レオミレのつもりで書いていますが、要素が薄い。
レオは本編17歳、この話では18歳の設定です。
ミレイはあちこちの地方を周っています
スナッチ団の元団員であり数々のポケモンを盗み、ポケモン窃盗の容疑で指名手配もされていた。しかし、シャドー団を壊滅させダークポケモンを救った功績は大きい。オーレ地方の英雄とまで呼ばれている彼の処遇をどうするか、この地方の警察組織は決めかねていた。
「どんな処罰も受け入れるつもりだ」
レオ本人はそう言っている。執行猶予付きの判決が望ましいという声が多数の中、それでは彼は納得しないのではないかと、ヘッジとユイトは考えていた。
その結果。
「社会奉仕活動として、保護ポケモンの世話役を命ずる」
ヘッジから言われた内容に、レオはあまり表情を変えなかったが、どこか動揺した雰囲気を出していた。
「ずいぶんぬるい罰だな」
「犯罪者であることは確かだが、オーレ地方の英雄とまで言われているお前を牢へぶち込んだら、民衆が煩いだろ」
窃盗は立派な犯罪ではあるが、治安の悪いこの地方ではほとんど軽犯罪の部類と認識している者も多い。
牢屋にいる囚人の世話をするのもただじゃないため、一回二回の犯罪であれば、面倒くさがって目をつぶって罰金程度で済ましてしまうことも少なくないのだ。
「警察官、仕事しろよ」
レオの言葉が耳に痛い。いや、犯罪者にそう言われるってどうなんだ?
「保護ポケモンの世話は並大抵のことでできることじゃない。時には暴走するポケモンも多い。けが人も多く出る。お前の罪を償うには妥当だろ」
「まあな」
そうして、レオは社会奉仕活動を命じられた。
実際やってみると、ダークポケモンとは勝手が違うものの、レオに合っていたのか、保護ポケモンの世話は順調に進んでいた。コロンマッサージがダークポケモンでなくても心に傷を負ったポケモンに効くとわかったのは良かった。レオに対して警戒心を解いたポケモンを片っ端からマッサージして心を開かせていく。
その姿を見て、ミレイはにこにこと笑顔を浮かべた。
「どうした?」
ポケモンをマッサージする手を止めて、レオはミレイを睨む。いや、本気で睨んでいるわけではない。レオは目つきが鋭いので時には視線を向けただけで睨んでいるように見えてしまうのだ。そんなことをよくわかっているミレイは気にせずに、追加のコロンをレオの近くに置いた。
一緒にオーレ地方をめぐっていた時とは違い、レオはマッサージ師のような恰好をしている。顔にある刺青はもちろんそのままなので、妙にちぐはぐだ。だが、最近はその姿も見慣れてきた。
「様になってきているなって思ったの」
「よせ。ガラじゃない」
「結構評判みたいね。たまに『うちのポケモンもマッサージして』って依頼が来るんだっけ?」
「…………」
まさしくその通りなので否定はできない。そしてついでにそこそこ良い小遣い稼ぎになるので、暇なときはマッサージをしてやることも多い。
「将来職に困ることはなさそうね」
「……お前こそ、さいきんどうなんだ」
これ以上この話を続けたくないレオは無理やり話題を変える。ミレイは最近トレーナー修行と称して他の地方へ行って、ポケモンを育てたりバトルをしたり、この地方にはいないようなポケモンを捕まえたりしているらしい。
最近までシンオウにいて、ついさっきオーレに戻ってきたばかりである。
「あのね、すごかったの」
「?」
「あんな真っ白な世界初めて。雪が積もった道がいつまでも続いていたの」
「そうか」
「それでね。イーブイの進化系を見つけたんだ」
「ふうん」
「グレイシアっていってね、ほら、これが写真」
と見せられたのは青いポケモン。色合いはシャワーズのようでありながら、雰囲気はエーフィに似ているように思えた。耳の形はブースターのようでもある。
「……」
「あれ? もっと何か反応ないの?」
「別に」
「もう少し興味持ってくれると思ってた」
「エーフィとブラッキーを連れているからといって、イーブイに興味があるわけではない」
「ふーん」
「……」
「ねえ、ノーチェとリータスって、どうやってレオの仲間になったの?」
ミレイの言葉に思わず手が止まる。
「レオ?」
真実を言うべきか? 少し迷った。主の心の動きを察知したらしいリータスが近寄ってくる。
「フィー」
その雰囲気にミレイはしまったと口を抑える。
「あの、言いたくないんだったら」
「……十歳の誕生日プレゼントで、それぞれ父と母からもらった」
「そう、なの?」
思いのほか普通だと、ミレイは思った。しかし、おそらくあの反応からして、レオの両親はもういないのだろうということがわかる。レオはもうすぐ十八だ。両親が生きていてもおかしくない年齢なのに、家族の話をすることは一切ない。以前それとなく聞いた時に、一言『居ない』と言っていたことを思い出した。
「あの、変なこと聞いてごめん」
「謝ることはない。もう、過ぎたことだ」
マッサージを終えると、レオは眠ったままのポケモンを抱き上げて、別室へ行く。
残されたミレイは『はあ』とため息を吐いた。
「どうして、空気読まずあんなこと言ったんだろう」
ずるずるとその場にしゃがみ込む。彼女の顔を心配そうにリータスが覗き込んだ。
「リータス、あなたにも辛いことを思い出させちゃったよね」
その言葉にリータスは首を横に振る。
落ち込む彼女を慰めるように、やさしく鳴き声を上げる。本当は励ましの言葉をかけたいが、あいにく人語を話せない喉は『フィー』という鳴き声しか出せなかった。
エーフィであるリータスには、わかっていた。レオはあんなことで傷ついてなんかいなかったことを。ただ、自分の過去を話して、ミレイに幻滅されたらいやだと思っているだけだったということを。
少しずつ、少しずつ歩んでわかりあっていけばいい。
リータスはミレイに寄り添った。
彼は『こうすることで人間に自分の気持ちを伝えることが出来たらいいのに』と叶いもしない願い事を内心でつぶやいた。