なぁAFO……ラプラスの悪魔って知ってる? 作:YY:10-0-1-2
スタートの合図と共にバッと駆け出す羅符素と心操。
ステージは市街地。ビルなどの建物が立っていて、路地裏も見える。
(母さんなら⋯⋯高い場所を取るはず⋯なら!)
羅符素は心操に目を向け、頷く。心操もまた、羅符素を見て頷く。
お互いに違う方向にかけ始め、路地裏に入る。
その様子を見ていたレディ・ナガンは構えたまま驚いていた。
「⋯⋯逃げた。じゃないな。作戦だろうな⋯」
そう。今回の試験はそう簡単じゃない。
ただ逃げ出せばそれでいいだろう。だがこの試験の真髄は、どれほど自分の不得意を自覚し、それを以下に対処するのか。
そういったものも含めて、今回の合宿も設計してある。
颯爽と逃げ出せば、相澤は補習コースにぶち込むであろう。
「よし! マイクは繋がったね?」
『ああっ』
常に通信・伝達出来るように、ポッケに入っているインカムで心操と会話をする。
「母さんは、上から狙ってくるはず。それを狙うんだ」
『どうやって?』
「僕が囮になる。そしたら、音が鳴るだろ? 僕は適当な所から逃げ回るから、心操はその【個性】で母さんを止めてくれ」
『⋯⋯そんなことできるか?』
──出来るんじゃない。やるんだよ。
僕はそう伝えてから、インカムを切る。
さて、母さんは何処に……
「⋯⋯?」
全く姿が見えない。
それどころか、見た時に母さんが居そうな場所を予測をしたのに、全く当たってない。
どういうことだ? 室内といるのか? いや、母さんが室内に行くのはほぼ無いと言っていいだろう。ああいう場所は嫌いなはずだ。
ならどこに?
⋯⋯。
っ!!!?
「心操ダメだ逃げろ!!!」
『っっ!』
僕が言葉を放った瞬間、僕の方に向けて弾丸が飛んでくる。
ホントにギリッギリで避ける。残り1センチも無いかもしれないレベルで狙ってきた。
⋯嘘だろ?
弾丸を見て戦慄を覚える。
弾丸が
母さんの個性は、髪の毛を弾丸として使っている。つまり、先端を丸めるも、トンガらせるも自由なのだ。
母さんのことだから、てっきり丸めてるかと⋯いや、母さんの事だからこそ、本気でかかってきているのだろう。
だからといってそれはなくないか???
それに、てっきり心操を狙うかと⋯尽く予想が外れてる。
でも、母さんはどこから?
方角的にはアッチ⋯⋯あの小さいビルの上からだと思うんだけど⋯⋯。
「⋯やっぱりいない⋯⋯?」
じゃあどこから⋯?
違う、『どこか』とかじゃないのかもしれない。前提が違う⋯?
もしかして、母さんは⋯⋯⋯!
「母さんは、順々で移動しながら僕たちを狙撃してるのか!?」
母さんのスピード的にそれはありえない。
だが、それがそもそも違う! 確かに、今の世の中、サポートアイテムも進化してきた。
常に空を飛ぶような⋯そんなサポートアイテムが出来ていてもおかしくは無い。
それも、公安直属のヒーローとなれば、すぐにでもそんなサポートアイテムは届くはずだ。
やられた⋯⋯母さんが、そんな生易しい難易度で、この試験を受けさせるはずがない⋯。
「心操、これ相当キツイかも⋯」
『だな。お前の声から聞いても、キツいってのは察し出来るよ』
ははは、と僕は乾いた笑いを出す。
だけど、負ける理由にはならないし、負けたくない。
心操のヒーロー科編入もかかってるし、唯と一緒に合宿には行きたい⋯!!
「言葉を借りるなら、『覚悟はいいか? 俺は出来てる』⋯まさにこの状況だね⋯⋯」
僕自身が傷つく覚悟はもう出来てる⋯。
後は、心操が上手いことやってくれるしか⋯ない。
「心操、行くよ!」
『⋯分かった!』
麗しきレディ・ナガンを倒すために。
「来るか」
僕たちは走り出す。