なぁAFO……ラプラスの悪魔って知ってる?   作:YY:10-0-1-2

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No.37 職業体験の後

 

 「短い間でしたが、ありがとうございました!」

 「んだよ、もう行くのか? まだ休んでりゃあいいのによ〜」

 「いやぁ、そういう訳には行かなくって……」

 

 ミルコさんの家の前でお礼を言ってから苦笑いを浮かべる。

 事実、いまバッグに入れてる携帯が恐ろしいほど震えを上げているのだ。もはや振動でバッグだけ震えている感覚に陥るぐらいの。

 

 ミルコさんは、頭をポリポリと掻きながらくぁ、と欠伸をする。

 

 「まぁ、私のやった事は少ししかないけどな」

 「いえ、十分教えてもらいましたよ。脚の使い方とか……」

 

 僕がそう言うと、ミルコさんはニヤッと笑う。

 

 「それで、何のためにヒーロー目指すか、決まったか?」

 

 その答えは、等に決まっていた。いや。決まったと言うべきか。

 

 「今回の件で、僕はステインに立ち向かいました」

 

 けれども、緑谷君も、飯田君も……傷ついてしまった。

 僕は大した怪我を負わなかったから、いいけれど、飯田くんは左腕に後遺症が残ってしまったらしい。

 

 「だから……もう、誰も傷つかせない……誰かが危険な目に遭う前に救うようなヒーローを目指します

 「へぇ、いい夢じゃねぇか……やるからには絶対ぇ叶えろよ!」

 「はい! ありがとうございました!!」

 

 

 ミルコさんからの言葉に背中を押され、僕はニッコリと笑顔を浮かべてミルコさんの元を去るのであった。

 

 

 「で、なんで母さんからの電話で唯がいるのかなぁ……」

 『ん! ん!!!!(そんなことどうでもいいよ! 大丈夫だったのか聞いてる!!!!)』

 「う、うん! 大丈夫だったよ! 目立った怪我はなかったから!」

 

 僕は、電車に乗る前に母さんに電話しておこうと思い、電話をかけたのだが……実際に出たのは唯だった。なんで?

 

 その後、母さんの声が聞こえてきた。

 

 『なにか事件に巻き込まれないと気が済まないのか?』

 「いやぁ、今回は偶然だよ……心配かけてごめんなさい……」

 『もしも何かあったら私はすぐには行けない。それに、公安の目があるのも分かってるだろ?』

 

 公安……か。

 僕もプロヒーローになったら公安所属になるのかな?

 

 『とにかく、今回は無事で良かったよ。強くなったな』

 「……はい…!」

 『ただし、帰ってきたらすぐに特訓だからな。思い上がるな?』

 「感情がジェットコースターだったりする!?!?」

 

 どうやら、帰っても僕は修羅場らしい……。

 

 『ん……(後で話しね……)』

 

 小さく唯が呟いてから、通話が切れた。

 

 なんだろう……。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 家に帰ってくると、鬼のような形相の母さんが立っていた。

 その後、胃酸を吐くぐらい特訓させられてから、夕食を食べて……。

 

 唯に連れられて近くにある公園に来た。

 

 母さんに内緒で外に出たなんて…バレたら殺されるかもしれないけど。

 今の僕は、そんな事を考えている場合じゃなかった。

 

 「……唯」

 「ん……(心配した……)」

 

 唯は、小さく言った。

 

 「ん…(居なくなったら、どうしようと思った…)」

 「ご、ごめ………」

 

 僕は謝まろうとして、止めた。

 唯は、その目にウルウルと涙を貯めて、僕を見ていた。

 

 「……今回の件は…本当にごめん。土下座してもし切れないぐらい、心配掛けさせちゃった……」

 「……ん(……うん)」

 「でも、唯……君を泣かせる気はなかったんだ」

 

 唯は、僕の言葉に涙を流し、手で涙を拭く。

 僕は近づいて、唯のことを抱きしめる。

 

 「ごめん……本当にごめん。もう、心配掛けさせないから…」

 「……ん…!(……約束してね…!)」

 「うん。約束する」

 

 僕は、静かに泣いている唯を強く抱きしめる。

 もっと、力があれば楽に勝てたのだろうか? もっと頑張れば心配かけさせる事も無かったのかな?

 

 僕は、自分で自分に問う。

 

 唯は、泣き終わったらしく、僕の体に手を回す。

 えっと……?

 

 「ゆ、唯……?」

 「……ん(……心配かけさせた罪)」

 「……そうだね。でもさ、流石にやばいよ……男女二人、しかも人気のない公園、夜。整っちゃってるんだよ……!」

 

 僕が言うと、唯は顔を少々真っ赤にする。

 やめてくれ! そんな顔しないでくれ! 僕耐えれなくなっちゃうから!

 

 「……ん(……暫くこのままね)」

 「ううん? さっきの話聞いてたかな……?」

 

 

 僕は唯を見る。

 唯は、こちらの顔を見て、ニッタリと笑う。

 

 どうやら、僕の言葉は、虚しくも夜空に消えていったらしい。

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