なぁAFO……ラプラスの悪魔って知ってる? 作:YY:10-0-1-2
走っていく羅符素。
心操は降りて周りを見渡すと、音に気づく。
「……?」
何かが突き刺さるような、そんな音が聞こえたのだ。
そして、その音の鳴った方は上だ。
心操が上を向くと、目を見開く。
「なっ、羅符素! 待て!!」
心操の叫びが羅符素に届く前に、それは起きてしまった。
羅符素は上に爆発的な威力の風を起こし、天井を壊した。
それが不味かったのだ。レディ・ナガンの放った弾は上に突き刺さった。
そう、破壊されヒビが入っている所に。
弾によって衝撃を受けた天井は、崩壊して重力によって下に落ちる。
羅符素はそれをギリギリで避けるが、すぐさま鳩尾に飛び蹴りを食らう。
「ガハッ!?」
壁に勢いよくぶつかった羅符素は、血を吐いて項垂れる。
それを見て、汗をぶわっと出す心操。
「……それは、予想出来るだろ?」
瓦礫の中から傷だらけではあるものの、余裕そうに立っているレディ・ナガン。
「クッソ!」
まさか、自分で瓦礫を当てて洗脳を解くとは、羅符素も心操も当然思わなかった。
心操はそれを見て、まずいと思い、羅符素を担いで外に出る。
その後を見ながらレディ・ナガンは腹を抑える。
「…結構食らったな…」
そう言いつつ、窓から心操を狙い撃つために個性を発動させる。
そして殺傷能力の低い弾をドンドン心操に向けて放つのであった。
心操は弾の痛みに耐えながら、建物の中に急いではいる。
「っはぁ…はぁ……!」
心操は決して体力があるとは言えない。
だが、ここまで走れたのは土壇場の力と、羅符素の意識が保てていたからだ。
「ご、ごめ…ん…」
「はぁ……あ、諦めて逃げ込もうぜ…? ゲートをくぐっても、たしかクリアなんだろ……?」
心操の提案に、羅符素は唇を噛む。
「もしかして、まだ戦いとでも……?」
心操の言葉でギクッと固まる。
そんな羅符素を見て、心操は本日何度目か分からないため息をつく。
「明らかな実力差あるだろ?」
「でも、諦めきれないよ……」
心操は、羅符素の顔を見て、汗を垂らす。
その羅符素の顔は、笑みを零しており、まるで戦いを楽しんでいるかのような顔であった。
心操はそんな羅符素を見て改めて思考がイカれてることを再確認する。
「勝つにしても、考えた作戦じゃあ通用しねぇかもな…もう口聞いてくれないだろ…」
「いや、僕だけが戦う」
「…は?」
羅符素はもう知っている。
どれほど頑張っても、レディ・ナガンには勝てない。だが、羅符素自身がまだ戦っていたいのだ。
だからこその作戦。
「僕が全力で足止めする…から、心操は走ってゲートを目指して」
「おま……それでいいのかよ?」
「足止めすることだって、ヒーローの仕事だろ?」
羅符素の言葉に心操は少し黙り込む。
「やるしかない。ここで僕たちがクリアしないと…!」
「…分かった。それでいこう」
心操は頷く。
そして、羅符素は立ち上がり、骨が折れてないことを確認した後に、窓から外に出る。
瞬間、ゴムの弾が羅符素に向けて放たれた。
羅符素は個性を使い、何とかギリギリで躱す。
「『
ならばどうするか?
──骨が折れても、倒れようとも、全力で足止めする。
「…!」
羅符素は再びリミッターを外す。
だが、そのリミッターは、20%では済まない。
「『
100%という名の全力が、レディ・ナガンを睨む。
レディ・ナガンは、静かにそれを見据えて、再び弾を込める。
そして、弾を放つ。が、羅符素は弾を避けて発射された位置を見つける。
「そこか!!」
勢いよく腕を振り、弾の軌道を逸らす。
それを見たレディ・ナガンの顔が少しだけ動く。
「っ!」
腕が悲鳴を上げるが、気にせずに脚に力を込める。
そして、その勢いでレディ・ナガンのいる方向に向かってジャンプ。
地面に大きな罅と溝が出来て、羅符素の強さを物語る。
レディ・ナガンは勢いよくこちらに向かってくる羅符素を見て、ニヤッと笑う。
「空中なら身動き出来ないだろ?」
再び弾が羅符素に向かって跳ぶ。
が、羅符素も考え無しに突っ込んだ訳では無かった。
先程弾を逸らす為に使った右腕で空気を殴る。すると、その体が風圧によって浮く。
弾は先程羅符素のいた場所を通り、羅符素はニヤッと笑い返す。
「そぉれぇっ!!!」
空中で体勢を立て直し、勢いよく脚を蹴る。
風圧による攻撃がレディ・ナガンを襲う。
「くっ!」
レディ・ナガンの体が浮き上がり、後ろに飛ばされる。
ビルの屋上から狙っていたレディ・ナガンの体は吹き飛ばされたことによって、ビルから落ちる。
「あっ!」
羅符素がその後を追いかけるかのように着地したビルから飛び降りる。
すると、そこにはライフルを構えているレディ・ナガンの姿が。
(飛び降りることを分かった上での…!)
(お前はヒーローだ。だからこそ、来ると分かってるからこその……)
───狙い撃ち。
放たれたゴム弾は羅符素を狙う。
羅符素はそのゴム弾を……手で掴み取った。
「…はっ」
乾いた笑いのような、惚けた声のような、そんな声がレディ・ナガンから生まれる。
レディ・ナガンはビルの窓に手をひっかけて何とか地面にそのまま落下するのを防ぐ。
が、羅符素はそのまま地面に激突。
ゴロゴロと転がっていきズザザっと地面にその体を擦り付けるように倒れ伏した。
「ゲホッゲホッ……っ…あぁ…痛ぇ…っ!」
地面に思いっきり落ちた羅符素は勢いを殺せたものの、やはりダメージはでかく、倒れたままであった。
右腕は既に折れて、両足ももう立てないほどのダメージを受けている。
そんな中での戦闘を…いや、戦闘という程の戦闘でもないが、とにかく戦っていたことに間違いはない。
レディ・ナガンは、羅符素に近づき座り込む。
「…心操を、追わないの…?」
「バァカ、そんな体力もう残ってないし、そろそろゲート見つけたろ」
羅符素は確かにと乾いた笑いを出す。
そして、手で握っているゴム弾を見つめる。
「母さんの放った弾を取るのは、
「…あぁ、初めて取られた時は焦ったよ」
レディ・ナガンがそう呟くと同時に立ち上がる。
そして、声が響く。
『報告だよ。条件達成最初のペアは筒美・心操ペアだよ』
羅符素がナガンの弾を取ったって話は後に出てきます。