ポケコロ短編集   作:キザキすい

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タイトル通り過去捏造

レオのポケモンの設定
ブラッキー ♂
ノーチェ
普段はおとなしいが、悪戯好きな一面がある。時折死角から人間にとびかかり驚かすが、彼に悪気はない(相手がけがをしないように加減をしている)。初対面の人間は警戒するが、リータスに比べると比較的早く撫でさせてくれる。ただし気に入らない相手には容赦なく毒をくらわす。レオの手持ちの中では一番好戦的。リータスと比べると少々子供っぽいが、ノーチェの方が兄である。
名前の由来:スペイン語で夜

エーフィ ♂
リータス
あまり他人に触らせたがらない。半面一度心を許した相手には自分からじゃれ付くことも多い。しっかりした性格。自分にとって危害を加えるかもしれない相手の前では戦闘態勢を崩さず、そうでない相手が構ってきたらそっぽを向く。きれい好きでたとえレオであっても機械油まみれのときは絶対に近づかない。ただしバトルは『全身砂まみれになるようなバトルじゃないと面白くない』と考えている。普段は上品だが、破落戸に囲まれて育ったため、怒るとガラが悪くなる
名前の由来:リトアニア語で朝



レオの過去

レオの過去

 

 誕生日が近づいた頃に、両親から贈られたのは、ポケモンのタマゴであった。

 両親は忙しく、お互い碌に顔を合わせることがない時もある。運の悪いことにここ最近は話をする時間などまるでなかったのだ。

 そんな二人が大事な息子の為に、一人でプレゼントを考えた結果、同じものをプレゼントすることになってしまったのである。

 どうしようかと苦笑いを浮かべる二人に、息子――レオは手を伸ばして、恐る恐るタマゴに触れた。

 

「ありがとう」

 

 とてもうれしいと、無邪気な笑顔を浮かべる息子に、両親はそっくりな笑顔を浮かべた。

 仕事でほとんど家にいないが、家族の誕生日とクリスマスには必ず家族で過ごす。そんな両親のことが、大好きであった。

 じつは、別の地方への旅行券を手に入れたんだ。父が言う。

 少し先になるけれど、その時にはタマゴも孵っているかしら? 母が言う。

 とても楽しみだ。早くオーレ以外の地方に行って野生のポケモンを見てみたい。もしかしたら、珍しいポケモンをゲットできるのかもしれない。

 指折り数えながら日々がすぎ、一つのタマゴが孵った。月のきれいな夜に生まれた彼は、ノーチェと名付けられた。翌朝、朝日と共に顔を出した二匹目のイーブイ。彼はリータスと名付けられた。

 産まれたばかりのイーブイ達の世話に忙しい日々。いつの間にか、レオの誕生日がきていた。十歳になったから、ノーチェとリータスが正式にレオの手持ちとなった日である。

 レオの誕生日だからと無理矢理休みをもぎ取った両親と、ひさしぶりに親子で川の字になって寝たその夜。両親は死んだ。

 

 

 

 べったりと生暖かい液体にまみれて、レオは呆然としていた。

 一体何があったのか分からない。警察官と思わしき大人がレオに話しかけているが、彼には何を言っているのかまるで聞き取れなかった。

 ぼんやりとした頭で記憶を探る。

 そうだ、声だ。父の怒声で目を覚ました。そのとき父は怪我をしていて、見たことのない男――強盗を相手に格闘していた。強盗は壁にしたたか頭を打ち付けて倒れたが、同時に、父も倒れた。腹には深々とナイフが刺さっていた。

 もう一人の仲間が、母に銃を向ける。

 とっさに母がレオを抱きしめ守った。抱きしめる母の腕から力が弱まるのを感じると同時に、レオの中から何かが消えていく気がした。

 強盗が何かを言っている。ベッドサイドにあった、イーブイの入ったボールに手が伸びる。

 ふいに、手に固いものが当たった。ナイフだ。先ほど、父が気絶させた男が持っていたものが、こちらに飛んできていたらしい。

 それを手に取った後の記憶はない。

 後から聞いた話によると、レオは強盗の一人を刺し殺してしまったのだという。

 まるで、実感がなかった。

 

 

 警察から話を聞き、そして、自分の知っている情報を伝え、解放されて、いつのまにか日付をいくつかまたぎ、

 両親の葬式が終わり、墓参りをし、レオが親戚に引き取られると決まった時。

 ようやく彼は現実を受け止めることができた。

 二匹のイーブイを抱え、ほとんど顔を合わせたことのない親戚につれられ、家を後にする。

 その後のことは、途切れ途切れの記憶でしかない。

 親戚に虐待され、警察に逃げ込んだが相手にされず、ノーチェとリータスを抱えて気づいたらストリートチルドレンの仲間入りをしていた。

 ストリートチルドレンたちと共に窃盗を繰り返し、時には日雇いの労働をする傍ら、ポケモンバトルを行い、わずかな小銭を稼ぐ日々。

 一年もたつ頃には、どうやらポケモンバトルの才能があるらしいことの気付き、いつの間にか不良たちの集まる窃盗グループの一員になっていた。

 その窃盗グループはいつしかポケモン窃盗団となる。最初は、悪い大人からポケモンを助けるという義賊的な側面が強かったが、いつの間にか、それは金のために無差別にポケモンを奪うというものに変わっていく。

 一体、どうしてこうなってしまったのか。

 ついに堕ちるところまで堕ちた。いや、あの日両親を亡くした夜にすでに這い上がれないところまで来てしまったのかもしれない。この治安のよくない場所で親のいない子供の行く末は死か反社会的な道の二つに一つだ。

 いつのまにか、ノーチェはブラッキーに進化していた。あとを追うように、リータスもエーフィに進化した。

 不思議な石を使うことによってイーブイが進化するという知識は持ち合わせていたが、石の力を使わずに何故イーブイが進化したのか、当時のレオには分らなかった。ポケモンの特性やバトルの際に使う知識は人並み以上であったが、進化の条件については、全くの門外漢であったのである。二匹が進化した原因について、疑問に思っていたが、それも忙しい日々の中に忘れ去られていった。

 ひたむきに自分の後を突いてくる二匹を撫でながら、レオは思った。

 自分は悪人だ。だが、こいつらはまだ戻る道があるのではないか? もしかしたら、良いトレーナーと出会えて、まっとうなポケモンとして生きていけるのではないか? いや、野生に帰ってのびのびと暮らすほうがいいのかもしれない。

 そんなことを考え始めたある日、レオは一人の男にであう。ポケモン研究をしている男だという彼はスナッチ団のアジトの一つの周りをうろついていたところを、捕まったらしい。彼の連れていたイーブイは中々に気性の荒い性格で(今思うと主を守ろうとしていたのかもしれない)、何人もの団員が腕に傷を負ったところを、ノーチェとリータスがなだめたのである。どうやら、イーブイの進化系である二匹を仲間かそれに近い存在と認識したらしい。二匹のどちらかがなだめている間はおとなしいということで、彼らには交代で見張ってもらうようにした。

 そして、捕まった男の監視はレオの役目となる。今はリータスがイーブイを見張り、ノーチェはレオと共に男の見張りだ。

「ノーチェ、あいつがなにか不審な動きをしたら、噛み殺せ」

 その言葉に、橙色にも見える赤毛が特徴の男は『物騒なことを言うね』と大げさに体を震わせて見せた。わざとらしいしぐさを睨みつければ、彼はどこ吹く風とばかりに軽い笑みを浮かべる。

 

「そのブラッキーよく育てられているね」

「……」

「どこで手に入れたポケモンなんだい? その様子を見ると、奪ったポケモンではなさそうだ」

「……」

「毛艶も良いし、体つきも健康そのものだ。普段から、面倒を見ているんだね」

「……」

 

 なにも言わないレオにたいし、男はハアとため息一つ。そして、今度はつらつらとイーブイのことについて語りだした。

 遺伝子が不安定だとか、そのせいでいろんな可能性を持つポケモンだとか、進化の種類は多岐にわたるのだとか、そんな基本的な情報だ。

 

「ところで、イーブイがどういう条件でエーフィやブラッキーに進化するか知らないかい?」

 

 男の言葉に、レオは思わず顔を上げる。言葉を発しないレオを気にせず、男は続ける。

 

「イーブイは、誰かに懐くとエーフィやブラッキーに進化するということが、最近分かったんだ。対象は人間ではなく自分のことを育ててくれた親のイーブイやイーブイ系統の進化系、ときには別のポケモンになることもある。だが、確認されている者は大半がトレーナーだ。良いトレーナーからたくさんの愛情を与えられ、そして、イーブイ自身も強い愛情をトレーナーに抱いた時、イーブイは別の姿に進化するときもあるんだよ」

 

 その言葉を聞いて、レオは思わずノーチェを見た。彼はジッとこちらを見てから、まるで男の言葉を肯定するかのように、身体を摺り寄せる。

 いつもだったらそのしぐさをしたときに、軽く撫でてやることが常だった。だが、すぐにそれができず、レオの手が不自然な体制で止まる。

 いつもなら撫でてくれるはずなのに、そうしないのか? 首をかしげるノーチェに恐る恐る触れる。慣れた毛並み。彼は嬉しそうに、そして甘えるように『きゅう』と鳴いた。

 

 

 

「今日はエーフィかい? その子も、大切にされていることが見てわかるよ」

 

 男の言葉にリータスは『当然だろう』と言いたげにレオに甘えた。

 果たして、自分はこの二匹にとって良いトレーナーであるのだろうか? この姿に進化したのは、何かの間違いではないのか? 疑問はある。だが、その疑問にこたえるかのように、リータスはレオにじゃれ付いた。

 

「そんなにポケモンに愛されている君が、どうしてスナッチ団なんかにいるんだい?」

 

 ――愛されている? 俺が?

 そんなはずはない。ポケモン窃盗団の自分なんかが……。

 ぐっと、奥歯をかみしめる。リータスは心配そうにレオを見上げ、彼の頬を優しく舐めた。

 翌日、レオは男とイーブイを逃がした。

 一体、自分の中の何が変わったのか、レオは理解していない。

 だが、確実に何かが変わったことだけはわかる。

 それは、レオがスナッチ団から抜ける一年ほど前のことである。

 

 

 

 




スナッチ団につかまっていた《ポケモンの研究をしている男》はリュウトの父親で、彼の持っているイーブイはリュウトのイーブイです。
イーブイの名前はフィニ(インフィニティからとりました)
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