兄に代わり……お前を止めに来た! 僕の名前を……生涯忘れるな!!」

 

 立つ。

 その目に闘志を宿して。

 

 「『インゲニウム』!! お前を倒す! ヒーローの名だ!!」

 「そうか……死ね

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