なぁAFO……ラプラスの悪魔って知ってる?   作:YY:10-0-1-2

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No.48 死柄木弔という男

 

 

 翌日、待ち合わせの場所にはA組の面々が集まっていた。

 休日ということもあってか、モール内は親子連れからカップルまで老若男女の大勢の方が買い物を楽しんでいる。

 

 雄英体育祭から2ヶ月は経っているのだが、まだ覚えられているのか『あの子じゃん!』と言われることもしばしば。

 さっすが雄英と言うしかないね。

 

 「で、唯も連れてきちゃった」

 「『連れてきちゃった』じゃねぇよこのリア充よぉ〜!」

 

 いやね、違うんだよ。

 たまたま家を出ようとしたら唯とバッタリ会っちゃってしかも行く場所も同じって言う奇跡に奇跡が噛み合ったんだよ。

 だからこれは僕のせいじゃないと思いたい。思わせてくれ。

 

 「ん…ん(リア充か…えへへ)」

 「え? なんか胸を張る要素あったっけ?」

 「まぁいいよ全然! 人数増えた方が楽しいだろうし!」

 

 芦戸さんは笑いながら唯の隣に立ってニッコニコで挨拶してる。

 芦戸さん…助かるよ……。

 

 「みんな買う物違うと思うし、固まって動く?」

 「そうだな。じゃあ時間決めて自由行動すっか!」

 

 僕の提案に切島君がそうつけ加えてくれる。

 僕と唯は皆から離れて歩きつつ、様々なものを買っていく。唯は、日焼け止めとか買ってるのか。

 

 「ん?(いる?)」

 「いや、いいよ…」

 「ん!(紫外線は人類共通の敵!)」

 「え? そこまで言うかな?」

 

 僕は唯の圧に押されて日焼け止めを買ってしまう。

 横でご満悦そうにしている唯を見て、まぁいいか、となってしまう僕は甘すぎなのだろうか?

 

 すると、とある店の前で唯が止まる。

 その店の商品に目をつけているのだろうか?

 

 「何か買うの?」

 「ん…(あれってさ…)」

 

 唯が指さす方向を見ると、そこには…ヒーロー殺し、ステインのグッズのようなものが置いてあった。

 僕はそれを見て、慌てて唯の手を引っ張ってその場を離れる。

 

 「あんなもの見ない方がいいよ」

 

 唯の手を引っ張りながら僕はそう言う。

 ステインのグッズか。ステイン自体が僕にとっての記憶に残っている敵だ。

 

 あの戦いを思い出したくないとは言わない。

 

 けれども…唯がまた悲しむようなあんな出来事はもう二度と起こしたくない。

 手を引っ張っていると、唯が後ろからチョンチョンと僕を小突く。

 

 しまった。手を握りすぎたかな。

 

 「ごめん…」

 「ん。ん?(いいの。それよりも、お手洗行ってきていい?)」

 「あぁ、全然いいよ。そこで待ってるからさ」

 

 僕は座って唯を待つことにした。

 ほんとに多くの人がいる。子供…かぁ。僕も結婚とかしたら子供出来て……名前付けることになるのかな。

 

 ……まぁ、まだ先の話だけどね。

 

 それよりも。

 

 【死柄木弔が首を掴んで隣に座る】

 

 「なんの用?」

 「…気付いてたのか?」

 「いや、さっきこっちを見る目があったからね」

 

 唯を引っ張ったのもコイツがいたからだ。

 

 死柄木は僕の首に手を回し、4本の指でいつでも僕を殺せるようにする。

 僕は冷や汗をかきつつ、死柄木の言葉を静かに聞くことにした。

 

 「俺は、大体何もかも気に食わないが……今一番腹が立ってるのはヒーロー殺しにだ」

 「…ステインか……」

 

 死柄木は頷く。

 なんでも、雄英襲撃も保須市で放った脳無も、死柄木達敵連合が起こした行動は全てステインに食われてしまった。

 ステインと自分。やってる事はそう違わないはずなのに、どうして自分達には何一つ注目が集まらないのだ? ……自分とステインは何が違うのか、と死柄木は尋ねてきた。

 

 「…」

 

 僕は静かに脳内で言葉を拾っていき文章にしていく。

 そして、思ったことを口に出す。

 

 「…ステインってネームはデカイ。でも、君たちはまだ新参者だ。そこがまず違うんじゃないかな…」

 

 僕の言葉に死柄木はピクッと反応する。

 民間人1人を傷つけた敵より、民間人100人を虐殺した敵の方が注目が行く。

 

 たったそれだけ。

 

 それに……ステインはやりたいことって言うのかな、信念って言うのか、それみたいなものがあった。

 死柄木は、何があるのだろう。

 

 「お前には…あるのか? やりたいことみたいなのが……」

 

 ヒーロー風に言うならば、原点(オリジン)っていうのかな。

 もっとも、僕の中での原点は2つあるんだけどさ。

 

 死柄木はしばらくの停止の後、立ち上がった。

 

 「……どこに行く?」

 「…帰る」

 

 トテトテと歩いていく死柄木。

 僕はそんな彼の後ろ姿を見て、追いかけようと思ったのか立ち上がる。

 

 ……なんで追いかけようと思ったのか。

 

 僕には分からないけれども、きっと僕の中にある何かがそう叫んだんだろうな。

 

 「……助けろって…無茶な話でしょ…」

 

 僕は静かにそう呟いた。





 何度見返しても、やっぱり原点(オリジン)なんだなって。
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